株式会社ジェイテクト「操舵力補助装置のトルクセンサ故障時制御」

株式会社ジェイテクト「操舵力補助装置のトルクセンサ故障時制御」
(特許5617937)
①発明・考案・意匠の概要
パワーステアリングは自動車の進行方向を変える機能を有する装置で、運転者が少ない力で操舵できるように
ステアリングホイールを回す力をアシストする動力が装備されている。
モータを駆動源とする電動パワーステアリング装置には、操舵トルクを検出するトルクセンサが備えられてい
る。操舵トルクを安定的にかつ精度良く検出するためには、少なくとも2系統のセンサ信号が必要である。
トルクセンサの異常判定は、2系統信号の出力値比較で行っていたため、どちらか1系統が故障すると残され
た1系統の故障が判定できず、1系統でも故障するとモータアシストを漸減停止させていた。
近年の機能安全対応(ISO26262)や高度運転支援の普及とともに、トルクセンサの故障後もモータアシストを継
続させ、運転者の負担を低減させる故障時制御の開発が求められている。
トルクセンサ1系統故障時に、残された正常なトルク信号を使い、アシストを継続できるトルクセンサ故障時
制御を開発した。
1系統のセンサ信号が故障し、残された1系統のセンサ信号でモータアシストを継続する際には、モータから
瞬発的なトルクを印加させるチェック用のソフトプログラムを作動させ、トルクセンサにその影響を反映させる。
故障検出手段は、この瞬発的なトルクの影響がセンサ信号に反映されない場合にセンサ故障とする。
従来、2系統センサ信号の出力比較にて異常を判定していたが、発明技術では、モータアシスト入力に対する
トルクセンサの出力を比較することで1系統のみでも異常判定が可能になったので、トルクセンサ1系統故障時
にも、アシストを継続することが可能となった。
②発明の技術・デザインの特徴による社会的貢献等
電動パワーステアリングのトルクセンサ故障時にアシストを継続可能にするためには、上述した故障検出技
術が大きな役割を果たす。近年、自動車の安全性と信頼性の両立は、もっとも重要な社会責任である。本技術は、
故障発生時にアシストを継続することにより、運転者に心理的不安を低減できる。また、ソフトウェア変更で対
応できるため、部品追加による故障率を増やすことなく、故障時の安全性を向上できるため、安全性と信頼性の
両立が可能となる。
③セールスポイント等
従来、2系統センサ信号の出力比較にて異常を判定していたが、本発明技術ではモータアシスト入力に対する
出力監視の異常判定から入出力監視を行い、トルクセンサの出力を比較することで1系統のみでも異常判定が可
能になった。
アメリカ、欧州、中国にもグローバルに展開しており、海外への波及効果は極めて大きい。ソフトウェアの発
明のため、ハードウェアの制約が少なく、海外展開が進めやすい。さらに今後、小型車にも全世界で拡販してい
くことにより、全世界で電動パワーステアリングの基本的な機能に位置づけされる。
図1.本発明の特徴部