偽装だらけの思川開発事業

思川開発事業における
利水問題の再検証
2008/12/25
三ダム訴訟口頭弁論
2008/12/21
南摩ダムサイト
南摩川は水無川(1)
2008/11/08 南摩川栗沢橋
ダムサイト約2.5km下流
南摩川は水無川(2)
2008/11/29 南摩川栗沢橋
ダムサイト約2.5km下流
南摩川は水無川(3)
2008/12/21 南摩川栗沢橋
ダムサイト約2.5km下流
無理をして建設する必要があ
るかを利水面から再検証
思川開発を巡る近年の変化
• 事業実施計画の変更手続中
• 水需要の減少傾向が明確化
• 地盤沈下が沈静化
事業実施計画の変更
• 工期の延長(2010年度→2015
年度)→事業の必要性が希薄化
• 利水配分量の見直し(栃木県の減量、
鹿沼市の新規単独参画)→当初参画水
量の虚構性を暴露
• 大芦川への補給→南摩ダムの水収支が
悪化
栃木県の参画水量の変更
単位:m3/秒
利水者
当初計画(2002
年)
変更後
栃木県
0.821
0.403
鹿沼市(単独)
-
0.200
小山市(単独)
0.219
0.219
合計
1.040
0.822
▲0.218m3/秒が消えた。理由不明
鹿沼市の参画水量が半減
0.423m3/秒
0.200m3/秒
鹿沼市が負担金の支払を拒否
• 「鹿沼市は、0.223m3/秒についてはその支
払いを拒否するものと思われる。」(「原告
準備書面10」9頁)
• 鹿沼市の0.423m3/秒の参画水量は、最初
から偽装
• 鹿沼市が24億円の負担金支払を免れる
• 開発水量が減っても総事業費(1850億
円)に変更なし
鹿沼市長が「ダム水を使わな
い」と発言
• 「選挙のときに地下水でいいのだというお
話をさせていただきました。」 (2008年7月
議会答弁)
• 「水道用水は地下水で賄えるように努力す
る」(同上)
• 取水堰も浄水場も造らないという意味での
発言→水利権を取得しておくだけ
栃木県への配分予定水量
0.403m3/秒の行方
• 使う当てなし
• 参画市町で水需要が増えない
• 水道施設計画がない
栃木県の水需給
80
19 年度
82
19 年度
84
19 年度
86
19 年度
88
19 年度
90
19 年度
92
19 年度
94
19 年度
96
19 年度
98
20 年度
00
20 年度
02
20 年度
04
20 年度
06
年
度
19
千m3/日
栃木県の水需要は横ばい
図3-1 栃木県の水需要の推移
上水道1日最大給水量 上水道1日平均給水量 900
800
700
600
500
400
300
200
100
0
今後栃木県の人口は減少する
千人
図3-2 栃木県の総人口
2,100
2,000
2,017
2,006
1,900
1,978
1,934
1,879
1,800
1,816
1,700
1,744
1,600
実績
1,500
国立社会保障・人口問題研究所の推計
(2007年)
1,400
1,300
出典:実績は日本水道協会「水道統計」、推計は国立社会保障・人口問題家研究所の資料
1,200
1990
1995
2000
2005
2010
2015
2020
2025
2030
2035
栃木県の1人1日最大給水量
も減少する
図3-3 栃木県上水道の1人1日最大給水量
550
㍑/日
500
450
400
350
出典:
実績は日本水道協会「
水道統計」
およ
び栃木県「
栃木の水道」
300
1990
1995
2000
2005
年度
県内水需要の減少を
被告が予測した
栃木県内水需要の見通し
水道用水
単位:百万m3
2002年度
2005年度
2010年度
2015年度
2020年度
2025年度
265
(実績値)
(100.0)
270
(101.9)
268
(101.1)
265
(100.0)
261
(98.5)
255
(96.2)
栃木県総合計画(2005年10月)
水需要の減少を予測しながら、新規水利権を確保する
という矛盾した行政を執行している
参画市町の
水需要の動向
栃木県内の参画市町
• 鹿沼市、栃木市、小山市
• 西方町、壬生町、石橋町、国分寺町、
野木町、大平町、藤岡町、岩舟町
参画市町全体の水需給
図4-1 思川開発関係地域3市6町の上水道の水需給
m3/日
200,000
150,000
100,000
一日最大給水量
保有水源
50,000
〔注〕下野市に統合した国分寺町と石橋町を
除く。
0
1995
1997
1999
2001
2003
2005
2007
年度
栃木市の水需給
図4-2 栃木市上水道1日最大給水量の実績と推計
45,000
40,000
35,000
25,000
20,000
15,000
10,000
5,000
0
19
9
19 0年
94 度
19 年
9 度
20 8年
0 度
20 2年
0 度
20 6年
10 度
20 年
1 度
20 4年
18 度
20 年
22 度
年
度
m3/日
30,000
実績
推計
保有水源量
壬生町の水需給
図4-3 壬生町上水道1日最大給水量の実績と推計
30,000
25,000
実績
推計(1)
推計(2)
現在の保有水源量
15,000
10,000
5,000
0
1981年度
1985年度
1989年度
1993年度
1997年度
2001年度
2005年度
2009年度
2013年度
2017年度
2021年度
2025年度
m3/日
20,000
大平町の水需給
18,000
16,000
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
実績
推計(1)
推計(2)
2010年度
2002年度
2006年度
1998年度
1990年度
1994年度
現在の保有
水源量
1986年度
m3/日
図4-4 大平町上水道1日最大給水量の実績
と推計
野木町の水需給
図4-5 野木町上水道1日最大給水量の実績と推計
16,000
14,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
19
8
19 7年
9 度
19 1年
9 度
19 5年
9 度
20 9年
0 度
20 3年
0 度
20 7年
1 度
20 1年
1 度
20 5年
1 度
20 9年
23 度
年
度
m3/日
12,000
実績
推計(1)
推計(2)
現在の保有水源量
岩舟町の水需給
図4-6 岩舟町上水道1日最大給水量の実績と推計
14,000
12,000
実績
8,000
推計(1)
6,000
推計(2)
4,000
現在の保有水源
量
2,000
0
19
8
19 3年
8
19 8年度
9
19 3年度
9
20 8年度
0
20 3年度
0
20 8年度
1
20 3年度
1
20 8年度
23 度
年
度
m3/日
10,000
藤岡町の水需給
12,000
11,000
10,000
9,000
8,000
7,000
6,000
5,000
4,000
3,000
2,000
1,000
0
19
9
19 0年
9 度
19 3年
9 度
19 6年
9 度
20 9年
0 度
20 2年
0 度
20 5年
0 度
20 8年
1 度
20 1年
14 度
年
度
m3/日
図4-7 藤岡町上水道1日最大給水量の実績と推計
実績
推計
現在の保有水源
量
西方町の水需給
図4-8 西方町上水道1日最大給水量の実績
4,500
4,000
3,500
2,500
実績
現在の保有水源量
2,000
1,500
1,000
500
0
1995年度
1996年度
1997年度
1998年度
1999年度
2000年度
2001年度
2002年度
2003年度
2004年度
2005年度
2006年度
2007年度
m3/日
3,000
西方町の有収率
図4-9 西方町上水道の有収率
100
%
90
80
70
(有収率=料金徴収水量/給水量×100)
60
出典:図4-8と同じ
50
1990
1992
1994
1996
1998
2000
2002
2004
2006
2008
年度
鹿沼市の水需給
図4-10 鹿沼市上水道の1日最大給水量の実績と推計
60,000
実績
50,000
推計(1)
推計(2)
30,000
推計(3)
20,000
現在の保有
水源量
10,000
0
1985年度
1988年度
1991年度
1994年度
1997年度
2000年度
2003年度
2006年度
2009年度
2012年度
2015年度
2018年度
2021年度
2024年度
m3/日
40,000
鹿沼市の水源は足りている
• 仮に鹿沼市の予測が妥当だとして
も
• 水需要のピークは37,800m3/日
• 保有水源は38,100m3/日
• 新規水利権は不要
19
9
19 0年
9 度
19 2年
9 度
19 4年
9 度
19 6年
9
20 8年度
0 度
20 0年
0 度
20 2年
0 度
20 4年
0 度
20 6年
0
20 8年度
1 度
20 0年
1 度
20 2年
1 度
20 4年
1 度
20 6年
1
20 8年度
2
20 0年度
2 度
20 2年
24 度
年
度
m3/日
小山市の水需給
図4-11 小山市上水道1日最大給水量の実績と推計
80,000
70,000
60,000
50,000
10,000
40,000
実績
30,000
推計
20,000
現在の保有水源量
(暫定水利権を除く)
0
参画市町の水需給のまとめ
• 水需要は減少傾向ないしは横ばいであ
り、将来の人口減少と1人当たり給水
量の減少を考慮すれば、新規水利権は
不要
• 思川開発への参画は、負担金を押し付
けられるだけ
地盤沈下は
沈静化している
78
19 年
80
19 年
82
19 年
84
19 年
86
19 年
88
19 年
90
19 年
92
19 年
94
19 年
96
19 年
98
20 年
00
20 年
02
20 年
04
20 年
06
年
19
km2
地盤沈下面積は減少
図5-1 栃木県内の地盤沈下面積(年間2cm以上)の推移
120
100
80
60
40
20
0
mm
19
8
19 2年
8
19 4年
86
19 年
8
19 8年
9
19 0年
9
19 2年
9
19 4年
96
19 年
9
20 8年
00
20 年
0
20 2年
0
20 4年
06
年
地層収縮量も減少
図5-2 野木(環境管理課)における地層収縮量の推移
0
-10
-20
-30
-40
-50
-60
-70
地下水位も上昇
m
0
5
10
15
20
25
30
35
40
45
19
1981
1983年
1985年
1987年
1989年
1991年
1993年
1995年
1997年
2099年
2001年
2003年
2005年
07年
年
図5-3 栃木県内地盤沈下保全地域における地下水位の経年
変化
小山1号
小山2号
小山南
小山豊田北
小山若木
藤岡
小山大谷1号
小山大谷2号
小山大谷3号
野木原1号
野木原2号
野木原3号
小山美田
野木潤島1号
野木潤島2号
野木潤島3号
野木
まとめ(1)
• 計画変更が杜撰・欺まんを暴露
(栃木県参画水量0.821m3/秒
→0.603m3/秒)
• 水道施設計画の不存在→水利権を
使わないことを想定
• 鹿沼市長がダム水不使用宣言→必
要性が一層希薄化
まとめ(2)
• 被告も需要減少を予測(2002年を100
として→2025年96.2)
• 各市町上水道で水需要の実績と予測
の乖離が拡大
• 地盤沈下が沈静化(面積、地層収縮
量、地下水位いずれの指標からも)
まとめ(3)
• 再検討義務の懈怠(適切に見直せ
ば参画水量はゼロになるはず)
• 栃木県の財政破たん(地方交付税、
財政調整基金が減少)→不要不急
事業の中止
終わり