英国民投票後の国際経済・金融

ご参考資料
2016年6月27日
英国民投票後の国際経済・金融
図1:英ポンドとユーロの対米ドル為替レート
ポイント① 金融危機は回避へ
6月23日の英国の国民投票で欧州連合(EU)からの
離脱票が過半数を占めたことで、国際政治・経済・金融情
勢の行方は極めて不透明になっています。
市場にとって予想外の結果であったため、為替や株価は
急変動し、金融機関などに米ドルを中心に資金不足が生
じる懸念があります。2008年のリーマン・ショックを連想させ
ますが、当時は国際的な金融機関の破たんで信用リスクが
発生したため金融取引が止まり、金融危機が一気に拡がり
ました。しかし、今回は金融機関の信用問題に端を発して
いるわけではありません。各国中央銀行が、十分に流動性
を市場に供給すれば、金融危機は回避されるでしょう。
期間:2016年1月1日~2016年6月24日、日次
(米ドル/英ポンド)
1.16
1.48
1.14
1.44
1.12
1.40
1.10
こうした懸念から、企業投資や銀行融資が慎重になったり、
国際的な資金フローが滞るなどして、世界的に景気が減退
する懸念があります。それに対応して英国やユーロ圏、その
他欧州諸国では金融緩和が行なわれる公算が高まり、米
国でも追加利上げの可能性が大きく後退したようです。
ポイント③ 円高リスクへの対応
短期的対応として各国中央銀行が米ドルを中心に資金
供給を行なうと、円が米ドルに対して上昇しやすくなるでしょ
う。
中長期的には、世界的に金融緩和が持続、強化される
中で、日本では追加緩和の余地が狭まりつつあることも円
高リスクを高めそうです。
円売り為替介入や、円高による景気悪化に対応した補
正予算を含む景気対策など政府の対応が注目されます。
重要
イベント
6月28、29日
7月1日
7月8日
EU首脳会議
6月調査日銀短観
米国雇用統計(6月)
米ドル/英ポンド(左軸)
1.36
1.32
米ドル/ユーロ(右軸)
16/1
16/2
16/3
16/4
16/5
16/6
1.08
1.06
(年/月)
(出所)Bloombergデータより野村アセットマネジメント作成
ポイント② 中期的不透明感から景気減退の懸念
今回の問題は、中期的な不透明感を招くことの方が懸念
されます。英国とEUの離脱交渉の難航、スコットランドの分
離独立、他のEU諸国のEU懐疑派の伸長、EUの弱体化、
欧州以外の地域を含めた反グローバル・反権威主義の台
頭など、様々な影響が考えられます。
(米ドル/ユーロ)
1.52
図2:世界経済成長率とその見通し
期間:1980年~2017年、年次
(前年比、%)
10
新興・発展途上国
8
世界
先進国
6
4
2
0
-2
-4
1980
1986
1992
1998
2004
2010
2016
(年)
(出所)IMFデータより野村アセットマネジメント作成
(注)2016年・2017年は4月時点のIMF見通し
図3:円と日本株
(円/米ドル)
期間:2016年1月1日~2016年6月27日、日次
122
(円)
19,500
円/米ドル(左軸)
118
18,500
日経225株価(右軸)
114
17,500
110
16,500
106
15,500
102
98
16/1
16/2
16/3
16/4
16/5
16/6
14,500
(年/月)
(出所) Bloombergデータより野村アセットマネジメント作成
(注)6月27日は、前場終了後
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