舞 姫 博士か大臣か の時代における 東洋文明と西洋文明の間の悲劇 赵骐 200630400021 一番:社会の象徴としての 大臣 そもそも森鴎外が『舞姫』を執筆した動機は、 当時の立身出世を至上主義とする血も涙もな い社会に対する、身を挺しての抗議であると考 える。とすれば、そういう社会の象徴として存在 する「大臣」が最も悪いことになる。 二番:わが子をコントロールしようとする 母親 社会制度としては高級官僚や一流企業を頂点とする 社会構造である。 「母」は0歳児教育から始まり有名 幼稚園・小学校・中高一貫教育の有名私立学校・東京 大学と、わが子をファミコンゲームのキャラクターのよ うに こね繰り回す教育ママの元祖である。また、「母」 は幼少期ばかりでなく、二十を越えた大人になった 「豊太郎」のもとにまでおしかけ同居することでコント ロールし、自我に目覚めようとするわが子を、自らの 死によって諌め、死んでもなおわが子を呪縛しようとし ている所から考えても許すべからざる存在である。 三番:出世を第一とする国家官僚シス テム を代表する キャラクター 相沢 母+官長=相沢。相沢はそうしたエリートコー スの途上にある人物である。相沢は母の愛情 に代わる友情と、出世に導く仕事の両方を兼ね 備えたキャラ。相沢は、出世を第一とする国家 官僚システムをも代表する。 四番:精神的にわがままで成熟してい ないところのあるエリート 豊太郎 3人の中で、もっとも滑稽なピエロ役に徹しているのは 「豊太郎」である。「豊太郎」は「大臣」と「エリス」の間 で右往左往する主体性のない優柔不断な男として当 然非難されるべきである。しかし、「豊太郎」は鴎外の 分身であり、己の恥を誇張して曝してまで社会に抗議 しているのであるから4位である。 五番:悲劇のヒロイン エリス エリスは成長しきれず母親をはじめまわりに振 りまわれる男を恋人にもった不幸な女性 まとめ 主人公太田豊太郎の弱さというか、立身を優先させる 考え方は、現代の価値観から見れば非常な違和感を 覚えるのも確かかと思います。ただ、これもこの物語 が書かれた明治20年代という時代背景を考えれば、 一方的に非難もできない部分があると考えます。つま りは『末は博士か大臣か』の時代であり、『個人の人生 を国家のそれと、簡単に同一視できた、ある意味では 幸福な時代』とも言える時代であり、個人の幸福と、立 身出世というものが分離しては考えられなかった時代 だったとも言えます。その中で、主人公は、敢えて個 人の幸福と立身出世とは別ではないかとのテーマを 打ち出しつつも、最終的には時代の価値観に飲み込 まれていった。 以上、どうもありがとうございました
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