静脈画像を鍵とする暗号化手法に関する研究

静脈画像を鍵とする暗号化手法
に関する研究
大山研究室
安藤のぞみ
研究の背景、目的
• 近年、バイオメトリクス認証が注目されている
• 静脈は身体内部の情報
→ 偽造に強い
環境に左右されることが少ない
利用者の心理的抵抗が軽減される
• オープンなネットワークへのバイオメトリクス認
証の適用: Double Random Phase Encoding
→現在指紋に対して適用されている
• 本研究では、この暗号化手法の静脈パターン
(手の甲を使用)への適用を検討
研究の流れ
• 撮像システムの構築
• 暗号化手法を適用し、鍵画像を生成
• 照合精度を高める工夫
特徴成分領域を抽出
撮影画像に対する画像処理
• 生成した鍵画像による暗号化、復号化
静脈の撮影原理
• 静脈に含まれる還元ヘモ
グロビンの吸光特性を利
用して、中心波長760nm
のLEDを照明光として使
用
• 近赤外光は皮膚の深達
度がよい
• カメラは赤外フィルタを外
したCCDカメラを使用
• カメラの感度が強い短波
長側の光をカットするた
めに715nmの短波長カッ
トフィルタを使用
ヘモグロビンの吸光スペクトル
LED760
3.00E-01
2.50E-01
2.00E-01
1.50E-01
LED760
1.00E-01
5.00E-02
0.00E+00
600
700
800
900
使用したLEDの特性
1000
撮影実験
• 760nmのLED、715nmの短波長カットフィルタを
用いて撮影を行った
• 手の甲に光を照射し、反射光を撮影
撮影装置
撮影画像
暗号化手法の適用
• Double Random Phase Encodingによる暗号化フロー
振幅
f
平文画像
Fm
fm
複素
振幅
画像
フーリエ
画像
フーリエ
変換
Fm exp( jK E )
暗号化
画像
(複素振幅)
R
KE
位相
暗号化鍵
(位相マス
ク)
乗算
ランダム
パターン
暗号化データ
復号化画像
(強度パターン)
KD
f m  n
復号化鍵
(位相マス
ク)
再生画像
(暗号化
画像
の共役像)

m
F N
フーリエ
変換
複素振幅
画像
乗算
Fm exp( jK E )
本研究では、暗
号化鍵と復号化
鍵を静脈画像か
ら生成する
暗号鍵生成
• 静脈画像をフーリエ変換した複素振幅画像の位
相成分を鍵とする
• 認証に不要な情報を取り除き、照合精度を高める
撮影画像から静脈パターンのみを取り出す
→ 画像処理(2値化処理、ノイズ除去)
静脈パターンの特徴成分は低周波領域に集中
→ 特徴成分抽出
静脈領域抽出
• メディアンフィルタによるノイズ除去
• 動的閾値法による2値化
• 一定画素数以下の成分を除去するフィルタを用
いたノイズ処理
元画像
静脈パターン画像
特徴成分の抽出
• 静脈画像をフーリエ変換し、その位相成分から識
別に有効な特徴領域を抽出し、縮小した画像を鍵
とした
• 切り出し領域は、32×32の領域で切り出した時最
も復号化精度がよかった
この画像を
鍵として利用
位相成分(256×256)
(0周波数を中心に
並べ替えたもの)
低周波成分を
切り出した画像
(32×32)
暗号化・復号化実験
• 4名の静脈画像から暗号鍵を生成し、暗号化・復号化を行い、画
像処理前、処理後での復号化画像を比較した
• 画像処理前
左の復号化画像は、
上段が正しい鍵(本人の画像)
下段が誤った鍵(他人の画像)
で復号化したもの
(平文画像は上段左)
• 画像処理後
本人の場合は元の画像が復元
できており、他人の場合は
ランダムパターンになっている
また、画像処理を施したことで
復号画像が改善されていること
が分かる
まとめ
• 静脈画像の撮像システムを構築した
• 暗号化手法を適用し、暗号鍵を生成、正し
く暗号化、復号化できることを確認
• 特徴成分領域の抽出、画像処理によって
復号化画像が改善された
今後の課題
• 今回は正しく復号化されたかを画像で確認した
→ 計算機実験による検証が必要
• 暗号鍵生成に用いた静脈画像が8枚
→ より多くのデータを集める
• 画像処理において手作業で行った部分がある
→ 自動化できるようにする