80年代の日本とアメリカ

80年代の日本とアメリカ
現代資本主義分析
国際マクロ経済の罠
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アメリカの経済政策→日本の経済的繁栄
富裕者減税+利潤の回復→国内投資ではなく対
外消費(強いドルを維持する高金利政策)
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アメリカ企業に対する日本企業の生産力的優位
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*富裕者減税に伴う財政赤字と貿易赤字=双
子の赤字に苦しむ。
アメリカ経済に対する悲観論の台頭
中谷巌(91年)
「史上最悪の巨大な財政赤字,8000億ドルに
上る対外累積債務,進行する金融不安など
,いまのところ,アメリカ経済にとってよ
い材料はほとんど見あたらない。」
「問題なのは,湾岸後のアメリカ経済が相当
疲弊したものになっているだろうと予測さ
れることである。その場合,アメリカに対
して,リーダーシップを期待することはと
うてい無理である。」
アメリカ経済に対する悲観論の台頭
水谷研治(91年)
「もしアメリカの景気が本当に回復しだせば
国内の需要が高まり,その結果,輸入需要
も高まって,アメリカの輸入が増え国際収
支の赤字はますます拡大してしまう。アメ
リカの経済はプラスの方向に動いても,そ
れが長続きしない構造になっているのだ。
」
経済白書(90年)
経済大国日本
「日本のGNPは世界のGNPのおよそ14%を占
め,純債権残高をみると最大の債権国となっ
ている。その経済力が世界に与える影響は,
貿易,金融取引,直接投資,経済協力などの面
でかつてないほど大きくなっている。」
経済白書(90年)
景気動向
「日本経済は,設備投資,個人消費に牽引され
た内需主導の拡大を続けた。とりわけ,設備
投資の伸びは著しく,研究開発関連投資など
の独立投資,生産能力増強投資,更新投資に加
えて,省力化投資も盛り上がりをみせた。ま
た,個人消費は,堅調な増加が続いた。これは
,消費者物価が安定的に推移する一方,可処分
所得が着実に増加したことによる。」
経済白書(90年)
技術開発の優位
「,我が国の人口当たりの研究者数は,70年代
以降,継続的に上昇しており,87年時点で
,0.34%と,アメリカ(同0.33%)とほぽ並ぶ水
準に達している」
「研究開発費支出は,1980年代に入って急速
に上昇しており,1987年には対GNP比で2.57
%と,アメリカ(同2.62%)に匹敵する水準に
達している」
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経済白書(90年)
技術的優位の条件
日本的経営=「我が国企業に多くみられる組
織及び行動様式は実は,我が国だけでなく世
界的にも優秀な企業はすでに用いていると
いう意味で客観性や合理性をもっている」
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経済白書(90年)
雇用慣行と技術開発
「①長期の雇用が保証されることにより,新技
術導入に対する抵抗が小さくなる
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経済白書(90年)
雇用慣行と技術開発
「新技術導入が容易になり,また配転などもし
やすくなる結果,企業として新規分野への進
出が相対的にしやすくなる」
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経済白書(90年)
雇用慣行と技術開発
「長期雇用を前提に,雇用者が,一般的に通用
する技術に加え,勤務先である特定企業で有
用な技術をも身につけようといったインセ
ンティヴが強まる。また雇用主の方も,職種
別に「即戦力」を採用する場合と違って,職
務経験のない新卒者の採用が多く,教育訓練
に対するニーズが強まる。」
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経済白書(90年)
雇用慣行と技術開発
「雇用者と企業の関係が長期的となることか
ら,あらゆる面で長期的な視点に立った行動
がとりやすくなり,短期的には効果の期待で
きない研究開発に関連する投資(企業内の教
育訓練もこの観点からみれば一種の投資で
ある)が促進される」
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経済白書(90年)
長期的経営視点とと技術開発
「我が国企業に多くみられる人事,組織,経営
方式を含む全体的な在り方が,「長期の収益
最大化」およびそれに向けての「研究開発
や製品開発の促進」,「それに必要な投資の
実行」を目指すうえでの合理性を有してい
るものとみられる」
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