一般化オーロラトモグラフィ法の再構成 アルゴリズムの比較(途中経過)1 田中良昌、麻生武彦、田邉国士、 B. Gustavsson、門倉昭、小川泰信 1. 2. 3. 4. 情報・システム研究機構 新領域融合研究センター 国立極地研究所 早稲田大学理工学部 トロムソ大学 これまでの問題点 • 特性エネルギーEPが小さいところ(EP <1keV)で、再構成がうまくいかない。 • 再構成のエネルギー範囲の最大値を、E=300eV-20keV → E=10eV-50keV に広げると、再構成がうまくいかない。 電子エネルギーが高く見積もられる傾向 がある。 Q0 (全エネルギーフラックス) EP (特性エネルギー) mW/m2 CNAデータを取り込むときに、問題となる。 eV 理想的な条件下での再構成テスト C2 C3 左図のような理想的な観測点、オーロラの配置を仮 定して、再構成をテストする。(全てのボクセルが、 必ず3観測点以上から見えている。) 200km 5 300km 4 セルを通る 3 視線が存在 する観測点 の数 2 Skibotn 200km 80km E S C4 C5 1 水平空間分布 EP (特性エネルギー) Q0 (全エネルギーフラックス) mW/m2 eV 共役勾配(CG)法 オーロラ3次元構造 アークに沿っての放射率の差 Λ再構成 – Λ入力 放射率(Λ) Cor=0.88 高度 (km) g P1,1 ~ ~1 P1, 2 g2 Λ ~ P g5 1,5 共役勾配法で解く。 高度 (km) 解に負の値が許されているので、発光ピーク 高度周辺はうまく再構成できない。 放射率 (cm-3 s-1) 放射率 (cm-3 s-1) 放射率 (cm-3 s-1) オーロラ3次元構造 Gauss-Newton法 非負条件(Λ≧0)あり アークに沿っての放射率の差 ただし、初期値は、CG法で求めた解を使用。 (負の値には0を入れる) Λ再構成 – Λ入力 ex Cor=0.99 高度 (km) g P1,1 ~ ~1 P1, 2 x g2 e ~ P g5 1,5 x について、ガウス・ ニュートン法で解く かなりうまくいっているが、放射率ピー ク高度より上でうまく再構成できない。 初期値をCG法の解としたため? 高度 (km) 放射率ピーク高度 放射率 (cm-3 s-1) 放射率 (cm-3 s-1) 放射率 (cm-3 s-1) オーロラ3次元構造 乗法的SIRT法 ただし、画素値に0が入っているとうまく再構成できない 場所が生じるので、画像に+10Rのオフセットを加えた。 アークに沿っての放射率の差 Λ再構成 – Λ入力 Cor=0.997 g P1,1 ~ ~1 P1, 2 g2 Λ ~ P g5 1,5 放射率ピーク高度 高度 (km) これが最もうまく再構成できている。 放射率 (cm-3 s-1) 放射率 (cm-3 s-1) 放射率 (cm-3 s-1) 入射電子フラックス 共役勾配法 Q0 (全エネルギーフラックス) EP (特性エネルギー) mW/m2 eV mW/m2 eV NI=300 GaussNewton法 非負条件(Λ≧0)あり 初期値は、CG法の解 NI=300 乗法的 SIRT法 NI=30, Noise=+10R SIRT法が最 も再構成結果 が良い。 mW/m2 eV アークが全てEP=500eVのとき C2 C3 200km 水平空間分布 EP (特性エネルギー) Q0 (全エネルギーフラックス) Skibotn 200km mW/m2 C4 C5 eV アークが全てEP=500eVのとき 放射率の高度分布 NI=300 高度 (km) 共役勾配法 入力 再構成 Gauss-Newton法 NI=300 高度 (km) 非負条件(Λ≧0)あり 初期値は、CG法の解 ピーク高度より上の放射率 が、うまく再構成できない。 乗法的SIRT法 SIRT法は、問題なし。 高度 (km) NI=30 入射電子フラックス アークが全てEP=500eVのとき Q0 (全エネルギーフラックス) EP (特性エネルギー) 共役勾配法 NI=300 GaussNewton法 非負条件(Λ≧0)あり 初期値は、CG法の解 EPが小さいと、ピーク高 度より上の放射率の割 合が高いので、うまく再 構成できなくなる。 NI=300 乗法的 SIRT法 NI=20, Noise=+10R SIRT法は問題なし。 入射電子フラックス アークが全てEP=500eVのとき Q0 (全エネルギーフラックス) GaussNewton法 非負条件(Λ≧0)あり 初期値は、CG法の解 EP (特性エネルギー) EPが小さいと、ピーク高 度より上の放射率の割 合が高いので、うまく再 構成できなくなる。 NI=300 乗法的 SIRT法 NI=20, Noise=+10R GaussNewton法 非負条件(Λ≧0)あり 初期値は、SIRT法の解 NI=20 SIRT法は問題なし。 一般化オーロラトモグラフィ法の再構成 アルゴリズムの比較(途中経過)2 田中良昌、麻生武彦、田邉国士、 B. Gustavsson、門倉昭、小川泰信 1. 2. 3. 4. 情報・システム研究機構 新領域融合研究センター 国立極地研究所 早稲田大学理工学部 トロムソ大学 実際のALIS観測点の場合 5 200km 300km 4 Tromsø セルを通る 3 視線が存在 する観測点 の数 Skibotn 200km 2 80km S 1 E Kilpisjarvi 水平空間分布 Abisko Silkkimuotka EP (特性エネルギー) Q0 (全エネルギーフラックス) Kiruna Tjautjas km eV mW/m2 km km ALIS オーロラ画像(427.8-nm) Skibotn Abisko R R Kiruna Silkkimuotka Tjautjas R R R オーロラ3次元構造 共役勾配法 乗法的SIRT法 SIRT法でも、ところどころ、アー ティファクトが見られる。 高高度(低エネルギー)側の発光 が北側にずれている。これは、観 測点が南側に集中しているため。 入射電子フラックス 共役勾配法 Q0 (全エネルギーフラックス) EP (特性エネルギー) mW/m2 eV NI=300 GaussNewton法 非負条件(Λ≧0)あり 初期値は、CG法の解 NI=300 乗法的 SIRT法 NI=30, Noise=+10R SIRT法でもうまくいか ない。 高高度(低エネルギー) 側の発光が北側に広 がったため、フラックス が分散している。 Tjautjasの代わりに、Soroyaを加えてみる SoroyaはIMAGE地磁気観測網の観測点(SOR)。ここに、 Skibotnと同じカメラを置いて、EISCAT上空に向ける。 Soroya Soroya 200km 5 Tromsø 4 Skibotn 3 200km 2 1 S Kilpisjarvi E 水平空間分布 Abisko Silkkimuotka EP (特性エネルギー) Q0 (全エネルギーフラックス) Kiruna km eV mW/m2 km km オーロラ3次元構造 乗法的SIRT法で計算 NI=30, Noise=+10R ALIS観測点を使用 Soroyaを加え場合 ALISのみの場合よりは、かなり修正さ れたが、まだアーティファクトあり。 入射電子フラックス 乗法的SIRT法で計算 NI=30, Noise=+10R ALIS観測 点のみ Soroya を加えた 場合 NI=20 ALISのみの場合よりは、かなり修正さ れた。しかし、もう少し改善したい。 アーク1つだと、おそらくもう少し良い。 まとめ 理想的な観測点・オーロラ配置を仮定したテストから、 • 非負条件( f 0 )は必須である。 • CG法の解を初期値として非負条件を付加しGauss-Newton法で解いた場合、発光ピー クより高い高度では、3次元構造の再構成がうまくいかない。 → EPが小さいところで、入射電子エネルギー分布の再構成がうまくいかない。 • 乗法的SIRT法は、高高度の放射率を最も良く再構成できる。 • しかしながら、SIRT法を用いる場合、ハイパーパラメータの決定方法、事前分布(拘束 条件)の取り扱い等に疑問がある。 → 初期値をSIRT法で決定し、Gauss-Newton法で解いてはどうか? 既存のALIS観測点を使用した場合、 • SIRT法を使ったとしても、EISCAT上空の入射電子エネルギー分布の再構成には困難 がある。 • 特に、 (低エネルギー電子が担っている)高高度のオーロラ発光は、ALIS観測点が EISCATサイトの南側に集中しているため、実際よりも北側にずれてしまう。 → 低エネルギー帯の電子フラックスの再構成がうまくいかない原因になる。 • Tjautjasの代わりにIMAGEチェーンのSoroyaにカメラを置いてみると、再構成結果はか なり改善される。
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