Niigata University, Graduate School of Science and Technology Master’s Program, Electrical and Information Engineering 「ディジタル無線伝送工学」 ディジタル信号の復調 佐々木 重信 Room:A-505 e-mail: [email protected] http://telecom0.eng.niigata-u.ac.jp/ =>Lectures/WCom ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 1 主な内容 1. ディジタル信号検出の理論 1. 基底帯域信号の伝送モデル 2. 整合フィルタ 3. 2値信号の検出,誤り率 2. 帯域ディジタル信号の復調 1. 2進ディジタル信号の復調(ASK, FSK, PSK) 2. M進ディジタル信号の復調 ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 2 1.ディジタル信号検出の理論 ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 3 基底帯域ディジタル信号の検出 • 到来信号と雑音の和をLPFに通す –伝達関数HR(f):パルスの判定誤り率を最小にするよう設計 –LPFの出力波形y(t)は a : パルスの振幅(レベル) y (t ) a k k p (t kT ) n(t ) k p(t): パルス波形 n(t): 白色ガウス雑音 • y(t)をT秒間隔の適当なタイミングでサンプリング ⇒ T秒ごとの1つの数y(nT)に変換 • 得られた値をスレショルド値と比較⇒パルス振幅の判定 ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 4 誤り率 • ディジタル通信の場合 – ディジタル符号を正しく伝送することが要求される. – 原信号の忠実な波形再生を必要としない. – サンプリング点での受信波形から,‘1’‘0’の2値送信 符号が正しく識別できれば良い. – 受信信号の振幅:雑音により変動 ⇒雑音レベルが大:サンプリング点で受信信号の正負 が反転しやすくなり,符号の誤りが多くなる. • ディジタル伝送の通信品質 – 符号誤り率:信号対雑音電力比S/N(signal-to-noise power ratio)が大きくなるにつれ小さくなる – ビット誤り率(bit error rate: BER) – シンボル(記号)誤り率(symbol error rate: SER) ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 5 整合フィルタ(matched filter:MF)(1) • 受信波形:雑音のみ or パルス信号p(t)+雑音 • 2進信号検出器:サンプリング出力Y(t=t0) –信号成分A(p(t)のスペクトル:P(f)) A Fu H ( f ) P( f )t t0 H ( f ) P( f )e j 2ft0 df 1 –雑音成分N(電力スペクトル密度Gn(f))の分散s2 s H ( f ) Gn ( f )df 2 2 ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 6 整合フィルタ(2) • 送信された波形に対し,出力時点におけるSN比を 最大にするよう設計された線形フィルタ – サンプル値A+NのSN比(A/s)2が最大となる 2 A s H ( f ) P( f )e j 2ft0 df 2 2 H ( f ) Gn ( f )df • 上式のSN比を最大にするフィルタの伝達関数H(f) を求める – 次に示すSchwarzの不等式を用いる. 2 * V ( f )W ( f )df V ( f ) df W ( f ) df 2 2 – V(f), W*(f)を次のようにおく V ( f ) H ( f ) Gn ( f ) ,W * ( f ) P( f )e j 2ft0 ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 Gn ( f ) 7 整合フィルタ(3) • これより SN比は次のようになる. 2 2 A df Gn ( f ) s – 等号は, V(f)=KW(f)(K:任意の定数)のとき成立 P( f ) • 出力SN比の最大は次のようになる. 2 2 P( f ) A df Gn ( f ) s max • これを与える最適フィルタの伝達関数は P* ( f )e j 2ft0 H opt ( f ) K Gn ( f ) ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 8 整合フィルタ(4) • 最適フィルタの伝達関数とインパルス応答 H opt ( f ) KP* ( f )e j 2ft0 , hopt (t ) Kp(t0 t ) –検出されるべきパルスを時間反転させてt0遅らせた波形 –t0 >T(パルス時間幅)である必要がある このような最適フィルタを 整合フィルタ (matched filter: MF)と呼ぶ パルスp(t)の時間が無限に長い 場合,適当なtで打ち切った波 形に対する整合フィルタに よって近似 ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 9 整合フィルタ(5) • このフィルタに信号v(t)を入力した場合の出力t=t0に おけるサンプル値y(t0) y(t0 ) K v( ) p(t0 (t ))d t t K v( ) p( )d 0 • パルス幅が時間0からTに限られている場合 T y(t0 ) K v(t ) p(t )dt 0 ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 10 整合フィルタ(6) • 最適フィルタにおける,サンプル値の最大SN比 –雑音がGn(f)=N0/2の白色ガウス雑音 –サンプル値の平均 A H opt ( f ) P( f )e j 2ft0 df K P( f ) df KE 2 –サンプル値の分散 s 2 N0 N0 K 2 H opt ( f ) df E 2 2 2 –これより最大SN比は(E:信号パルスp(t)のエネルギー) 2 2 A s max N 0 2E P( f ) df N0 2 • 最大出力SN比 –信号エネルギーと雑音電力スペクトル密度のみに依存 –信号波形には関係しない. ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 11 整合フィルタ(7) • v(t)が受信側入力信号なら v(t ) r (t ) Ai p(t ) n(t ) • 出力t=t0におけるサンプル値y(t0) –p(t):振幅1,パルス幅が時間0からTの矩形パルス –K=1と仮定 T T 0 0 T y(t0 ) {Ai p(t ) n(t )} p(t )dt Ai p (t )dt n(t ) p(t )dt 2 0 –平均と分散 T E{ y (t0 )} Ai p 2 (t )dt AiT 0 N0 var{ y (t0 )} 2 ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 T 0 N0 p (t )dt T 2 2 12 整合フィルタ(8) • t=t0におけるサンプル値のSN比は 2 E{ y (t0 )} SNR 2 ( AiT ) 2 2 Ai T 2 E var{ y (t0 )} ( N 0 / 2)T N0 N0 ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 13 2進信号の検出(1) • 受信信号r(t)を1つの数y(nT)に変換 – 線形フィルタ→出力を間隔Tでサンプル – 相関器やマッチドフィルタでも実現できる. • 時刻nTでサンプルした出力は次のようになる. y(nT ) an n(nT ) – anは送られる信号dn(0 or 1)に対応し, A1; d n 1 an A0 ; d n 0 ( A1 A0 ) • y(nT)を判定スレショルドVと比較し, – y(nT)> V →’1’が伝送された – y(nT)< V →’0’が伝送された と判定する ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 14 2進信号の検出(2) • Y:サンプル値(確率変数)の条件付確率密度関数 –H1:’1’が送信された事象, H0:’0’が送信された事 象 pY ( y | H1 ) p N ( y A1 ) pY ( y | H 0 ) p N ( y A0 ) –N:雑音のサンプル値 • pN:雑音の確率密度関数は次式で与えられる –σ2:雑音の分散,フィルタからの出力雑音電力NRに相当 1 n 2 p N ( n) exp 2 2s 2 s 1 ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 15 2進信号の検出(3) • 1,0が送信されたとき判定を誤る確率 V V Pe1 P (Y V | H1 ) pY ( y | H1 )dy p N ( y A1 )dy ( y A1 ) 2 exp dy 2 2 2s 2s 1 V Pe 0 P (Y V | H 0 ) pY ( y | H 0 )dy p N ( y A0 )dy V V ( y A0 ) 2 exp dy 2 2 V 2s 2s 1 ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 16 2進信号の検出(4) • パルスの平均誤り率(ビット誤り率)Pe –信号1,0が送信される確率: P1, P0 (=1- P1) Pe P1Pe1 P0 Pe 0 • 最適スレショルドV0: Peが最小 –V0は次の式の解となるVである P1 pY (V | H1 ) P0 pY (V | H 0 ) –1,0が等確率で現れる場合には A A0 P P V0 1 , Pe e1 e 0 2 2 ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 17 2進信号の検出(5) • 誤り率を最小にする最適しきい値 A1 A0 V0 2 を用いた場合の誤り率は Pe A0 A1 2 ( x A0 ) 2 1 dx exp 2 ( N 0 / 2) 2( N 0 / 2) 2 A1 A0 Q N 2 0 ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 18 2進信号の検出(6) • Q(x):上側ガウス累積分布 関数 u2 1 Q x exp du x 2 2 –Q(x)の近似式 x2 1 Q x exp 2 x 2 • 誤差補関数erfc(x)とは次の ような関係にある erfc ( x) 2Q 2 x 2 2 exp u du x ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 19 ユニポーラ(単極)信号の場合における誤り率 • ユニポーラ信号の波形は次のように表される. A1 A ; d n 1 A0 0 ; d n 0 • 整合フィルタ入力: r(t)=A1p(t)+n(t) – 出力y(nT)の信号成分は次の式で表される. (p2(t)=1) T an E{ y(nT )} E Ap 2 (t ) n(t ) p(t ) dt AT 0 – ここでE{・}は期待値を表す.(E{n(t)}=0) • 整合フィルタ入力が: r(t)=A0p(t)+n(t) – an=0となる. • 従って最適しきい値V0=(A1+A0)/2=A2T/2となる. ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 20 • 整合フィルタ(または相関器)出力y(nT)が – V0より大きい場合にはA1が送信されたと推定 – V0より小さければA0が送信されたと推定 • ビット誤り率Peは,次のように求めることができる. – ビットあたりのエネルギーE= A2T/2とすると, A2T 2 A1T A0T 2 AT Q Q Pe Q NT 2 2N0 N T 2 0 0 E 1 E erfc Q 2 2N N 0 0 ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 21 ポーラ(両極)信号の場合における誤り率 • ポーラ信号の波形は次のように表される. A1 A d n 1 A0 A d n 0 • • 上記のような両極性の信号はantipodal signalと も呼ばれる. 最適しきい値V0=0 – y(nT)が正の場合:A1が送信されたと推定 – y(nT)が負の場合:A0が送信されたと推定 • A1- A0 =2A ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 22 • ポーラ信号の場合,ビット誤り率Peは次のように求 めることができる。 2 A2T 2E 1 E erfc Pe Q Q N0 N 2 N 0 0 – ここでのビットあたりエネルギーは,E= A2T • ポーラ信号のほうが,一定の誤り率を得るために 必要な信号対雑音比がユニポーラ信号の場合よ りも3dB少なくてすむことがわかる. ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 23 2.帯域ディジタル信号の復調 ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 24 帯域通過信号に対する整合フィルタ(1) • 基底帯域信号における整合フィルタと最適受信方 式の議論がそのまま適用可能 • (例)継続時間T,振幅Ac,周波数fcの信号 p(t ) Ac cos(2f c t ), 0 t T , Ac 2E / T , f c n / T –E: p(t)のエネルギー • この信号を検出する最適フィルタ(帯域通過整合 フィルタ)のインパルス応答(t0=T) hopt (t ) KAc cos2f c (T t ) KAc cos2f c t 0 t T ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 25 帯域通過信号に対する整合フィルタ(2) • K=1とおいた場合,p(t)に対するフィルタ出力は y (t ) hopt * p (t ) KAc cos2f c Ac cos2f c (t ) d t 0 2 c 2 c t A A t cos 2f c t sin 2f c (2 t ) 2 2 4 2f c 0 Ac2 Ac2 t cos 2f c t sin 2f c t cos 2 2 8f c • 第2項はほとんど無視できる • T<t<2Tでは上式の折り返し ⇒右図のような出力となる •両側電力スペクトル密度N0/2 のAWGNが加わったときのサン プル値の分散:s2=N0E/2 ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 26 整合フィルタの出力サンプル値の確率密度 • 出力サンプル値P0, P1 –送信記号の仮説(H0・・・0,H1 ・・・1)に対応する平均値 –離れているほど符号の判定を誤る可能性が低くなる • P0, P1を中心とした同心円 –雑音によるサンプル値の分散に対応 –大きいほど雑音による変動で符号の判定を誤る可能性 が高くなる ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 27 同期検波と非同期検波 • 非同期検波 –整合フィルタ出力の包絡線を求 めた後サンプリング→判定 –搬送波の正確な同期が不要:構 成が簡単 –誤り率特性は同期検波の場合よ り悪くなる ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 • 同期検波 –受信信号と位相をあわせた搬送 波を用いた復調(下図) ⇒搬送波の位相同期のための 回路が別途必要 –誤り率特性は比較的良い 28 OOKにおける非同期検波 • MF(整合フィルタ) –信号の帯域以外の雑音の除去 • 符号1,0の判定 –包絡線検波器の出力を標本化し,その値をもとに判定. –標本時点t=Tsにおける包絡線の値R(Ts)とスレショルド値 RTを比較 R(Ts ) RT R(Ts ) RT 受信信号 (OOK) 符号 '1'と判定 符号 '0'と判定 MF 包絡線 検波器 標本化 &判別 情報出力 標本化 パルス ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 29 OOK非同期検波における出力信号(1) • 符号0が伝送されたとき, –BPF出力: 狭帯域雑音のみ n(t ) x(t ) cos 2f c t y (t ) sin 2f c t となる.(x(t),y(t)は平均0の低域ガウス成分) • 符号1が伝送されたとき –BPF出力: 信号と雑音の和 s1 (t ) n(t ) [ A x(t )] cos 2f ct y(t ) sin 2f ct • 包絡線検波器を通過した出力R1(t),R0(t) R1 (t ) [ A x(t )]2 y 2 (t ) 符号 1 R0 (t ) x 2 (t ) y 2 (t ) 符号 0 ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 30 OOK非同期検波における出力信号(2) • 符号1の場合: 受信包絡線の標本値の確率密度関数 –ライス分布 R 2 A2 AR R p1 ( R) exp I0 N 2N N • 符号0の場合: 受信包絡線の分布 –レイリー分布 R2 R p0 ( R) exp N 2 N N:標本時刻におけるガウス雑音の平均電力 N x 2 (t ) y 2 (t ) I0(x):0次の第1種変形ベッセル関数 2m 1 x I 0 ( x) , (m 1) m! m 0 m! ( m 1) 2 ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 31 OOKにおける符号誤り率(非同期検波)(1) 1. 信号棄却誤り(incorrect dismissal)の確率 • 符号‘1’を伝送⇒受信機で ‘0’と判定される場合 Pe1 RT 0 • • p1 ( R)dR RT 0 R 2 A2 AR R exp dR I0 N 2N N この積分は,MarcumのQ関数 t 2 a2 Q(a, b) t exp I 0 at dt b 2 を用いると,以下のように表すことができる. Pe1 1 Q( 2 , ) • A2 RT , N ここで, 2 N – γ:BPF出力の標本時点における平均SN比 – α:雑音電圧の実効値で正規化されたスレショルド値 ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 32 OOKにおける符号誤り率(非同期検波)(2) 2. 警報誤り(false alarm) 符号‘0’を伝送⇒受信機で ‘1’と判定される場合 R2 2 R Pe 0 p0 ( R)dR exp dR exp RT RT N 2N 2 ‘1’と‘0’が全体的に見て1/2ずつの割合で送信されると すると,上の2種類の誤り率の平均として,次式が得られ る. 2 1 1 Pe ( Pe1 Pe 0 ) 1 Q ( 2 , ) exp 2 2 2 • ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 33 OOKにおける同期検波 • 同期検波の動作 ① BPF通過後の受信信号に,送信されたOOK信号と位相を合わせ た局発搬送波をかけ合わせる. ② ①の出力信号をLPFに通し,低域成分を取り出す. –相関受信(integrate and dump)と同じ働き ③ ある時点で1,0を判定する. • 同期検波によるOOK信号の符号判定 – 受信機において送信信号の高周波位相を正確に知る必要. – 受信機の構成が包絡線検波の場合に比べて複雑になる. 受信信号 (OOK) BPF LPF cos 2f c t 局発搬送波 ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 判定器 情報出力 標本化 パルス 34 OOKにおける同期検波(1) • 受信機におけるBPF出力 –包絡線検波の場合と同様 –同期検波の後では,符号‘1’‘0’のときの信号は u1 (t ) A x(t ) u0 (t ) x(t ) • 符号‘1’が伝送されているときの標本値の確率密度関数 –平均値A,分散Nのガウス分布 (u A) 2 1 p1 (u ) exp 2N 2 N • 符号‘0’が伝送されているときの標本値の確率密度関数 –平均値0,分散Nのガウス分布 u2 1 p0 (u ) exp 2N 2 N ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 35 OOKにおける同期検波(2) • 符号の判定 –適当なしきい値uTを設定し,以下のように判定を行う. u (Ts ) uT のとき 符号'1'と判定 u (Ts ) uT のとき 符号'0'と判定 ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 36 OOKにおける符号誤り率(同期検波)(1) • 符号誤り率の計算 –標本出力の確率密度関数が変わる –手法としては包絡線検波の場合と同じ • 信号棄却誤りの確率 (u A) 2 1 Pe1 p1 (u )du exp du 2N 2N 1 1 erfc 2 2 A2 u , T 2N N • 警報誤りの確率 u2 1 Pe 0 p0 (u )du exp du uT uT 2N 2N 1 erfc 2 2 uT ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 uT 37 OOKにおける符号誤り率(同期検波)(2) • 符号‘1’と‘0’が生起確率1/2で送信されるならば,平均の符 号誤り率は,次のようになる. 1 1 1 1 Pe 1 erfc erfc 2 2 2 2 2 2 • 符号誤り率を最小にする最適しきい値 A uT ( opt ) 2 • この時,明らかに,信号棄却誤りの確率と警報誤りの確率は 等しくなり,符号‘1’と‘0’の生起確率が1/2ならば,平均の符 号誤り率は次のようになる. 1 Pe erfc 2 2 ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 38 OOKにおける符号誤り率(同期検波)(3) • SN比が高く,γ≫1ならば, 1 erfc( x) exp( x 2 ), x x より,最適スレショルドの場合の符号誤り率は,次式のように 近似される. 1 Pe exp( ), 1 4 ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 39 FSKにおける非同期検波 • 非同期検波の手順 –符号‘1’‘0’の搬送周波数を中心周波数とするBPFに受信信号を通し, その出力を包絡線検波する. –得られた2つの検波出力を適当な時刻において標本化する. –標本パルスの大きさを比較して符号を判定する BPF (f1) 包絡線 検波器 最大値 判別 受信信号 (FSK) BPF (f0) ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 包絡線 検波器 情報出力 標本化 パルス 40 FSK非同期検波における出力信号 • 信号の含まれる側の包絡線検波器出力の標本値は,ライス 分布となり,次のようになる. 2 R1 R1 A2 AR1 p ( R1 ) exp I0 N 2N N • 信号の含まれない側の包絡線検波器には雑音のみが加わ るため,出力の標本値は,次のようなレイリー分布になる. R0 2 R0 p ( R0 ) exp N 2 N ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 41 FSKの符号誤り率(非同期検波) • 符号の誤りはR0>R1のときに生じる.その確率は次式のよう になる. Pe prob( R0 R1 ) p( R1 ) p( R0 )dR0 dR1 0 R1 • 先の確率密度関数を代入して積分すると,符号誤り率は次 式のように求められる. A2 1 1 Pe exp exp 2 2 4N 2 A2 2N γは信号が含まれているBPF出力の標本時点におけるSN比を表す. ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 42 FSKにおける同期検波 • FSK信号の同期検波には –周波数の異なる(f1,f0)2つの信号について,送信信号の 周波数および位相を正確に知る必要がある –位相同期がきわめて重要となる. BPF (f1) 受信信号 (FSK) LPF 最大値 判別 cos 2f1t BPF 情報出力 LPF (f0) cos 2f 0t ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 標本化 パルス 43 FSK同期検波における出力信号 • 搬送波周波数f1の符号‘1’の信号が送られたとしよう. • 中心周波数f1のBPF,および符号‘0’の信号を通す中心周波数f0のBPF 出力はそれぞれ次のようになる. s1 (t ) n1 (t ) [ A x1 (t )] cos 2f1t y1 (t ) sin 2f1t n0 (t ) x0 (t ) cos 2f 0t y0 (t ) sin 2f 0t • この信号にcos2f1t,cos2f0tの搬送波をかけ,LPFを通すことにより2倍 の周波数成分を取り除く. • 双方ののLPF出力は次のようになる(共通の係数1/2は省略) –信号を含む側のLPF出力標本値は平均値A,分散Nのガウス分布 –信号を含まない側は平均値0,分散Nのガウス分布 u1 (t ) A x1 (t ) u0 (t ) x0 (t ) • LPF出力を1パルスにつき1回標本化し,その値を比較することにより符 号の判定を行う. ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 44 FSKの符号誤り率(同期検波)(1) • 符号誤り率は標本時点でu0>u1となる確率である. –これはまた,z=x0-x1>Aとなる確率でもある. • x0,x1は互いに独立,またガウス変数の差の平均値はそれぞ れの平均値の差,分散は各分散の和になる性質を用いると, 2 2 2 z 0 , z x x 0 1 2N となる.よってzの確率分布は,次のように表される. z2 1 p( z ) exp 4N 4 N ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 45 FSKの符号誤り率(同期検波)(2) • 符号の誤りは,z>Aのとき生じ,その確率は以下のように求 められる. z2 1 Pe p( z )dz exp dz A A 4N 2N 1 A2 erfc 2 2N 2 • SN比が高く,γ≫1ならば,符号誤り率は,次式のように近似 される. 1 Pe exp( ), 1 2 2 ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 46 PSKにおける同期検波 • PSK –位相の変化により情報を伝送 ⇒検波方法は同期検波のみとなる. –受信信号と乗積をとる基準搬送波は,別に設ける基準 搬送波再生回路により受信信号から抽出 –サンプルした出力が • 正: 1と判定 • 負: 0と判定 受信信号 (PSK) BPF LPF cos 2f c t 局発搬送波 ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 極性 判定器 情報出力 標本化 パルス 47 PSKにおける同期検波 • BPFの出力は常に信号と雑音の和 –符号‘1’と符号‘0’に対応した出力 v(t ) [ A x(t )] cos 2f ct y (t ) sin 2f ct • 基準搬送波との乗積をとり, LPFを通した出力 (共通の係数1/2は省略) u1 (t ) A x(t ) 符号'1'のとき u0 (t ) A x(t ) 符号'0'のとき ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 48 PSKの符号誤り率 • LPF出力を1パルスにつき1回標本化 ⇒値の正負により符号の判定を行う. • 標本値:平均値Aまたは-A,分散Nのガウス分布 • PSK信号の符号誤り率 –符号間の距離がOOKの2倍 (u A) 2 1 Pe exp du 0 2N 2N 1 A2 erfc 2 2N ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 49 DPSKにおける遅延検波 • DPSKにおける遅延検波の手順 ① 1ビット前の受信パルスをパルス時間Tだけ遅延 ② これと現在の受信パルスとの乗積をとる ○基準搬送波の再生が不要 – 1ビット前の受信パルスが基準 △基準搬送波にも雑音が含まれる ⇒誤り率はPSK同期検波に比べてやや悪くなる. ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 50 DPSK遅延検波における誤り率 • DPSK遅延検波におけるビット誤り率は,次式で求め られる (導出は省略). Eb 1 Peb exp( ) 2 N0 –誤り率特性としては,PSK同期検波より少し劣る ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 51 各変調方式の誤り率の比較 • 情報ビット当たり信号エネルギー:Eb –整合フィルタ出力の場合最大 • 両側雑音電力スペクトル密度:N0/2 とした場合の誤り率の比較(下の表) • 次スライドの = (Eb/N0)に当たる –OOKの場合のEbはFSK,PSKの1/2(‘0’,‘1’が等確率で発生と仮定) 変調方式 /検波方式 同期検波 ASK (OOK) Eb 1 Peb erfc 2 2N0 FSK 非同期検波 Peb E 1 exp( b ) 2 2N0 ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 Peb Eb 1 erfc 2 2N0 PSK E 1 Peb exp( b ) 2 2N0 Peb Eb 1 erfc 2 N0 (DPSK) Peb E 1 exp( b ) 2 N0 52 各変調方式の誤り率の比較 • 各ディジタル通信方式の誤り率 は,いずれも帯域フィルタ出力に おけるSN比γの関数として表さ れる。(右図参照) • 同期PSKは,同じ誤り率を実現す るのに必要なSN比が最も低 く,FSKに比べて伝送帯域幅も少 ない. • 非同期検波と同期検波との比較 –同期検波のほうが低い符号誤り 率が得られ,その差はSN比が低い ほど大きくなる. –同期検波においては送信搬送波 と位相同期した再生搬送波を必 要とするため,受信機の構成が複 雑になる. ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 (Eb/N0) 53 M進信号における誤り率 • M進信号における誤り率は,k個の符号列からなる 記号(symbol)あるいは符号語(code word)の誤り率 である. • 記号誤りが生じたとき,常に他の記号にランダムに 等確率で誤るものとすれば,符号の誤り率(ビット誤 り率)Pebと記号誤り率Peとの関係は,次のようになる. 2 k 1 Peb k Pe 2 1 ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 54 MASKにおける記号誤り率 • MASKにおける受信信号の判定 検波出力をM個の信号点間にあるM-1個のしきい値(下図参照)と比較 出力に最も近い信号点に対応する記号が送信されたと推定 • MASKにおける記号誤り率 Eav :記号あたり平均エネルギー 3(log M ) Eb ( av) M 1 E M 1 3 av 2 Pe erfc erfc 2 2 M ( M 1 ) N M ( M 1) N 0 0 si si+1 i ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 si+2 i+1 si+3 i+2 si+4 i+3 55 MASKの記号誤り率 (Eb/N0) ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 56 MFSKの受信システム • M個の異なる通過帯域を持つBPFが必要 • 各検波器の出力の中からもっとも大きい出力の信 号に対応する記号が送信されたと推定する。 BPF (f1) 受信信号 (MFSK) BPF (f2) 包絡線 検波器 包絡線 検波器 最大値 判別 情報出力 標本化 パルス BPF (fM) 包絡線 検波器 MFSK受信機の構成(非同期検波) ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 57 非同期MFSKにおける復調器の例 • 同相(I相)成分と直角(Q相) 成分を利用し、判定のための サンプル値 Z i I i2 Qi2 i 0,1, M 1 をつくる ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 58 MFSKの記号誤り率 • 同期検波の場合 Es ( M 1) Pe erfc 2 2N0 ( M 1) log 2 M Eb erfc 2 2 N 0 • 非同期検波の場合 M Pe (1) n 1 n 1 M (1) n 1 n 1 M 1 1 n Es exp n n 1 n 1 N0 M 1 1 n (log 2 M ) Eb exp N0 n n 1 n 1 ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 59 MFSKの記号誤り率 • MFSKの記号誤り率 –Mの増加につれて誤り率特 性のこう配が鋭くなる –M→大 ⇒誤り率特性の改善 • Mが大になるほど占有する 周波数帯域は指数的に大き くなる. (Eb/N0) ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 60 MPSKの復調器 • 同相(I相)成分と直角(Q相)成分を利用し、それぞれの整合フィルタ出 力をもとに判定のためのサンプル値 Z i tan 1 Q I をつくる ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 61 MPSKの記号誤り率 • MPSKの記号誤り率の近似式 2 Es E b erfc 2(log 2 M ) Pe erfc sin sin N M N M 0 0 ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 (Eb/N0) 62 QPSKにおける誤り率(記号誤り率)(1) • 信号s1(右下図)が送信された場合 –この場合,雑音が重畳された受信信号を表す合成ベクト ルが,標本時点において第1象限にあれば正しく判定され, それ以外の象限に入ると誤りになる. • 合成ベクトルの先端の座標(x,y)の確率密度関数は, 次のように表される.(Nは雑音の平均電力) ( x A / 2)2 1 p( x) exp 2N 2 N ( y A / 2)2 1 p( y ) exp 2N 2 N Q s4 A I s3 ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 s1 s2 63 QPSKにおける誤り率(記号誤り率)(2) • ガウス変数x,yは互いに独立なので,記号が正しく判 定される確率は,次のようになる. 2 1 Pc prob( x 0) prob( y 0) 1 erfc 2 2 • 従って,記号誤り率は次のようになる. Pe 1 Pc 1 erfc 1 erfc 2 4 2 • ここでbは1記号の情報ビット数k=log2Mで正規化し たビット当りSN比で, b = /kである. ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 64 QPSKにおける誤り率(ビット誤り率) • QPSKにおけるビット誤り率は,2進PSK(BPSK)の ビット誤り率と同じになる. 1 Peb erfc 2 ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 A2 2N 65 QAM信号の復調 • 復調には同期検波が用いられる • 同相成分,直交成分それぞれの搬送波位相が正 確にあわせられていなければならない。 同相成分 (I成分) 受信信号 (16QAM) LPF BPF /2 移相器 直交成分 (Q成分) 搬送波 発振器 LPF 図 ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 I軸 判別 符号 判別 情報出力 Q軸 判別 QAM復調器の構成 66 16QAMにおける誤り率(記号誤り率)(1) • 信号配置は対称なので,第1象限についてのみ考える. • 第1象限にはs1, s2, s3, s4 の4つの信号点がある. –最小信号点間距離=d • 判定領域の境界は各信号点を結ぶ垂直2等分線 • 信号s1が正しく判定される確率 1 Pc1 2N d ( x 3d / 2) exp dx 2N 2 Q 2 d/2 1 d 1 erfc 2 2 N 2 • 信号s3が正しく判定される確率 d Pc 3 1 erfc 2 2 N ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 2 s1 s4 2 d/2 d s3 s2 I d 図 16QAMの第1象限に おける信号配置 67 16QAMにおける誤り率(記号誤り率)(2) • 信号s2, s4が正しく判定される確率 1 d d Pc 2 Pc 4 1 erfc 1 erfc 2 2 N 2 2 N 2 • よって,正しく信号が判定される確率は平均として, 1 Pc (4 Pc1 8Pc 2 4 Pc 3 ) 16 2 3 d 1 erfc 2 2 N 4 • これより,記号誤り率は次の式で求められる. Pe 1 Pc ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 68 16QAMにおける誤り率(記号誤り率)(3) • 16QAM信号の振幅の最大値をAとすると,dは, 2 d A 3 –振幅は,A,√5A/3,A/3の3種類 • 平均の電力は次のようになる. 2 2 1 1 5 A A 5 2 2 4 A 8 S 4 A 2 16 3 3 18 • よって,16QAMの誤り率は,次のようになる. 3 A Pe 1 1 erfc 6 N 4 ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 2 69 16QAMにおける誤り率(記号誤り率)(4) • 平均SN比(記号あたり)は次のようになる. S 5 A2 N 18 N • したがって記号誤り率は次のように表すこともできる. 3 Pe 1 1 erfc ( ) 10 4 • 実際の通信回線ではSN比は十分大きいため,記号誤り率 は近似的に次のように表せる. 2 2 , 1 Pe erfc 4 10 ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 70 16QAMにおける誤り率(記号誤り率) • Mの増加 ⇒周波数利用効率の増加 ⇒記号誤り率の増加 • 記号誤り率の増加は 16QAM<16PSK<16ASK • 信号の平均電力を同じにした場 合、2次元平面に信号点を配置 するQAMがもっとも有利 (Eb/N0) ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 71 MQAM変調における記号誤り率(1) • 一般的なMQAM変調における記号誤り率 16QAMにおける誤り率の議論を一般化 2 M 1 d Pe 1 1 erfc ( ) M N d:信号点間の最小距離 M個の等確率の信号の平均エネルギーをkEbとすると、 2 2 M / 2 1 M / 2 1 d d MkEb 4 id jd , k log 2 M 2 i 0 j 0 2 より, 6kEb d , M 1 ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 k log 2 M 72 MQAM変調における記号誤り率(2) • 結果として、MQAMの記号誤り率は次のようになる M 1 6 Es Pe 1 1 erfc M M 1 N0 2 6 log 2 M Eb M 1 1 1 erfc M 1 N M 0 ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 2 73 MQAM変調における記号誤り率(3) • Mの増加 ⇒周波数利用効率の増加 ⇒同じ誤り率を達成するため に必要な電力が増加 • 各信号点間の誤り方は一様 ではない ⇒通信路符号化との組合せ で周波数利用効率(伝送速 度)を損なわずに誤り率特性 の改善が可能 ↓ <符号化変調> (Es/N0) ShigenobuSasaki Niigata U. 「ディジタル無線伝送工学」 74
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