認定看護師を対象とした 「特定行為研修」の実施 について

資料4-1
認定看護師を対象とした
「特定行為研修」の実施
について
公益社団法人日本看護協会
記者会見
2016年6月21日
1
特定行為に係る看護師の研修制度
― 日本看護協会の基本的な考え方 ―
2025年における社会のニーズにむけて、在宅医療、外来、超
急性期医療においては、看護師が病態の変化や疾患と患者背景を
包括的にアセスメントし、特定行為も含めた医療・看護を提供す
る看護師を養成する必要がある。
看護を基盤にさらに医学的知識・技術を特定行為研修で強化し、
特定行為のみを行うのではなく、対象者を包括的にアセスメント
し専門性を発揮することで、質の高い医療・看護を効率的に提供
することが期待される。
在宅医療等の推進に向け本制度を活用し、少子超高齢社会におけ
る地域のニーズ、国民のニーズに積極的に応えていく。
・本制度を活用した大学院教育の推進
・大学院以外の特定行為研修の推進(モデルカリキュラム作成や研修実施等)
公益社団法人 日本看護協会
42
認定看護師を対象に特定行為研修を行う目的
認定看護師がその専門性をさらに発展させるために、病態
の変化や疾患を包括的にアセスメントする能力や、治療を理
解し安全に医療看護を提供する能力を研修で強化すること。
研修修了後は認定看護師の専門性とアセスメント力などを
活かし、特定行為をふくむタイムリーな対応で、質の高い医
療・看護を効率的に提供すること、また、活躍の場を在宅に
拡大することも視野に入れ、様々なニーズに応える看護師の
育成を目的としている。
今後、本会の特定行為研修を修了した認定看護師は臨床実践
者として、かつ特定行為研修の指導者として、活躍が期待さ
れる。
認定看護師を対象とした「特定行為に係る看護師の研修制度に関する調査」
(2015年本会調査)では、自身の活動の場において手順書により特定行為を看護
師が実施することへのニーズと受講ニーズがある。
http://nintei.nurse.or.jp/nursing/qualification/cn
3
本会特定行為研修の工夫点
研修対象者が就業中であることを配慮し、教育方法の多様化を図る。
• 講義の部分は遠隔教育*1(eラーニング)可とし、さらに連携協力体制*2が確保できる場合には、自
施設での実習が可能とする。
• 認定看護師教育課程で履修した教科目について、一部の履修を免除する。また講義の遠隔教育活用
により、集合教育*1期間を短期化するよう受講者の利便性と効率性を高める。
専門領域の実績を活かし認定看護師の専門性と役割をさらに発展させる教育。
• 特定行為研修を活用して、認定看護師の専門性をさらに発揮した看護実践につながるよう、既に実
績を有する認定看護師らの活動を考慮した受講モデルを複数設定した。
• 設定した受講モデルは、特定行為区分を必修と選択に分類し、施設ニーズに合わせて受講できるよ
うにした。
• 講義を遠隔教育で受講した場合の、学習到達度の即時の確認とフォローアップ体制を強化する。た
だし当研修では、講義中のディスカッション効果や連続して演習が行われる場合を考慮し、講義を
集合教育で受講することを推奨する。
• 演習は集合教育で実施。少人数に分かれて指導者のもとで、議論や発表を行い、症例検討やペー
パーシミュレーション等を行う。受講生の理解度に合わせたフィードバックを行い、個別性に対応
させた教育とする。
4
平成28年度特定行為研修概要
募集開始
6月1日(水曜日)~7月26日(火曜日)
選考方法
1次審査(書類審査)・2次審査(小論文、面接)
合否結果公表
9月2日(金曜日)
研修期間
2016年11月~2017年3月
開講式 11月15日(火曜日)
閉校式
3月29日(水曜日)
研修場所
看護研修学校および連携協力機関
受講要件:本会の認定看護師制度に基づく全21分野の認定看護師
定数:各受講モデル10~20名で総数100名
5
多様な受講モデル1
受講モデル(定員数)
期待する役割
共通
科目
時間数
A【基本モデル】(10)
様々な医療の場において、全身状態の管理
等により、異常の早期発見、早期介入を行
い、安全安心な療養生活が継続できるよう
支援する。
計316時間
B【救急・集中ケアモデル】(20)
緊急度・重症度が高い患者への初期医療に
関わり、循環動態、呼吸動態、電解質の管 実履修時間
285時間
理等の早期介入で重症化予防を図る。
(認定看護
※必修のみでも可能
師教育課程
※必修以外の区分別科目はいずれかを選択 で既に履修
した受講に
より一部履
修免除)
計436時間〜496時間
C【創傷管理モデル】(20)
様々な医療の場において、褥瘡や慢性創傷
が発生した患者に対し、高度な創傷管理の
早期介入で重症化を予防する。計408時間
区分別科目 時間数
必修
・栄養及び水分管理に係る薬剤投与関
連
36
・栄養及び水分管理に係る薬剤投与関
連
・呼吸器(気道確保に係るもの)関連 151
必修
・呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)
関連
・動脈血液ガス分析関連
・栄養に係るカテーテル管理(末梢留
21
置型中心静脈注射用カテーテル管
理)関連
選択
60
・循環動態に係る薬剤投与関連
・栄養及び水分管理に係る薬剤投与関
連
123
必修
・創傷管理関連
・創部ドレーン管理関連
6
多様な受講モデル2
受講モデル(定員数)
期待する役割
共通
科目
時間数
D【感染症管理モデル】(20)
様々な医療の場において、感染症の疑いのある患者、
発症リスクが高い患者への栄養、感染対策によって
感染症の進行や全身状態の悪化を防止する。
※必修以外の区分別科目は6と7の一つあるいは両
方を選択可能
計384時間〜423時間
E【在宅ケアモデル】(10)
実履修時間
在宅等で医療処置が必要な患者の全身状態の管理等 285時間
により、異常の早期発見、早期介入を行い、安全安
心な療養生活が継続できるよう支援する。
(認定看護
師教育課程
※必修以外の区分別科目は複数を選択可能
で既に履修
した受講に
計316時間〜421時間
より一部履
修免除)
F【慢性疾患管理モデル(症状緩和ケア)】(10)
様々な医療の場において、疼痛、不安、認知症様の
症状のコントロールなど、精神・神経症状緩和のた
めの早期介入を行い、療養生活を支援する。
計378時間
G【慢性疾患管理モデル(糖尿病ケア)】(10)
様々な医療の場において、血糖コントロール管理へ
の早期介入を行い、重度合併症を予防する。
計357時間
区分別科目 時間数
必修
選
択
(
複
数
可
)
・栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連
・感染に係る薬剤投与関連
99
・栄養に係るカテーテル管理(中心静脈カ
テーテル管理)関連
18
・栄養に係るカテーテル管理(末梢留置型
中心静脈注射用カテーテル管理)関連
21
36
必修 ・栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連
・呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連
21
・ろう孔管理関連
48
・栄養に係るカテーテル管理(末梢留置型
中心静脈注射用カテーテル管理)関連
21
・ 創部ドレーン管理関連
15
必修
・栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連
・精神及び神経症状に係る薬剤投与関連
93
必修
・栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連
・血糖コントロールに係る薬剤投与関連
72
選
択
(
複
数
可
)
7
(参考)平成27年度特定行為研修修了者
平成22年度から平成24年度まで本会が実施した養成調査試行事業実施課程を修了した者を対象
として、救急、創傷管理、感染症管理の3領域で39名が修了した。
修了者名はHPで公開 http://www.nurse.or.jp/nursing/tokutei/kenshu/pdf/finished_trainee.pdf
救急領域(14名)
緊急度・重症度が高い患者への初期医療に関わり、循環動態、呼吸動態、電解質
の管理等の早期介入で重症化予防を図る。
<活動の場>
おもに救急医療の現場で実践しているが、在宅における呼吸器管理患者の調整や
老健施設等のオンコールにドクターカーで医師とともに対応など地域医療でも活躍
創傷管理領域(17名)
様々な医療の場において、褥瘡や慢性創傷が発生した患者に対し、高度な創傷管
理の早期介入で重症化を予防する。
<活動の場>
医療施設では外来を活用し、在宅患者の創傷管理を積極的に行い、老人保健施設等に出向き、
高度な創傷管理を行うなど活躍
感染症管理領域(8名)
様々な医療の場において、感染症の疑いのある患者、発症リスクが高い患者への栄養、感染
対策によって感染症の進行や全身状態の悪化を防止する。
<活動の場>
医療施設だけでなく、老人保健施設等に出向き、感染対策や感染症疑いの患者への専門的な
かかわりを行うなど活躍
8
2017年度以降の特定行為研修と
本会実施の認定看護師教育
1.
2017年度から2019年度までの3年間は、本会の看護研修学校、神戸研修センター
において、全21分野の認定看護師を対象とした特定行為研修を集中して実施する。
2.
今後の認定看護師制度について、認定看護師教育に特定行為研修を組み込んだ新
たな特定認定看護師(仮称)制度への改組について検討する。検討に際して関係者
からの(認定看護師、看護管理者、認定看護師教育機関、学会等)意見および地区
別に意見の聴取・収集を行う。
3.
2017年度から2019年度までの3年間は、本会(看護研修学校・神戸研修センター)
実施の認定看護師教育課程を休講し、1に記した特定行為研修を実施するとともに、
2で検討する新たな教育モデルの2020年度開講を目指し、その開発に着手する。
4.
認定看護師以外の訪問看護・在宅看護を行っている看護師を対象とした特定行為
研修の普及のための、カリキュラム企画やe-ラーニング活用など具体的な学習
支援について検討する。
9
参考資料
10
※( 名)は定員数
定員総数は341名
(5名)
(50名)
(10名)
(20名)
(12名)
(20名)
(5名)
(10名)
(100名)
(3名)
(10名)
(5名)
(3名)
(5名)
(30名)
(12名)
(3名)
(15名)
(5名)
(30名)
(10名)
11
日本看護協会「2015年病院看護実態調査」結果速報
12
13
特定行為区分ごとの研修の受講意向
日本看護協会認定部2015年特定行為に係る看護師の研修制度に関する調査結果より
回答者2,240名
すぐにでも受講
したいと考える
特定行為区分
•「血糖コントロールに係る薬剤投与関連」が260名
•「栄養・水分管理に係る薬剤投与関連」が230名
•「創傷管理関連」が228名
個人的な環境が
整えば受講した
いと考える特定
行為区分
•「栄養・水分管理に係る薬剤投与関連」が586名
•「創傷管理関連」が543名
•「精神・神経症状に係る薬剤投与関連」が475名
所属施設の環境
が整えば受講し
たいと考える特
定行為区分
•「栄養・水分管理に係る薬剤投与関連」が855名
•「創傷管理関連」が772名
•「栄養に係るカテーテル管理関連(PICC関連)」
14
認定看護師の特定行為実施へのニーズ調査
日本看護協会認定部2015年特定行為に係る看護師の研修制度に関する調査結果より
回答者2,240名
すでに実施
している
0
救
急
看
護
20
「3.人工呼吸器管理下の鎮静管理」
糖
尿
病
看
護
60
35
「22.持続点滴投与中薬剤(降圧剤)の病態に応じた調整」
35
「4.人工呼吸器装着中の患者のウィーニングの実施」
80
82
74
50
100
150
94
「19.創部ドレーン抜去」 6
250
300
350
109
100
165
81
20
17
200
118
52
0
180
38
46
45
160
45
81
20
「21.創傷の陰圧閉鎖療法の実施」
140
68
56
0
120
75
10
「20.褥瘡・慢性創傷における血流のない壊死組織の除去」
100
現在、実施していないが、
今後実施したい
65
「23.持続点滴投与中薬剤(カテコラミン)の病態に応じた調整」
「27.病態に応じたインスリン投与量の調整」
40
27
「2.人工呼吸器モードの設定条件の変更」
皮
膚
・
排
泄
ケ
ア
手順書により看護師が実施する
ことへのニーズがある
40
60
61
80
100
120
140
64
15
160