厚生白書 各国の社会保障制度 ~スウェーデン・イギリス・アメリカ~ 971221 波多野宏美 スウェーデン 所得保障(年金制度) – 国民基礎年金(FP) • 65歳に達したすべての国民に定額の年金を支給 – 国民付加年金(ATP) • 従前の所得(稼得所得の高い15年間の所得)に応じた 年金を支給 – 協約年金 – 部分年金 • 61~64歳対象 スウェーデン 医療保険 – 傷病手当 • 負傷、疾病により失った稼得収入の一定割合を保障 – 両親手当 • 子どもが生まれて育児休業をとる母親または父親の収 入の一定割合を保障 保健・医療サービス – 運営・財政両面を県が主体 – 県の事業費の約8割 社会サービス – 公的扶助 – 高齢者サービス – 保育サービス スウェーデン 社会保障制度の課題 – 順調な経済成長を背景に高水準の社会保障が発達 – 90年代初めの不況により財政堅実化策の実施 • 年金額の物価スライドの抑制 • 医療保険の本人保険料の引き上げ • 児童手当の減額 • 疾病手当・両親手当などの削減 – 財政赤字問題に対処するための部分的見直しという性格 – 合理化・効率化を図りながら、サービス水準を維持しさらに 質を高める努力が必要 イギリス 所得保障 – 退職年金制度 • 義務教育終了年齢を超えるすべての有業者(所得がな い又は一定額以下の者を除く)は、退職基礎年金に加 入義務がある – 無拠出の所得保障制度 • 児童を扶養する家庭や障害者に対する各種給付、所得 補助制度 – 出産手当、傷病手当、障害給付、寡婦給付(寡婦年 金、母子手当)など イギリス 医療保健サービス – 国民保健サービス(NHS) • 疾病予防やリハビリテーションを含めた包括的な医療 サービスを公共サービスとして住民のすべてに提供 高齢者保健福祉施策 – – – – – 高齢者保健福祉サービス NHSの一環として行なわれる在宅サービス 地方公共団体により行なわれる在宅サービス 施設サービス 現金給付 児童福祉・家族政策 – 児童手当(児童給付、家族所得補助給付) – 保育サービス イギリス 社会保障制度の課題 – 社会保障関連支出が政府支出の32% 十分な機能を果たしていないのが現状 – 所得格差があり、社会保障制度に過度に依存す る層がある ~社会保障制度改革の前提~ – 財政の健全性の維持 – インフレ抑制重視という経済運営方針 抜本的な改革が必要 アメリカ 公的年金制度 – 一般的制度 • 老齢・遺族・障害年金(OASDI) • 大部分の被用者や自営業者が加入 – 個別の制度 • 公務員・鉄道職員など一定の職業のみ対象 アメリカ 医療保障制度 – 全国民対象の公的医療保障制度はない – 民間保険が中心 ~公的医療保障制度~ メディケア:老齢・障害年金受給者および慢性腎臓病患者 が対象で、連邦政府が運営 – パートA:入院などを保障する強制加入の病院保険 – パートB:外来等による医師の診療などを保障する補足的 医療保険 メディケイド:低所得者を対象とする公的扶助で、連邦政府 が資格要件などの大枠を定め、各州が運営 アメリカ 高齢者・障害者保健福祉施策 – 高齢者に対して • メディケア・メディケイドによるナーシングホーム • 住宅サービスに係る費用への給付 – 障害者に対して • 障害年金 • 補足的所得保障 • メディケア・メディケイドによる所得保障 児童福祉・家族政策 – 貧困家庭一時扶助(TANF) – 保育サービス – 育児休業制度 アメリカ 社会保障制度の課題 – 経済の活況による歳入増、医療費などの抑制策 などを背景に財政赤字縮減を達成 – ベビーブーム世代の高齢化に対し、医療費等の義 務的経費に対する財政支出の抑制を図りながら、 更に社会保障制度の安定的運営を行なう改革 • 現行制度の基本的構造を維持しつつ給付と負担との 調整
© Copyright 2024 ExpyDoc