10月19日 g2015016 瀬合 功 情報デザインー新しい専門分野の誕生 (古い概念のめかし直しにすぎないか) ロメディ・パッシーニ 情報デザイン ー新しい専門分野の誕生 「情報デザイン」・・・新しい言葉ではないが、ここ数年よく耳にする言葉 情報デザインを旗印にして新しい存在をアピール ありとあらゆるものを取り扱っている ユーザーへの説明、警告ラベル、マニュアル、時刻表 請求書、地図、交通案内、道路標識、専門的データの表、論文 コンピュータのレイアウト、バーチャルリアリティ環境 言葉、絵、図表、などによるコミュニケーション 情報デザイン ー新しい専門分野の誕生 明らかに新しい傾向として出てくる 将来必ず従来とは違う独特のデザインの方法になると思われる あるデザインの実践分野を 指すものとして用いる どういうものを「情報デザイン」と呼ぶのか、の基準の検討 その基準の重要性と意味を「経路探索(ウェイファインディング)」 という特定の応用分野を例に挙げて説明する 情報のデザイン 情報とその取得および活用は、社会に大きな影響をもたらすようになった 情報のデザインとその効率よい伝達 が重要 デビッド・スレス曰く 我々が売り物にしてきたものを順次挙げた後、残るのは情報だけ 情報は究極の商品になりつつある しかもおそらく儲かる商品系列になる 生産方法や提示方法を考え直す必要がある 情報デザインの特徴 従来の職業分野において 情報のデザイン グラフィックデザイン 密接な結びつき 情報デザインとグラフィックデザインの違い グラフィックデザイン 特徴 ルーツ 情報デザイン アピアランス(体裁)を強調 コミュニケーションを強調 ある現代的な美術価値を表現 形だけでなく内容も重視 20世紀初頭のアールデコ様式 多様で情報理論や認知科学など ダダイズム デザインと研究を結びつけるもの 情報デザインの知識基盤 世の中のモノはすべて、情報を伝える コミュニケーションの力を潜在的に持っている 情報デザインはそれぞれの応用分野との関連で論じる必要がある 情報は特定の機能(書類の記入、経路発見、警告など)を果たすもの 機能を理解 効果的な情報デザインの唯一最重要事項 情報デザインの知識基盤 様々な情報を人々がどのように処理するのかを理解すること それぞれの情報に適した提示方法を見つけるカギになる 情報デザインの知識基盤は行動科学、とくに 認知心理学 に根ざしている また人間工学や環境心理学ともつながっている 研究と情報デザイン(1) 情報処理に影響を与える要素 処理する情報量 多いと却って処理できる情報量が減少する 文化的、社会的、年齢的差異 情報への反応の変化 受け手の情報処理の仕方や状況 デザイナーに自信があっても、本当の評価はユーザーが行う 情報提示の効果を予測することは簡単ではない 研究と情報デザイン(2) 情報デザインの有効性を調べる方法(アダムズ) 結果段階 利点 現在の悪いところを改善することが出来る 欠点 新しい発想を促したり、一般に受け入れられている前提や方法 に疑問を投げかけるのに適していない プロセス段階の調査 利点 デザイナー自身で加減でき、すぐに結果が分かる 欠点 信頼性や有効性の科学的根拠についての理解不足していると 自分勝手な調査になりかねない 情報デザインの落とし穴 情報それ自体が目的なっては、単なる見事な情報の提示で終ってしまう デザインの質は完成品だけでなく ユーザーの行動と満足度によって測られるべき 「情報デザイン」という言葉の背後には、ユーザーが必要としているものは 情報であるという前提がある しかし実際には、他のデザイン的解決の方が有効である場合もある 情報デザインと経路探索 情報システムのデザインのカギになる認識と行動の概念の例として 問題解決としての「経路探索」を取り上げる 目的地に意図的に到達するのに必要な認知能力と行動能力を指す 問題解決としての経路探索の概念の主要プロセス 目的地に行くという決定と、そのための行動計画づくり その決定の実行で、ルート上の適当な地点で計画を行動に移す 決定と実行に必要な情報を手に入れるための知覚と認知(情報処理) 必要な情報(1) 経路探索の概念に従えば 人々は決定を下し、それを実行するために情報が必要になる 人々の下す決定が必要な情報の内容を規定する 同様の作業でも、状況が違うと決定に大きな違いが生じる 同一の状況では、ユーザーが違っても、その作業に対する決定は類似する 主要な決定は個人的性質よりも、状況やその建築的特徴で決まる 必要な情報(2) 経路探索におけるユーザーの種類 線的な、あるいは順序的な情報に頼るユーザー 空間的情報に頼るユーザー デザイナーはこの両方のスタイルに対応した情報を提供する必要がある 経路探索の情報デザインにおいて、どこでどのような情報が必要かは ユーザーがどこでどのような決定をするか、による (1)各アクセスポイントから目的地ゾーンへ行き、戻ってくる (2)ある目的地ゾーンから他の目的地ゾーンに移動する (3)目的地ゾーンの中を移動する ユーザーの作業 段階から予測 情報が必要な場所 ユーザーが決定を下す時、所に情報が必要 しかし 複雑な状況で取り組もうとする人おいて 必要のない場所に掲げられた情報ユニットは無視される可能性が高い 形と提示の仕方(1) ユーザーがどこでどのような決定をするか、を見定めることで 情報提示の場所と内容が決まるとすれば その形と提示の仕方 人々が情報をどのように 知覚し認識するかに関係する グラフィックデザイナー 経験から書体、スタイル、記号、照明等を発達 形と提示の仕方(2) 複雑な状況における人々の環境把握の仕方を理解することも デザイン上の解決に役立つ 少数の文字情報ユニットを一目で知覚できる 三つのユニットから成る小さなパッケージにまとめる 教訓 デザイナーは人間の基本的な知覚・認知プロセスを知らなければならない デザイナーは特殊な条件下(製図板上)で得た結果を実際の状況に普遍 化することを避け、現実のユーザーのいる現実の状況に情報を提示して 有効性をテストしてみる必要がある 情報から情報システムへ 決定は個々に孤立しているものではなく、互いに繋がっており その繋がりがあるからこそ、問題解決に意味をもつ 決定の結びつきが決定プランになるのと同じ理論で 情報に結びつきが情報システムになる 情報システムは、経路探索問題の問題方法に対応するように 情報を構造的にまとめたもの 情報デザインと職業領域(1) 経路探索のデザイン領域は伝統な職業領域と一致せず 建築設計、グラフィックデザイン等の職業分野と重複 この関係が問題 建築家 案内標示は必要悪、建築の美しさを損ないたくない グラフィックデザイナー 経路探索を支援するシステムに関与できる頃には 主要な決定はすでに終っている 情報デザインと職業領域(2) 建築家 経路探索の作業について認識 建築学的構想の経路探索への影響 グラフィックデザイナー 経路探索、経路探索標示の建築的次元の理解 デザイン、建築両方の教育機関で教えるべき 時間の制限 両方で教えるべき膨大なテーマ 難しい 情報デザインと職業領域(3) 情報デザインという新しい専門領域の構築が現実的 関係ある学問分野の知識基盤を教える 具体的な分野の専門知識と建築、デザイン等の基礎技能を結びつける 行動学的調査の仕方 デザインプロセス デザイナー 新しい職業の道を提供 情報デザイン 必要な定義と職業的地位
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