県内上場企業の15年度業績は、製造業は6期連続、非製造業も2期ぶり

(ちば経済トレンド 7 月号)
県 内 上 場 企 業 の 15 年 度 業 績 は 、製 造 業 は 6 期 連 続 、非 製 造 業 も 2 期 ぶ り の 増 収・増 益 。今 後 は 、
千 葉 県 の 恵 ま れ た 経 営 環 境 を 活 か し つ つ 、ま っ さ ら な 視 点 か ら み た 新 商 品 の 投 入 や 新 規 分 野 参 入
に よ る 需 要 の 掘 り 起 し な ど 、経 営 改 善 に 向 け た 弛 ま ぬ イ ノ ベ ー シ ョ ン で 外 部 環 境 の 変 動 を 乗 り 切
りたい
16 年 度 は 増 収 ・ 増 益 予 想 な が ら も 、 不 透 明 な 市 場 環 境 が 経 営 マ イ ン ド を 慎 重 化 さ せ 、 増 益 幅 は
千年
葉度
県比
内減
の少
上 場 企 業 ( 3 月 決 算 企 業 31 社 < 除 く 金 融 > ) の 15 年 度 決 算 を み る と 、 売 上 高 が 前 年
15
度 比 3.8% 増 、 経 常 利 益 が 同 23.4% 増 と 全 体 と し て は 増 収 ・ 増 益 で あ っ た ( 製 造 業 は 6 期 連 続 、 非
製 造 業 は 2 期 ぶ り )。 ま た 、 円 安 修 正 に よ っ て 経 常 利 益 が 関 連 会 社 等 と の 債 権 債 務 残 高 に 係 る 為 替
差損を受けたのに対して、本業の稼ぐ力を示す営業キャッシュフロー(期末為替相場の影響を受け
な い )は 、同 40.0% 増 と 経 常 利 益 の 伸 び 率 を 上 回 る な ど 資 金 繰 り 面 で も 大 幅 な 改 善 を み た 。も っ と
も、やや仔細にみると、企業・業種ごとの明暗が一層 分かれる結果となっている。
製造業では、積極的に海外市場を開拓するグロ
ーバル企業の躍進が目立つ。キッコーマンや鬼怒
県内上場企業の16年3月期(15年度)決算実績
および17年3月期(16年度)予想
川ゴム工業では、海外部門の売上高がグループ全
上場企業
(31社)
体の過半を占める中、北米やアジア等での販路拡
大が業績に貢献した。また、昭和ホールディング
スでもタイやカンボジアなど東南アジアでの事業
拡大が奏功している。一方、食品でも内需依存型
の企業では、国内消費の伸び悩みで輸入原材料高
の販売価格への転嫁が思うように進まず、計画達
成に苦労した先が多い。
非製造業は、訪日客向けに化粧品・医薬品の拡
販を図る先や電鉄など、インバウンド需要を取り
込む企業(マツモトキヨシホールディングス、京
売上高
16
年
3
月
期
(
15
年
度
実
績
)
成電鉄など)が好業績となった。一方で、オリエ
ン タ ル ラ ン ド が 14 年 度 の TDL で の 人 気 イ ベ ン ト
の反動から小幅減収・減益となったほか、自動車
販売業は消費増税の反動等で販売台数が前年を下
回る中、軒並み減収・減益となった。
千葉県企業を巡る今年度の経営環境は、外需全
体は不芳でも米国市場は拡大を続けるほか、内需
で も 物 流 な ど 大 型 プ ロ ジ ェ ク ト や 2020 年 東 京 五
輪へのインフラ整備本格化など追い風も吹く。現
時 点 で の 16 年 度 の 業 績 予 想 は 、非 製 造 業 が 増 収・
増益計画であるのに対して、製造業は海外経済減
速や為替円高化等を背景に減収見通しと、慎重な
17
年
3
月
期
(
16
年
度
予
想
)
2,750,794
対前年度
増減率
3.8
経常利益
対前年度
増減率
営業CF
対前年度
増減率
売上高
経常利益
対前年度
増減率
824,380
4.1
1,926,414
3.6
284,541
54,513
230,028
23.4
6.3
28.3
341,911
63,670
278,241
40.0
9.4
49.6
2,953,937
対前年度
増減率
(単位:百万円、%)
製造業
非製造業
(15社)
(16社)
7.4
300,322
5.5
814,048
▲ 1.3
57,120
4.8
2,139,889
11.1
243,202
5.7
(注)1.出所:各社の公表資料から、ちばぎん総合研究所にて作成。
2.集計対象は、全国の証券取引所に上場している3月決算企業
(金融を除く)のうち千葉県内に実質的な本社を置いており、前年
度決算と比較可能かつ17年3月期業績見通しを開示している企業
経営計画となっているが、いずれにしても変動が激しい時代の中で県内企業が勝ち残っていくため
には、事業環境変化のスピードが上がっているということを十分に認識したうえで、 まっさらな視
点からみた新商品の投入や新規分野参入による需要の掘り起しと同時に聖域なきコストの削減など、
経 営 改 善 に 向 け た 弛 ま ぬ イ ノ ベ ー シ ョ ン の 努 力 が 欠 か せ な い ( 久 山 )。