水売りの人の物語

水売りの物語
作者: グイノ・ジェラール
音楽: Thaïs タイース
作曲者: Massenet Jules
マスネー
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中国人の水売りは、長い棹(さお)につり下げた
二つの水がめを肩に乗せていました。
彼は毎日遠く離れた井戸に水を汲みに行き、
水を汲む時間がなかった村の人々に自分が
汲んで来た水を売るのが習慣でした。
ところが棹に釣り下がっている一つの水桶が少し
割れていたので、水売りが村に辿り着いた時には、
水は半分しか残っていませんでした。
それにもかかわらず水売りは、毎日この二つ
の水桶で離れた井戸に水を汲みに行きました。
そんな訳で
いつも、
割れ目のない
水桶は、
頼まれた
仕事を
完璧に
できるので、
非常に
自慢していました。
しかし
割れ目のある水桶は、
頼まれた仕事の
半分しかできないので、
うろたえて、恥かしく
思っていました。
2年後のある日、
井戸の縁石に
置かれていた
割れ目のある
水桶は、
水売りに
次のように
言いました。
「勿体ない、本当に恥ずかしいです。
私は頼まれた仕事の半分しか出来ません。
私のせいであなたは苦労が増えるばかりです。
私は役に立たない、邪魔なものです」と。
すると
直ぐに、
水売りは、
割れ目のある
水桶に
次のように
答えました。
「とんでもない。
あなたはとても
役に立つのです。
気がつきませんでしたか?井戸から村へ行く道で、
あなたが釣り下がっている側のあの道端に、
花がたくさん咲いていたではないですか?
反対側には、何も咲いていません。
私は歩きながら、
あの道端に様々な花の種をまき散らしました。
そしてあなたがそこを通り過ぎると、
あなたの割れ目から花の種に必要な水が注がれました。
この割れ目こそが、あなたに光栄を与えるのです。
あなたのお蔭で村までの道はとても綺麗ですし、
また村人があの花で花束を作れるでしょう!
あなたが持っている割れ目なしには、
このような素晴らしいことは、とても無理でした」と。
この世では完璧な人は決していません。
いくら人々が自分たちの強さや賢さや才能を
見せようとも、皆が割れ目のある人であり、
短所や欠点や癒されない傷を持っています。
皆の幸せの為に、それらを上手に利用しましょう。
もちろん自分たちの短所だけではなく、
他者の欠点も上手に使って役に立つものに
変化させるなら、これは知恵の道ではないでしょうか?
無理に
人々の完璧さを
望むよりも、
彼らの違いと短所を
豊かなものとして
良く見分けて、
最もよい結果を
引き出すために
それらを
利用しましょう。
神はいつも悪いものから善を引き出し、
悪を利用して良い役に立つものへと変化させます。
このようにアダムとエヴァの罪のお陰で、
神は私たちに救い主イエスを遣わされました。
神に倣って私たちも、聖霊の教え導きに従って、
人々の失敗や過ち、癖や欠点などを
喜びと幸せを生み出すものに変化させましょう。
おわり