“微小重力環境下での結晶成長とエネルギー関連材料の開発” 教授 早川 泰弘(電子材料工学) 1953年生まれ、1978年静岡大学大学院修士課程修了、1978年静岡大学電子工学研究所助手、 1988年工学博士(東京大学)、1988-1990年米国フロリダ大学客員研究員、1991年ブラジル 連邦共和国リオグランデドソル大学客員教授、1993年静岡大学電子工学研究所助教授を経 研究フェロー て2004年教授、2014年インド国スリ・ラマサミー・メモリアル大学客員教授 2016年より第3期研究フェロー 研究概要 多元素から構成される半導体結晶育成技術とナノ結晶合成技術の開発に 取り組んでいます。地上の重力環境下では密度差に起因した対流が発生し、 結晶特性に影響を及ぼします。研究室では、微小重力環境下(日本の落下 塔と航空機、米国スペースシャトル、中国回収衛星、国際宇宙ステーショ ン)で多元素半導体結晶を成長させ、重力や結晶成長面の原子配列の相違 が結晶の溶解過程と成長過程に及ぼす効果を調べています。 エネルギー消費量の増加に伴い、エネルギーを生産する技術の開発は非 常に重要な課題です。クリーンで無尽蔵な太陽光の有効利用は、二酸化炭 素排出量削減や持続可能な低炭素社会実現に不可欠です。研究室では、低 価格、大面積でフレキシブル、カラー化が可能などの特長を有しており、 次世代太陽電池として有望な色素増感太陽電池材料の開発に取り組んでい ます。また、廃熱を有効利用できる熱電素子材料の開発、医療応用のため のバイオイメージング材料の開発や汚染水の浄化に関する研究も行なって います。バルク結晶からナノ結晶に至る様々な結晶の成長機構を解明し、 デバイスに応用することを目指しています。 メッセージ 太陽電池、熱電素子などのデバイスを作製するためには、結晶成長の技術が不可欠です。研究室では、バルク 結晶からナノ結晶に至る様々な結晶の結晶成長技術を開発してきました。宇宙航空研究開発機構とは長年に渡り 共同研究をしており、国際宇宙ステーションなどで結晶成長実験を行う機会を得ています。結晶成長は手間の掛 かる作業ですが、たいへんおもしろく、興味が尽きることはありません。私の研究室には外国人留学生が多数滞 在しています。特に、インド国の研究機関と長年にわたり国際共同研究を実施してきました。静岡大学は国際化 を促進しており、多くの留学生が入学しています。ぜひ、外国人と付き合い、異なった文化に接していただきた いと思います。学生の皆様には、将来海外留学し、視野を広げていただくことを願っています。 【主な研究業績】 受賞歴: 高柳奨励賞(1987) 、斎藤奨励賞(2001)、第27回 高柳記念賞(2013) 、応用物理学会東海支部貢献 賞(2014) 。 外部資金獲得状況: 科学研究費補助金基盤研究(B) 「熱光発電デバイ ス開発のための光電変換用Ⅲ-V族混晶半導体セル の作製」 (2002-2004) 、 「タンデム型熱電セル作製の ための高品質混晶半導体結晶成長と溶質輸送効果 の解明」 (2013-2015) 、科学研究費補助金挑戦的萌 芽「硫化ニッケル電極とコアーシェル構造光半導 体電極を用いた新規色素増感太陽電池開発」 (20162018) 、 JSPS外国人特別研究員奨励費 4件 (1997-1998, 2012-2013, 2014-2015, 2014-2015) 、日本-インド二 国間交流事業共同研究経費(2009-2012)など。 委員等: 科 学 研 究 費 委 員 会 専 門 委 員(2009-2010, 20142015) 、カナダ宇宙局外部審査委員(2005-2006)、 インド国アラガパ大学シラバス検討委員会委員 (2013)、名古屋工業大学電気電子工学科外部評価 enhanced upconversion red emission” 委員(2009-2012)、浜松科学館プラネタリウム専 RSC Advances 6, pp.33569(2016). 門委員会(2013-)。 2) “Growth of InxGa1-xSb alloy semiconductor at the International Space Station(ISS)and 学会等: 日本応用物理学会代議員(2006-2008, 2012-2014) comparison with terrestrial experiments”npj Microgravity 1 pp. 15011(2015) . 評 議 員(2011-2012)、 理 事(2012) 常 務 理 事 3 )“ H i gh p o w e r fa c t o r o f G a - d o p e d (2013)、人材育成委員会委員長(2012-2013)諮 compositionally homogeneous Si0.68Ge0.32 問委員(2014-2015)、日本応用物理学会東海支 部幹事(2009-)企画委員長(2007-2008)、支部 bulk crystal grown by the vertical 長(2009-2011)、日本結晶成長学会評議員(2001temperature gradient freezing method”, 2010, 2013-) 庶 務 理 事(2002-2004)、 日 本 マ イ Crystal Growth & Design 15, pp.1380(2015) . クログラビティー応用学会理事(2004-2008)、結 4 )“ S o l v o t h e r m a l g r o w t h o f h i g h 晶成長国際機構評議員(2004-2007)、日本学術振 surface area mesoporous anatase TiO 2 興会産学協力委員会(2006-)、宇宙環境利用科学 nanospheres and investigation of dyeプロジェクト共同研究委員(2009-)など。 sensitized solar cell properties”, Journal of 著書・論文: Power Sources 242, pp.803(2013). 1 )“ M u l t i - m o d a l i m a g i n g o f H e L a 5 )“ M i c r o g r a v i t y e x p e r i m e n t s o n cells u s i n g a l u m i n e s c e n t Z n S : M n / dissolution and crystallization of InGaSb” N a G d F 4: Y b : E r n a n o c o m p o s i t e w i t h (Transworld Research Network, 2005)など。 Shizuoka University 11
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