第三課 価格条件 一、貿易条件 • インコタームズとは? • FOB、CIFなどと称される貿易条件は、英語 ではTrade Terms(条款;术语)と言い、取 引条件、交易条件、あるいは建値(たてね)と 言われるものです。これらの貿易条件は、略 号で表現され、貨物の受渡し場所と、物流費 用の負担範囲、保険加入の分担が明示され るので、貨物の取引価格算定の基礎となりま す。 • 国や地域によっては商取引の習慣や用語の意味が微 妙に異なることが有り、トラブルのもとになりかねません。 そこで、貿易における取引条件を統一し、売買契約の 解釈の違いから生じる混乱や不確実性、紛争や訴訟を 回避すべく、インコタームズが制定されました。国際商 業会議所(ICC)が貿易条件の解釈に関する国際規則 として制定したものが、インコタームズ(Incoterms)で、 InternationalのInと、CommerceのCoに、条件を意味 するTermsを組合せての造語名称です。現在は、4類 型11条件が制定されており、2010年版が最新となり ます。インコタームズには強制力は無く、この規則はあ くまでも定型として用意されたもので有るから、貿易当 事者の取引や運送の実態にそぐわない( 釣り合わな い)部分が有るときは、売買契約時に修正や文言の追 記を行って使用されるべきです。 • INCOTERMS (International Commercial Terms) のことで、国際商業会議所(ICC) が輸出入取引に関して、定型的な取引条 件、特に当事者間の費用と危険の範囲を 定めたものです。輸出入当事者の商慣習 が国によって異なることから発生する取 引条件の誤差や、紛争・訴訟を防止する 目的により、定型取引条件の解釈に関す る国際規則を1936年に制定したのが始ま りです。その後、国際貿易取引の実態に 合わせるため、1953年、1967年、1976年、 1980年、1990年、2000年に改訂が行われ ています。 • 1990年および2000年の改訂は、輸送方法 の変化、特にコンテナ輸送、複合一貫輸 送、近距離海上輸送における道路輸送車 両や鉄道貨物を用いたRO/RO(滚装船) 輸送、航空輸送などの実態に合わせたも のです。そして、インコタームズ2010は、 欧州連合など各国間での関税障壁の少な い貿易圏の取引の広がり、商取引の電子 通信の使用、物品 移動の安全の高まり、 そして、輸送実務の変化を考慮して作ら れています。その結果、「持込渡 (delivered)」規則を更新・集約して新 たにDAT・DAPを作り、全部で11種類の 規則にまとめました。 新たな規則「DAT/DAP」 • インコタームズ2010では、DAT(Delivered at Terminal : ターミナル持込渡)および、 DAP(Delivered at Place : 仕向地持込渡)を新設 しました。旧インコタームズ2000における、 DEQ(Delivered ex Quay : 埠頭持込渡) 条件を廃 止して、DAT条件を新設し、またDAF(Delivered at Frontier : 国境持込渡)・DES(Delivered ex Ship : 本船持込渡)・DDU(Delivered Duty Unpaid : 仕向地持込渡および輸入通関・関税抜 き)の3つに変えて、DAP条件を新設されまし た。 二、貿易条件の分類方法 • (1) 分類方法一 • インコタームズ2010では、全部で11種類の 規則が作られていますが、この内の第一グ ループは“いかなる単数または複数の輸送手 段にも適用する規則”、第二グループとして “海上及び内陸水路輸送に適用する規則”の 2つに分類されて規定されました。 • (第二グループは海上・内陸水路輸送の為の 規則であり、航空貨物に使用するのは誤用。 またコンテナ貨物は、本船の船側や船上では なく、ターミナルで売主より運送人に引き渡さ れるので、FCA・CPT・CIP規則を使用するの が適当です。) 第一グル-プ(いかなる単数又は複数 の輸送手段にも適した規則) • EXW Exw Works(named place of delivery) 工場渡(指定引渡地) • FCA Free Carrier(named place of delivery) 運送人渡(指定引渡地) • CPT Carriace Paid To(named place of destination) • CIP Carriace and Insurance Paid To(named place of destination)輸送費込 (指定仕向地)輸送費保険料込(指定仕向地) • DAT Delivered Terminal(named terminal タ-ミナル持込渡(仕向港又は仕向港における 指定タ-ミナル) DAP Delivered at Place(named palce of destonation)仕向地持込渡(指定仕向地) DDP 関税持込渡(指定仕向地) 第二グル-プ(海上及び内陸水路輸送 ための規則) • FASFree Alongside Ship(named port of shipment)船側渡(指定船積港) • FOBFree On Board (named port of shipment)本船渡(指定船積港) • CFR Cost and Freight (named port of destination)運賃込(指定仕向港) • CIF Cost Insurance and Freight(named port of destination)運賃保険料込(指定仕向 港) (2) 分類方法二 • 売り主と買い主の義務、費用や危険負担の 分岐点および貨物の所有権の移転の分岐点 の基準を示すものとして、国際商業会議所が 制定した次のようなインコタームズが一般的 に使われています。 ① 積地条件 • EXW(Ex Works) 工場渡条件 • FAS(Free Alongside Ship) 船側渡条 件 • CFR(Cost and Freight)運賃込条件 • CPT(Carriage Paid To) 運送費込条件 ② 揚地条件 • DAT(Delivered Terminal )タ-ミナル持 込渡 • DDP(Delivered Duty Paid)仕向地持 込渡(関税込み)条件 • 国際貿易取引を行う場合、売手と買手の間で、 船積の時期、代金の支払、運送方法、保険 手配、費用負担などを取決めます。その際に、 各々の国での法律、商習慣などによりトラブ ルが発生するのを防ぐため、売買契約に関 する貿易条件が形成されてきました。現在、 世界各国で広く活用されているのが国際商 業会議所で作成されたインコタームズ (INCOTERMS)です。インコタームズでは売 手と買手の義務を明確にしています。 以下に、11条件を説明しておきます。 • ● EXW・・・工場渡 • 売主の施設や指定場所(工場、倉庫など)に おいて、約定品を買主の処分に委ねたときに 売主の引渡義務が完了する。売主は引き取 りの車両に積み込まず、輸出通関も行なわな い。 • ●FCA・・・運送人渡 • 指定場所において、買主が指定した運送人に約定 品を引渡したときに売主の引渡義務が完了する。輸 出通関手続きは売主が行う。引渡場所が売主の施 設内の場合、売主は積込みの責任を負う。引渡場 所がこれ以外の場合は、売主は荷卸しの責任を負 わない。買主が物品の受領のため運送人以外を指 名した場合は、その者に委ねられた時点で引渡しが 完了する。 • ●CPT・・・輸送費込 • 約定品を売主が指定した運送人に引渡した 時点で売主の引渡義務が完了するが、指定 仕向地までの運送費用は売主が負担する。 物品が運送人に引渡された後は、買主が一 切の危険と以後の追加費用を負担する。輸 出通関手続きは売主が行う。 • ●CIP・・・輸送費保険料込 • 売主の引渡義務はCPTと同じだが、売主は 約定品の指定仕向地までの運送費用および 貨物運送保険料を負担する。CIP条件におい ては最小担保の保険だけを取得することを要 求されているので注意が必要。輸出通関手 続きは売主が行う。 • ●DAT・・・ターミナル持込渡 • 仕向港又は仕向地における指定ターミナルで、 物品が輸送手段から荷卸しされた後、買主の 処分に委ねられた時、売主が引渡し(危険移 転)の義務をは果たす。輸出通関手続きは売 主が行う。 • ●DAP・・・仕向地持込渡 • 指定仕向地において荷卸しの準備が出来て いる、到着した輸送手段の上で、物品が買主 の処分に委ねられた時、売主が引渡の義務 (危険移転)を果たす。輸出通関手続きは売 主が行うが輸入通関の義務はない。しかし、 輸入通関手続を当事者が希望する場合は DDPを選択すべきである。 • ●DDP・・・関税込持込渡 • 物品が、指定仕向地において荷卸しの準備 が出来ている、到着した輸送手段の上で輸 入通関を済ませ、買主の処分に委ねられた 時、売主が引渡しの義務(危険移転)を果た す。輸出入通関一切の義務を負う。関税に付 随する付加価値税(内国消費税等)も売主勘 定である。 • ●FAS・・・船側渡 • 約定品を指定船積港の本船の船側に当該港 の慣習に沿って置いた時点で売主の引渡義 務が完了し、買主はその時から物品の一切 の費用及び減失・損傷の危険を負担しなけれ ばならない。輸出通関手続きは売主が行う。 • ●FOB・・・本船渡 • 約定品が指定船積港で本船の船上で物品を 引き渡すか、または、既にそのように引き渡し た時点で、売主の引渡義務が完了し、買主は その時から物品の一切の費用及び減失・損 傷の危険を負担しなければならない。輸出通 関手続きは売主が行う。(「物品が本船の手 すりを通過した時」から「物品が本船の船上 に置かれた時」となった)。 • ●CFR・・・運賃込 • 売主の引渡義務はFOBと同じだが、売主は 約定品を指定仕向港まで運送するための費 用を負担する。輸出通関手続きは売主が行う。 実務においては伝統的な表現であるC&Fとし て使用されているが、正しく はCFRである。 物品の減失又は損傷は、物品が本船の船上 に置かれた時、または、引き渡された時に危 険負担は、売主から買主へ移転する。 • ●CIF・・・運賃保険料込 • 売主の引渡義務はFOBと同じだが、売主は約定品 の指定仕向港までの運賃を負担する。物品の減失 又は損傷は、物品が本船の船上に置かれた時、ま たは、引き渡された時に危険負担は、売主から買主 へ移転する。CIFにおいて売主は、運送中の物品の 減失・損傷に ついての買主の危険に対して海上保 険も負担する。しかし、CIF条件においては最小担 保の保険だけを取得することを要求されているので 注意が必要。輸出通関手続きは売主が行う 练习 • 次の記述について、正しいものには〇、誤っている ものにはXをつけなさい。 1. 国内取引にかかる費用と、貿易取引にかかる费用 では、その項目(内容)はほぼ同じである。 2. 貿易取引においては、「目標利益」を設定するのが 一般的である。 3. ビジネスとして貿易取引を行う場含、できるだけ多く の利益を得ることが目的となる。 4. 輪出者は、輪入者に対しての価格を常に極大利益 を得られるように建てることができる。 • 5. 市場や取引相手から求められる価格が、自社で 費用や利益を想定して建てた価格よりも高い場合、 自社の利益を削ったり、費用を下げる努力をしなけ ればならない。 • 6. 国際運送費は、常に輪出地で支払わなければな らない費用として考えるものである。 • 7. 商品原価、輪出者の管理経費や通信費や販促 費といった諸経費、輸出者の目標利益を合わせた ものを「商品出荷価格」と呼ぶ。 • 8. 輸入地では多くの場合、関税などの税金が徽収 される 。 • 9. 取引価格を建てる際には、費用の積上げ計算で 計上忘れがないように、「貿 • 易採算表」を作成することが望ましい。 • 10. 貿易採算表を作成するのは輸入者だけ で、輸出者はその必要がない。 • 11. 貿易採算表を一度作成したら、その採 算予定を遂行するために変更しないこと が望ましい。 • 12. 費用削減のために、同じ業務依頼先 (業者)を使い続けることが望ましい 。
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