多焦点眼内レンズ検査入門

国内承認かつ使用可能な多焦点IOLの種類
2016年JSCRS
インストラクションコース6
回折型
屈折型
多焦点眼内レンズ検査入門
たなし中村眼科 中村邦彦
藤田眼科 大喜幸恵
井上眼科 竹原弘泰
東京歯科大学水道橋病院 大木伸一
東京歯科大学水道橋病院 田中みちる
モデル
ZKB00
ZLB00
ZMB00
近方加入度数
+2.75D
+3.25D
+4.00D
理論近方焦点距離
50cm
42cm
33cm
HOYA社
iSii®
※屈折型、回折型のどちらも瞳孔径の影響を受ける。
その他の多焦点IOLの種類
(販売中止中)
瞳孔径の年齢による変化
(国内未承認)
(mm)
回折型3焦点
7
瞳孔径
アポダイズ回折型
+3.0D加入
+2.5D加入
+4.0D加入
Alcon社
ReSTOR®
FineVision
Trifocal IOL
6
5
暗室遠方
4
3
明室遠方
2
1
0
明室近方
暗室近方
年齢 (歳)
屈折型多焦点IOLエネルギーバランス
回折型多焦点IOL Tecnis Multifocal®のエネルギーバランス
• 全て同じステップ高の場合、瞳孔径に関らず近方と
遠方それぞれ41%の光エネルギー配分。
1.0
1
Distance
0.8
0.7
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
Near
0.0
1.5
入射光の18%が回折により失われるため、
コントラスト感度低下
0.9
Relative Energy at 550 nm
Fraction Energy
0.9
2.5
3.5
Pupil Dismater (mm)
近方視力が瞳孔径の影響を受けやすい。
4.5
0.8
(コントラスト感度は瞳孔径が影響する。)
0.7
0.6
Distance
0.5
0.4
Near
0.3
0.2
近方視力が瞳孔径に依存しない。
0.1
0
1
2
3
瞳孔径
Pupil Diameter (mm)
4
5
1
屈折型多焦点IOLの特徴
アポダイズ回折型多焦点IOLのエネルギーバランス
100
Relative Energy (%)
80
遠方から中間は良好な視力。さらに瞳孔径が充分
確保されていれば、近方まで良好な見え方。
グレア、ハローは回折型より強いが軽減。
コントラスト感度も良好。

60 Distance

夜間視のコントラスト感度を改善
40

Near
20
0
近方視が瞳孔径依存。3mm程度以上の瞳孔径
が要求されるので、高齢者では近方視が得難い。

1
2
3
4
5
6
瞳孔径(mm)
遠方重視の光エネルギー配分の回折型。
回折型多焦点IOLの特徴
回折型多焦点IOLの特徴
Tecnis Multifocal®
ReSTOR®
+2.5D加入



良好な遠方、近方視力。(遠方、近方が同等)
瞳孔径に関係なく近方視力は良好。
コントラスト感度は屈折型に劣るが改善。



相対的に中間の見にくさを訴えやすい。(+4.0D加入)
 瞳孔径が小さい症例ではコントラスト感度低下が問題とな
りやすい。
光エネルギーが遠方、近方均等配分なので、近方視に不満
を訴えた場合に眼鏡での対処が困難。
+3.0D加入
+4.0D加入
遠方視重視の回折型。
良好な遠方、屈折型よりは良好な近方視力。
夜間のコントラスト感度は屈折型に劣るが改善。

多焦点眼内レンズ検査入門
トーリック多焦点IOL
(販売中止中)
(国内未承認)
 術後の乱視矯正が必要なくな
る。より適応症例が多くなる。
 乱視は軽減されるが、それ以外
はベースの多焦点IOLの性格
がそのまま現れる。
近方視を強く求めるひとには物足りない場合がある。
(近視眼には向かない。)
 +2.5D,+3.0D加入はより中間重視の設計。

多焦点眼内レンズの導入
準備
AcrySof® IQ ReSTOR®
Multifocal Toric IOL
※ベースの多焦点IOLが適応でない症例は
トーリックタイプも適応にならない。
FineVision Toric
Trifocal Toric IOL
2016.6.25 藤田眼科 大喜 幸恵
2
問診用紙
(ビジョンライフ)
緒言
 術後屈折値を決定するための問診表
• 多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術は、遠見および近見 裸眼
 術後屈折値の決定に必要な要因を
視力の向上だけでなく、患者満足度も上げる屈折矯正手術
まとめて記載
• 患者満足度を上げるためには症例選択をきちんと行い、精度の高い
 患者の希望を聞き取り術後屈折値を
検査を行う
決定、術後の見え方について説明
• 多焦点眼内レンズを導入するために準備すべき検査機器、検査項目
 IOLを使用するすべての症例に使用
、症例選択について述べる
 多焦点眼内レンズ導入前のトレーニング
FUJITA EYE CLINIC
FUJITA EYE CLINIC
白内障手術検査項目
準備すべき検査機器
角膜形状解析
(前眼部OCT・トポグラフィー
通常の術前検査
波面収差解析
)

問診(ビジョンライフ)

遠見視力
多焦点眼内レンズ術前検査

角膜曲率半径
 近見視力

角膜形状解析
 中間視力

波面収差解析

角膜内皮細胞
 遠見矯正下の中間・近見視力

眼軸長測定
 コントラスト感度

眼底カメラ

後眼部OCT
+
 両眼視力
光干渉眼軸長測定
後眼部OCT
FUJITA EYE CLINIC
単焦点眼内レンズの術前検査でスキルアップ
眼内レンズ選択にはマルチフォーミュラを使用
正常眼
① 患者の眼鏡装用状況や術後の見え方への希望を確認
短眼軸 スティープ角膜眼
眼軸 21.35mm
角膜屈折力
47.30D
② 術後の屈折ズレを小さくする
③ 術後視力の出にくい方を判別
通常の白内障手術の術前検査でスキルアップ
 各計算式のA定数が最適化されているものを使用
FUJITA EYE CLINIC
 通常はSRK/T式を使用し各計算式の差がある場合は調整
3
両眼手術と片眼手術症例の
近見満足度
術後1ヶ月の裸眼視力
平均視力
平均視力
0.83 n=97例 0.86 n=71例
両眼手術症例 97例
平均年齢 61.6±12.3才
6例6%
100%
80%
遠見裸眼視力
近見裸眼視力
両眼近見裸眼視力
0.82
19例
27%
23例
32%
0.97
40%
39例
40%
20%
 遠見視力に比べ近見視力は低下
とても不満
不満
普通
29例
30%
60%
1.08
8例11%
23例
24%
満足
とても満足
21例
30%
0%
 両眼の加算効果で近見視力は向上
両眼手術症例
FUJITA EYE CLINIC
FUJITA EYE CLINIC
まとめ
70才未満と70才以上の
近見裸眼視力の経過
70才未満群:平均年齢 55.2±12.9才 n=206
70才以上群:平均年齢 74.6±4.3才 n=45

ビジョンライフできちんと患者の希望を聞き取る

角膜形状解析装置、波面収差解析装置、光干渉
眼軸長測定装置、後眼部OCTの導入が望ましい
1.0
0.9
0.85
0.88
0.86
不正乱視、緑内障、黄斑疾患などを見極め、術後

70才未満
0.8
0.7
片眼手術症例
導入当初は片眼手術症例は避ける
0.72
0.71
0.69
視力が出にくい症例は適応からはずす
70才以上
0.6

単焦点眼内レンズの術前検査でスキルアップする

眼内レンズ度数決定には複数の計算式を用いる

導入当初は片眼症例や高齢者は避ける
0.5
0.4
1W
1M
3M
導入当初は高齢者は避ける
FUJITA EYE CLINIC
FUJITA EYE CLINIC
The 31st Annual Meeting of the Japanese Society of Cataract and Refractive Surgery
当院の多焦点眼内レンズ術前検査
• 視力・屈折(遠方)
IC6 「多焦点眼内レンズ検査入門 ~術前検査~」
• 角膜曲率半径、角膜形状解析 (眼内レンズ度数計算、トーリックIOLの適応、角膜高次収差)
• 波面収差解析 (収差、涙液の安定性)
• 眼軸長(光干渉式、超音波式)
井上眼科 竹原 弘泰
• OCT (眼底疾患の有無)
• 角膜厚、角膜内皮細胞
1. 眼内レンズ球面度数の選択
• ドライアイ検査(tear film break-up time、Shirmer testⅠ法)
• 瞳孔径
• 上眼瞼形状
2. 多焦点眼内レンズの術前検査と適応
• アンケート、問診
場合により、
3. トーリック多焦点眼内レンズのモデル選択
• ハンフリー視野検査(中心10度)
INOUE
• 中心フリッカー検査
EYE
CLINIC
4
1. 眼内レンズ球面度数の選択
2. 多焦点IOLの術前検査と適応
角膜高次収差(角膜形状解析、波面収差解析)
術後屈折誤差は裸眼視力に大きく影響し、患者の強い不満となる。
検査データの精度向上が必要
術前角膜高次収差と術後矯正視力(n=408
)
選択のコツ
1. 角膜曲率半径
・ 測定原理の異なる機器で測定値を比較する
① プラチド式
*
・ 術後屈折誤差が続く時は定数の確認をする
② Scheimpflug式
・ 複数の計算式を併用する
③ 光干渉式
**
(当院ではSRK-T式 とHaigis式)
2. 眼軸長
① 光干渉式 (再現性・精度が高い。白内障の程度により測定不能な症例あり)
② 超音波式 (再現性は劣るが全症例で測定可能。測定精度の向上のために全症例で実施)
3. IOL定数の最適化
① SRK-T式 A定数:50眼以上
KR-1WのIOL セレクションマップ
② Haigis式 a0(IOL):75眼以上, a1(ACD)0.4,a2(AL)0.1:200眼以上で最適化を推奨
比嘉利沙子,眼軸長測定と眼内レンズ度数計算,あたらしい眼科,2015.
光学式と超音波式では定数は異なる。IOL Master®(光干渉式)の場合はUser Group for Laser
Interference Biometry(ULIB)の定数を参考にして、症例数が集まれば最適化を行い定数の確認を行う。
角膜高次収差による適応
・ 当院ではKR-1W(Topcon)で評価
・ 適応:0.3㎛以下
・ 適応外:0.6㎛以上
・ 0.3~0.6㎛では加齢による高次収差の
増加も考慮し、適応外としている
瞳孔径測定
術前角膜高次収差
Kruskal Wallis test Scheffe
*p<0.05**p<0.01
竹原弘泰,多焦点眼内レンズの術前検査,
眼科グラフィック,2016.
瞳孔径による適応
代表的な瞳孔径測定機器
機種名
タイプ
測定眼
表示される
瞳孔径値
明所
遠方
FP-10000Ⅱ
(テイエムアイ)
開放型
片眼
実瞳孔
〇
KR-1W
(トプコン)
開放型
片眼
見かけ上
〇
WAM-5500
(シギヤ精機
製作所)
開放型
両眼
見かけ上
〇
プロシオンP3000
(HAAG-STREIT)
閉鎖型
両眼
見かけ上
〇
イリスコーダ
デュアル
(浜松ホトニクス)
閉鎖型
両眼
見かけ上
〇
*
暗所
近用
〇
遠方
〇
〇
〇
〇
当院で適応
近用
〇
〇
 回折型 ・・ 瞳孔径に依存しない ⇒
2.5m以上
 屈折型 ・・ 3.0mm以上
3.5mm以上
⇒
 瞳孔径が2mmより小さいと回折現象により視力低下が起こる
魚里 博, ピンホール視力と調節麻痺薬点眼後の視力, 眼科診療プラクティス,1994.
〇
 白内障手術により1割程度、瞳孔径が減少する
Hayashi K,et al,Pupil size before and after phacoemulsification in nondiabetic
and diabetic patients, J Cataract Refract Surg,2004.
〇
〇
 加齢と共に瞳孔径は小さくなる
*初期設定は実瞳孔径(角膜屈折率1.13で換算)
見かけ上の瞳孔径に設定の変更可
Nakmura K,et al,Pupil sizes in different Japanese age groups and the implications for
intraocular lens choice,J Cataract Refract Surg,2009.
竹原弘泰,多焦点眼内レンズの術前検査,眼科グラフィック,2016.
3. トーリック多焦点IOL(ReSTOR®Toric)のモデル選択
眼瞼下垂の有無
眼瞼下垂と上方視野の関係
ノントーリックIOL挿入群での術後自覚乱視と
各機器の乱視度数と軸との相関
相関係数
MRD(mm)
当院でのモデル選択
ReSTOR®TORIC(多焦点トーリック)
平均上方視野(°)
モデル
適応例
適応外例
測定機器:KR-1W
上眼瞼を挙上せず、患者にも自然
開瞼を促して測定する。
<0.5
10.0±4.7(中央値:8.7)
~1.0
19.4±4.5(中央値:18.3)
~1.5
23.4±6.6(中央値:25.7)
~2.0
27.0±5.5(中央値:27.8)
~2.5
31.4±3.1(中央値:30.1)
~3.0
38.5±3.5(中央値:38.3)
~3.5
40.4±5.2(中央値:40.3)
3.5<
45.7±4.6(中央値:46.0)
小手川泰枝 他,眼瞼下垂におけるMargin Reflex Distanceと
上方視野と瞳孔との関係,あたらしい眼科,2011.
眼瞼下垂により入射光量の低下とともにコントラスト
感度は低下する。上眼瞼が瞳孔上縁にかかっている
場合は適応外としている。
乱視軸
当院ノモグラム
円柱度数 推奨角膜乱視
矯正範囲
(角膜面)
直乱視
倒乱視
測定機器
乱視度数
ケラトメータ
0.529*
0.944
*
SND1T3
1.03D
0.79D1.29D未満
1.50D2.00D
0.75D1.49D
Keratometoric
Power (CASIA)
0.437*
0.918*
SND1T4
1.55D
1.29D1.81D未満
2.01D2.50D
1.50D1.99D
Real Power
(CASIA)
0.684*
0.920
Sagittal Curvature
Front
(Pentacam®)
SND1T5
2.06D
0.924*
1.81D2.33D未満
2.51D3.00D
2.00D2.49D
0.415
True Net Power
(Pentacam®)
0.557*
0.853*
SND1T6
2.57D
2.33D2.83D未満
3.01D3.75D
2.50D3.00D
*
* : p<0.0001, Spearman’s rank correlation coefficient (n=77)
井上 康,乱視矯正眼内レンズにおける
度数決定のコツ,眼科グラフィック,2015.
角膜乱視はケラトメータ値を基準とし、角膜後面乱視を考慮
のうえ、直乱視症例は1.5D以上、倒乱視症例は0.75D以上を
適応としている。
5
アンケート・問診









年齢
患者のライフスタイル
眼鏡の依存度
元々の屈折(強度近視の患者は近見が見えにくくなる可能性を説明)
職業(運転手やVDT作業など主な作業距離や作業時の明るさ、
色彩が必要な職種など)
多焦点IOLの欠点(コントラスト感度の低下、ハロー・グレアなど)が納得できるか
性格(極端な心配性、神経質、多焦点IOLに対して過度な期待をもつ患者は
適応外)
身長(手の長さによって作業距離がかわる)
肢体や知的のハンディキャップの有無
(自分で眼鏡の掛け外しができない患者は適応)
術前検査データと問診から得られた情報を基に、多焦点IOLの適応を判断し、
患者に合ったレンズ(回折型または屈折型、トーリック、加入度数)
を選択する。
まとめ
患者の多焦点IOLに対する見え方への要求度は高い
正しく症例選択を行えば、高い患者満足度が得られる。
そのためには、術前検査の精度向上とデータを読み取る力が
必要となる。
日頃から得られた術後データより傾向を把握し、
術前検査に活かすように心がける。
視力測定の前に
 挿入されている眼内レンズによって視力検査が変わってくる
多焦点眼内レンズ挿入眼の
視力検査
検査をする前に
眼内レンズの種類を確認
視力検査
屈折検査
角膜曲率半径検査
 挿入されている眼内レンズが分かるように工夫する
東京歯科大学水道橋病院眼科
大木伸一
手術日2015年
左眼PEA+IOL ZMB00
カルテにIOLシールを貼
る
視力検査の手順
眼内レンズの種類を確認
屈折検査、角膜曲率半径検査
遠方視力検査
多焦点用の検査用紙
画像管理システムの
手術管理画面
遠方視力
屈折検査と角膜曲率検査を参考にする
⇒通常の視力検査と同様
返答のスピードが遅くなる症例がある
⇒コントラスト感度の低下
手術直後視力の出にくい症例がある
⇒1カ月から半年で慣れるように視力が上がる例が多い
近方視力検査
必要時に検査
中間視力、眼鏡検査など
遠方は完全矯正を目指す
⇒近見視力で遠方矯正下の近方視力を測定するため
診察
6
近方視力
近方視力表の選定
近方視力は裸眼、遠方矯正下、近方矯正の3種類を測定
挿入されているレンズによって近方視力表を変える
ZMB00
SN6AD3
ZLB00
SN6AD1
加入度数
+3.25D
+3.0D
加入度数
+4.0D
通常は2つあるうちの近方焦点で視力を評価する
遠方の焦点でも近方視力が測定できるので注意する
30cm視力表
ZKB00
SV
40cm視力表
加入度数
+2.75D
+2.5D
50cm視力表
近方の焦点で近方視力を評価する
近方視力
中間視力
中間視力は遠方焦点と近方焦点2種類で測定可能
視力表 裸眼視力
ZMB00
SN6AD3
30cm
視力表
平均0.7
ZLB00
SN6AD1
40cm
視力表
平均0.7
ZKB00
SV25T0
50cm
視力表
平均0.6
~0.7
矯正視力
最良距離
遠方矯正
30~35cm
or+0.5D加入
遠方矯正
通常は遠方焦点で測定⇒過矯正になってしまうため
遠方矯正下に下記のレンズを加える
ZMB00 (+4.0D)
SN6AD3(+4.0D)
1m
40cm
Add
遠方矯正
50cm
ZLB00(+3.25D)
SN6AD(+3.0D)
50 cm
1m
50 cm
Add
遠方焦点測定
+1.0D
+2.0D
遠方焦点測定 +1.0D
+2.0D
近方焦点測定
-2.0D
-1.0D
近方焦点測定
-1.5D
-0.5D
中間視力
ZKB00(+2.75D) SV25T0(+2.5)
遠方焦点測定
近方焦点測定
Add
1m
50 cm
+1.0D
+2.0
-1.0D
遠方矯正下
SV25T0は回折第1ゾーンが屈折型であるため、
遠方の焦点が優位になるレンズ設計
多焦点眼内レンズの
特殊検査
東京歯科大学水道橋病院眼科
田中みちる
7
通常検査
多焦点眼内レンズ挿入眼の特殊検査
 屈折検査・角膜曲率検査・眼圧検査
 遠方視力検査
 近方視力検査 SN6AD3・ZMB00⇒30cm視力表
SN6AD1・ZLB00⇒40cm視力表
SV25T0・ZKB00⇒50cm視力表
1. 眼鏡検査⇒近方や中間が見えづらい時に検査
2. コントラスト感度⇒視力が出づらい時に検査
3. 眼内レンズ挿入角度(多焦点トーリック眼内レンズ)
⇒自覚視力、角膜形状解析、スリットフォト
特殊検査
必要時に行う検査
各レンズの特徴と眼鏡処方
SN6AD3
ZMB00
SN6AD1
ZLB00
SV25T0
ZKB00
パソコン、譜面
など
遠方から
日常生活
30~35cm
40cm
50cm
中間 3.6%
中間 0%
中間0%
ライフスタイル 読書、裁縫など
近方最適距離
眼鏡処方
眼鏡常時装用
近用 3.6%
近用 15.6%
近用60%
0%
0%
0%
多焦点眼内レンズでの眼鏡処方は?
① 遠方眼鏡
度数ずれや乱視の矯正
② 中間眼鏡
 SN6AD3・ZMB00
遠方と35cm前後に焦点があるため中間を見たい時に必要
③ 近方眼鏡
 SN6AD1・ZLB00回折型多焦点眼内レンズ
 SV25T0・ZKB00回折型多焦点眼内レンズ
遠方と40cmもしくは50cmに焦点があるため、
30cm前後を長時間見る時に必要
中間眼鏡ポイント
普段は使わないが、PCなど中間距離を見たい時に
使用する。
太い
縞
遠方矯正に+1.0Dから+1.5Dを加入
近方眼鏡ポイント
多焦点眼内レンズ挿入眼で、より近方を
見たい時に作製。
普段は使わないが、裁縫など、細かな作業時に使用
する。
コントラスト
多焦点眼内レンズ挿入眼で中間をもっと見たい時に
作製。
コントラスト感度
細い
濃い コントラスト 薄い
太い
縞
低周波数
細い
高周波数
 縞がある方を答えてもらう。
 縞が太い低周波数、細い高周波数
遠方矯正に+2.5Dから+3.5Dを加入
8
眼内レンズ挿入角度
眼内レンズ挿入角度
トーリック眼内レンズ挿入後
他覚屈折値、自覚的屈折値、角膜曲率半径
<R>
mm
R1
8.06
R2
D
deg
<R>
41.87 180
7.60
44.41
AVG 7.83
43.10
CYL
-2.54
90
180
S
C
A
-2.99 -0.23
173 8
-2.98 -0.24
178 9
-2.97 -0.26
172 8
<-2.98 -0.24
173>
V.d.=0.2(1.5×-2.75D)
 角膜曲率半径と自覚、他覚的屈折値の値が違う
 トーリック眼内レンズの効果の判断材料
スリットランプ
波面収差
解析装置
スリットランプでおおよそのレンズの位置が確認
できる
ウェーブフロントアナライザーで角膜、内部、眼
球の各乱視が測定できる
9