9割4分を原発に依存していることが分かる

現代社会の電力事情
ー発表用資料ー
土屋研究会 ‘06年春学期 中間報告
環境情報学部4年 祖父江 塁
今後どれくらい電力の消費が予想されるの?
<IT化で増える電力消費>
東京電力の販売電力量はこの10年間
で約1.3倍に増加しているが、今後も民
生部門におけるIT化の進展に伴い、電
力消費の伸びが予想される。
殊情報通信関連の電力需要も平成22
年には全国で年間3268億kWhになると
見込まれている。
[情報通信システムの電力需要予想]
*http:www.chijihon.metro.tokyo.jp/jiti/siryousitu/koikitekikadai/PDF/15energy.pdfより引用。
原子力依存体質
最大電力
(億kW)
供給力
(億kW)
予備率
2005年
1.725
1.945
0.12
2014年(試算)
1.893
2.101
0.11
10年後(当時)の伸びを考えると・・・
供給力は2.101-1.945=0.156 ・・・1560万kW増の見込み。
2014年までに原発を11基建設・稼動させて1472万kWの供給を見込んでいること
を鑑みると、その伸びを9割4分を原発に依存していることが分かる。
→原発が建設できないと予備率は0.02、即ち2%という危機を迎える!
* 文部科学省『原子力百科』(http://mext-atm.jst.go.jp/atomica/01030409_1.html)。
原子力発電の経済性
1kWhあたりの発電コスト
平成11年に通商産業省資源エネルギー庁が発表した試算によれば、1kWhあたりの発電コストは以下の通り。
原子力 5.9円
LNG火力 6.4円
石炭火力 6.5円
石油火力10.2円
水力 13.6円
出典:総合エネルギー調査会原子力部会(第70回)資料3:原子力発電の経済性について(平成11年12月)
1kWhあたりの二酸化炭素排出量
原子力 22グラム
水力 11グラム
LNG火力 608グラム
石油火力 742グラム
石炭火力 975グラム
出典:(財)電力中央研究所「ライフサイクルCO2排出量による原子力発電技術の評価」研究報告:Y01006(平成13年8月)
発電所建設費の例
原子力 泊発電所3号機 約2900億円 91.2万kW(出力)平成20年10月運転開始
水力 神流川発電所 5250億円 270万kW(最大出力)1997年5月工事開始、2011年7月工事完了予定
天然ガス 市原発電所 約100億円 11万kW (出力)平成16年10月運転開始
石炭 敦賀火力発電所2号機 1275億円 70万kW(出力) 平成12年9月運転開始
•ウィキペディア『原子力』(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB)。
原子力発電にまつわる言説
- 圧倒的な発電力
・同一の燃料投入量において最多の発電量。
- 原発はクリーンである
・火力発電所では出てしまう温暖化の原因となるCO2や、硫黄・窒素酸化物を放出しない。
- 原発は安全である
・チェルノブイリ事故での放射線被曝による死者は実質50名以下。
(歴史上他に放射線が原因で死亡した例は東海村JCO臨界事故以外ない。)
・石炭火力発電所よりも放射線を出さない。
・・・でも嫌なものは嫌!!
何が“自由”になるのか?
東京電力が基幹システム
となってしまっている配電以
外の「発電」と「供給」に市場
原理が導入される。(民間業
者の参入が自由化される。)
[電力事業における機能]
*図版は矢島正之『電力改革再考』(東洋経済新報社、2004年)p3
より引用。
おいしくない“パンケーキ”問題
←つくる(発電)
←送る(卸供給)
←配る(分配・配電)
←また送る(小売供給)
←またまた送るかも?(小売供給)
←ここまで来るのにおなかいっぱいやぁ~
(中間マージンの大量発生)
“パンケーキ問題”とは通常“マージンの増加”のような経済問題を指すが、
北米大停電以降は“セキュティリスクの増加”という文脈で語られるように
なってきた。→ICT部門においてもセキュリティリスクが増えるのでは?
進まぬ自由化と電力供給モデル設計の難しさ
-パンケーキ式リスクへの不安
-最大負荷を考慮する設計
“National Security”*
-“不連続”が許されない設計
という位置づけ
-対立構造
・Geek vs Wonk vs Opinion
・Wonk vs Wonk
・垂直構造 vs 水平構造
*経済産業省。