日本ガイシ株式会社 「Si結合SiC材料を用いたDPF」 (特許4136319) ① 応募 発明等の概要 ディーゼルエンジンから排出される粒子状物質の捕集用フィルター(DPF)に使用するハニカ ム構造体の構成材料として、既存材料の課題を解決できる新たな材料を開発した。本材料はその 特徴的な性状により、耐熱衝撃性の向上が図られる一方で、気孔率細孔径といった細孔特性の制 御が容易である、 というメリットを有しており、 前者のメリットを重視する燃料添加剤再生方式、 後者のメリットを重視する触媒再生方式、というDPFの2つの代表的な再生方式において、そ れぞれメリットを有することにより、本材料を搭載したDPFが市場において広く展開されるこ ととなった。 用途 ② 従来 発明等の課題 と開発ニ ーズ 従来発明等において、DPF向に、耐熱性、耐化学性、を向上させた材料とし てSiCを使うことは、既に公知であったが、SiCは高強度、高熱伝導といっ たメリットがある一方で、ヤング率が高い脆性材料であり、耐熱衝撃性の観点か らは課題があった。また多孔質SiCの代表的材料であった再結晶SiCには、 焼 成 に お い て 2000℃ 以 上 の 高 温 で 焼 成 す る 必 要 が あ る た め に 焼 成 コ ス ト が 高 い 、 その際に粒子表面からSiCが蒸発してネック部に凝縮するという焼結機構ゆえ に、微構造中に空隙が多い高気孔率材料ではネック部の成長が抑制されて気孔率 の効果以上に強度が低下する、フレキシブルな細孔分布の制御は困難、という課 題があった。 ③ 応募発 明 等 の 特 徴 応募発明の新材料は、骨材にSiCを使って、SiCの特徴を活かしながらも、骨材同士 を結合する材料としてヤング率の低い金属Siを使うことで、SiC固有の性質からくる 低耐熱衝撃性の課題を克服した。実際に結合部で応力緩和され、クラックが進展しにくい 材料であることを、水中急冷試験により確認している。 金属Siの融点である 1410℃付近の温度で焼成でき、焼成コストを抑えられる。 結合タイプの多孔質材料であるために、ネック部の強度付与に気孔率は依存せず、各種造 孔材の選択と組み合わせることで、客先ニーズに応じて気孔率、細孔分布を、フレキシブ ルに制御することが可能である。
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