プラスチックス表面に機能性セラミック薄膜を 作製するための湿式成膜技術 関西大学 化学生命工学部、ORDIST 幸塚 広光 Hiromitsu KOZUKA 電話: 06-6368-1121 内線5865 電子メール: [email protected] URL: http://www.kumse.kansai-u.ac.jp/LABHPFILE/ceramics/top.htm プラスチックス表面への酸化物結晶薄膜(=セラミック薄膜)の成膜 とくにフレキシブル電子デバイスの分野での要求が高い 酸化物結晶薄膜 (セラミック薄膜) プラスチックス上ITO薄膜およびZnO 薄膜 - フラットパネルディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、 有機太陽電池などにおける電極として プラスチックス - 赤外線反射膜として - デフロスターにおける加熱層として プラスチックス上TiO2薄膜 - 光反射膜として プラスチックス上Al2O3薄膜 - フレキシブル電子デバイスや有機発光 ダイオードのガス拡散防止層として http://news.uns.purdue.edu/x/200 8b/080723AlamFlexible.html http://www.engadget.com/2008/12/0 8/hp-and-asu-demo-bendableunbreakable-electronic-displays/ 既存技術の大半は 「気相法」 Atoms or molecules Metal oxide (Thin film) Plastics Plastics 基材: 成膜過程で加熱しない、あるいは室温付近の温度に保持 (基材であるプラスチックスに変形や熱分解を招かないようにするため) XANES さらなる後処理が必要である場合あり (結晶化を促進させるため) Z.M. Zhang, G. Triani, L.J. Fan, J. Mater. Res., 23, 2472 (2008) Atomic layer depositionにより作製された TiO2 薄膜 に120oCでの水熱処理を施すことにより結晶化を促進 ゾル-ゲル法 ゾル 焼 成 500~900oC ゲル膜 基 板 基 板 ゾル 加水分解 OC3H7 Ti C 3H7O OC3H7 Ti OC 3H7 + H2O C2H5O OC3H7 アルコキシド OH + C 3H7OH OC3H7 水 脱水縮合 OC3H7 OC3H7 Ti C 3H7O OH + OC 3H7 Ti HO OC 3H7 OC 3H7 Ti OC3H7 O OC3H7 Ti C 3H7O O OC 3H7 OC3H7 OC3H7 + H2O セラミック膜 ゾル-ゲル法によってプラスチックス上にセラミック薄膜を......... ディップ コーティング 結晶膜 ゲル膜 ゾル プラスチック基材 ゾル スピン コーティング 基 材 プラスチック基材 焼成する? 本 提 案 結晶化(と緻密化)を達成するために、ゲル膜を焼成してしまう プラスチックス基材 プラスチックス基材 接着剤 ↓↓↓↓↓↓↓ 酸化物結晶薄膜 Si(100) Si(100) 耐熱性基板上で ゲル膜を焼成する (結晶化、緻密化のために) プラスチックス基材 接着剤 Si(100) 酸化物結晶薄膜 ↓↓↓↓↓↓↓ 接着剤 Si(100) 接着剤を使って、結晶化した膜をプラスチック基材上に転写 できるわけがない: (i) セラミック膜は基板と密着している (ii) 転写時に亀裂が発生するはず 転写を可能とするための剥離層 プラスチックス基材 プラスチックス基材 接着剤 ↓↓↓↓↓↓↓ 酸化物結晶薄膜 プラスチックス基材 接着剤 酸化物結晶薄膜 ↓↓↓↓↓↓↓ 接着剤 剥離層 剥離層 剥離層 剥離層 Si(100) Si(100) Si(100) Si(100) ( CH 2CH ) n N O TiO2薄膜をセロハン粘着テープ上に転写 C2H5OH Ti(OC3H7i)4 : H2O : HNO3 : C2H5OH = 1 : 1 : 0.2 : 20 (mol) C2H5OH Ti(OC3H7i)4 H2O conc. HNO3 コーティング液 - スピンコーティング PVP/Si(100)基材上、8000 rpm PVP/Si(100)上TiO2ゲル膜 5oC/minで500oCまで昇温し、 TiO2 PVP 10 min保持 Si(100) PVP熱分解膜/Si(100)上 TiO2結晶薄膜 セロハン粘着テープ - 転写(剥離) TiO2 セロハン粘着テープ (プラスチックス基材) PVP熱分解膜 セロハン粘着テープ上 TiO2結晶薄膜 Si(100) TiO2 転写時に亀裂が発生 引張 セロハンテープ TiO2 PVP熱分解膜 Si(100) 剥離方向 4 mm 2 mm 剥離前 剥離後 曲げ 曲げと引張を避けるために厚いプラスチックス板を使う ポリカーボネート基板 厚さ 0.5 mm PVP (fired) Si(100) Araldite (接着剤) ポリカーボネート基板 TiO2 結晶薄膜 TiO2 結晶薄膜 ポリカーボネート基板 TiO2 結晶薄膜 ポリカーボネート基板 Araldite TiO2 (fired) PVP (fired) セロハン粘着テープ ポリカーボネート 基板 剥離層熱分解生成物(褐色)を除去 Polycarbonate 0.5 mm 転写時の亀裂発生を防ぐことができた C2H5OH/ Ti(OC3H7i)4= 30, 8000 rpm, 5oC/min, 500oC TiO2 ポリカーボネート板上に作製したTiO2結晶薄膜 100 100 PC substrate 80 反射率 (%) 透過率 (%) 80 TiO2 film on Epoclear/PC 60 40 TiO2 film on Araldite/PC TiO2 film on Araldite/PC 60 TiO2 film on Epoclear/PC 40 20 20 PC 0 300 400 500 600 波長 / nm 700 800 0 300 400 500 600 700 800 波長 / nm ポリカーボネート表面に 高い反射率を 付与することができた ある程度は曲げることができる TiO2 TiO2薄膜 ポリカーボネート基板 曲率半径 r r = 20.33 mm 亀裂なし r = 18.30 mm 亀裂あり プラスチックス表面上 透明導電性 ITO 薄膜 アクリル板上へのITO 薄膜の作製 HOCH2CH2OH CH3COCH2COCH3 In(NO3)3・3H2O - 90oCで3 h加熱 Acrylic resin substrate CH3OH CH3OCH2CH(OH)CH3 SnCl2・2H2O - 90oCで2 h加熱 PEG Aron Alpha Type 201 ITO film Polyimide on Si(100) - 90oCで30 h加熱 コーティング液 8 回繰り返し - スピンコーティング (ポリイミド(1.7 mm厚)/Si(100)基板上, 8000 rpm) - 焼成 (500oC, 10 min) ITO 結晶薄膜((0.72 mm厚) アクリル板上ITO 薄膜 ITO薄膜 ITO膜 (厚さ0.72 mm) アクリル基板 (厚さ3 mm) 透過率 (%) アクリル板 波長/ nm 亀裂がなく、透明 アクリル板上ITO 薄膜 ITO膜 (厚さ0.72 mm) アクリル基板 (厚さ3 mm) 抵抗率: 9.48×10-3 W cm (四端子法) ITO film Acrylic resin substrate プラスチックス上 配向結晶膜 アクリル基板 Aron Alpha Polyimide on Si(100) アクリル基板 ZnO (002) Intensity (a.u.) (002) 配向 ZnO薄膜 (85 nm厚) ZnO 接着剤 アクリル基板 ZnO薄膜 20 30 40 50 2q / deg. (Cu ka) 60 プラスチック上にパターニングされた 酸化物結晶薄膜 パターニングされたZnO薄膜 アクリル基板 + 接着剤 ZnO ZnO 100 mm ポリイミド(剥離層) 500 mm アクリル板上のパターニングされたZnO薄膜 ダイシング加工したSi(100)基板 まとめにかえて 1.新技術の特徴、従来技術との比較 (1) 気相法ではなく液相法 → 常圧成膜 → 設備簡便、大面積化 (2) 結晶性と緻密さ(いずれも高機能発現の鍵)を焼成によって保証 2.想定される用途 (1) フラットパネルディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、有機太陽電池な どにおける電極 (2) フレキシブル電子デバイスや有機発光ダイオードのガス拡散防止層 (3) 赤外線反射膜 (4) デフロスターにおける加熱層 (5) 光反射膜 等々...... 3.想定される業界 電子デバイス関連、自動車関連..... まとめにかえて 4.実用化に向けた課題 (1) 焼成過程、転写過程における亀裂発生抑制因子の解明 (2) プラスチックス基材上セラミック薄膜の耐久性の明確化 (3) セラミック薄膜とプラスチックス基材の厚さの範囲の明確化 5.企業への期待 具体的ニーズと、そのニーズに必要とされる諸条件を教えていただきたい。 6.本技術に関する知的財産権 特願2011-22986 低耐熱性の基材にセラミック膜を形成する方法 発明者: 幸塚広光、内山弘章、山野晃裕、福井隆文 出願人: 学校法人 関西大学 7.お問合わせ先 関西大学 社会連携部 産学官連携センター TEL:06-6368-1245 FAX:06-6368-1247 E-Mail:[email protected]
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