琵琶湖博物館の学芸員が 「ふなずし」の歴史に関する書籍を出版しました

資料提供
(県政・南部同時)
提 供 日:平成 28 年(2016 年)6 月 29 日(水)
部
局:琵琶湖環境部
所
属:滋賀県立琵琶湖博物館
担
当:橋本道範
電
話:077-568-4811
E - m a i l:[email protected]
琵琶湖博物館の学芸員が
「ふなずし」の歴史に関する書籍を出版しました
琵琶湖博物館の歴史学担当の学芸員が中心になって、「ふなずし」の歴史を見直す書籍を下
記のとおり出版しました。
この書籍は、琵琶湖博物館の篠原徹館長、橋本道範専門学芸員、渡部圭一学芸技師ら 12 人が
執筆し、サンライズ出版より『再考 ふなずしの歴史』というタイトルで出版されたものです。
これまで滋賀県の「ふなずし」は、ナレズシのもっとも古い形態とされてきました。本書で
はこの通説を大きく見直し、滋賀県の「ふなずし」は琵琶湖地域で江戸時代に独自に発達した
文化であること、滋賀県の「ふなずし」をめぐる文化は、現在も実は多様であることなど、新
たな説を提起しています。
本書の研究成果は、自然と人間との関係の歴史を考える上で重要であり、リニューアル計画
中の常設展示B「湖と1万年 身近な自然とくらしの歴史」(平成 32 年度オープン)でも紹介
していく予定です。
記
○著書名:『再考ふなずしの歴史』(サンライズ出版、2016 年 6 月 20 日刊行)
四六判・全 340 頁、本体価格 2,700 円(税別)
○編著者:橋本道範(琵琶湖博物館・専門学芸員)
○内 容:
・1、民俗的多様性 ひとくちに「ふなずし」といっても多様な製
法があり、漁師の「ふなずし」と農家の「ふなずし」と商売の「ふ
なずし」とは異なります。また、飯漬けに塩をどれだけ入れるの
かについても、漬ける人によってまちまちでした。
・2、歴史的多様性 歴史的にみると、漁期、製造時期、漬け込み
期間、消費時期、漬け込み技術についても多様でした。秋に捕れ
たフナを利用して漬けていたこと、半月程度の漬け込みから三年
程度の漬け込みがあったこと、季語が夏であること、結桶が普及
する以前と以後の発酵が異なるのかどうかなど、多様な論点が提
示されました。
・3、結 論 編者の結論は、私たちが滋賀県の「ふなずし」と考えている「ふなずし」は、恐らく江戸時代
に、近江の人たちが結桶を利用して、発酵に工夫を重ねて独自に発達させたブランド品であり、過去も多様
であったし、今も多様なあり方が工夫され続けている琵琶湖地域独自の文化である、というものです。