コミュニティフォレストリープロジェクトの分析からみえること 1.森林保全と住民インセンティブの両立 プロジェクトでの事例: ① エコツーリズムを生計向上活動の一環として実施 (マレーシア、ボルネオ生物多様性・生態系保全プログラム) ② 短期間で収益が見込める生計向上活動が住民のモチベーションを高める機会と なった。(家畜飼育、果樹栽培等) (カンボジア、森林分野人材育成計画プロジェクト) ・近視眼的なプロジェクト設計にならないこと (お金がもらえれば誰でもうれしい) ・モチベーション向上策は森林保全活動とリンクすること (森林保全活動が実施されない可能性あり) ・住民の意向を鵜呑みするとプロジェクト目標と乖離する危険性も。 (プロジェクト目標・活動内容・スケジュール等も意識したファシリテーションは必 須。) ・プロジェクト参加住民が利益を実感しやすいコンポーネントの導入 Point (活動によるメリットの明確化、インセンティブづけ) ・短期的・中長期的に成果の出る活動の組み合わせ (成果が見えないと住民の意欲が減退する) 2.持続性を強化するためには?コミュニティフォレストリープロジェクトの分析からみえること 技術・普及手法の確立 技術・普及手法の拡大 <受容される技術・普及手法> ①慣習・能力・リソースへの配慮 ②短期・中長期のインセンティブ <財源・物的資源の確保> 持続可能な①資源の供給源 ②活動への資源の投入量 <人材・組織のCD・定着> ①活動・CD拠点の形成 ②人材・組織・業務の安定化 <面的展開> ①面的に拡大する動機づけ ②チャネル構築・制度化 (1) 政策 に対する アプローチ 【制度・政策支援(土地所有制度、コ ミュニティ外からの伐採者対策、マー ケット整備等)】 ①②モデル村落にて公園内違法耕 作を合法化(インドネシア・GHSNP) ②マーケティング支援(インド・タミー ルなど) 【C/Pへの(恒常的な)予算配賦】 ①(面的展開)ネパール政府の 独自予算を活用しつつ、対象地 域がプロジェクト実施中の2郡か ら11郡へ拡大(ネパール・ SABIHAA) 【組織・活動の政策・法的支援】 ①②対象6県における自立発展 性委員会の設置ならびに行動 計画策定(ラオス・FORCOM) 【国家戦略への打込み】 ②政策提言(フィリピン・CBFMP) 【政府関係者への発信】 ①政府関係者が手法の有用性 を理解せず(セネガル・PRODEFI) ①C/Pがフォーラムで社会林業 に関し発信(ケニア・社会林業) (2) 行政組織・ C/P機関 に対する アプローチ 【適正技術の利用とインセンティブ】 ①流域管理に係る技術の現地レベ ルへの適合(ネパール・SABIHAA) ②研修により日常業務に応用可能 な技術を習得できることがインセン ティブに(カンボジア・CBFS) 【C/P機関による活動資源負担】 ①C/P予算がドナー資金に依存。 【普及・モニタリング体制確立】 ①普及センター・モニタリング設 備設立(インド・タミールナド) ②活動を所掌するセクションの 新設・TORの明確化(ケニア・社 会林業) ②C/P機関によるプロジェクトス タッフの正規職員化(パナマ・ PROCAPA) 【活動の組織制度化】 ①②自立発展委員会での行動 計画策定(ラオス・FORCOM) ②既存枠組みへの内部化を通 じた成果の制度化(ラオス・ FORCOM) ②住民活動の制度的な保証(イ ンドネシア・GHSNP) (3) コミュニ ティー に対する アプローチ 【慣習・土地所有への配慮】 ①村人を研修講師とし、水平伝播が 難しい村落の住民全員に対するト レーニング(セネガル・PRODEFI) 【森林・活動による便益の実感】 ②換金性の高い苗木生産、果樹植 林(ケニア・社会林業)、REDD+(ラオ ス・PAREDD)、薪炭材・輪番放牧・有 機農業やMF・グリーンキャンペーン との連携(エチオピア・ラスタ郡) ②参加型学習のプロセス(ケニア・社 会林業) 【住民が供給するメカニズム】 【ローカルリソースの活用】 ①溜池等の受益者負担システ ムの構築(研修による維持)(エ チオピア・ラリベラ) ①苗木を住民が用意(インドネシ ア・GHSNP) ②リボルビングシステム(ラオ ス・FORCOM、インド・タミールナ ド) 【住民グループのルール制定 (活動規則・モニタリング制度・ 利益配分等)】 ①②共同組合を住民自身が運 営(インドネシア・GHSNP) ①建設した作業小屋・見張り台 が住民グループの拠点となり活 動を促進(フィリピン・CBFMP) ②年次末に住民自己評価の実 施(ネパール・SABIHAA) ②森林局とのCF同意書の締結 (カンボジア・CBFS) 【対象村落外への発信】 ①②同様の問題を抱える他の 住民グループとの交流・相互学 習の機会を作る。(インドネシア・ GHSNP) ②プロジェクトHPの現地住民か らのアクセス(ケニア・社会林業) (4) 他ドナー等 に対する アプローチ 【現地ドナーの技術の活用】 ②森林局が雇用したNGOによる生計 向上活動における技術的支援(イン ド・タミールナド) 【外部ソースの活用】 ①NGOの継続的原材料提供・生 産物購入(インド・タミールナド) ①基金や観光庁からの外部資 金獲得(パナマ・アラフエラ) 【活動・研修に関する協定締結】 ②JICA事務所とRECOFTC間で連 携協力協定(MoU)の締結、研 修の提供(カンボジア・CBFS) 【他ドナーへの売り込み】 ②FFSの手法がAfD植林事業に 活用(ケニア・社会林業) ②PRODEFI手法がUNDP/GEF事 業に活用(セネガル・PRODEFI) 治安上、予算執行機関が機能 停止状態。(ネパール・ SABIHAA) ①共有基金を設立し協同組合に 対する融資制度を構築(インド・ タミールナド) 2.持続性を強化するためには?コミュニティフォレストリープロジェクトの分析からみえること 技術・普及手法の確立 技術・普及手法の拡大 <受容される技術・普及手法> ①慣習・能力・リソースへの配慮 ②短期・中長期のインセンティブ <財源・物的資源の確保> 持続可能な①資源の供給源 ②活動への資源の投入量 <人材・組織のCD・定着> ①活動・CD拠点の形成 ②人材・組織・業務の安定化 <面的展開> ①面的に拡大する動機づけ ②チャネル構築・制度化 (1) 政策 に対する アプローチ 【制度・政策支援(土地所有制度、コ ミュニティ外からの伐採者対策、マー ケット整備等)】 ①②モデル村落にて公園内違法耕 作を合法化(インドネシア・GHSNP) ②マーケティング支援(インド・タミー ルなど) 【C/Pへの(恒常的な)予算配賦】 ①(面的展開)ネパール政府の 独自予算を活用しつつ、対象地 域がプロジェクト実施中の2郡か ら11郡へ拡大(ネパール・ SABIHAA) 【組織・活動の政策・法的支援】 ①②対象6県における自立発展 性委員会の設置ならびに行動 計画策定(ラオス・FORCOM) 【国家戦略への打込み】 ②政策提言(フィリピン・CBFMP) 【政府関係者への発信】 ①政府関係者が手法の有用性 を理解せず(セネガル・PRODEFI) ①C/Pがフォーラムで社会林業 に関し発信(ケニア・社会林業) (2) 行政組織・ C/P機関 に対する アプローチ 【適正技術の利用とインセンティブ】 ①流域管理に係る技術の現地レベ ルへの適合(ネパール・SABIHAA) ②研修により日常業務に応用可能 な技術を習得できることがインセン ティブに(カンボジア・CBFS) 【C/P機関による活動資源負担】 ①C/P予算がドナー資金に依存。 【普及・モニタリング体制確立】 ①普及センター・モニタリング設 備設立(インド・タミールナド) ②活動を所掌するセクションの 新設・TORの明確化(ケニア・社 会林業) ②C/P機関によるプロジェクトス タッフの正規職員化(パナマ・ PROCAPA) 【活動の組織制度化】 ①②自立発展委員会での行動 計画策定(ラオス・FORCOM) ②既存枠組みへの内部化を通 じた成果の制度化(ラオス・ FORCOM) ②住民活動の制度的な保証(イ ンドネシア・GHSNP) (3) コミュニ ティー に対する アプローチ 【慣習・土地所有への配慮】 ①村人を研修講師とし、水平伝播が 難しい村落の住民全員に対するト レーニング(セネガル・PRODEFI) 【森林・活動による便益の実感】 ②換金性の高い苗木生産、果樹植 林(ケニア・社会林業)、REDD+(ラオ ス・PAREDD)、薪炭材・輪番放牧・有 機農業やMF・グリーンキャンペーン との連携(エチオピア・ラスタ郡) ②参加型学習のプロセス(ケニア・社 会林業) 【住民が供給するメカニズム】 【ローカルリソースの活用】 ①溜池等の受益者負担システ ムの構築(研修による維持)(エ チオピア・ラリベラ) ①苗木を住民が用意(インドネシ ア・GHSNP) ②リボルビングシステム(ラオ ス・FORCOM、インド・タミールナ ド) 【住民グループのルール制定 (活動規則・モニタリング制度・ 利益配分等)】 ①②共同組合を住民自身が運 営(インドネシア・GHSNP) ①建設した作業小屋・見張り台 が住民グループの拠点となり活 動を促進(フィリピン・CBFMP) ②年次末に住民自己評価の実 施(ネパール・SABIHAA) ②森林局とのCF同意書の締結 (カンボジア・CBFS) 【対象村落外への発信】 ①②同様の問題を抱える他の 住民グループとの交流・相互学 習の機会を作る。(インドネシア・ GHSNP) ②プロジェクトHPの現地住民か らのアクセス(ケニア・社会林業) (4) 他ドナー等 に対する アプローチ 【現地ドナーの技術の活用】 ②森林局が雇用したNGOによる生計 向上活動における技術的支援(イン ド・タミールナド) 【外部ソースの活用】 ①NGOの継続的原材料提供・生 産物購入(インド・タミールナド) ①基金や観光庁からの外部資 金獲得(パナマ・アラフエラ) 【活動・研修に関する協定締結】 ②JICA事務所とRECOFTC間で連 携協力協定(MoU)の締結、研 修の提供(カンボジア・CBFS) 【他ドナーへの売り込み】 ②FFSの手法がAfD植林事業に 活用(ケニア・社会林業) ②PRODEFI手法がUNDP/GEF事 業に活用(セネガル・PRODEFI) 治安上、予算執行機関が機能 停止状態。(ネパール・ SABIHAA) 2.持続性を強化するためには?コミュニティフォレストリープロジェクトの分析からみえること 技術・普及手法の確立 技術・普及手法の拡大 <受容される技術・普及手法> ①慣習・能力・リソースへの配慮 ②短期・中長期のインセンティブ <財源・物的資源の確保> 持続可能な①資源の供給源 ②活動への資源の投入量 <人材・組織のCD・定着> ①活動・CD拠点の形成 ②人材・組織・業務の安定化 (1) 政策 に対する アプローチ 【制度・政策支援(土地所有制度、コ ミュニティ外からの伐採者対策、マー ケット整備等)】 【C/Pへの(恒常的な)予算配賦】 【組織・活動の政策・法的支援】 【国家戦略への打込み】 ①自立発展性委員会を通じた 県・郡レベルでの活動予算の確 保 ①②自立発展性委員会での行 動計画策定 【政府関係者への発信】 (2) 行政組織・ C/P機関 に対する アプローチ 【適正技術の利用とインセンティブ】 【C/P機関による活動資源負担】 【普及・モニタリング体制確立】 【活動の組織制度化】 ①C/P機関が設立間もないため プロジェクト活動に集中的に従 事 ②普及担当員に対する技術研 修実施 ②プロジェクトで構築した普及シ ステムを、既存の普及枠組みへ の内部化し、成果を制度化 (3) コミュニ ティー に対する アプローチ 【慣習・土地所有への配慮】 【住民が供給するメカニズム】 【ローカルリソースの活用】 【住民グループのルール制定 (活動規則・モニタリング制度・ 利益配分等)】 【対象村落外への発信】 【森林・活動による便益の実感】 ②リボルビングシステム (4) 他ドナー等 に対する アプローチ 【現地機関・他ドナーの技術の活用】 ①住民グループの組織化 ②住民グループ自らが活動計 画を策定 ②豚・ヤギ飼育、魚の養殖、アグロ フォレストリー、果樹栽培の実施。特 に短期間での資本回収可能な養豚 の収入が効果的であった。但し焼畑 抑制へのインパクトは不明。 ①スイスの支援により整備された普 及システムを応用 ①農林業研究局との連携 <面的展開> ①面的に拡大する動機づけ ②チャネル構築・制度化 【外部ソースの活用】 【活動・研修に関する協定締結】 【他ドナーへの売り込み】 2.持続性を強化するためには?コミュニティフォレストリープロジェクトの分析からみえること ■ 持続性の確保に向けたバランスのとれたデザインの必要性 見落としがちな視点 - 技術・普及手法面 住民による水平伝播を前提とした成果の普及が実現しない可能性 - 財源・物的資源の確保 プロジェクト予算以外の財源を確保する仕組み構築 限られた投入を有効活用できる回転資金等の仕組み構築 - 人材・組織のCD・定着 活動の順応的管理を可能とするプラットフォームの整備 - 面的展開 早期から発信・連携の機会について確認し、戦略を立案する必要 ■ Question 導入したメカニズムが機能しなくなるケース 相手国の法令・制度に関する要件に対処するのは困難か (土地所有制度・外部者による違法伐採対策) コミュニティフォレストリープロジェクトの分析からみえること 3.課題と提言 1) 住民参加について 森林保全活動は住民の短期的インセンティブと繋がりにくい →森林保全と住民のインセンティブとの組み合わせ 生計向上支援、REDD+等 →林産物・農産物の販売を活動に組み込む場合、 マーケティングが必要 土地所有/利用の権限が不明確な場合、森林保全によるメ リットを住民が享受しにくい →土地所有/利用の権利の確認と明確化 コミュニティフォレストリープロジェクトの分析からみえること 3.課題と提言 2) 実施体制について 実施機関(森林局、林業局など)の体制が脆弱 →行政支援に依存しない体制作り →実施機関以外の関連部局との連携強化 3) 自立発展性について 森林保全は成果が出るまでに時間がかかる →長期的な協力の実施 →中央政府関係者への打ち込み →国家政策・開発計画との関連性強化 4) その他 他国プロジェクトへの成果の展開
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