2 0 2 0( 平 成 3 2 )年に向けて 産 学 連 携で取り組む新たな挑 戦 2016(平成 28)年、学校法人東洋大学と東京 東信用金庫は産学連携協定を締結。都内の中小企 業との共同研究を推進することとなりました。そ の中核となる事業が、東京五輪に向けた「国産カ ヌー開発プロジェクト」。本学からは理工学部生体 医工学科・望月修教授の研究室が参加し、設計な どを担当しています。 現在、日本のカヌー選手が使用しているのは、 研究室では、水路を用いて空気や水といった流体の中での物体の様子を観察する 実験などが行われている。 カヌー競技先進国である東欧で作られたものが多 く、身体の大きい選手に合わせて作られているた め、日本人には扱いづらいこともあります。そこ 産 学 連 携 プ ロ ジ ェ ク ト 東京五輪に向け 日本人用カヌーの 開発に挑戦 で、日本人向けカヌーを製作するプロジェクトが 立ち上がりました。 望月教授の専門は流体工学とバイオミメティク ス。バイオミメティクスとは聞き慣れない言葉で すが、自然や生物の機能を工業製品に応用する学 問分野のこと。例えば洋服などのマジックテープ も、オナモミという植物が服などにくっつく仕組 みを応用して作られています。望月教授の研究室 ではこれまでにも、バイオミメティクスを応用し た競泳水着の開発などを行ってきました。今回の プロジェクトでは、力強く水をかくカエルの水か き を 応 用 し た パ ド ル や、 川 の 流 れ を 利 用 し た カ ヌーの開発を目指します。 「今までにないものを作ろうとしているので、関 係各所を説得したり、協力者を探したりと、組織 づくりが大変です。それでも、知識や技術の交流 が生まれることは産学双方のメリットになると思 います」と望月教授は話します。 五 輪は大 学と社 会との接 点 五輪は4年に一度の大イベント。「特に自国開 催となればめったにない機会。五輪に携わること Prof ile は、学生にとって社会と関わる貴重な経験になる」 理工学部 生体医工学科 教授 と望月教授は期待を寄せます。 も ち づ き おさむ 望 月修 1982 年北海道大学大学院工 学研究科機械工学第二専攻 博士後期課程修了。博士(工 学 )。 名 古 屋 工 業 大 学、 北 海 道 大 学 で の 勤 務 を 経 て、 2002 年より東洋大学工学部 機能ロボティクス学科教授 に。2009 年より現職。著書 に『オリンピックに勝つ物 理学』 (講談社)などがある。 12 「実際にものづくりの現場を経験してみると、こ れ ま で 得 た 知 識 が ど う 役 立 つ の か を 実 感 できま す。それは我々に限ったことではありません。さ まざまな形で五輪に向けた取り組みに参加するこ とは、大学での学びが社会とどうつながっていく のかを知る、重要なきっかけになるはずです」 東京五輪の開催は、私たちの想像以上に貴重な 財産をもたらしてくれそうです。
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