関税戦争と協力による 克服(accompanying Lecture 14) Craig Parsons YNU January 16th, 2008 1 クルーグマンとオブストフェルドの図表9.3 US, Japan Free Trade Protection Free Trade 10, 10 -10, 20 Protection 20, -10 -5, -5 2 Alternative, non-PD, payoff matrix (here, free trade for both is Social and Nash eqm) US, Japan Free Trade Protection Free Trade 10, 10 5, -1 Protection -1, 5 -5, -5 3 K&Oの貿易戦争 これをこのゲームにおいて「通常」である。 これは非協力的ゲームである。 これは一回だけ行われるゲームである(一期で 繰り返されないものとする) 「社会的最適」とは「自由貿易」であり、全体の福 利の合計10+10=20は、いかなるセルの結果 よりも大きいとする。 しかし、「ナッシュ均衡」は、「保護」を意味し両国 の事態がともに悪化したことを示し、これがPDの 例である。 4 Smoot-Hawley (1930) このPDゲームは米国と欧州が貿易/関税戦争に「陥っ て」しまったときの大体の状況を説明するために使われ る 高い関税(1932年平均59%)を始めたのは米国であった。 それから欧州(そしてカナダ)もまた高い関税を応酬した (注:日本の関税も上がったが、平均は20%にとどまっ た) 加えて経済恐慌が起こり、両国の状況は貿易戦争により 悪化する一方であった。 この1930年代の教訓として、米国や応酬のリーダーは同 じ間違いをに度と起こさない決意をした。 5 世界のリーダーはどのように貿易戦争の回避したか アメリカの国内構造改革である互恵通商協定 (Reciprocal Trade Agreements Act 1934)は貿 易の法的権力を議会から遠ざけ、権力を大統領 に集中させた。 国際的には、1948年のGATT (1995年WTOに 発展)により自由貿易化 6 互恵通商法がどのように保護貿易主義 を縮小させたか。 通常、大統領は国全体の利益を優先させるのに対して、 ある国会議員はその地域・工業の利益を優先させる(例: ミシガンの車産業、ペンシルベニアの鉄鋼業、フロリダの 砂糖産業、新潟の米など) また、国会(上院・下院)は「ログローリング」の影響を受 けやすい 大統領に権力を与えるということは、米国は以下の点で 利点がある(1)ログローリングの回避(2)大統領が全て の利益のバランスをとらなければならないため、特的の 例外的な利益から遠ざかることができる(貿易賛成派、 保護貿易) 7 “ログローリング” (vote-trading)の 定義 ログローリング(英:logrolling)とは、集合的決定 における戦略的行動の一つ。政治学や社会的選 択理論、及び経済学における公共選択論や公共 経済学における概念の一つである。決定の際に 票の取引を行うことをログローリングと呼び、主 に議会における法案の投票の際に見られる。こ のことから票取引と呼ぶこともある Also see Lecture 8 notes 8 ログローリングー詳細の定義 具体的なログローリングの例を以下に見てみたい。定数99の議会で議員Aと議員Bの 二人の議員に焦点を当てることとする。今議会においては議題1と議題2の二つの議 題について審議が行われており、議題1について法案X、議題2について法案Yがそれ ぞれ提出されているとする。議員Aは議題1に関して特定の利益があるために強い関 心を持っているが、議題2に関してはこの議題から得られる効用は少なくさほど関心が ない。逆に議員Bは議題2には強い関心を払っているが、議題1にはあまり関心がない。 ここで議員Aは法案Xから利得を得るためこれを可決・成立させたい一方で、議題2に 関しては一応法案Yに反対しているとする。他方で議員Bは法案Yの可決・成立を期し たいと考えており、かつ一応は法案Xに反対しているとする。この時に法案Xを支持す る議員が49対50で少数派であり、法案Yに賛成する議員も49対50で少数派であると 仮定しよう。効用を最大化しようとする合理的な議員を仮定するならば、次のことが言 えるであろう。すなわち議員Aはあまり関心のない、つまり自身の効用に関係ない議 題2における自らの選好を放棄してでも議題1における法案Xの成立を優先させる。同 様に、議員Bも自分の効用にあまり関わらない議題1おける自らの選好を放棄してでも 議題2における法案Yの成立を優先させる。従って、議員Aと議員Bの間には一種の取 り決めが成立することとなる。すなわち議員Aが議題2に関して偽の選好を表明して法 案Yに賛成することを約束する一方で、議員Bも議題1に関して偽の選好を表明して法 案Xに賛成することを取り決める。こうしてこのような取り決めの結果、法案Xは50対 49で可決・成立し、法案Yも50対49で可決されることになる。このため議員A・Bは一定 の制約の下でではあるが、自らの効用を最大化することに成功することとなる。この 時に、議員Aと議員Bは法案Yへの反対票と法案Xへの賛成票を取引したことになる。 またこのようにログローリングを行う投票者の集団(この場合は議員Aと議員B)を、取 引連合と呼ぶ。 9 “Reciprocity” balances rent-seekers 「互恵通商」のレントシーカーとの均衡 諸工業が保護を求めるさい、関税を除いた場合 の喪失は一定の地域は州に集中する一方、消 費者が利益は全州に薄く広くにわたる。 自由貿易の相互利益をもって、米国が関税を取 り除き(それが一定の工業や地域に不利益にな ろうとも)、それに伴いもし、貿易相手国が関税を 取り除いたならば、それは米国の輸出産業に利 益をもたらす。 10 「互恵通商」の例 例えば、もし英国が麦の関税を下げるとしたならば、米国 は鉄鋼の関税を下げると約束かもしれないと想定しよう。 この鉄鋼の関税の引き下げは、米国のペンシルベニアと オハイオの鉄鋼生産者にコストを押し付けることになる。 この地域の代表者はこれに対して反対し、自由化に対し ても反対するかもしれない。しかし、同時に: 英国の小麦の低い関税から利益を得ることができるため、 農家(そしてその代表者は)は貿易の同意のために抗議 するであろう。 11 1934年互恵通商法の利息(レント シーカー)の均衡 1934の互恵通商法は外国政府の自由化における米国 の自由化の礎を築いた。 つまり、米国の保護関税レントシーカーは貿易賛成者の レントシーカーに相殺された。 1934年前は、保護関税レントシーカーが多かく、貿易賛 成者のレントシーカーにとっては非常に非効率的であっ た。 これは、大統領の条約交渉力とともに、米国の自由貿易 化を促進・推進させた。 12 GATTのような国際的同意がどにょう に国内の保護貿易主義を減らしたか 。 ゲーム理論において、GATTの貿易自由化は協 力ゲームであり、繰り返し行われれる。 ゲーム理論化や実証経済学者(そして生物学者 までも)がプレイヤーは理解しあうことができ(協 力でき)、同じゲームを何度も繰り返し学ぶことが できるならば、P.Dによる結果を避け、「社会的最 適」を獲得しようとすると発見した。 13 国際的協力の詳細 GATTのような同意は諸国のリーダーの絆を深め、 それは大統領や首相が他の国々に関税を引き上 げないと約束するのと同意である。この国際的な契 約は、それそれのリーダー(大統領や首相)が国会 からの保護貿易の要求に抵抗するのを手助けする。 重点:大統領・首相はなにかを「しない」と約束す るのであり、そしてその「自己規制」は、ある意味で それらを非常に強力なものにする。 14 自由を限定することによって得る利益 (例1:秘密投票) 投票者が権力保持者の意に逆らえば、罰せられるという 国を想像してみてください。 それから、その国が(19世紀の米国や他の国々で)、投 票が秘密事項ではなく、誰が誰に投票するかが、冷酷な 権力者も含めすべての人が周知していると想像してくだ さい。 もし、有権者が投票の権利を諦めたら、かれらは支持す る本当の人に投票できます。 なぜなら、権力保持者はそれぞれの有権者が誰に投票 したのかを確認も否定もできないと、脅かすこともできな い無力なものとなるのです。つまり、有権者が投票の「権 利」を諦めて初めて、本当の支持者に投票することがで きるというわけです。 15 自由を限定することによって得る利益(例1: 秘密投票)(例2:オデュッセウス) オデュッセウスはサイレンに耳を傾けることが民 にとって危険であることを知っていた。 つまり、事前にかれは自分自身を縛り付け、民 の耳にワックスをつけ耳をふさぐことで、危険な サイレンがいる海峡を無事にわたることができた。 国際的協力協定もまた諸国のリーダーの絆を構 築し、それによって国内のレントシーカーの動き を封じ込めることができる。 16 オデュッセウスとサイレン 17 まとめ 一般的に、諸国のリーダー(議員や国会議員)は 経済的な全板の利益を知っているため、自由貿 易に賛成している。(諸国間の政治的・文化的な 繋がりを強め、戦争の機会の可能性を減らすこ ともまた知られている) しかし、しばしば政治的なバランスを保つため、 彼らは国内における圧力にについても必然的に 言及しなければならない。それは、非効率なレン トシーキングや「rent-giving」を含むが、国際的な 合意を通して権力を分散化することで、それを防 ぐ試みが行われている。 18 国際協定のまとめの続き この戦略が貿易における”win-win”の関係の構築に成功した一方で、 国際的な貨幣の連携や環境の構築までには至らなかった(例:京都 議定書の失敗) 中・短期の自由貿易の全体の利益が各々の国のリーダーにはっきり と提示されたという事実に一部由来している。 輸出・輸入産業の両方において、特にSRで環境規制がもつ損失は 非常に明瞭であり国内での指示を得るの益々困難となった。 (自由貿易の長期的利益における合意(最低でも経済学者のなかで の合意)が非常に多い場所では、環境規制がもつ長期における国内 の利益とコストの増加は、非常に不明瞭であった。) 19
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