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日語文法研究
碩日一甲
M97E0226
葉唯毅
第22章
終助詞
ねらい:
 話し手は、どのように出来事を捉え、
それをどのように聞き手に伝えたい
かを、文末の終助詞などによって調
整します。
 よく使われる終助詞「ネ」 「ヨ」 「ヨネ」
を中心に考えます。

第22章


終助詞
キーワード:
終助詞、性差、地域差、直接引用節、発
話意図
第22章
終助詞
§1 終助詞の機能
 §2 ネ
 §3 ヨとヨネ

§1 終助詞の機能
§1 終助詞の機能

伝達に支障にならないようにつける
「いい天気です」→「いい天気ですね」
「そこに段差があります」→「そこに段差がありますよ」

終助詞が二つ以上連続して現れたら、順番
を替えることができない
「行くよね」 「行くかなあ」 「行くかよ」 「行くわよね」

終助詞は日本語の会話で円滑なコミュニ
ケーションには「不可欠な要素」です
§1 終助詞の機能



発話に対する「話し手の態度」と「聞き手働き
かける」に大別される
助詞の使用には「性差」や「地域差」がある
「聞き手」の存在を前提とする
「独り語の場合」
話し手自身を聞き手に想定していると考えてよい
「不特定の人に向け」
そこにいる誰かを目当てに発話し、その人の反応を期
待している場合もある
§1 終助詞の機能
カ格
話し手

文が表す命題の真偽を判断できない
判断していないということを表す
◎「誰かいる」
文末
文中
質問文や疑問文になる
◎「ご飯を食べたか」
疑問文を表示する機能もある
◎「*太郎はいつ大学に来ましたかと聞きました」
◎「太郎はいつ大学に来たか聞いた」
埋め込まれた節(「聞く」「知る」などの動詞
の補部)の終わりを示す
§1 終助詞の機能

直接引用節
「太郎は、「いい天気{だね/だなあ/だよ/だよね}」と言った 」

発話意図と終助詞
断定を表す
さ、わ
疑問を表す
か、かい、かな、かしら
聞き手に確認したり、同意を求めたりする
ね、ねえ、な
聞き手に情報を提供する
よ、ぜ、ぞ
何かに感心したり感動したりしたことを表す
なあ、わ
§1 終助詞の機能

ネ格とサ格
「あのさ、昨日さ、太郎がね、学校にね、来たときにね・・・」
話し手が聞き手に共同注意の維持を促す

上昇イントネーション
「明日来ます?」「明日いらっしゃる?」
 終助詞「カ」の必要がない
§1 終助詞の機能
§2 ネ
§2 ネ

ネ
何かを確認と同意を求める場合に使われる
(1)A:いい天気ですね。
B:そうですね。


(知っているはずの情報が伝わる)→(Bの同意を求めている)
(2)A:今日は授業がありますね。
B:え、そうですか。
(知っているはずの情報が伝わる)→(知らなかったことが伝わる)
§2 ネ
(3)A:太郎は小学生ですね。
B:いいえ、中学生ですよ。


(知っているはずの情報が伝わる)→(確認や同意は得られず、
逆にBが情報を訂正している)
(4)A:あした、いらっしゃいますね。
B:はい、参ります(*ね)
Bは自分自身の縄張りの情報を確認に「ネは使わない」
§2 ネ

ネ



共同注意や共感を促す
(5)A:太郎は来ますか。
B:ええと、あ(来ます/来ますね)
(6)A:次はいつ来られますか。
B:ええと、来週の週末(です/ですね)

(Aは自身で判断できないことをBに問い合わせている)→
(確認したり、答を探索したりする。ネをつけている)
§2 ネ



(7)A:お住まいはどちらですか。
B:三鷹(です/*ですね)
(5)(6)と(7)の違いには、 「ええと」という表現がヒント
になる
(7)Bは自分自身の縄張りの中核にある情報を確認に
「ネは使わない」
§3 ヨとヨネ

ヨ


相手が知らない状況を提示して、その情報に相手
の注意(共同注意)を向けさせること。
(3)A:太郎は小学生ですね。
B:いいえ、中学生ですよ。


ヨで新しい情報を提示する
ヨでAの期待「太郎は小学生であること」と反してい
ることにAの注意を向けている。
§3 ヨとヨネ

(8)A:そこに段差があり(ます/ますよ)。
B:あ、どうも。


ヨによって、段差に気づいていないBに段差への注
意を促す
(9)A:太郎は来ていますか。
B:いいえ、まだ(です/ですよ)
ヨでAの期待「太郎が来ていること」と反していること
にAの注意を向けている。
§3 ヨとヨネ

(10)A:明日来ますか。
B:??はい、来ますよ。


Aに押し付けがましい印象を与える
Aに知らない情報を提供するには理解していても、
共同注意を要請する機能には理解が十分ではない
§3 ヨとヨネ

ヨネ




相手の注意を喚起した後、共同注意の態勢を確認
する
話し手が情報の不確かさを表明して、相手の知らな
いことに注意を促したのちに共同で確認する
(11)はっきり覚えていないんだけど、明日の授業は、
休講だ(よね/?ね/*よ)
(12)たしか太郎は京都の出身だった(よね/*ね/*よ)
§3 ヨとヨネ



(1’)A:いい天気ですね。
B:(そうですね/そうですよね/*そうですよ)。
(3’)A:太郎は小学生ですね。
B:いいえ。(?中学生ですね/*中学生です
よね/中学生ですよ)。
ヨネはヨより、むしろネに近く、ヨネのヨにはヨ本来の機
能がないことが確認できる。