毎月レポート ビジネスの情報 (2014年1月号) ビジネスの情報 2014年1月号 ■約束された市場拡大。異業種参入歓迎の、「福祉機器」業界。 車いす、介護ベッド、入浴機器などの「福祉機器(福祉用具)」業界は、2000年の介護保険制度 の発足以降、急速に発展し、次代の成長分野として大きな期待が寄せられています。その背景 として、2つのポイントが挙げられます。一つは、世界に例を見ないほどのスピードで日本の高齢 化が進んでいる点。団塊の世代が後期高齢者(75歳)となる2025年には、高齢者人口が約3,500 万人に達するといわれ、今後、「福祉機器」に対するニーズが高まるのは、まぎれもない事実。市 場の拡大が約束されていると言えます。もう一つは、活発な次世代「福祉機器」の技術開発競争 です。それによって市場が活性化し、これまで“福祉”や“介護”とは無縁のメーカーが相次いで 参入。その結果、より使いやすく、よりデザイン性に富み、そしてより低価格な「福祉機器」が続々 と出回り始めました。 [大和ハウス工業]では、ヒューマンケア事業の一環として、歩行機能をサポートする「ロボットス ーツHAL」や全自動の排泄処理ロボット「マインレット爽」など、“ロボット”技術を活用した数々の 「福祉機器」を開発しています。 ホチキスでお馴染みの[マックス]からは、昨秋、四輪自転車の「クークルM」が発売されました。 形状は三輪車なのですが、前の車軸には2つのタイヤが付いており、後輪の2つと合わせて“四 輪車”というわけです。安定性の高さが売りで、車いす並みの安全基準をクリアしています。ステ ップの高さも、乗り降りしやすいよう、ノンストップバスと同じ27cmに設定。価格は、99,750円。 [ヤマハ発動機]は、車いすに後付けできる電動アシストユニット「JWX-2」を発売(34万3,350円 ~43万500円)。電動アシスト自転車の技術を応用し、手動式車いすの車輪を、モーターを備えた 駆動輪に付け替えるだけで電動化できるシステムです。“電動車いす”のパワーと、“手動車いす ”の軽さ・機動性を併せ持つ「JWシリーズ」は、日本国内より海外への出荷台数が圧倒的に上回 るということです。 電子基板を製造する[エムケー電子]が昨秋発売したのは、ワイヤレス・ボイスレシーバーシス テム「みみもとホン クリア」(4万7,250円)という革新的な補聴器。ヘッドホン型の、耳に入れない集 音器として注目されています。周辺の音を集めるマイクと、音を聞くレシーバーが別々になってお り、話し手の近くに置いたマイクで拾った音声を、無線でレシーバーに送信する仕組みです。 お隣の韓国や中国をはじめ、ほとんどの先進国で高齢化は進み、社会問題となっています。も はや、「福祉機器」の市場は、日本にとどまらず、世界の“高齢者マーケット”へと広がる可能性を 秘めています。 ※参考: 大和ハウス工業 マックス ヤマハ発動機 エムケー電子 日本福祉用具・生活支援用具協会 日経産業新聞(2013年10月23日付) http://www.daiwahouse.co.jp/ http://www.max-ltd.co.jp/ http://www.yamaha-motor.co.jp/ http://mimimotokun.jp/ http://www.jaspa.gr.jp/ ビジネスの情報 2014年1月号 ■歓迎! おひとり様。ニーズにフィット、「ひとり参加限定ツアー」。 連れに気兼ねせず、気ままに旅行を楽しみたいと、いま、国内・海外を問わず「ひとり旅ツアー」 を選ぶ人が増えています。 今回取り上げるのは、文字通り、ひとりきりで行動する“ひとり旅”や“おひとり様でも参加できま す”といったものではなく、あくまでも“ひとり参加限定”が条件のパックツアーに絞ります。 ツアーでのひとり旅と聞くと、グループ客に交じって、ひとり寂しく参加するというイメージがあり ますが、「ひとり参加限定ツアー」なら、参加者全員が“おひとり様”単位なので、従来のパックツ アーのような疎外感はありません。誰かと日程を調整する必要もなく、自分の予定で行きたい時 に行けるのが最大の魅力。しかも(原則として)宿泊はひとり一室、バス席はひとり2席使用可。 このタイプのツアーの先駆け的存在なのが、[クラブツーリズム]。なにしろ、“お友達同士、ご夫 婦での参加はご遠慮いただいております”という、徹底したポリシーを貫いているほど。参加者の 構成比は、50代以上が8割、女性が7割ですが、最近は20~40代の参加も増えているとか。同社 では他にも、“ひとり”と“女性”をフューチャーした「女性限定ひとり旅」やワンランク上の「ひとり 贅沢」といった企画商品も好評です。 [JTBワールドバケーションズ]では、昨秋、ブータンやネパールなど、人気が高い秘境エリアの「 ひとり参加限定ツアー」商品、「ルックJTB eコレクション海外ひとり旅」を発売。今後もひとり旅向 けの商品を充実させる計画です。 一方、“ひとり旅”人気の高まりとともに変わってきたのが、受け入れ側の宿泊施設。つい数年 前まで、旅館のひとり客はワケあり客と見られたり、大人数で泊まってくれた方が利益につなが るといって採算性の面からも敬遠されていました。しかし、大口の団体旅行などが激減したせい で、ひとり客を無視できなくなり、それどころか、今やリピート率の高さもあって、おひとり様は有 望なお得意様として歓迎されるまでになっています。宿泊予約サイトの「一休」や「じゃらん」など でも、「旅館ひとり旅」「ひとり旅歓迎の宿に泊まろう」と、専用ページを展開しています。 今のところは中高年が参加者の中心となっている「ひとり参加限定ツアー」ですが、この旅のカ タチは、“ひとりが好きだけど、ひとりぼっちはイヤ”という、近頃の若者にこそ、ぴったりフィットす るのかもしれません。 ※参考: クラブツーリズム JTBワールドバケーションズ 一休 じゃらん 朝日新聞(2013年9月29日付) http://www.club-t.com/ http://www.jtb.co.jp/ http://www.ikyu.com/ http://www.jalan.net/ ビジネスの情報 2014年1月号 ■アメリカ的生活のシンボル、「ドライブスルー」の日本流進化形。 1930年代にアメリカで生まれた“モータリゼーションの申し子”、「ドライブスルー」。車に乗ったま ま商品や代金の受け渡しができると、雨の日や小さな子供連れには重宝なシステムです。日本 で最初に導入されたのは、東京の「山本海苔店」といわれています。1965年のことでした。 飲食系を中心に発展してきた「ドライブスルー」ですが、ここ数年の間に、様々な変わり種が出 現しています。 [ドライブスルーながくて(長久手)出張所](本店:大垣共立銀行/岐阜県)は、全国で初のドライブ スルー型金融機関。車から降りずに、口座開設・各種届け出などの窓口業務(有人)や、振り込み ・引き出しなどのATM業務を行うことができます。窓口は可動式で、車の大きさや停車位置に合 わせて昇降・幅寄せして、窓口の方から近づいてきてくれます。プライバシーが気になる人は、専 用の電話(PHS)を使って窓を閉めたままでの会話もOK。 免許所持率と女性の運転免許取得率が全国1位という“クルマ王国”群馬県。その前橋市郊外 のショッピングセンター内に、世界初となるドライブスルー形式のメガネ店、[JINS(ジンズ)]がオー プンしました。専用メニューの中から好みのメガネを選び、マイクで注文。車内で試着し、会計を 済ませて、“度なし”の場合はその場で商品を受け取ります。“度付き”の場合は、度数情報を持 参するか使用中のメガネを渡すと約30分で加工、指定された時間に再来店して受け取るという 仕組みです。 また、車に乗ったまま受付に処方せんを提出し、車内で薬剤師の説明を聞いて薬を受け取るこ とができるドライブスルー調剤薬局[ナカジマ薬局]は、北海道を中心に展開中。 院内感染の防止を目的に、医療界では世界初のドライブスルー形式の受付を設けたのは、[杉 村動物クリニック](兵庫県)。 店に入る抵抗感を払拭するためにドライブスルーを導入した質屋、[質ハラダ] (埼玉県)など。 [日本マクドナルド]は、ハンバーガー市場が低迷する中、ドライブスルーに活路を見出そうと、ド ライブスルー併設店の比重を全店舗の45%にまで高めています。 車離れの傾向やガソリン高騰などの逆風的状況下にあっても、「ドライブスルー」の導入は、同 業他店との差別化を図る上で大きな“武器”となることは間違いないようです。 ※参考: 大垣共立銀行 http://www.okb.co.jp/ ジェイアイエヌ http://www.jins-jp.com/ ナカジマ薬局 http://www.nakajima-phar.co.jp/ 杉村動物クリニック http://www.sugimura-animal-clinic.com/ 質ハラダ http://www.7harada.jp/ 日本マクドナルド http://www.mcdonalds.co.jp/ 朝日新聞(2013年9月21日付)
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