平成15年3月6日太田切川の魚道を考える会内容説明用手持ち資料

太田切川の魚道を考える会
説明用手持ち資料
平成15年3月6日
国土交通省
天竜川上流工事事務所
Ⅰ.太田切川生態系調査
1.調査目的
本調査は、太田切川に生息する生物の生息状況を調査・
把握し、砂防施設及び砂防工事が、それらに与える影響に
ついて評価し、今後の砂防事業に資するものである。
2.調査年度
・平成13年度
・平成14年度
3.魚類に関する調査項目
・魚類生息分布調査(平成13年度、14年度の2回実施)
・魚類移動状況調査(平成13年度~14年度にかけて実施)
・床固工の遡上状況調査(14年度に1回実施)
4.魚類生息分布調査
○調査区間
生息場における分布状況を把握するために、調査区間を
11区間に設定した。
○調査実施日
平成13年11月13日~14日
平成14年11月 3日~ 6日
○調査方法
各調査区間を100mに設定し、潜水目視観察により生息種
及び個体数を確認した。
○結果の概要
・イワナ、アマゴ(放流されている)
年により各調査区間において確認個体数に差が見られる。
・カジカ(放流されていない)
H13年に比べてH14年の方が、確認個体数が増えている傾向にある。
今年度イワナは、1-1,1-2で確認されておらず、1-3,2-1,3-2,4-2,5-1,6-1では、ほぼ同じ確認個体数である
ものの、2-2では確認個体が多く、3-1,4-1では逆に少なくなっています。このことから、アマゴも含め放流魚
は放流により個体数に変化があるものと考えられます。
しかし2-2より下流でのカジカは、場所によらず個体数が増えており、自然の繁殖力が増しているものと考
えられます。この区間は、もともと扇状地の区間であり、本来カジカが生息していた区間と考えられます。
表2 H13魚類調査結果(単位:個体数、11月13~14調査実施)
表3 H14魚類調査結果(単位:個体数、11月3~6調査実施)
5.魚類移動状況調査
本調査は、放流したイワナが、上流に遡上するのか、
下流へ下るのかを把握するために実施したものです。
捕獲は、各床固工ごとに行いました。
なお、投網による捕獲は、各床固工ごとに行いまし
たが、小型定置網による捕獲は、放流した6号床固工下
流より上流の区間で行いました。
また、小型定置網は、各床固工の直下流の左右岩に1
網づつを1晩設置して、捕獲を行いました。
○調査区間
JRの鉄道橋から駒ヶ根堰堤までの
区間を対象とした。
○調査方法
放流したイワナを小型定置網と投網
を用いて採捕確認を行った。
・放 流 日:平成13年11月15日~16日
・放流場所:・6号床固工下流
800個体(左腹鰭カッ
ト)
・太田切砂防ダム下流
100個体(右腹鰭カッ
ト)
・捕 獲 日:平成14年7月23日~26日
・捕獲場所:調査区間全域
調査の結果、11月に放流したイワナが確認されたの
は、放流した場所で1個体の確認でした。この結果とし
て考えられる理由は、
1.放流後釣り人に持ち去られた。
2.7月の出水等により下流に流された。
の2通りが考えられますが、当該区間がキャッチアンド
リリース区間であることから、釣り人に持ち去れるこ
とは考えにくく、出水による流下の可能性が高いもの
と考えました。
このことから、当該区間の歩留まりが悪いことは明
らかになりましたが、床固工を遡上出来るかどうかに
ついては、明らかになっておらず、床固工の遡上状況
図2 イワナの放流場所と確認場所
6.床固工の遡上状況調査
本調査は、各床固工が遡上可能かどうかを確かめるために実施したものです。
○調査区間
9号床固工から駒ヶ根堰堤下流の県設置床固工までの床固工を対象とした。
○調査方法
再度放流したイワナを、潜水目視観察により遡上分布状況を確認した。
・放 流 日:平成14年10月12日
・放流場所:9号、8号、7号、6号
3号床固止工下流
・確 認 日:第1回
第2回
第3回
平成14年10月23日~24日
平成14年11月 1日~ 2日
平成14年11月13日~14日
○調査時期の設定根拠
・放流は、台風の出水を避けて10月としました。
・確認は、イワナの産卵期の遡上行動を勘案して、11月中旬まで行うこととしました。
○放流場所の根拠
・9号は、魚類の遡上に配慮した最も下流の床固工であるため(階段式魚道付き)。
・8、7、6号は、それぞれ異なるタイプの床固工であるため(全断面魚道)。
・6、5、4号は同じタイプの床固工であり、6号下流に放流した。
・3号から上流は階段式魚道であるが、3号だけ魚道の構造がことなるため(2号より上流は、9号とほぼ同じタ
イプ)。
○結果の概要
9 号床固工から 4 号床固工までが、イワナの遡上が可能であ
る床止工であると確認された。また、3 号床止工は遡上が確認
されなかった。
なお、第 3 回調査は、全体的に確認個体数が少なかったが、
これは、当日の水温が低いために、礫の間などに隠れ、潜水目
視観察では確認されなかったものと考えられる。
回
第1回
第2回
第3回
水温
8℃
6℃
2℃
気温
8℃
7℃
4.5℃
月日
10/23
11/1
11/13
時刻
13:00
13:00
13:00
天候
晴れ
晴れ
雪
7.床固工の魚道状況調査
魚類の遡上に配慮してある床固工(9号床固工から切石床固工)について、
魚道等の現状を把握するために、越流水深や堰堤下流の水深等について計測
を行った。
・調 査 実 施 日:平成14年10月11日
・調査対象床固工:9号床固工~切石床固工(1号床固工を除く)
図5 堰堤の計測箇所