中学部2年生徒が絵カードを ヒントにして平仮名文字カー ドを読む指導 1 指導目標 【長期目標】 提示された平仮名文字カード22語 を読むことができる。 「うま」 「えんぴつ」「きつ ね」 「くつ」 「すいか」 「たまご」 「とけい」 「もも」 「やま」「ゆき」「りんご」 「にんじん」 +短期目標10語 【短期目標】 提示された平仮名文字カード10語 を読むことができる。 「あり」 「いぬ」「おに」 「かさ」 「せみ」 「てぶくろ」 「ふうせん」「ほん」 「みかん」 「めがね」 2 標的行動 提示された平仮名文字カード10語 を読むことができる。 「あり」 「いぬ」「おに」 「かさ」 「せみ」 「てぶくろ」 「ふうせん」「ほん」 「みかん」 「めがね」 3 現状のABC分析 課題学習 の時間 目の前に 教員あり 教師が提示 する平仮名 文字カード あり これは? 平仮名文 字カード を読む 「ブッブウー ざんねん」 (↓) 文字カードの 読み方がわか らない(↓) 「そう」 (↑) 文字カードの 読み方を教え てくれる (↑) 4 4 解決策のABC分析 課題学習の 時間 目の前に 教員あり 絵がついて ステップ1 いる平仮名 カードあり スップ1 音声手本あ り 言えた! 平仮名 文字 カードを 読む 「そう、すご い」 ステップ1 「そう、じょ うず」(↑) 平仮名の読み 方を教えてく れる(↑) 5 方法 【対象児】 Aさん(支援学校中学部2年生 男子) 知的障害 太田のStageⅡ、 S-M社会生活能力検査SA3歳3ヶ月 【指導場面】 課題学習 【般化場面】 人が変わっても同じ平仮名文字カードを読むことができる、 【教材】 ・名刺大の平仮名文字カード(単語はくもんのひらがな表 に絵がある単語を使った) ・名刺大の絵カード(絵はくもんのひらがな表の絵をカ ラーコピーして貼ったものを使った) 6 手続き(1) 【プレテスト1】 (1)課題の時間、対面で名刺大の平仮名文字カード(裏に 約2センチ角の絵カード貼付)46語のうち46語を 「あり」 からあ・い・う・え・お順に「にんじん」ま で 、Aさんの目の高さで提示し、「これは?」と声かけ をする。 (2)平仮名文字カードを読むことができた時も、5秒以上 読むことができなかった時も「はい」と言い、次の平仮 名文字カードを提示する。 7 手続き(2) 【プレテスト2 翌日】 (1) 「今日は分からない時にヒントがでます」と始め に言ってから、対面で名刺大の平仮名文字カード(裏 に約2センチ角の絵カード貼付)46語のうち46語 を「あり」 からあ・い・う・え・お順に、Aさんの 目の高さで提示し、「これは?」と声かけをする。 (2)平仮名文字カードを読むことができた時は「は い」 と言って、次の平仮名文字カードを提示する。 (3)3秒以上読むことができなかった時は「ヒントで す」と言ってカードを裏返し絵を見せて、「これ は?」と声かけをする。 (4)3秒以内に文字カードの正解を読む事ができた時 は「そう○○ね」と正解を反復し,次の平仮名文字 カードを提示する。 (5)3秒以上文字カードを読む事ができなかった時は, 「そう○○ね」と指導者がカードの正解読みを教示し, 8 手続き(3) 【プレテスト2】で絵を見て単語を言うことができた10 語の平仮名文字カードについて指導を行うことにした。 【ベースライン】 (1)課題の時間、対面で平仮名文字カード(裏に約2セ ンチ角の絵カード貼付)10枚をランダムに、Aさん の目の高さで提示し、「これは?」と声かけをする。 (2)平仮名文字カードを読むことができた時も、5秒以 上読むことができなかった時も「はい」と言い、次の 平仮名文字カードを提示する。 9 手続き(4) 【ステップ1】 (1) 右下に約2センチ角の絵が貼付された平仮名文字 カード10枚をランダムに、Aさんの目の高さで提示し、 「これは、○○」と教示し、音声模倣を促す。Aさんが 「○○ 」と言うことができれば「そう、すごい」 「そう、 じょうず」と褒める。 (2)平仮名文字カードを10枚をランダムにAさんの目 の高さで提示し「これは?」と声かけをする。 (3)平仮名文字カードを読むことができた時は「そう、 すごい」と褒める。3秒以上読むことができなかった時は 「これは、○○」と教示し、音声模倣を促す。 【般化】別の指導者が行う。 指導者役を別の教師が行う。他の手続きはステップ1の (2)(3)と同じ。 10 記録方法 Aさんが平仮名文字カードの提示で読むこ とができた時は○、読むことができなかっ た時と誤答の時は×にした。 正答率は 正解の数÷10問×100で算出した。 11 達成基準・中止基準 達成基準 正答率70%以上が5回連続 中止基準 正答率60%以下が3回連続 12 結果(1) 般化問題 文 字 カ ー ド 読 み の 正 答 率 ( % ) 介 入 1 日付 13 結果(2) ベースライン期に「かさ」 「ほん」は文字カー ドを読む行動が自発した。 ステップ1の1/28の教示により、その日に「あ り」 「いぬ」 「おに」の平仮名文字カード3 語を新たに読むことができ、ベースライン期の 2語も維持されていた。 2回目の1/29の教示により、新たに「せみ」 「みかん」 の平仮名文字カード2語を読むこと ができ、前日までの5語も維持されていた。 14 結果(3) 4回目の2/4の教示により、新たに「めがね」 「てぶくろ」 の平仮名文字カード2語を読むこ とができ、前回までの7語も維持されていた。 7回目の2/14の教示により、新たに「ふうせん 」 の平仮名文字カードを読むことができ、前回 までの7語も維持されており目標を達成した。 般化場面では、教師が変わっても10語 の平仮名文字カードを読むことができ、 般化が確認された。 15 考察(1) Aさんは、絵カードを見て音声を言う関 係が成立しやすく、それが文字カードを 見て音声を言う学習にも、1回の練習で 転移する強みが確認された。 絵カードは平仮名読みの手がかりとして効果 的であった。 今後の課題は、刺激等価性の強みを用い て平仮名の1文字カードと音声の読みの 指導方法を検討したい。 16
© Copyright 2024 ExpyDoc