12 ポーラス(空孔)物質の応用性 特異な“場” Multifunctional Properties Gas Storage ガス吸蔵・放出 多孔性物質に水素などの資源ガスを 吸蔵させれば、大量のガスを安全・ 安定に貯蔵し活用できる。 Field 空孔物質の穴は「分子の個室」であ り、 通常の状態と全く異なる環境にある。 ここに吸蔵された分子は、 化学の常識から外れた性質を示す。 Molecular sieves 分子ふるい 多孔体の穴を“ふるい”に用いて 夾雑ガスから水素などの目的ガス だけを選り分けることができる。 構造制御および電子状態制御に基づく新物質の開発 マイクロ孔を利用した新規機能性分子物質 Mn3(COOH)6(Solv) ポーラス分子結晶 ゲスト分子 誘電性 フェリ磁性 Mn3(COOH)6(C2H5OH) a axis 400 ZFC for 1 FC for 1 ZFC for 2 FC for 2 400 300 3 250 200 3 c T, cm cT(cm3 K mol-1) 300 500 M, cm Gmol -1 1 2 350 at 5 Oe Dielectric Constant 25 200 20 15 10 Mn4 5 0 100 Mn3(COOH)6•(CH3OH) (H2O) 0 100 200 300 0 150 2 4 6 8 10 12 Temperature / K 14 T, K 100 50 0 0 50 100 150 200 250 300 T, K Multifunctional Properties Ferrimagnet (Mn1)+(1/2)(Mn2)x2 Mn4 -[(Mn3)+(Mn4) ]/2=5/2 構造制御および電子状態制御に基づく新物質の開発 ポーラス分子空間内の一次元水分子クラスターの誘電特性 [Cu3Ln2(IDA)6](H2O)n IDA = [NH(CH2COO)2]2- Iminodiacetate (IDA) ポーラス空間内に X、Y、Z 3種類の 水 P 3c1 B. Zhou et al., J. Am. Chem. Soc., 2011, 133, 5736 [Ln2Cu3(IDA)6]nH2O (n9.0)の結晶構造 構造制御および電子状態制御に基づく新物質の開発 [Ln2Cu3(IDA)6]nH2O (n9.0) の誘電率の温度変化 DS (d/dT)E2 高温でゲスト水分子は誘電 的に秩序状態にある。反強 誘電的な履歴曲線観測され た。 水の数はn9.0 低温で乱れ た水は170K以下で凍結。 P 3c1 構造制御および電子状態制御に基づく新物質の開発 ゲスト水分子の熱運動の分子動力学計算によるシミュレーション Oy Oz Ox ゲスト 構造制御および電子状態制御に基づく新物質の開発 ゲスト水分子の多くは170K以上で一次元ブラウン運動のような振る舞いをする 4員環分子ring-puckering motion の凍結に 伴う誘電異常の観測 [A]Mn(HCOO)3 構造 ABX3 金属ー有機ペロフスカイト Zheming Wang et al. Dalton Trans., 2004, 2209 [A] NH2 + 4 員 環 分 子 面 外 変 格 振 動 の double minimum potential U(q) 。 qo and Uo are: 29º, 515 cm-1 for X = CH2 (cyclobutane); 28º, 274 cm-1 for X = S (trimethylene sulfide); 0º, 15 cm-1 for X = O (trimethylene oxide), 440 cm-1 for X = NH (azetizine) 構造制御および電子状態制御に基づく新物質の開発 [(CH2)3NH2][Cu(HCOO)3]の構造 Azetidinium (A+)(B2+)(X-)3 ●金属ー有機ペロフスカイト ●構造相転移 ●アゼチジン分子室温以上で平面 低温で屈曲構造 300 K 300K Pnma a=8.721Å,b=11.653,c=8.977 123K P21/c a=11.656Å,b=8.741,c=8.737, b=94.20° 123 K 構造制御および電子状態制御に基づく新物質の開発 [(CH2)3NH2]Cu(HCOO)3 B. Zhou, Y. Imai, A. Kobayashi, Z.Wang, H. Kobayashi, Angew. Chem. Int. Ed. 50, 2011,11441. 構造制御および電子状態制御に基づく新物質の開発 ● Heatingと Coolingを繰り返すと、室温近傍に巨大な誘電率~7 x 105(1kHz)が広い温度範 囲で観測された。誘電定数は大きな周波数依存性 ●金属酸化物リラクサーを上回る巨大な誘電異常。 誘電異常が観測された。 中心金属マンガン、亜鉛でも同様な = 2/1 構造制御および電子状態制御に基づく新物質の開発 金属有機ぺロブスカイト結晶中の陽イオンの運動 誘電異常と陽イオンの運動はどのように関係しているか? T/K 500 200 170 1 H NMR T1 47.35 MHz 10 1 Azetidinium ionのorder-disorder相転移 1H NMR T1 は299 Kで非常に小さな異常 DSCでは297 Kに型の熱異常 BPPの式をT1極小にあてはめる 1 T1 / s T1 10 10 浅地哲夫 E 2 4 exp a DM 2 2 2 2 RT 3 1 4 0 2 1 0 0 活性化エネルギー Ea = 26 kJ mol1 −1 299 K (CH2)3NH2Zn(HCOO) 3 2 4 6 3 Azetidinium ionの配座異性体間の変形運動 10 K / T Ring-puckering のenergy barrierはcyclobutaneで 518 cm1 (6 kJ mol1) なので高いように思えるが、 これは結晶中での運動であるためと思われる。 Heat Flow / mW DSC curve with decreasing temperature −1 −2 −3 EXO 297 K 240 260 280 300 T/K 構造制御および電子状態制御に基づく新物質の開発 磁気共鳴から見たポーラス結晶中の分子運動 CLPOT-HCB/HMB包接系中のHMBの運動 T/K 300 100 T1 / s (CLPOT) 1(HCB) 0.27(HMB) 0.21 10 1 10 0 (CLPOT)1(HCB)0.27(HMB)0.21 (CLPOT) 1(HMB) 0.8 1 10 浅地哲夫、 小林広和 H NMR 47.35 MHz HMBの擬C6 回転軸まわりの再配向運動の 活性化エネルギー Ea = 28 kJ mol-1 バルク結晶中 Ea = 12 kJ mol1 CLPOT細孔中 −1 結晶ナノ空間では分子運動の束縛が小さくなる 244 K 4 8 12 16 二成分系とすることで分子運動の速さの制御が可能 (CLPOT)1(HCB)0.27(HMB)0.21 のスピン格子緩和時間T1の温度変化 実線は(CLPOT)1(HMB)0.8のデータに 対する理論曲線 ゲスト分子の運動の励起にともなってゲスト-ホスト 分子間相互作用が影響を受ける 3 10 K / T 11 私学戦略研究成果 2012 構造制御および電子状態制御に基づく新物質の開発 ESRによる一次元細孔内の有機ラジカル分子の配向と運動 浅地哲夫、 小林広和 [TPP/(TEMPONE)0.021(TEMP)1.13]包接体の ESRスペクトルの温度依存性 分子y軸周りの回転運動 0.98 nm O O 0.85 nm 軸性回転運動 運動停止 N • O N • O TPP/TEMPONE包接体 TPP/DBNO包接体 構造制御および電子状態制御に基づく新物質の開発 (H. Kobayashi et al., in preparation) [TPP/(有機ラジカル)]包接体のESR線型の温度依存性 浅地哲夫、小林広和 Gauss型 (双極子相互作用のみ) 中間(一次元スピン拡散) Lorentz型(速い運動 or 3-D交換相互作用 ) [TPP/DBNO]包接体 [TPP/TEMPO]包接体 [TPP/TEMPONE]包接体 構造制御および電子状態制御に基づく新物質の開発 ラジカルのサイズによって温度依存性が異なる。 (H. Kobayashi et al., in preparation) 細孔中に充填した物質の物性研究 藤森裕基 細孔サイズをコントロールしたシリカゲルに水 を充填し、その融解現象を示差走査熱量測定 (DSC)により追跡した結果、水の凝固点はシリ カゲルの表面の状態に関係なく、細孔径のみ に依存して低下することが見出された。 シリカゲルに液晶N-(4-methoxybenzylidene)-4butylaniline (MBBA) を充填すると、三次元細 孔と一次元細孔では、充填されたMBBAの熱 力学的安定性が異なる。また一次元細孔の場 合の場合、細孔系3.1 nm以下ではネマチック液 晶相と等方性液体相が同等になる。 シリカゲルTMPS-4の表面をby 3-aminopropyltriethoxysilane で修飾した試料 3 1次元 320 I I T/K 300 280 N N I 260 0 ΔT :凝固点降下度 d:細孔径 0.2 C C 0.4 -1 0.6 -1 C d / nm 構造制御および電子状態制御に基づく新物質の開発
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