5 ロバスト制御に基づく片持ち梁の振動制御

5 ロバスト制御に基づく片持ち梁の振動制御
機械創造工学課程
08306185
1. 研究の背景
西久保智昭
担当教員 小林泰秀 准教授
騒音
制御音
音の
騒音を抑制する方法として, 強さ
本研究室では騒音と逆位相の
制御音によって打ち消す能動
騒音制御を行ってきた
時間
制御後
の音
図1 能動騒音制御
・騒音の抑制法には騒音源の振動を抑制する手法があり,
発生源を絶つ意味でも 有効
・従来のモードフィルタを用いた制御は,モードの次数だけ
センサが必要となり,高次のモードの制御は困難
・ロバスト制御では1つのセンサで多次のモードのダクトの騒
音や波の制御が可能
(c) Gyw
4. 制御実験結果
梁の振動をロバスト制御を
用いて抑制する
2. 実験装置
実験装置の概略を図2に示す.SUS420のスケールを固定し、大きさ
1.5mm×35mm×950mmの片持ち梁を製作した.圧電素子はPZTの
0.5mm×35mm×40mmのものを使用した.センサにはerrorはレー
ザー,PSD素子と鏡を用いた三角法を,referenceは渦電流式センサを
使用した.制御の目標としては,図3のプラントGに対して閉ループ系が
内部安定かつwからzまでの伝達関数のH∞ノルムが最小になる補償
器Kを設計する.
Piezoelectric Actuator
(25mm:Exiter, 380mm:Damper)
(d) Gyu
図4 周波数応答測定結果
以上の周波数応答を元に設
計したコントローラを用いて,振
動制御実験を行い,エラーセン
サの測定結果を図5に示す.本
実験では制御の効果を明らか
にするため,50[sec]以降から制
御を開始している.制御前と制
御後の比較にFFTで周波数領
域に変換したグラフを図6に示
す.さらに制御入力を図7にグラ
フにして示す.
図5 制御実験結果
Error Sensor
Laser
PSD
Reference
Sensor
(Displacement
Sensor)
25
(a) 制御前
(b) 制御後
図6 実験結果のFFT解析
150
380
Power
Amp.
D/A
Gap
Sensor
A/D
Mirror
945
A/D
PSD
Circuit
D/A
Power
Amp.
PC
図2 実験装置の概略
z
y
w
G
u
K
w: Piezo exciter
z: Error sensor
u: Piezo damper
y: Reference sensor
図3 H∞制御問題
3. 周波数応答の測定
周波数応答の測定結果と40次で近似したノミナルプラントを図4に
示す. グラフ内の青線が実測値,赤線がノミナルプラントとなっている.
尚、グラフの縦線は計算上の共振周波数を示している.
(a) 制御入力
(b) FFT解析後
図7 制御入力のグラフ
5. まとめと考察
・図5では50秒以降から振幅が減少していることから,ロバスト制御を
用いた片持ち梁の振動の制御が可能であることがわかった.
・図6(b)の結果より2次から5次までの振動モードの抑制しているが、
1次の振動モードは減少していない.
8~100[Hz]の帯域を制御するコントローラを用いたためで
ある.使用の理由としては1次モードを含めて設計すると
全てのモードが抑制不可能となったからである.原因は
周波数応答が上手く測定されていないからと推測している.
・制御入力のFFT解析のグラフに3次と4次のモードの間にピークが存
在している.
制御用アクチュエータによる振動がリファレンスセンサ側
に伝わることによって起こる現象だと考えられる.
この点に関しては能動騒音制御では単方向アクチュエータ
取り付けることで解決することが分かっている.
6. 今後の予定
(a) Gzw
(b) Gzu
・一次の振動モード時の制御の改善
・単方向アクチュエータへの改良