エマルジョン法による 高リチウム原子密度先進トリチウム増殖材料球の

エマルジョン法による
高リチウム原子密度先進トリチウム増殖材料球の
製作
仕様書
平成28年6月
国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
核融合エネルギー研究開発部門
六ヶ所核融合研究所
ブランケット研究開発部
増殖機能材料開発グループ
1. 概要
国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(以下、「量研機構」という)は、国際
熱核融合実験炉(ITER)に関連して日本と欧州で核融合エネルギー開発の早期実現を
はかることを目的として行う研究開発である幅広いアプローチ(BA)活動の一環とし
て、先進トリチウム増殖材料(リチウム含有セラミックス)の製造技術開発及び特性評
価を行なっている。
本仕様書は、先進トリチウム増殖材料の研究開発にて行なう、微小球製造技術開発
に必要なエマルジョン法による高リチウム原子密度先進トリチウム増殖材料球の製
作を行うためのものである。
2.実施範囲
2-1.適用範囲
本製作の適用範囲を以下に示す。
(1)高リチウム原子密度先進チタン酸リチウム球の製作
(2)高リチウム原子密度先進チタン酸リチウム球の品質確認試験
(3)製作結果報告書の作成
2-2.適用範囲外
本書に記載の無い事項
3.高リチウム原子密度先進チタン酸リチウム球の作製
これまでのエマルジョン法による先進トリチウム増殖材微小球(Li添加型チタン酸
リチウム(Li 2+x TiO 3+y )の試作試験において、Zr添加型とすることで、Li/Ti比の向上
を図ることが可能となった。しかしながら、目標となるLi 2 Oのリチウム原子密度との
乖離は大きいため、よりLi原子密度を高くする必要がある。そこで、より、Li/Ti比
の高い、高リチウム原子密度チタン酸リチウム球(Li 2 ZrO 3 混合Li 2+x TiO 3+y 微小球)を
製作する。
今回は、Li 添加型チタン酸リチウムの Li/Ti 比を 2.50 以上として、微小球として
安定な Li/Ti 比の最大値を検討する。
3-1.粉末準備
まず、水酸化リチウム(LiOH・H 2 O)とメタチタン酸(H 2 TiO 3 )を原料とし、LiとTiの
比が 2.50 以上となるよう合成した、不純物がなく、単一相で、高純度(>99%)のLi
添加型チタン酸(Li 2+x TiO 3+y )の仮焼粉末を準備する。次に、炭酸リチウム(Li 2 CO 3 )
と二酸化ジルコニウム(ZrO 2 )を原料とし、LiとZrの比が 2.00 となるように合成
した、不純物がなく、単一相で、高純度(>99%)のジルコニウム酸リチウム(Li 2 ZrO 3 )
の仮焼粉末を準備する。そして、Li 2+x TiO 3+y 粉末に 20wt%Li 2 ZrO 3 を混合した粉末を
準備し、高リチウム原子密度先進トリチウム増殖材料球を製作するための始発粉末
とする。
3-2.製作要領
エマルジョン法による高リチウム原子密度先進トリチウム増殖材料、20wt%
Li 2 ZrO 3 混合Li添加型チタン酸リチウム(Li 2+x TiO 3+y )微小球は、製作フロー(図1)
を基準として行う(以下、基準工程という)。
Li添加型チタン酸リチウム(Li 2+x TiO 3+y )粉末、およびLi 2 ZrO 3 粉末を始発粉末と
し、粉末調整工程、造粒工程および焼成工程を最適化することにより、微小球を製
作する。
また、造粒工程に関しては、エマルジョン法(図2)にて、真球度が高く、粒子
径が均一な高原子密度先進トリチウム増殖材料の微小球を製作する。その製法は、
Li添加型チタン酸リチウム(Li 2+x TiO 3+y )粉末原料に、ジルコニウム酸リチウム
(Li 2 ZrO 3 )粉末原料を 20wt%混合した混合粉に、バインダと水を加えてスラリを
作製し、オイルとの表面張力を利用して球状の液滴を生成させ、洗浄・乾燥をおこ
なうことによって、高リチウム原子密度先進トリチウム増殖材料の球状粒子成形体
を得る。
粉末調整
始発原料
LiOH・H2O
H2TiO3
粉末調整
仮焼
仮焼
700~1000℃
仮焼
始発原料
Li2CO3
ZrO2
仮焼
700~1000℃
粉砕
解砕:アルミナ乳鉢
粉砕:ボールミル
造粒
エマルジョン法
脱脂
700℃以上
焼成
雰囲気:大気、減圧、N2、H2 等
1000~1200℃
目的微小球
図.1 エマルジョン法による高リチウム原子密度先進トリチウム増殖材料(20wt%
Li 2 ZrO 3 混合Li添加型チタン酸リチウム(Li 2+x TiO 3+y )
)微小球の作製フロー図
オイル
図2.エマルジョン法による微小球製作の概念図
4.高リチウム原子密度先進トリチウム増殖材料微小球の品質確認試験
以下の7項目の品質確認試験を実施する。
1)外観検査
球の表面を確認する。
2)走査型電子顕微鏡観察(SEM 観察)
製作した微小球に関して SEM 観察を行い、表面の緻密膜の有無、粒内部の気孔
分布、結晶径を観察する。
3)寸法検査
微小球の外径は、任意に試作した球を抽出し、直径の平均径を算出し、粒度分
布を求める。
4)気孔率測定
水銀ポロシメータにより、微小球の気孔率を測定し、焼結性を確認する。
5)Li/Ti 比測定
リチウムセラミックスの始発粉末、成形球及び製作した焼結球の 3 種類につい
て、Li/Ti 比を ICP 分析法等で分析し算出する。
6)圧壊荷重
微小球の圧壊荷重を測定する。
7)結晶構造解析
粉末 X 線回折装置(XRD)等を使用し、リチウムセラミックスの始発粉末、お
よび、製作した焼結球の結晶構造解析を行う。
5.提出書類
(1)工程表
契約後速やかに
3部
要承認
(2)製作試験計画書
製作着手前までに
3部
要承認
(3)中間報告書
12 月末までに
3部
承認不要
(Word 電子ファイル要)
(4)製作報告書
2 月末
3部
承認不要
(Word 電子ファイル要)
6.納入物品
(1)製作微小球
2 月末
100g
承認不要
7.納入場所
青森県上北郡六ヶ所村大字尾駮字表館 2-166
国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 核融合エネルギー研究開発部門
六ヶ所核融合研究所 ブランケット研究開発部 増殖機能材料開発グループ
原型炉 R&D 棟
8.検収条件
製作および評価試験が完了するとともに、製作球の納入、提出書類(試験報告書は
電子ファイルを含む)の提出をもって検収完了とする。
9.納期
平成29年2月28日
10.グリーン購入法の推進
(1) 本契約において、グリーン購入法(国等による環境物品等の調達の推進等に関す
る法律)に適用する環境物品(事務用品、OA機器等)の採用が可能な場合は、こ
れを採用するものとする。
(2) 本仕様に定める提出図書(納入印刷物)については、グリーン購入法の基本方針に
定める「紙類」の基準を満たしたものであること。
11.知的財産権等
(1)知的財産権等
本契約に関して生じる知的財産権の取り扱いについては、別に定める「BA
協定の調達に係る情報及び知的財産に関する特約条項」によるものとする。
(2)技術情報
受注者は、本契約を実施することによって得た技術情報を第三者に開示しよ
うとする際には、あらかじめ書面により量研機構の承認を得なければならない。
また、量研機構が本契約に関し、その目的を達成するため受注者の保有する技
術情報を了解する必要が生じた場合は、量研機構と受注者の協議の上、受注者
は当該技術情報を無償にて量研機構に提供するものとする。
(3)成果の公開
受注者は、本契約にもとづく業務の内容及び成果について、発表もしくは公
開し、または特定の第三者に提供する場合には、予め書面にて量研機構の承認
を得なければならない。
12.特記事項
(イ)量研機構及び受注者は、本契約に関する作業を円滑に進めるために、必要に応
じて打ち合わせを行うものとします。
(ロ)関連規格・基準は日本工業規格とする。
(ハ)本契約にあたり受注者が製造及び関与した製品を輸出や国外に持ち出す場合は、
外国為替及び外国貿易法により規制される可能性があるため、必要に応じた手
続が必要となる場合がある。
(二)本契約に関して疑義が生じた場合には、別途協議の上、量研機構が指示するも
のとする。