メディア研究会121回 2003.7.23 21世紀の出版社、書店、図書館 を考える ひつじ書房 松本功 [email protected] www.hituzi.co.jp/ 21世紀の出版 copyright 松本功@ ひつじ書房 1 ひつじ書房って? 1961年2月生まれ 1990年独立 1994年『フィクションの機構』をDTPで作成、電子版をNiftyで発売。 1995年ホームページ開設 1996年『ネチケット』翻訳 1997年書評ホームページ開設 1998年投げ銭システム提唱、シンポジウム開催、電子書籍ソフトT-Time発売。 1999年『ルネッサンスパブリッシャー宣言』発行、言語学出版社フォーラム開設 2000年進化する図書館の会、シンポジウム開催、ビジネス支援図書館推進協 議会開設 2001年NPO法人市民コンピュータコミュニケーション研究会理事就任、東京大 学社会情報研究所非常勤講師「出版社の作り方」 2003年『図書新聞』に書評特区開始。 21世紀の出版 copyright 松本功@ ひつじ書房 2 出版って? 私の結論 21世紀のインディーズ出版 ネオ・インディペンデント・パブリッシャー 情報社会の再構築 出版・編集の再発見 21世紀の出版 copyright 松本功@ ひつじ書房 3 目次 1 2 3 4 5 6 現状————出版社や流通の仕組み 立場————スモールメディア 本の特質を振り返る 目的——市民メディア 手段——情報のエコシステム 未来 21世紀の出版 copyright 松本功@ ひつじ書房 4 出版の現状 『だれが「本」を殺すのか?』佐野眞一 マスコミ、エンターテインメント系が中心であ る大手出版社の流通システム インディ書籍の流通は、その中に寄生 21世紀の出版 copyright 松本功@ ひつじ書房 5 出版流通の中心 売り上げ 出版社500社で90パーセント弱 上位5社 23.4% 495社 64.3% 501〜1000 7.5% トーハンの売り上げ比率 雑誌・コミック 54.8% 書籍 38.2% マルチメディア 7% 21世紀の出版 copyright 松本功@ ひつじ書房 6 大手出版社のための流通 インディは隙間 インディの出版社も活躍することが可能な素地 があり、これが、出版の自由や思想の自由を支 えている(た?) ひつじ書房の刊行部数 500部〜2000部 年間の売り上げは、5500万円 21世紀の出版 copyright 松本功@ ひつじ書房 7 出版業界の数 4391社(年間に新刊を出す3700社 5冊以 上1500社) 取り次ぎ業界 5000人強 書店(25673店 平成9商業統計表) 図書館業界(専任の司書 15276人) 学校関係(小中高教員数88万5000人) 大学(教員数16.8万人) 21世紀の出版 copyright 松本功@ ひつじ書房 8 出版流通の仕組み 出版社 ↓ 取次店(トーハン、日販、大阪屋など) ↓ 書店(リブロ、ジュンク堂など) ↓ 読者 21世紀の出版 copyright 松本功@ ひつじ書房 9 出版社 ↓ 広告、ダイレクトメール、書評、書店営業 メールマガジン、ホームページでの告知 ↓ ↓ 読者 書店(見込み発注) ↓ 書店 ↓ 取次店(トーハン、日販、大阪屋など) ↓ 書店(リブロ、ジュンク堂など) ↓ 読者 21世紀の出版 copyright 松本功@ ひつじ書房 10 見込み生産・流通 著者の見込み 出版社の見込み (取次の見込み) 書店の見込み 書店は返品可能で、出版社がほとんど全 ての責任を負う仕組み 21世紀の出版 copyright 松本功@ ひつじ書房 11 なぜ成り立ってきたか? 上位下達の情報構造(プロダクトアウト) 知識欲(書物欲)(消費者の欠乏感) 再生産の技術の独占 クリエイティブなコンテンツを支えるサブシス テム 21世紀の出版 copyright 松本功@ ひつじ書房 12 情報・コンテンツの特異性 普通の商品とは違う 情報・コンテンツは値段が付けられない クリエイティブなモノと生産物は違う 洗濯機やテレビ受像器、電話、車などなど とは全く違う 21世紀の出版 copyright 松本功@ ひつじ書房 13 特異性に気がつかない結果 産業支援の方法ではクリエイティブの支援 は不可能 デジタルコンテンツ支援策の失敗 クリエイティブなプロデューサーや編集者 が介在しなければ無理 21世紀の出版 copyright 松本功@ ひつじ書房 14 レコード会社のプロデュースのアウトソー シングは、レコードメーカーにはプロデュー スができないということの現れ このままではコンテンツの「産業」の立ち上 がりは無理 そもそもインダストリーという発想が無理 21世紀の出版 copyright 松本功@ ひつじ書房 15 直接支援よりも間接支援を! 支えるさまざまなシステムが必要 メタ情報(レビュー・ 書誌・アクセス) 決済 著作権処理・資金繰り プロモーション アーカイブ 21世紀の出版 copyright 松本功@ ひつじ書房 16 サブシステムとしてのレビュー リスクを作り手が負うという仕組みはクリエ イティブなプロダクトの仕組み 小さな出版社は、実験台 新しい著者を見つける機能。 書評などのレビューメディア プロモーションを自前で行ってくれる仕組 みがアウトソーシングされている 21世紀の出版 copyright 松本功@ ひつじ書房 17 1 2 3 4 5 6 現状————出版社や流通の仕組み 立場————スモールメディア 本の特質を振り返る 目的——市民メディア 手段——情報のエコシステム 未来 21世紀の出版 copyright 松本功@ ひつじ書房 18 スモールメディアとして 少部数から 一冊の本を作るコストは、ローコスト 読者志向 広告主や広告代理店に依存しない 知のパイロット 21世紀の出版 copyright 松本功@ ひつじ書房 19 インディーズの役割 大手出版社は、半歩先 インディーズは、5歩先 先進性は、マーケット自体を作る マスセールスの出版から、著者の思いをア クセレートする機能への移行。 21世紀の出版 copyright 松本功@ ひつじ書房 20 著者と出版社の関係が変わる 読者が、消費者化 消費者化した読者を相手にする大手出版 社 小さな出版社の役割 発信者になる予言者を支援する 21世紀の出版 copyright 松本功@ ひつじ書房 21 読者=著者、コミュニティ 書き手の気持ちを形にする 純粋読者が未開拓 出版社と著者(グループ)とのリスクとリ ターンの分担の仕方について 21世紀の出版 copyright 松本功@ ひつじ書房 22 ブックファンド 自費出版(文芸社など) 刊行委員会方式(ひつじ書房) 出資組合方式(批評空間) ブックファンド企画方式(英治出版) 21世紀の出版 copyright 松本功@ ひつじ書房 23 1 2 3 4 5 6 現状————出版社や流通の仕組み 立場————スモールメディア 本の特質を振り返る 目的——市民メディア 手段——情報のエコシステム 未来 21世紀の出版 copyright 松本功@ ひつじ書房 24 情報カオス時代 情報過多時代 1950年以前=1950〜1980 1日のトラフィック=米議会図書館×305 情報過小 「対話の研究」→105件 必要な情報が生産されていない 21世紀の出版 copyright 松本功@ ひつじ書房 25 本の特質 検索可能な蓄積が可能 時代を超えて参照できる 言論を公共化する出発点 知識と編集の経済化=投げ銭 21世紀の出版 copyright 松本功@ ひつじ書房 26 1 2 3 4 5 6 現状————出版社や流通の仕組み 立場————スモールメディア 本の特質を振り返る 目的——市民メディア 手段——情報のエコシステム 未来 21世紀の出版 copyright 松本功@ ひつじ書房 27 市民のニーズへ プロダクトアウトからマーケットイン マーケットインから、シーズインへ 知識を作り出すためのコーディネイター 21世紀の出版 copyright 松本功@ ひつじ書房 28 市民メディアへ 情報への新しい考え 情報によって何かを生み出し 情報の生成にコミットする発信者 サブシステムの必要性! 21世紀の出版 copyright 松本功@ ひつじ書房 29 1 2 3 4 5 6 現状————出版社や流通の仕組み 立場————スモールメディア 本の特質を振り返る 目的——市民メディア 手段——情報のエコシステム 未来 21世紀の出版 copyright 松本功@ ひつじ書房 30 出版・図書館の新しい機能 図書館の機能を情報支援型に変える 進化する図書館の会 出版社の機能を市民知の発見、連携、促 進、活性化の機能に変える 情報の生態系 21世紀の出版 copyright 松本功@ ひつじ書房 31 公共図書館の現状 1960年代の成長モデル 郊外型・消費型 子供へのサービス重視 ビジネスパーソンへの視点の不在 予算の削減 21世紀の出版 copyright 松本功@ ひつじ書房 32 支援型図書館 進化する図書館 ビジネス支援図書館推進協議会 シンポジウムの成功 浦安、小平、竹の塚、広島、静岡 骨太の方針 21世紀の出版 copyright 松本功@ ひつじ書房 33 投げ銭システム OCPL paypal honor system viva ボランティアネット 21世紀の出版 copyright 松本功@ ひつじ書房 34 ネオ・インディペンデント・パブ リッシャー 情報の分散的な生成 小さなニーズに対応 萌芽的な思考の孵卵器、伝播器、保存器、 経済システム 萌芽的な考えを持っている人への支援 21世紀の出版 copyright 松本功@ ひつじ書房 35 編集という技能の再発見 酵素 媒介 ファシリテター コーディネーター 21世紀の出版 copyright 松本功@ ひつじ書房 36 1 2 3 4 5 6 現状————出版社や流通の仕組み 立場————スモールメディア 本の特質を振り返る 目的——市民メディア 手段——情報のエコシステム 未来 21世紀の出版 copyright 松本功@ ひつじ書房 37 出版・編集の機能の再構築 NPOや組織、市民社会に提供する 出版・編集の技能の発見と提供 出版・編集の技能の研修プログラム 出版・編集の技能ワークショップ 新しい編集読本の作成 21世紀の出版 copyright 松本功@ ひつじ書房 38 新しい産業と呼ぶべきか? Post Industry 新しい社会企業の誕生 ひつじの力だけでは不足 議論自体の公共化 21世紀の出版 copyright 松本功@ ひつじ書房 39 NIP研究会 出版研究会へのお誘い 『Getting Into Print』読書会 ひつじサロン開催(7月25日6時45分〜) 21世紀の出版 copyright 松本功@ ひつじ書房 40
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