橋本武人 大野道徳先生がいよいよ 定年後の任期満了で 退官されることになりました。 天理 大学にとっては 大きな損失であ りますが、 年齢的に制限が 設けられている 以上仕方 あ りません。 先生は平成 4 年、 本学に人間学部人間関係学科社会福祉専攻が 設置されるとき、 初代の主任教授として 着任され・爾来、 学科専攻の充実発展に 大きな役割を 果たされ ました。 また 8 ∼ 9 年度には学部長を 勤められ、 大学行政の上にもご 尽力下さいま した。この間 9 年という短い 期間であ りましたが、 教育研究ならびに 教育行政に残さ れた多大なるご 功績を讃 え 、 深甚なる謝意を 表します。 先生 は大学、 大学院で宗教学を 専攻されました。 当時私は東北にいましたが、 狭 い 宗教学界のことですから、 天理出身の優秀な 研究者がいるとの 噂は聞いておりま した。 それ故、 東京大学の大学院を 終えられるとき.当然母校に 戻られるものと 思 っておりましたので、 読売新聞社に 入られたと聞いて 驚いたことを 覚えています。 3 0 有余年に 亙る 読売時代の先生は 、 "総理香 " など政治部の 敏腕記者として 活躍 され、 後年、解説部論説委員として 社会福祉問題と 取り組み、 さまざまなキャンペー ンを展開されたと 聞いております。 この間の研究と 発表の実績。 世界の動向を 見極め る広い視野が、 新設の社会福祉専攻の 確固たる基礎固めに 生かされたことは 言うま でもあ りません。 先生には春風騎蕩 、 どことなく大陸的な 大人の風格があ り、 生き馬の眼を 抜くよ うなジャーナリズム 界の最前線で 活躍されたご 経歴とは、 些か結びつき 難い趣があ ります。 明るい笑顔を 絶やさず、 常に相手の立場にたって 耳を傾けられ、 適確に導 かれる姿勢は、 まさに社会的弱者を 援けるソーシャルワーカ 一の姿であ り、 優れた 教育者の顔であ ったと思います。 残俳ながら、 このたび専任の 立ち場を離れられますが、 どうか天理大学との っ なが りは保持されて、 後進の育成ひいては 社会福祉学の 発展にお力添え 下さいますよ う お願い申し上げ、 甚だ蕪辞ではあ りますが、 先生をお送りする 言葉と い たします。 (天理大学 一 80 一 学長 )
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