カワモズクニュース №24

カワモズクニュース №24
25.8.20
8月にはいってアオミドロなどの緑藻類が精力的に繁茂し、カ
ワモズクは成長が阻害されているように思います。
この池に現在生息しているのはほぼアオカワモズクと思われま
す。アオカワモズクは日差しが強いところでもよく成育し、和光
市内でも良く見受けられますのであまり重視していませんでした。
シャントランシア体から生育した藻体がアオカワモズクのような
ので良く見てみると受精毛が2本V字についていました。
受精毛が複数と言う事がありうるのか、書籍を見ましたが分か
りませんでした。間違いかもしれない・・、1本のものも柄のところ
に突起(結節)があります。
〔新しい仲間・ミドリカワモズク〕
熊野先生に伺い、受精毛を2本持つものは「B.elegans Sirodot
ミドリカワモズク」とされてきたが、分子解析の結果B.helminthosum
Boryアオカワモズク」に統合されたものだと教えていただきました。
造果器の枝も様子も大分異なるのですが、同じアオカワモズク、
目視では全く分かりません。
金枠から外れて池に浮かぶアオカワモズク
いもむしのような造果器の
枝とミトンのような受精毛
V字状に伸びた受精毛
輪生枝の太さ
540~650μm
造果器の長さ
60~100μm
造果器は有柄
1本の受精毛の根元に突起(結節)
果胞子体 中軸にくっ付いている形状
果胞子体(400倍)
造胞糸と果胞子嚢
白子湧水とカワモズク(その2)
〔白子崖線と新水路〕
県道109号線は地主さんの敷地を切り通して作られ、国道254号線が
通るまで新川越街道として交通の便に供されてきました(元川越街道は
大坂)。 切通した崖線からは湧水が噴出し、その水を溜めて牛蒡の洗
い場にしていました。
新倉牛蒡はとても評判がよく、午前3時頃から牛蒡の荷を積む馬車で
大変にぎわったと聞いています。
転居してきた30年ほど前は紫陽花が道ばたにたくさん咲いていたの
を覚えています。側溝にはきれいな湧水がとうとうと流れていました。そ
の量は大分減りましたが、今でも白子の崖線からは絶え間なく湧水が
滴り、豊かな空間を作り出しています。
「緑の基本計画」策定時に水路で「カワモズク」が確認された事からカ
ワモズクの生息環境調査が行われました。しかし1年足らずで水路は駐
車場になりカワモズクは消失しました。
2010年から観察をしていますが、今でもカワモズクの気配を感じます。
しかし同定できるほど成長できないまま消失を繰り返しています。
街中でも私達人類とカワモズクが共生できる道は必ずあると思うので
すが。
流れの小石に
シャントランシ
ア体が現れま
した。(4月)
シャントランシア体から幼体
が出てきて3cmほどに成長し
ましたが、流れから消えてし
まいました。(5月)
新水路と呼ばれているこの流れは、駐車場で無くなる元の流れを地
権者さんや市職員、市民団体の努力で再現させようと作られました。
崖の植生も流れの河床も移設したつもりでしたが、多くの種が消えてし
まいました。
白子崖線と同様今でも観察を続けていますが、2011年12月流れの
石にシャントランシア体が現れ1cmほどに成長しました。採取してみま
したが生殖器はまだ無く同定は出来ませんでした。
流れにはカワニナ、カワゲラ、サワガニ、ヘビトンボなど湧水特有の
オニヤンマのヤゴにいつでも会える。 貴重な生物が今でも生息している貴重な場所です。
流れの小石にシャントランシア体が
現れました。(12月)
発芽の様子がありました。→の左(根
元)はシャントランシア体(2n)右は藻
体(1n)。(1月)
生殖器は無く同定には至りませんでし
た。(5月)
白子・大坂湧水林保全の会 須貝郁子