学生交流プログラム オーストラリアの視点から 2013年1月27日 早稲田大学 ニューサウスウェールズ大学 トムソン木下千尋 University of New South Wales Chihiro Kinoshita Thomson 今日のお話 • オーストラリアは、学生交流の先進国である。 • オーストラリアは、ASEAN諸国との大学交流において、日本の競争相手 である。 • オーストラリアが、今目指しているものは何か。 「アジアの世紀におけるオーストラリア白書」より。 • 日本の大学が学生交流を推進する際のハードルは何か。 • 日本語教育関係者にできることは何か。 オーストラリアは、学生交流の先進国である。 日豪比較: 日本 オーストラリア 人口 1億2752万人 2289万人 5分の1 大学数 763校 39校 (+70校?)* 7分の1 大学生数 289万人 109万人** 3分の1 留学生数 14万人 23万人 1.6倍 留学生の比率 5% 21% 4倍 *大学 (+大学以外の高等教育機関) **大学以外も含む高等教育履修者数 オーストラリアは、ASEAN諸国との大学交流に おいて、日本の競争相手である。 ニューサウスウェールズ大学の 例 2012年度 学生数 50516人 留学生数 13094人 (26%) トップ10 (ASEAN諸国) 1.中国 2.マレーシア 3.インドネシア 4.シンガポール 5.韓国 6.ベトナム 7.インド 8.タイ 9.サウジアラビア 10.イラン ニューサウスウェールズ大学の協定校 327校 (2013年1月現在) ニューサウスウェールズ大学の協定校 327校中、アジア諸国 (ASEAN諸国)78校 • 中国 25校 • 日本 14校 • 韓国 9校 • インド 9校 • シンガポール 6校 • タイ 5校 • 香港 4校 • マレーシア 2校 • 台湾 2校 • インドネシア 1(大学コンソーシアム) • ベトナム 1校 オーストラリアが、今目指しているものは何か。 「アジアの世紀におけるオーストラリア白書」 Australia in the Asian Century White Paper (2012年10月) • 21世紀はアジアの世紀である。 • オーストラリアは地の利を生かし、アジアの世紀に繁栄した強健な国とし ての地位を確保する。 • アジア地域の一部となる。 そのために、 • 高い生産性と回復力を誇るオーストラリア経済の維持、発展 • アジアに対応できるリーダーを育てるための能力の開発 • アジアとのより深く広い関係の構築 • 成長するアジア市場との提携 • 地域の持続可能な安全保障の構築 アジアに対応できるリーダーを育てるための 能力の開発(1) 1. オーストラリアの教育制度は世界の世界上位5ヶ国に入り、どの背景の生 徒に対しても優れた結果を生み出し、時間の経過と共に実績が体系的に 改善されている。 2. オーストラリアのすべての生徒は、カリキュラム全体にわたりアジア関連 の科目を多数履修し、文化的な知識と技能を伸ばし、アジア地域で活躍 できるようになる。 3. オーストラリアの生徒は全員、学校教育期間を通じて、アジア言語を継続 的に履修するように奨励され、その機会を与えられる。 • すべての生徒が少なくとも1 つの指定されたアジア言語を学ぶことができ る。指定言語は、中国語(標準中国語)、ヒンズー語、インドネシア語、日 本語である。 アジアに対応できるリーダーを育てるための 能力の開発(2) 4. オーストラリアの大学は世界でも有数の優れた研究・教育機関であり続け る。これにより、多数のオーストラリア人学生が優れた成果を上げ、世界中 から最も優秀な学者および学生が集まり、オーストラリアと地域のつながり を強化する。 • 2025 年までには、オーストラリアの10 校の大学が、世界上位100 校に入 る。 • オーストラリアの大学の学生が多数海外に留学し、より多くの学生が大学 の単位の一部をアジアで取得することになる。 「アジアの世紀」白書の翻訳 中国語、ヒンズー語、インドネシア語、韓国語、日本語、ベトナム語 内閣府の国民生活白書 英訳 日本の大学が学生交流を推進する際の ハードル (1) 大学教育の質 大学世界ランキング 2012-13 By Times Higher Education 授業がやさしす ぎる。みんな勉 強していない。 某国立大の オーストラリア人留学生 1~100位まで •47校 アメリカ •10校 イギリス •7校 オランダ •6校 オーストラリア •5校 カナダ •4校 フランス ドイツ スイス 中国+香港 •3校 韓国 •2校 日本 (東大、京大) シンガポール ベ ルギー スエーデン (早稲田、慶応 351-400位) 日本の大学が学生交流を推進する際の ハードル (2)通年コース 成 績 2013年4月通年コース 2014年4月通年コース 2013年9月1年留学 2013年4月 半年留学 2013年4月1学期 2013年9月 半年留学 成 績 2013年9月2学期 2014年4月 半年留学 成 績 2014年4月1学期 成 績 日本の大学が学生交流を推進する際の ハードル (3)シラバスの公開と単位の交換 http://intlstudies.arts.unsw.edu.au/course-outlines/2012-courseoutlines/ •海外の学生が日本の大学のコースを選択する際に詳細が分からない •日本の学生が海外に留学して、その単位を母校に持って帰れない •日本の学生にとって、留学=留年になってしまう •(就活、4月一斉採用の弊害) •交流の互換性 日本の大学が学生交流を推進する際の ハードル (4)アーティキュレーション(連携) 日本語教育グローバルネットワーク (日本、韓国、中国、台湾、香港、アメリカ、カナダ、ヨーロッパ、オーストラリア) J-GAP, Japanese Global Articulation Project 日本語教育の国際的な連携プロジェクト リーダー 當作靖彦先生(アメリカ代表) 東京外語大学、武蔵野大学で日本と香港、日本と中国の交流の連携を進める (以下のスライドは許可を得て當作先生のものをお借りし、手直しました) 横の連携 Level X + 1 Level X A B C D 横の連携 Level X + 1 Level X A B C D 縦の連携がうまくいった場合 能 力 小学校 中学校 高校 大学 16 縦の連携がうまく行っていない場合 能 力 小学校 中学校 高校 大学 17 連携がうまく行っていない場合を 日本との交換留学に当てはめると 能 力 海外の大学で勉強 日本の大学に留学 海外の大学に帰還 18 日本語教育関係者にできること • 職場に働きかける • 通年のコースを学期制に • シラバスの公開、検討と共有 • 留学生の居場所を作る • 継続した人間関係が作れる場を紹介する (剣道の道場) • イベントを企画、運営する (学生のシンポジウム) • スペースを確保する (学生のラウンジ) • 日本人学生を巻き込む 参考資料 Australian Government Department of Industry, Innovation Science, Research and Tertiary Education. 2012 First Half Year Student Summary. http://www.innovation.gov.au/HigherEducation/HigherEducationStatistics/StatisticsPublications/Pages /default.aspx accessed on January 17, 2013. Australian Government. (2012) Australia in the Asian Century White Paper. http://asiancentury.dpmc.gov.au/white-paper accessed on January 17, 2013. Australian Education Network. List of Universities in Australia. http://www.australianuniversities.com.au/list/ accessed on January 17, 2013. Australian Bureau of Statistics (2013) Population Clock. http://www.abs.gov.au/ausstats/[email protected]/0/1647509ef7e25faaca2568a900154b63?OpenDocument accessed on January 17, 2013. Times Higher Education. The World University Rankings 2012-13. http://www.timeshighereducation.co.uk/world-university-rankings/2012-13/world-ranking/range/001200 accessed on January 17, 2013. Universities Australia. Student numbers & characteristics. http://www.universitiesaustralia.edu.au/page/australia-s-universities/key-facts---data/studentnumbers/ accessed on January 17, 2013. UNSW (2012) UNSW at a Glance 2012. The University of New South Wales. 文部科学省 「公立大学について」 http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/kouritsu/index.htm accessed on January 17, 2013. 総務省統計局(2012)「人口推計」http://www.stat.go.jp/data/jinsui/new.htm accessed on January 17, 2013. 日本学生支援機構 「平成23年度外国人留学生在籍状況調査結果」 http://www.jasso.go.jp/statistics/intl_student/data11.html accessed on January 17, 2013.
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