消えにくい「頑固なシミ」の形成要因を発見、第41回日本香

News Release
2016 年 6 月 29 日
消えにくい「頑固なシミ」の形成要因を発見
線維芽細胞がメラニンを取り込み、真皮炎症を誘発
~未解明分野の「真皮のシミ」について独自研究、第 41 回日本香粧品学会で発表~
株式会社ナリス化粧品(代表者:村岡弘義 本社:大阪市福島区)は、改善が難しいとされる真皮のシミ形
成要因について研究を進めたところ、線維芽細胞がメラニンを細胞内に取り込むことによって、複数の炎症を
誘発するタンパク質が作りだされることを発見しました。一部のシミでは真皮に炎症状態が確認されているこ
とから、コラーゲンなどの真皮成分の生成を司る線維芽細胞が、実はシミの発生にも関与している可能性があ
ることを見出しました。
当社は、これらの研究結果を 6 月 9 日(木)~10 日(金)に開催された第 41 回日本香粧品学会で発表しまし
た。
■研究の背景
~未だ実態が解明されていない「真皮のシミ」に着目~
一般的な美白研究では、
「新陳代謝を促進することで過剰に
作られた表皮のメラニンを排出させる」または「メラニン生
成の指令信号をブロックする」といった、表皮のメラニンに
アプローチすることが主流です。しかしながら、一部の肝斑
や、後天性メラノサイトーシスでは、真皮にもメラニンが確
認されており、これまでの美白アプローチでは改善が困難で
した。さらに真皮では表皮のように迅速な新陳代謝が行われ
ないため、真皮中のメラニンは長い間排出されず、消えにく
いシミ(頑固なシミ)になってしまうと考えられています。これ
らの事実から、当社は、美白技術のさらなる前進を図るため
に、今までほとんどアプローチされてこなかった頑固なシミ
である「真皮のシミ」に着目し、研究に取り組みました。
■研究内容
~線維芽細胞のメラニンを取り込む行動が、炎症物質を誘引~
近年の研究で、真皮の線維芽細胞が、表皮細胞と同じようにメラニンを取り込む機能があることが明らかにな
っています。当社は、この線維芽細胞の行動がシミ形成に何らかの関係を持っているのではないかと推測し、研
究を進めました。
その結果、メラニンを取り込んだ線維芽細胞は、IL-8、IL-6、CCL-2 など免疫細胞を真皮内に引き寄せるサイ
トカイン類(信号の役割を果たすタンパク質の一種)の発現を大幅に増加させていることを発見しました。(参
考資料参照)。これらのサイトカイン類は、真皮の炎症細胞や血管新生を誘導する因子として知られています。一
方、シミ部位の真皮においても炎症細胞や血管の増加が確認されているため、線維芽細胞のメラニンを取り込む
行動が、シミ部における真皮の炎症状態に関連しているものと推測できます。
今後は、線維芽細胞のメラニンを取り込む行動にアプローチした成分を見出すなど、真皮のシミの予防や改善
メカニズムをさらに解明することで、美白分野において他社にない独自のソリューションの確立を図ります。
~参考資料~
■研究データ
メラニン取り込み後の線維芽細胞におけるサイトカイン類発現の変動
結果
線維芽細胞のメラニン取り込みにより、IL-8、CCL-2、IL-6 の発現量は増加していた。
以上