新研究テーマの 紹介 下水道管路施設へのフラッシュ ゲートの適用に関する共同研究 研究第二部 研究員 亀田 瞬 ッシュゲートは,標準機(弁体幅約60cm,貯留高約 はじめに 30cm),小型機(弁体幅約30cm,貯留高約20cm)の 2種類があり,適用する管径によって選択します。 下水道管路の伏越施設や標準勾配不足区間等で適切 な流速が確保できない箇所は,管路内に汚濁物や土砂 等が堆積しやすく,臭気等の発生の原因となっていま 研究内容 す。適切な流速を確保できない要因として,管路の構 本研究では,フラッシュゲートで設置実績のない合 造上の問題(伏せ越し管,管きょのたるみ等)に加え 流式下水道への小型機設置,分流式下水道への標準機 て,人口減少や下水道普及率の伸び悩み,社会情勢の 並びに小型機設置ケースを現場実証実験の対象としま 変化,東日本大震災等の震災による異常勾配などが挙 した。また,実証実験では,対象管路施設にフラッシ げられます。本研究は,下水道管路の問題箇所の機能 ュゲートを設置して,一定期間運用を行い,①水位・ 強化(正常機能の確保)と予防保全的な維持管理を図 流速および掃流力,②スカムや汚濁物等の抑制効果, るために,フラッシュゲート(図1)を適用する際の ③その他(硫化水素,貯留区間での土砂堆積等)の計 計画,設計,施工,維持管理に関する技術的事項につ 測,確認を行います。効果確認は,フラッシュゲート いて示すことを目的としています。 を設置しない状態で一定期間計測を行い,フラッシュ ゲートの設置有無の状態比較を行います。 技術の概要 フラッシュゲートは,無電源で自動開閉する転倒式 まとめ ゲートで,既設人孔(内径90cm以上)内のインバー 本研究は下水道管路施設にフラッシュゲートを適用 ト部に設置可能な装置になります(図2)。本体に内 する際の,適用範囲,設計の考え方および維持管理に 蔵したバネやフロート等の力により①貯留⇒②転倒⇒ 関する事項を技術資料として取りまとめる予定です。 ③復帰を繰り返し,流下下水を利用したフラッシン フラッシュゲートによる設置効果を明確にすること グを行い,そのフラッシングの掃流力によって定期 で,技術の普及に寄与できれば幸いです。 的な管路の自動洗浄を行います(図3)。また,フラ 図1 フラッシュゲートの外観 図2 フラッシュゲートの設置イメージ図 図3 フラッシュゲートの基本動作 下水道機構情報 Vol.10 No.21 ̶̶ 27
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