声質、歌声

音声の個人性
 発声器官のサイズの違いによるもの
口の大きさと声帯の大きさ
 発話の仕方の違いによりもの
アクセント
口の動かし方
声質(声帯の振動様式の違い)
男女のホルマント周波数
母音5角形
唇
声道長
声帯
男性と女性のホンルマント周波数の違いは声道(声帯から
唇までの口の中)の長さの違いによる.
もし、口の形が相似的であるとすれば、
男性のF/女性のF=女性声道長/男性声道長
口の形態の年齢変化
口の形態は年齢とともに相似的に大きくなるのではなく、
相対的に喉頭が下がる形で大きくなる
平均的声道長 17.5cm
男女のピッチ周波数
声帯の大きさの違いは、声の高さの違いに現れる.
ピッチ周波数 f0 は声帯の質量(重さ)を M 、声帯
の緊張力を K すると
f0 
K
M
成人男性: 80-150Hz
成人女性:200-350Hz
子供:
300-800Hz
声の高さを変更
声の高さを変更するだけでは、男声、女声の変換はできない
男声:
元の声
低い声
高い声
女声:
元の声
低い声
高い声
腹話術の声質
通常発声
か
き
く
け
腹話術発声
こ
か
き
く
け
「あ」と「お」の高い周波数のスペクトルに差
こ
声帯長の年齢変化
年齢による声の高さの変化は、声帯サイズの変化が原因
変声
声帯が大きくなると、同じ声の高さを保つためより声帯筋を緊張させる
ある段階で、緊張させることをやめ、元の緊張度に戻ると声が低くなる
男性では1オクターブの変化
変声後
変声中
変声前
女性では変化しない
声質
声帯振動の違いが主要因
 声の大きさ
 声の高さ
 声帯振動様式
声の大きさとスペクトル
強い発声
強い発声
弱い発声
スペクトルの高域が異なる
弱い発声
声の大きさと声帯振動
強い声では、OQが小でSQが小.弱い声では、OQが大でSQが大
声帯振動と音声スペクトルの関係
声の大きさが小さくなる
1kHz以上のスペクトルに
深い谷が生じる
さまざまな声質
スペクトルの傾き
と高調波成分に
違いが見れる
地声
ささやき声
嗄声
裏声
さまざまな声質
地声
喉つめ声
笑い声
通常発話
笑い声
声帯のファイバースコープ観察
歌声のしくみ
歌声発声と音声発声
 呼気量
安静時 100ml/秒
発声時 300ml/秒
歌唱時 600ml/秒
 声門下圧(肺圧)
発声時 8cmH2O
歌唱時 ~20, 30 H2O
歌唱時では、声門下圧を用いて声の高さを調整する
声門下圧と音声パワーの関係
声区
地声
輪状甲状筋と甲状披烈筋でピッチを調整
声門の閉鎖区間が長く、倍音に富む音
裏声
主に輪状甲状筋でピッチを調整
声門の閉鎖区間が短く、倍音に乏しい音
声種
バス、バリトン、テノール、アルト、ソプラノ
声域(声の高さ)より音色(声道の共鳴特性)と関連
Singing Formant
2.5~3kHz付近のスペクトルに広めの山が現れる
音声
歌声
なぜSinging Formantが有効なの
か
オーケストラ音のスペクトルの弱い周波数に歌声の
Singing Formant成分が現れ、声が通るようになる
同時マスキング
純音より雑音の
パワーが20dB
大きいため
マスキーよりマスカー
の周波数が低い方
がマスキングされや
すい
20dB
80dBSPL
どのようにしてSinging Formantを作るの
か
ボイストレーナーの指示
「喉頭を下げなさい」
喉頭管
喉頭が下がると喉頭寄りの咽頭部が
広がる
また、喉頭蓋によって喉頭管の出口
が狭まる
したがって、喉頭管が閉じた管になる
どうしてSinging Formantが現れるか
喉頭管
声帯
咽頭以降の声道
約3cm
喉頭管の1/4波長共振は、
34000cm/sec÷(4×3cm)=2500Hz
Singing Formantとなる
ホルマント周波数と倍音周波数
音声
音声スペクトル
声道
共振特性
声帯音源スペクトル
(調波成分、ハーモニックス)
声帯
肺
ホルマント周波数を倍音周波数の関係
(ソプラノ歌手)
6f0
4f0
f0
2f0
7f0
各倍音の周波数が
ホルマント周波数と一致
5f0
3f0
ビブラートはピッチ周波数が
約5Hzで揺らぐことでおこる
ホルマント周波数を倍音周波数の関係
(テノール歌手)
なぜホルマント周波数を倍音周
波数に一致させるのか
 歌声のパワーを最大限に高める
 ホルマント周波数よりピッチ周波数が高いと、
パワーが減少してしまう
(母音/a/でソプラノ歌声の場合)
ソプラノ歌手はどのようしてホルマント
周波数を倍音周波数に一致させるのか
声道断面積関数
顎を開くと第1ホルマント周波数が
上がる(声道の摂動理論より)
対数声道断面積関数を フ ーリ エ余弦級数展開し たと き 、

ln A( x)   Ck cos  k
x
0x
k 0
一様断面積関数のホ ルマン ト 周波数の摂動は、 次式で表さ れる
 Fi
1
  C2 m 1 (m  1, 2,......)
Fi
2
ホ ルマン ト 周波数は、 奇数次の余弦成分にのみ関係し 、
偶数次の余弦成分に関係し ない。
すなわち声道長の中心に対し て対称な断面積変形は、
ホ ルマン ト 周波数を 変化さ せない
4.5
4
3.5
3
2.5
2
1.5
1
0.5
0
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
1.2
フーリエ余弦成分
1.5
1
0.5
0
-0.5
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
1.2
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
1.2
-1
-1.5
1.5
1
0.5
0
-0.5
-1
-1.5
ソプラノ歌手の発声時の顎の開き
/heed/
/who’d/
声が高くなる (顎が開く)