第4回(10/16) 立憲制度はなぜ必要とされたか

第4回(10/16) 立憲制度はな
ぜ必要とされたか
• 立憲制度成立の世界史的背景について
概説する。
• 産業資本主義の発展と市場化という文
脈を軸に整理する。
• 立憲主義成立の経済的要因について考
える。
長谷部『憲法とは何か』
第2章を整理する。
「立憲主義を、そしてそれに
基づくリベラル・デモクラ
シーを採らないという選択も
当然ありうる」
(『何か』p.36)
長谷部においては、
「立憲主義」
イコール
「リベラル・デモクラシー」
である。
「憲法」=「立憲主義」では
ない
「立憲主義なき憲法」
(「外見的立憲主義」)
第二次大戦と冷戦の理解につ
いて
「相手方の権力の正当性原理である憲法
を攻撃目標とする二つの陣営の敵対状
況であ」る。
「それは、一方の陣営が自らの憲法を変
更することで終結」する。(『何か』
p.36)
ここで「憲法」とは、「憲法
典」ではなく、「国家の基本
となる構成原理」のこと。
「国家の基本となる構成原
理」の変更=「体制変革」
19世紀後半における軍事技術
の革新
戦争への「国民動員」体制
国民の政治参加(民主化)の進展と
福祉国家政策の導入
「三者の闘い」
リベラルな議会制民主主義/
ファシズム/共産主義
• 「いかなる国家形態が、国民全体の安
全と福祉と文化的一体感の確保という
国民国家の目標をよりよく達成しうる
か」をめぐる「争い」
シュミットの議会制民主主義
批判
=民主主義の貫徹による議会
主義の否定
=「公開の場における大衆の
喝采を通じた治者と被治者の
自同性」
=人民意思を代表する指導者
議会制民主主義より
民主主義的な体制としての
「ファシズム」と「共産主
義」
ファシズム(民族主義)
共産主義(階級主義)
議会主義の危機に対する反動
• 多元化と分裂の否認
• 友敵の区別
• 国民の同質性・均質性の達成
第二次大戦による
ファシズムの排除
冷戦終結による
共産主義の敗北
「冷戦は、異なる憲法原理、
国家権力の異なる正統化根拠
を掲げる二つの陣営の戦争状
態であった」(『何か』p.52)
「表面的には、それは市場原理に
基づく資本主義陣営と、計画経済
に基づく共産主義陣営の対立と見
えたかも知れない。」
「しかし、資源の配分方法に関す
る対立は、そもそもの憲法的対立
から派生する二次的対立にすぎな
い」(『何か』p.52-53)
「リベラルな議会制民主主義
の体制は、立憲主義の考え方
を基本としている」(『何
か』p.54)
「冷戦の終結は、リベラルな
議会制民主主義が、したがっ
て立憲主義が、共産主義陣営
に勝利したことを意味する」
(『何か』P.56)
立憲主義=「比較不能な価値観の並
存という現実を認めた上で、共存を
はかる考え方」「公と私の区分」
「私的領域では、各自の世界観に基
づく思想と行動の自 由を保障」
「公的領域では、それぞれの世界観
とは独立した、社会全体の利益に関
する冷静な審議と決定のプロセスを
確保しようとする」(『何か』p.54)
「同一の憲法原理をとる国同
士の間にのみ長期的に安定し
た関係がありうる」(『何か』
p.59)
• 経済要因と戦争要因の関係
• 憲法原理の対立の根拠~憲法的対立は
なぜ生じたか?
• 近代=立憲主義
• 前近代としての共産主義とファシズム
という理解
経済要因と戦争要因の関係
• 長谷部における戦争要因の重視
• 経済要因の軽視
憲法原理の対立の根拠~憲法
的対立はなぜ生じたか?
• 「表面的には、それは市場原理に基づく資本
主義陣営と、計画経済に基づく共産主義陣営
の対立と見えたかも知れない。」
• 「しかし、資源の配分方法に関する対立は、
そもそもの憲法的対立から派生する二次的対
立にすぎない」(『何か』p.52-53)
近代=立憲主義
前近代としての
共産主義とファシズムという
理解