Gard Alert ナイジェリア – コンフォートレターの文言および用船者LOIに関する進展 こちらは、英文記事「Nigeria – developments on Letter of Comfort wording and charterers’ LOIs」(2016 年 2 月 9 日付)の和訳です。 ナイジェリア国営石油公社はコンフォートレターの文言を修正しま した。 先の Gard Alert1においてナイジェリアの原油タンカー船の入港禁 止措置の状況をお知らせしましたが、その後、ナイジェリア国営石 油公社(Nigerian National Petroleum Corporation [NNPC])は、コ ンフォートレターの文言を修正しました。 修正されたコンフォートレター この修正されたコンフォートレターの文言を読むと、これまでに懸念が生じていた事項には対応されているようです。 しかし、依然として下記の問題は残っています。 コンフォートレターへの署名が求められる者が曖昧である。 コンフォートレターの内容が、ナイジェリア法によって課される内容を大きく上回る可能性がある。 何がコンフォートレターに対する違反行為にあたるのかが不明確である。 コンフォートレターには、違反行為があった場合、当該船舶がナイジェリア法に則った処罰の対象となるよう記さ れているが、どのような処罰が科される可能性があるのか、コンフォートレターによって同国の法律が求める以上 の重い処罰が可能となるのかなど、全く不明である。 一部の用船者は、タンカー船の船主に対して、用船者宛または直接 NNPC 宛でコンフォートレターに署名することを 要求しています。その引き換えとして、用船者から補償状(LOI)が提供される場合もあります。 コンフォートレターの提供はナイジェリアの法律に基づく義務的なものではなく、船主が提出しない場合は他の当事者 が提出することも可能です。明確な契約上の条項が存在しないことから、用船者が船舶に対してコンフォートレター の提出を要求した場合、標準書式の用船契約に基づく有効な employment order と判断される可能性は低いといえ ます。 用船者の要求を拒否する前に、船主は、法的助言を求めるとともに、用船契約の契約条件すべてを精査し、現行 の用船契約に基づく自己の権利・義務について確認しておくようにしてください。 [次頁に続く] 1 Gard Alert「ナイジェリアが原油タンカー船の入港禁止措置を解除か」(2015 年 9 月 18 日付)および「ナイジェリア – 用船者が コンフォートレターを要求」(2015 年 10 月 5 日付 © Gard AS Page 1 of 2 コンフォートレターへの署名と引き換えに用船者から LOI の提供があった場合、船主はその受け取りの諾否にあた り、下記の点を慎重に検討してください。 可能であれば、クレーム請求について、時期や金額面に制約を受けないようにすること。 用船契約の下で本来船主が受け取れるはずの補償金が、LOI によって(増額ではなく)減額されないか十分に 確認すること。 用船者の中には、「クラブ承認済み」のコンフォートレターや LOI 文言という表現を用いる者がいるようですが、 Gard はそのような文言を一切「承認」していません(このあたりの事情は、2015 年 9 月 18 日付の Gard Alert に記載)。Gard では、メンバーの皆様が最大の保護が得られるよう、ケースバイケースで助言を行っています。 提供された助言は、保険カバーに関する限りにおいては、メンバーの皆様をより優位な立場に置くものではありま せん。 LOI があったとしても、コンフォートレターは「違法行為」に関するものであり、その潜在的な責任範囲は予想が難 しいため、カバーの提供を確約することはできません。 推奨事項 修正されたコンフォートレターの文言に改善は見られるものの、依然として問題が残っています。したがって、以下の ことを推奨いたします。 タンカー船の入港禁止措置の理由と、その措置を解除するために船主が取るべき方策については不明なまま です。以前に禁止措置の対象とされたタンカー船の船主は、ナイジェリアへの寄港と、ナイジェリアの排他的経 済水域の航行について最大限に注意してください。 船主は、NNPC 宛のコンフォートレターには署名しないようにしてください。署名要求があった場合は用船者に確 認してください。 INTERTANKO のナイジェリア通商条項(同協会ウェブサイトの会員向けセクションで閲覧可能)の下では用船者 は文書要件を遵守する義務がありますので、同条項の使用を検討してください。 用船者がコンフォートレターの受領について譲らない場合には、2015 年 10 月 5 日付 Gard Alert に掲載した INTERTANKO のモデル文言を使用することを検討してください。 こうした状況に関する標準的な LOI 文言の書式はありません。したがって、LOI を受け入れる前にその内容を慎 重に確認してください。 ナイジェリアで船積みする場合は、あらゆる現地当局への対応と報告に関して細心の注意を払うようにしてくださ い。 船荷証券の数量については引き続き最大限に注意してください。 NNPC またはその他のナイジェリア政府機関から要求された場合には、揚数量および関連書類を提供するよう にしてください。INTERTANKO のナイジェリア通商条項では、荷揚港において揚数量を確認する責任は用船者 に割り当てられています。 Gard では、メンバーの皆様から直接 NNPC にコンフォートレターが発行された事例を認識していません。また、NNPC の命令に関連する罰金、罰則、起訴、拘束等の対象となった事例についても認識していません。 その他の情報については入手次第ご連絡いたします。 ご質問については、応訴保険の担当窓口またはガードジャパン株式会社までお願いいたします。 本情報は一般的な情報提供のみを目的としています。発行時において提供する情報の正確性および品質の保証には細心の注意を払っていますが、Gard は本情報に依拠することによって生じるいか なる種類の損失または損害に対して一切の責任を負いません。 本情報は日本のメンバー、クライアントおよびその他の利害関係者に対するサービスの一環として、ガードジャパン株式会社により英文から和文に翻訳されております。翻訳の正確性については十分な注 意をしておりますが、翻訳された和文は参考上のものであり、すべての点において原文である英文の完全な翻訳であることを証するものではありません。したがって、ガードジャパン株式会社は、原文との 内容の不一致については、一切責任を負いません。翻訳文についてご不明な点などありましたらガードジャパン株式会社までご連絡ください。 © Gard AS Page 2 of 2
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