市況がやや軟調な中でも業績は安定的に推移しよう

和田興産
(8931・JASDAQ スタンダード)
2016 年 6 月 24 日
市況がやや軟調な中でも業績は安定的に推移しよう
ベーシックレポート
神戸市地盤の中堅マンションディベロッパー
神戸・明石・阪神間を中心とした地元密着の中堅マンションディベロ
ッパー。神戸市の供給戸数は 15 年連続首位でマーケットシェアは 20%
㈱アイフィスジャパン
堀部 吉胤
程度。近畿圏でも概ね 10 位以内で推移。
30~50 戸の中小型物件を中心に回転重視。
不動産賃貸業を祖業とするため販売を外部
会
社
概
要
委託しており、固定費の抑制により市況の
変化に柔軟に対応できるようになっている。
所
在
地
神戸市中央区
代
表
者
高島 武郎
不動産賃貸事業はワンルームマンション中
1996/12
心で稼働率、賃料とも安定的。業績の安定
設 立 年 月
資
本
金
891 百万円
度は比較的高い。
16/2 期業績は概ね計画線で着地
(2016/02/29 現在)
上
場
日
U
R
L
2004/09/24
円(同 3.8%増)
。主力の分譲マンションは、竣工が少なく引渡戸数が
http://www. wadakohsan.co.jp/
業
16/2 期決算は売上高 289 億円(前期比 3.8%減)
、営業利益 29.3 億
種
不動産業
686 戸(同 79 戸減)にとどまったが、大型高採算物件の「ワコーレシ
ティ神戸三宮」
(総戸数 471 戸)が牽引し、粗利益率が 19.7%(同 1.0pt
増)と改善したことで概ねカバー。その他不動産販売の伸長、賃貸物
件取得による不動産賃貸収入の増加により営業微増益を確保した。戸
主要指標 2016/06/22 現在
株
価
652 円
727 円
(2016/01/06)
625 円
(2016/03/01)
年初来高値
年初来安値
発行済株式数
10,000,000 株
売 買 単 位
100 株
時 価 総 額
6,520 百万円
予 想 配 当
26.0 円
(
会
予 想
社
)
E P S
144.00 円
( ア ナ リ ス ト )
実 績
業
P B R
績
0.37 倍
動
売上高
百万円
向
建分譲の不振などにより、売上高は計画を若干下回ったが、販管費の
下振れなどでカバーし利益は計画を若干上回った。
17/2 期会社業績予想は保守的だろう
17/2 期会社業績予想は売上高 320 億円(前期比 10.5%増)、営業利
益 28.5 億円(同 3.0%減)。マンションの引渡戸数は 770 戸(同 84 戸
増)と回復予想だが、用地価格、建築費の上昇を受け、マンションの
粗利益率が 1pt 程度低下見込みであることや、大型物件に係る販促費
などによる販管費の増加により営業微減益予想。販管費の会社想定は
保守的過ぎるとみられ、営業微増益が可能とみる。マンション市況は
販売価格上昇を受けやや軟化している。これを受け、用地仕入れは慎
重姿勢になっており、しばらく業績は横ばい圏で推移するとみる。
前期比
%
営業利益
百万円
前期比
%
経常利益
百万円
前期比
%
当期純利益
百万円
前期比
%
EPS
円
績
28,950
-3.8
2,938
3.8
2,055
-0.0
1,238
4.9 123.86
想
(2016 年 4 月発表)
32,000
10.5
2,850
-3.0
2,050
-0.2
1,300
5.0 130.00
ア ナ リス ト 予想
32,040
10.7
3,070
4.5
2,270
10.5
1,440
16.3 144.00
2 0 1 8 / 2 ア ナ リス ト 予想
34,480
7.6
3,160
2.9
2,370
4.4
1,520
5.6 152.00
2016/2 実
会
2017/2
社
予
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1
会
社
会
社
概
概
要
要
 会社概要
不動産賃貸管理から出発し、現在はマンション分譲が主力。戸建分譲も手
掛ける。マンション分譲は一次取得者向けファミリータイプの中小規模物件
が中心。明石~尼崎間を主な事業エリアとし、中でも中心となる神戸市では
マンション供給戸数 15 年連続トップ。販売は外部委託。
経
営
者
 経営者
代表取締役会長の和田 憲昌氏は創業家出身。2012 年 5 月に社長に就任し
た高島 武郎氏は、メインバンクの三井住友銀行(入行時は神戸銀行)出身。
同行の神戸公務法人営業部長兼神戸公務部長を最後に、同行系列の不動産管
理会社の京阪神興業(株)常務取締役を経て、当社には 2011 年 7 月に顧問
として入社。同氏の金融、不動産における人脈を活用し、関西圏における事
業エリアを拡大中。
設
立
経
緯
 設立経緯
創業家の和田家はもともと神戸市兵庫区を中心とする大地主だった。1899
年(明治 32 年)に当主の和田 重四郎氏が資産管理の一環として当社の源流
となる不動産賃貸業を始めた。幕末の 1868 年(慶応 3 年)の兵庫開港以降、
貿易、商業の一大中心地として急速な発展を遂げつつあった神戸は、この当
時、人口流入による宅地不足が課題になっていたため、所有する農地を宅地
に転換する事業を中心に、転換した宅地の一部を賃貸する事業を行っていた。
1916 年(大正 5 年)に和田 重四郎氏の長男の和田 益幸氏が山口銀行勤
務を経て家業を継ぎ、主に所有する賃貸不動産の管理を行っていた。第二次
世界大戦末期に神戸市及びその周辺地域は、度重なる大空襲により焼失家屋
15 万戸といわれる壊滅的な戦禍を蒙り、終戦後、住宅不足が深刻になった。
これを受け、本格的に宅地開発を行い、事業を拡大していった。1966 年(昭
和 41 年)には和田興産(有)を設立し会社化した。
和田 益幸氏の次男の和田 憲昌氏(現 代表取締役会長)は、慶応大学法
学部卒業後、地元の神戸市長田区に本社を置く三ツ星ベルト(5192)に勤務
していたが、当社設立を機に退職し、専務として当社入社。高度成長の波に
も乗り、木造戸建住宅を中心とした分譲事業などで業容は拡大していった。
企
業
理
念
 企業理念
企業理念は、仏教用語の「共生(ともいき)」。全てのステークホルダー(株
主・投資家、顧客、金融機関、社員、取引先、地域社会)との共存共栄を目
指すとの意。また、プロダクトコンセプトを「PREMIUM UNIQUE」(住む人に
とってオンリーワンの住まいづくりを目指す)としている。
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2
会
沿
社
概
要
革
1899 年
1月
神戸市兵庫区にて不動産賃貸業を創業
1966 年
12 月
神戸市長田区に和田興産(有)を設立
1968 年
3月
宅地開発・分譲、木造戸建住宅の販売を開始
1974 年
3月
分譲マンション販売の開始
1979 年
9月
和田興産(株)に改組
1982 年
4月
分譲マンションの一棟販売開始
1985 年
12 月
自社ブランド「ワコーレ」で賃貸マンション事業を本
格的に開始
1987 年
3月
パーキング 2000(駐車場)シリーズの営業開始
1991 年
3月
自社ブランド「ワコーレ」で分譲マンション事業を本
格的に開始
1996 年
6月
震災復興のため優良建築物等整備事業(優良再開発型)
に従事
1999 年
4月
「エキサイド」
(駅徒歩数分圏の利便性の高い賃貸マン
ション)シリーズの営業を開始
2000 年
5月
本社を神戸市長田区から神戸市中央区へ移転
5月
「VITA」(主に女性をターゲットにした賃貸マンショ
ン)シリーズの営業開始
2002 年
2月
「アイデアル・キューブ」(都心型賃貸マンション)シ
リーズの営業開始
12 月
バリューアップ方式による賃貸マンション開発を開始
2004 年
9月
JASDAQ 上場
2005 年
3月
首都圏での分譲マンション販売開始
6月
東京都千代田区に東京営業所開設
3月
関東圏において分譲マンションの新ブランド「ワコー
2006 年
ベ」を発表
4月
賃貸マンションの新ブランド「ラ・ウェゾン」を発表
2007 年
5月
木造戸建住宅の販売を開始
2010 年
7月
シニア向け分譲マンションの販売を開始(ワコーレハ
ート明舞)
2011 年
11 月
大阪市西区に大阪営業所開設
2012 年
8月
大阪府の北摂地域で分譲マンション販売を開始
2013 年
8月
日住サービスと資本業務提携
2016 年
2月
東京営業所を閉鎖
(出所)有価証券報告書、会社資料
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3
会
大
社
概
株
要
主
 大株主(2016 年 2 月 28 日現在)
株主
所有株式数
(株)
所有比率
(%)
1
(株)四三二
2,500,000
25.00
2
和田
憲昌
1,488,000
14.88
3
和田
剛直
1,054,000
10.54
4
大阪中小企業投資育成(株)
560,600
5.61
5
(株)SBI 証券
266,700
2.67
6
柏木
修
206,000
2.06
7
頴川
欽和
181,800
1.82
8
(合)水谷商店
166,000
1.66
9
社員持株会
152,800
1.53
9
SIX SIS LTD.
152,800
1.53
6,728,700
67.29
上位 10 位計
(出所)有価証券報告書
(注)2 位は代表取締役会長
3 位は会長の子息で専務取締役。筆頭株主は同氏の資産管理会社
6 位は創業家一族
7 位、8 位は一般の投資家で、創業家や当社との間に血縁、事業上の
つながりはない
9 位の SIX SIS LTD.はカストディアン
レンダー フォー メー ショ ン
 レンダーフォーメーション
16/2 期末時点の取引金融機関数は 22 社(前期末比 3 社増)
。メインバン
クは三井住友銀行。このほか主要取引行は、みずほ銀行、三菱東京 UFJ 銀行、
商工中金、みなと銀行、神戸信用金庫など。金融逼迫時に備え、大手行、地
銀、信用金庫からバランスよく調達している。
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4
事
事
業
業
概
の
内
要
容
 事業の内容
関西の優良住宅地である神戸・阪神エリアにおけるマンション分譲事業が
主力。戸建分譲、賃貸マンションを中心とする賃貸事業なども手掛ける。
部 門 別 事 業 内 容
 部門別事業内容
4 つの報告セグメントとその他(解約手付金収入、保険代理店手数料収入
等)から構成される。
 分譲マンション販売
バブル期以前は、主に大京(8840)などのマンションディベロッパーに 1
神戸市におけるマ
ンション供給戸数
は 15 年連続首位
棟卸を行っていたが、1991 年から自社分譲中心に切り替え、現在では 1 棟
卸は行っていない。自社分譲のマンションブランドは「ワコーレ」。
供給エリアは、兵庫県のうち明石~尼崎の間(明石市、神戸市、芦屋市、
西宮市、尼崎市、伊丹市、宝塚市)が中心。中でも神戸市(政令指定都市で
日本の市の中で人口 6 位)における供給戸数が、毎期、6~8 割程度を占め
る(16/2 期は着工ベースで 71.3%)
。2012 年 8 月には兵庫県に隣接する大
阪府豊中市で供給を開始。さらに豊中市の北隣の池田市、西では姫路市にも
進出し、供給エリアを徐々に拡大。供給エリアには、近畿圏におけるマンシ
ョン分譲の中心である大阪市は含まれないが、居住環境に優れた山の手の
錚々たる高級住宅地(芦屋、夙川、西宮、御影、岡本、苦楽園など)や、関
西のファッション・流行の発信地(三宮、元町など)を抱えている。
累計供給戸数(着工ベース)は 16/2 期末時点で 16,175 戸(426 棟)。神
戸市における供給戸数は 15 年連続、
供給棟数は 18 年連続で首位継続中。2015
年の神戸市の供給戸数は 642 戸(15 棟)
、マーケットシェア 22.7%。神戸市
における当社のプレゼンス、認知度は高い。近畿圏の供給戸数でも概ね 10
位以内で推移(2015 年 5 位)
。
主に一次取得者向けに 30~50 戸の中小型のファミリータイプマンション
一次取得者向けの
中小型マンションを
主に供給
を供給している。中小型物件が中心となっている理由の一つに、神戸は海の
近くまで山が迫り既成市街地において広いマンション用地を確保しにくい
という地形的な特性がある。
平均的な戸当り専有床面積は 60~80 ㎡程度(1 棟の中に一部、50 ㎡以下
の DINKS、シングル向けを組み入れることがあるほか、明石など神戸以西の
地価の低いエリアでは 100 ㎡程度の広い物件も手掛ける)、平均的な販売価
格は 3,200~3,400 万円程度。大手ディベロッパーに比べ戸当り 400~500
万円程度安いが、ファッショナブルな土地柄であることや、自社の販売部隊
を持たず販売を全て外部委託し、売りやすさを要求されることから、企画・
デザイン性を重視した商品設計を行っている。
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5
事
業
概
要
マンションの戸当り平均価格の推移
(万円)
5,200
5,000
4,800
4,600
4,400
4,200
4,000
3,800
3,600
3,400
3,200
3,000
阪神間市場平均
神戸市市場平均
和田興産
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
(出所)長谷工総合研究所、会社資料
(注)市場平均は暦年(2016年は1-4月)、
和田興産は年度(2016年度は会社予想)
中小型物件中心ながら、100 戸超の大型物件を手掛けることもある。東日
100 戸超の大型マ
ンションも手掛ける
本大震災以降、労務逼迫による建築費上昇への対応策の一環として、施工の
効率化により戸当り建築費を抑制しやすい大型物件の取組みを強化してい
る。2013 年には、当社過去最大規模となる「ワコーレシティ神戸三宮」
(総
戸数 471 戸)の用地を仕入れた。大型プロジェクトの取組み強化には、業容
拡大を図る狙いもある。
タワーマンションは、過去に 2 件の実績がある。
「ワコーレ KOBE 灘タワー」
タワーマンション、
シニア向けマンショ
ンは現在手掛けて
いない
(2006 年 12 月竣工、総戸数 216 戸)と JV による「アーバンライフ神戸三
宮ザ・タワー」(2009 年 12 月竣工、総戸数 277 戸、当社持分 30%)
。後者に
ついてはファンドバブルの地価高騰期に用地を仕入れたため棚卸資産評価
損を計上するに至った。以来、タワーマンションは手掛けていない。従って、
タワーマンションを使った相続税節税に対する国税庁の監視強化の動きの
影響はない。
高齢化社会への対応策として、シニア向けマンション「ワコーレハート明
舞」
(2011 年 3 月竣工、総戸数 102 戸)を手掛けた。しかし、シニア向けマ
ンションは、青田売りが難しく、当該物件の販売には時間を要したため(販
売完了は 2013 年 5 月)、資金効率の観点から今後の予定はない。
首都圏では 2 件の供給実績がある。2005 年に大手ゼネコンが手掛けてい
首都圏からは撤退
た案件を途中で引継いだ「ヴェルティーク新中野」と 2006 年供給の埼玉県
の「ワコーベみずほ台駅前」。このほか、千葉県市川市で 3 物件の用地を仕
入れたが、リーマンショックを受け素地のまま売却し、首都圏からは撤退。
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6
事
業
概
要
首都圏からは撤退したが、少子高齢化の進展に伴う人口減少に備え、事業
事業エリ アを 東西
の周辺地域に拡大
中
エリアの拡大が必要との認識はある。落下傘的な事業エリアの拡大は行わず、
既存事業エリアの周辺地域に徐々に進出していく方針で、東では、大阪府北
摂地域の豊中市において「ワコーレ豊中ステーションウィング」
(総戸数 116
戸、2013 年 1 月竣工)を皮切りにこれまで 4 棟を供給。さらに豊中市の北
隣の池田市でも供給を開始した。西では、兵庫県下で神戸市に次いで人口の
多い姫路市において、1 号案件の「ワコーレ姫路京口マークス」
(同 45 戸、
2016 年 1 月竣工)を含めこれまでに 2 物件が竣工したほか、3 物件の用地を
仕入れ済み。
中小型物件の土地面積は概ね 200~300 坪程度。主な仕入れ情報ルートは
大手との用地取得
における競合は限
定的
地場の仲介業者、信託銀行。個人の相続に絡んだ仕入れが多く、相対での取
得が中心。大型物件の仕入れは入札となることが多い。大手総合不動産会社
や電鉄系不動産会社は高額物件を除くと 50 戸以下の開発を余り行わないた
め、仕入れにおける大手との競合は限定的。
仕入れ時の粗利益率の目線は従来、18%程度としていたが、土地価格や建
築費の上昇を受け、足元では 16~17%程度としている。
1 物件当りの戸数が少ないことによる販売効率の低さを効率的な広告宣
中小型物件でも採
算が取れる仕組み
を構築
伝によりカバーしている。具体的には、13 の常設マンションギャラリーを
持ち、一つのギャラリーで複数の物件を紹介しているほか、一つのチラシに
複数物件を紹介するなどしている。
 戸建住宅販売
マンション分譲に
次ぐ収益の柱とす
べく体制を強化中
過去に手掛けていた戸建分譲を 2007 年 5 月から再開。再開したのは、中
国の建設ラッシュなどにより鉄などの資材価格が高騰したのに対し、木材の
価格上昇の程度が小さかったことによる。戸建住宅のブランドは「ワコーレ
ノイエ」
。
主な事業エリアは地価が比較的低く、メーカーの工場が多い神戸市西部か
ら明石にかけて。1 現場当りの分譲棟数は平均 10 棟程度で、マンションと
同様に回転重視。デザイン性など付加価値を重視し、パワービルダーとの差
別化を図っている。
建築費上昇がマンションに比べ緩やかなため、分譲マンションに次ぐ収益
の柱とすべく、2014 年 6 月に戸建事業室を戸建事業部に昇格するなど体制
を強化。100 戸体制を目指すとしていたが、2014 年 4 月の消費増税の影響が
長引き、15/2 期は 60 戸(前期比 7 戸減)
、16/2 期は 45 戸(同 15 戸減)と
伸び悩んでいる。
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7
事
業
概
要
富裕層向けの木造
アパ ー トの 販 売事
業に展開
 その他不動産販売
個人富裕層や事業法人などへの賃貸マンションなどの 1 棟売り、素地販売
(マンション分譲用地、戸建分譲用地として取得したが、素地のまま売却す
ることがある)を行っている。
1 億円弱の木造アパートを開発し、リーシング後、個人富裕層向けに販売
する事業を強化中。2015 年 1 月からの相続税の課税強化もあり、個人富裕
層の収益不動産に対する需要が旺盛な中、40~50 坪程度の狭小地の土地情
報を活用する狙いがある。
14/2 期に初めて売上を計上した
(3 棟、
2.1 億円)
。
比較的地価の安い神戸市西部の長田区や須磨区などで展開している。2013
年 8 月にはこの事業に関し、京阪神エリアを地盤とする不動産仲介大手の日
住サービス(東証 2 部 8854)と資本業務提携した。日住サービスから土地
情報の提供を受け、当社が企画、開発し、リーシング、投資家への売却を日
住サービスに委託する。
 不動産賃貸収入
創業来の安定事業
創業時からの事業。神戸市及び阪神周辺エリアを中心に、賃貸マンション
をはじめ店舗、事務所、駐車場、トランクルームの賃貸事業を手掛けている。
流動性を確保するため、個人富裕層の需要が旺盛な 2~3 億円のワンルー
ム賃貸マンションが多い。店舗・事務所も 1 棟当り 1 億円に満たない小規模
物件が中心。自社開発が中心だが、
2002 年 12 月から既存賃貸物件を購入し、
バリューアップ後、賃貸することも行っている。賃貸マンション中心のポー
トフォリオであり、稼働率、賃料とも安定している。
16/2 期末の賃貸等不動産の含み損益は 6.2 億円の含み益となった(簿価
賃貸等不動産は含
み益に転じた
224 億円)
。15/2 期末では 6.8 億円の含み損だった。含み益に転じたのは、
キャップレートの低下というよりは、これまで簡易鑑定で保守的に鑑定して
いたところを正式な鑑定評価を多くとり、実勢価格に近付けたことによると
ころが大きいようだ。
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8
事
業
売
上
概
構
要
成
 売上構成(16/2 期)
その他不
動産販売
5%
不動産
賃貸
8%
その他
0%
戸建分譲
6%
(出所)決算短信
収
益
構
造
マンション
分譲
81%
 収益構造
主力のマンション分譲は市況の影響を受けやすいフロービジネスだが、ス
トックビジネスの不動産賃貸事業が業績を下支えしている(16/2 期では賃
貸事業の粗利益で人件費と支払利息の 56%をカバーしている)
。このため上
場後に赤字になったのは 10/2 期のみで赤字幅もわずかだった。
専業のマンションディベロッパーは、販売代理からスタートした会社が多
いのに対し、当社は不動産賃貸からスタートしたという経緯から販売を外部
委託している。このため従業員数は 16/2 期末で前期末比 9 名増の 109 名(う
ち正社員 87 名)と少なく、固定費を抑えることでマンション市況の変化に
柔軟かつ機動的に対応することができる。マンション市況悪化時の耐久性が
高いといえよう。
販売手数料は売上高に対して 3.5%程度であり、これは売上原価に計上さ
れている。従って、自社販売をしているディベロッパーと比較すると粗利益
率はこの分、低くなっている。
マンション分譲は、中心となる中小型物件の事業期間(用地取得から引渡
までの期間)は 1 年半程度と短い。早期販売により完成在庫を持たないよう
にし、資金効率を高めている。
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9
事
業
概
要
(百万円)
1,400
1,200
賃貸事業の粗利益の推移
不動産賃貸事業の粗利益
人件費+支払利息のカバー率
(%)
90
80
1,000
70
800
60
600
50
400
40
200
30
0
20
06/2 07/2 08/2 09/2 10/2 11/2 12/2 13/2 14/2 15/2 16/2
(出所)決算短信、有価証券報告書、会社資料
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10
近 畿 圏 のマンション市 場
近畿圏で供給を行っているマンションディベロッパー数は、ピーク時の
事業者数はピーク
時の 3 割の水準
1996 年には 351 社を数えたが、2015 年では 108 社(前年比 6 社増)とピー
ク時の 3 割の水準まで激減している。リーマンショックを受けたクレジット
クランチ(信用収縮)により 2008 年以降、中小ディベロッパーの淘汰が急
速に進んだことによる。足元の資金調達環境は非常に良好であり、事業者数
の減少には歯止めがかかっているが、マンション用地や建築費の高騰により、
新規参入は少ない。
近畿圏のマンション市場における主な事業者は、以下のように分類できよ
電鉄系と地場独立
系のプレゼンスが
高い
う。①プレサンスコーポレーション(3254)、森トラストの連結子会社の日
本エスリード(8877)、日本エスコン(東証 2 部 8892)、当社、大阪地盤の
リバー産業(未上場)
、京都地盤の睦備建設(未上場)といった地元志向の
強い専業マンションディベロッパー、②阪急不動産、近鉄不動産、京阪電鉄
不動産、ジェイアール西日本不動産開発といった関西電鉄系不動産会社、③
MAJOR7 と呼ばれる大手総合不動産 6 社+大京(8840)、④積水ハウス
(1928)、
大和ハウス工業(1925)といった大手ハウスメーカー、⑤その他(伊藤忠都
市開発、オリックス不動産、東レ建設など)。かつて近畿圏でかなりのプレ
ゼンスがあったコスモスイニシア(JASDAQ8844)も大和ハウス工業の連結子
会社となり資金調達力を回復させたことで、近畿圏での用地仕入れを本格再
開している。
これらの中で、プレサンスコーポレーションが 2010~2015 年まで 6 年連
続で供給戸数トップに立っている。もともと投資用ワンルームマンション販
売からスタートした会社で、足元でも供給戸数の約半分を戸当り単価の安い
投資用ワンルームマンションが占める。2015 年の供給戸数 2 位の日本エス
リードもプレサンスコーポレーションと同様に投資用ワンルームマンショ
ンの比率が高い。
MAJOR7 の 2015 年の供給シェアは 28.6%(前年比 0.6pt 減)と 2003 年以
降概ね 25%前後で推移している。首都圏における MAJOR7 の供給シェアが
2015 年で 47.9%(同 4.6pt 減)とリーマンショック以降、50%前後で推移
しているのに比べると、近畿圏における MAJOR7 のシェアは低い(近畿圏の
供給戸数には、首都圏と違いワンルームマンションが含まれているため
MAJOR7 のシェアがやや低めに表れている面はある)
。一方、電鉄系不動産会
社や地場密着のディベロッパーのシェアが高いことが近畿圏マンション市
場の特徴といえよう。尚、MAJOR7 の中で歴史的に近畿圏の供給が多いのは
住友不動産(8830)と東急不動産。
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11
近 畿 圏 のマンション市 場
MAJOR7 の調査による「関西圏の住んでみたい街ランキング」では、調査
消費者が利便性を
選好する傾向が強
まっている
開始以来、2012 年まで 8 年連続でトップだった芦屋を 2013 年に西宮が逆転
し初のトップに立ち、2014 年も続けてトップとなった。2015 年は集計方法
が従来の自由回答から駅単位の選択式に変わり、芦屋駅がトップとなった。
西宮駅は 12 位と西宮が低下したようにみえるが、4 位の夙川駅、16 位の苦
楽園口を含めた西宮エリアの人気は引続き高い。
従来、関西では首都圏よりも環境志向が強く、芦屋、御影、岡本といった
兵庫県下にあり、居住環境、自然環境に優れ、街並みがきれいで高級感、ス
テータス感の高い街の人気が高い傾向がある。
しかし、交通の便、駅前再開発による商業施設の充実といった利便性を重
視する傾向が強まってきており、西宮、梅田、千里中央の人気が高まってい
る。
関西圏の住んでみたい街ランキング(色の付いた箇所は当社の供給エリア)
2011年(回答937人)
2012年(回答950人)
2014年(回答1,181人)
2015年(回答1,369人)
2013年(回答950人)
エリア
ポイント
ポイント 順位
エリア
ポイント 順位
エリア
エリア
エリア
ポイント 順位
順位
ポイント 順位
332
1 芦屋駅
1 西宮
1 西宮
514
302
344
1 芦屋
323
1 芦屋
262
324
2 梅田駅
328
2 芦屋
299
2 西宮
252
2 芦屋
2 西宮
232
177
205
3 岡本駅
202
3 夙川
186
3 夙川
3 梅田
3 夙川
208
174
4 神戸
187
4 夙川駅
4 梅田
4 梅田
4 神戸
171
162
5 三宮駅
206
5 神戸
5 夙川
185
163
167
5 岡本
159
5 岡本
148
6 嵐山駅
202
165
6 千里中央
136
6 梅田
138
6 岡本
6 神戸
7 千里中央駅
164
109
7 三宮
147
7 京都
137
7 京都
7 千里中央
131
164
142
8 芦屋川駅
121
8 三宮
102
8 岡本
112
8 千里中央
8 三宮
9 烏丸御池駅
154
96
9 大阪市
141
86
9 千里中央
9 御影
106
9 三宮
152
10 京都
132
10 大阪駅
10 高槻
93
105
10 大阪
85
10 天王寺
141
93
11 宝塚
115
11 河原町駅
102
11 御影
80
11 御影
11 京都
141
83
12 天王寺
106
12 西宮駅
12 大阪市内
76
12 難波
12 吹田
90
116
13 高槻
104
13 烏丸駅
75
13 宝塚
83
13 宝塚
85
13 神戸市内
112
78
14 茨木
97
14 出町柳駅
73
14 天王寺
14 茨木
80
14 高槻
108
76
15 御影
87
15 北山駅
75
15 難波
69
15 豊中
15 豊中
16 苦楽園口駅
107
16 神戸市
62
16 豊中
85
75
16 天王寺
67
15 高槻
97
54
17 神戸市
67
17 神戸駅
69
17 茨木
61
17 茨木
17 難波
53
18 難波
67
18 御影駅
96
64
18 宝塚
57
18 福島
18 箕面
93
19 谷町
64
19 桂駅
59
19 豊中
54
19 阿倍野
52
19 大阪
20 箕面
51
20 元町
51
20 箕面
62
20 江坂駅
87
20 苦楽園
57
(出所)MAJOR7 マンショントレンド調査「住んでみたい街アンケート」(関西圏)
(注)各回答につき、1位3点、2位2点、3位1点として集計。2014年までは自由回答で、2015年は152駅の選択肢から上位3位を選択
豊中の供給は2012年から開始
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12
業
績
 経営環境解説
2015 年の近畿圏のマンション新規供給戸数は、
1 万 8,930 戸(前年比 0.6%
2015 年の新規供
給戸数は、販売価
格上昇による販売
減速を受け、2 年
連続 2 万戸割れ
増)
。年初の市場予測 2 万 1,000 戸を下回り、2 年連続で 2 万戸を下回った。
供給戸数にはワンルームマンションが 2,999 戸(同 49.1%増)含まれてお
り、ワンルームマンションを除くと 15,931 戸(同 5.2%減)とさらに低調
だった。投資用ワンルームマンションの需要は超低金利の継続や 2015 年 1
月からの相続増税を背景に旺盛で、1990 年以来の高水準の供給戸数となっ
た。
用地価格や労務逼迫を受けた建築費の上昇を受け、2015 年の戸当り平均
価格はワンルームマンションを除いたベースで 4,171 万円(前年比 7.4%増)
、
坪単価は 189.4 万円(同 9.8%増)と上昇が顕著になっている。一方、消費
者の賃金は伸び悩み、一次取得者層を中心に価格上昇に付いていけなくなっ
てきていること、団塊世代による住宅の一次取得が一巡したことなどにより、
地域や物件によって販売状況の二極化傾向が強まっている。通年の平均初月
契約率は 70.8%(同 5.8pt 減)と年後半に販売状況は厳しさを増し、好不
調の目安とされる 70%近辺まで低下した。供給戸数が低調だったのは、需
要減退を受け、ディベロッパーが小分け販売、供給先送りの傾向を強めたこ
とによるといえよう。
2016 年の近畿圏のマンション新規供給戸数の市場予測は 2 万 1,000 戸(前
2016 年の供給戸
数も 2 万戸程度に
とどまろう
年比 10.9%増)
。ディベロッパーの供給先送りにより 2 万戸以上の供給材料
はある。1 月 29 日の日銀のマイナス金利導入決定による住宅ローン金利の
一段の低下や、2017 年 4 月予定だった消費税率引上げが需要を喚起すると
みられていたが、6 月に安倍首相が消費増税率 10%への引上げを 2 年半再延
期すると正式に表明したほか(参院選後の臨時国会で改正法案を提出する見
通し)
、急速な円高の進行などによる企業業績の下振れ懸念、景気の先行き
不透明感の高まりにより、消費者の様子見姿勢が強まりそうな状況。
実際、5 月の初月契約率が 64.5%(前月比 5.5pt 減)にとどまるなど足元
の販売は力強さに欠け、それを受け 1~5 月の新規供給戸数は 7,424 戸(前
年同期比 11.1%減)にとどまっている。通年の新規供給戸数は 2 万戸程度、
あるいは 2 万戸を下回ってくることもあると考えられる。
マンションの供給戸数が低調に推移していることなどから建築費の上昇
には歯止めがかかり、高止まりの状況になっている。
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13
業
績
近畿圏マンションの供給戸数、初月契約率の年次推移
(戸)
50,000
(%)
100
その他
兵庫県
大阪府
初月契約率(右軸)
45,000
40,000
35,000
95
90
85
30,000
80
25,000
75
20,000
70
15,000
65
10,000
60
5,000
55
0
50
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15
(出所)長谷工総合研究所
(注)その他は、京都府、滋賀県、奈良県、和歌山県
(戸)
近畿圏マンションの供給戸数、初月契約率の月次推移
4,000
3,500
(暦年)
(%)
100
供給戸数(左軸)
初月契約率(右軸)
90
3,000
80
2,500
70
2,000
60
1,500
50
1,000
40
500
30
0
20
1 5 9 1 5 9 1 5 9 1 5 9 1 5 9 1 5 9 1 5 9 1 5 9 1 5 9 1 5 9 1 5
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
(出所)長谷工総合研究所
(年月)
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14
業
績
 16/2 期業績解説
16/2 期決算は、売上高 289 億円(前期比 3.8%減)
、営業利益 29.3 億円(同
16/2 期業績はほ
ぼ会社予想通り、
前期比横ばい圏で
着地
3.8%増)
、経常利益 20.5 億円(同 0.0%減)、純利益 12.3 億円(同 4.9%増)。
前期比微減収の主因は、14/2 期のマンション用地仕入れが少なかったこと
により分譲マンションの引渡がやや端境期となったこと。それでも大型高採
算物件の寄与によるマンションの粗利益率の改善や、その他不動産販売の伸
長、賃貸物件取得による不動産賃貸収入の増加などにより前期比営業微増益
を確保した。法人設立 50 周年を記念して 1 株当り 3 円の記念配当を実施。
期初時点でマンションの引渡予定戸数 700 戸に対する契約の進捗率は
86.7%と高かったため、概ね期初会社予想線で着地した。正確にいうと、売
上高は 5.5 億円下回ったが、営業利益は 1.8 億円、経常利益は 0.5 億円、純
利益は 0.3 億円、それぞれ上回った。
売上高が若干の未達になった要因は、①分譲戸建の引渡戸数が許認可取得
の遅れ、消費増税後の需要低迷の長期化による販売の遅れから計画に対し
25 戸の未達となった、②分譲マンションの引渡戸数が一部物件の販売長期
化から計画に対し 14 戸、6.0 億円の未達となった。これらをその他不動産
販売の上振れ 5.6 億円などで一部オフセットした。②の一部物件とは主に
「ワコーレ姫路京口マークス」
(総戸数 45 戸、15 年 12 月竣工済)
。16/2 期
末の未契約完成在庫 11 戸のうち 10 戸が当該物件。姫路市で初めて供給した
物件で当社の知名度が高くないことなどから販売が長期化しており、足元で
もまだ完売していない。
マンションの供給が後ろ倒しになったことによる販促費の計画下振れを
主因に売上高の小幅未達をカバーして利益は若干計画を上振れた。
セグメント別の業績は、主力の分譲マンション販売が売上高 233.9 億円
マンションの粗利
益率は大型高採算
物件が牽引し前期
比 1.0pt 改善
(前期比 7.3%減)、営業利益 24.3 億円(同 0.3%減)。引渡戸数が 686 戸(前
期比 79 戸減)と減少したため小幅減収ながら、粗利益率が 19.7%(前期比
1.0pt 増)と向上し前期並みの営業利益を確保した。
期末に「ワコーレシティ神戸三宮」
(総戸数 471 戸)のうち 323 戸(3 棟
構成のうち 2 棟)の引渡があった。上期のセグメント粗利益率は 17.9%だ
ったが、下期は当該物件が牽引し 20.6%となった。当該物件は戸数が多い
ため安全策をとってリーズナブルな値付けとしたが、不動産価格が本格上昇
する前に用地を仕入れたため高採算となった。このほか大型物件としては上
期に引渡した「ワコーレ舞子グランテラス」
(総戸数 143 戸)があり、これ
も比較的高採算だったもよう。これら大型 2 物件で引渡戸数の 68%、セグ
メント売上高の 53%を占めた。大型 2 物件以外の中小型物件の粗利益率は
用地価格、建築費の上昇を受け 16%程度だったとみられる。
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15
業
績
分譲マンションの契約戸数は 697 戸(前期比 361 戸減)と大幅減。期初計
契約戸数は前期比
大幅減
画の 900 戸も大幅に下回った。これは、①通期の供給戸数が期初計画の 920
戸を 91 戸下回った、②大型 2 物件をはじめ供給が下期に偏った、③神戸市
西部から明石にかけての一次取得者向けの販売が、建築費上昇による販売価
格上昇が響き減速した、ことによる。神戸市東部から阪神間の高額物件の販
売は総じて堅調に推移している。
期末の受注残(契約済未引渡戸数)は 899 戸。このうち 17/2 期引渡予定
分は 689 戸であり、17/2 期の引渡予定戸数 770 戸に対する契約の進捗率は
89.5%と高い。
戸建住宅販売の売上高は、売上高 17.5 億円(前期比 18.1%減)、営業利
戸建分譲の販売は
低調
益 0.4 億円(同 47.7%減)
。許認可取得に想定以上に時間を要したことによ
る供給の遅れや消費増税後の需要低迷の長期化により、引渡戸数が計画を
25 戸下回る 45 戸(同 15 戸減)と 15/2 期に続いて低調で、セグメント売上高
は計画を 7.4 億円下回った。粗利益率は 12.3%(同 0.4pt 増)だった。
その他不動産販売は、売上高 14.6 億円(前期比 2.5 倍)
、営業利益 1.7
億円(同 50.5%増)
。マンション分譲用地の素地売りなどで売上高は計画を
5.6 億円上回った。
特殊な売上として建築請負 4.2 億円があった。
これは 15/2
期にマンション分譲予定地を学生寮の建設用地を探していた専門学校に素
地売りし、当社としては初めて建築を請負い、建物の完成により引渡したこ
とによるもの(土地部分の売却額は 15/2 期に売上計上済み)
。木造アパート
販売は 5 棟、3.6 億円だった。
不動産賃貸収入は、売上高 22.4 億円(前期比 8.3%増)、営業利益 9.2 億
円(同 10.9%増)
。2 物件取得が寄与した。
マンション用地の仕入れは 778 戸(前期比 313 戸減)相当分。期初計画の
用地取得はやや慎
重姿勢に
900 戸を下回った。上期 528 戸に対し、下期は 250 戸にとどまった。販売価
格上昇を受け需要が弱含む中、慎重な仕入れ姿勢をとったことによる。100
戸超の大型物件の仕入れは上期の 1 件(140 戸強)にとどまった。
18/2 期以降引渡予定分として 1,600 戸程度のランドバンクがあり(上期
に仕入れた 140 戸強の用地は引合いがあり、売却するようであり、ここから
除いている)、19/2 期までのラインアップは揃っている。
戸建分譲用地では、上期に神戸市北区鹿の子台で当社として過去最大とな
る 97 区画の大型開発用地の仕入れがあった(一部素地売りし 90 戸程度にな
るもよう)
。造成が必要であり、引渡開始は 18/2 期からになるもよう。
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16
業
績
中長期的には人口や世帯数の減少による住宅市場の縮小が避けられない
ノンアセットビジネ
スの取組みを強化
ため、当社では分譲マンションの事業エリアの拡大を図っているほか、管理
やリフォーム事業など既存事業周辺のノンアセットビジネスの強化を図っ
ていく方針。
ノンアセットビジネス強化の一環として、従来から若干の取引があった阪
神間でマンション管理業務などを手掛ける晴耕雨耕(株)と 3 月 7 日に資本
業務提携契約を締結。同社の発行済株式の 33.3%を 1.25 億円で取得した。
当面、当社が阪神間で分譲する物件の管理業務を委託する方針。なお、同社
の事業規模は、15/5 期で売上高 12.9 億円、経常利益 0.27 億円、純利益 0.13
億円に過ぎないため、重要性の観点から非連結とする(持分法適用としない)
もよう。
 17/2 期業績予想
17/2 期の利益も
前期比概ね横ばい
圏の予想
17/2 期会社業績予想は、売上高 320 億円(前期比 10.5%増)、営業利益
28.5 億円(同 3.0%減)
、経常利益 20.5 億円(同 0.2%減)
、純利益 13.0 億
円(同 5.0%増)。マンション引渡戸数の増加により 2 桁増収を見込むが、
マンションの粗利益率の低下、販管費の増加を主因に営業微減益見込み。純
利益段階では法人税率の引下げにより小幅増益を見込む。16/2 期実施の記
念配当(1 株当り 3 円)を普通配当に切り替え、1 株当り 26 円の配当を維持
する予定。
マンション分譲の引渡予定戸数は 770 戸(前期比 84 戸増)。先述の通り、
マンションの引渡は
上期偏重の予定
期初時点で 89.5%が契約済み。
「ワコーレシティ神戸三宮」の残り 148 戸は
期初に引渡済みとなっている。販売単価が 16/2 期引渡分の 3,014 万円と同
程度であれば、当該物件の売上高は 45 億円弱となる。これ以外に 100 戸超
の大型物件の引渡予定はないが、比較的大型の物件として、
「神戸北野ザ・
テラス」
(総戸数 97 戸、2016 年 10 月中旬竣工予定)
、
「深江駅前ガーデンズ」
(同 88 戸、2016 年 3 月下旬竣工済)があり、いずれも既に完売している。
「ワコーレシティ神戸三宮」と「深江駅前ガーデンズ」を中心に 1Q(3-5
月)の引渡戸数は 390 戸と通期計画の約半分まで進捗する予定。2Q 累計(3-8
月)では 545 戸(前年同期比 352 戸増)の予定。16/2 期は下期、特に 4Q(12-2
月)偏重だったのに対し、今期は上期、特に 1Q 偏重となる予定。このため
2Q 累計の会社業績予想は売上高 205 億円(前年同期比 98.5%増)
、営業利益
22.0 億円(同 3.6 倍)となっている。
マンションの粗利益率は、
用地価格、
建築費の上昇を受け 16/2 期の 19.7%
から 1pt 程度低下する見通し。低下予想ながら、高採算の「ワコーレシティ
神戸三宮」が残っているため比較的高水準を維持する見込み。
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17
業
績
マンションの契約戸数は 790 戸(前期比 93 戸増)の計画。100 戸超の大
大型物件の販売は
堅調に推移してい
るもよう
型物件として、昨年末から販売を開始した 2 物件「ワコーレ神戸三宮トラッ
ドタワー」
(総戸数 194 戸、2018 年 1 月下旬竣工予定)、
「ワコーレ新神戸マ
スターズレジデンス」(同 122 戸、2018 年 1 月中旬竣工予定)
、今期末から
販売予定の三宮に所在する JT(2914)の旧神戸支店の跡地の物件(200 戸前
後)がある。
「ワコーレ神戸三宮トラッドタワー」は「ワコーレシティ神戸
三宮」の隣接地の物件。販売価格はかなり高くなるが、契約の進捗は 16/2
期末で 2 割強、足元で 5 割弱のもよう。
「ワコーレ新神戸マスターズレジデ
ンス」の契約の進捗率は 16/2 期末で 4 割弱、足元で 5 割強のもよう。いず
れも堅調に推移しているといえよう。なお、3 物件とも引渡時期は 19/2 期
になる予定。
マンション用地の仕入れは 750 戸(前期比 28 戸減)の計画。引続き用地
マンション用地仕
入れは抑制気味
取得競争が厳しい一方、需要がやや減速気味で販売価格の一段の引上げは難
しくなってきたことから慎重な仕入れ姿勢となっている。足元までに 100
戸超の大型物件の用地仕入れはないもよう。
戸建分譲は 60 戸(前期比 15 戸増)の引渡、セグメント売上高 20 億円(同
14.1%増)の予想。期初の受注残は 8 戸、2.7 億円であり、今後の販売にか
かっている。
その他不動産販売の売上高は 14 億円(前期比 4.3%減)と高水準を維持
する見込み。
木造アパート販売が 17/2 期と同様に 5 棟予定されているほか、
16/2 期に固定資産から販売用不動産に振替えた賃貸マンション 2 棟、3.1
億円の売却、戸建分譲用地の素地売却などが見込まれている。小幅減収予想
ながら、16/2 期のような利益率の低い建築請負がないため、セグメント利
益は増加するとみる。
会社業績予想は保守的とみられる。期初時点のマンションの契約の進捗率
会社業績予想は保
守的で上振れが期
待できよう
が高いため、主力のマンションの売上高や粗利益率の予想が大きく狂うこと
はないだろう。保守的とみられるのは販管費の想定。
「ワコーレシティ神戸
三宮」のマンションギャラリーの除却損 1 億円弱や、上記の大型 3 物件に係
る販促費などにより前期比 4 億円強の 37 億円程度の想定になっているとみ
られるが、1.5 億円程度下回ると予想した。これを主因に表記業績予想程度
に利益は上振れすると予想した。
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18
業
績
 18/2 期業績予想
18/2 期業績は概
ね前期比横ばい圏
を予想する
18/2 期業績は概ね 17/2 期比横ばい圏になると予想する。引渡可能なマン
ションは 100 戸超の大型案件こそないものの 800 戸弱あるもよう。17/2 期
には販売単価がやや低い「ワコーレシティ神戸三宮」が含まれているため、
17/2 期よりも販売単価は上昇しよう。引渡戸数の小幅増と販売単価の上昇
により分譲マンション販売の売上高は 17/2 期よりも増加しよう。
一方、マンションの粗利益率は「ワコーレシティ神戸三宮」のような高採
マンションの粗利
益率は高採算物件
がなくなり低下見
込み
算物件がなくなるため、仕入れ時の目線である 17%程度に低下するとみら
れる。このため、分譲マンション販売のセグメント利益は 17/2 期比概ね横
ばいか若干減少するとみる。
これを、その他不動産販売の増加や、販管費における一過性の費用の剥落
などでカバーし、表記程度の微増益を確保するとみる。
 19/2 期業績の見通し
19/2 期業績も引
続き横ばい圏とな
ろう
19/2 期は先述の大型 3 物件が引渡期を迎えることなどから 18/2 期並みの
引渡戸数は確保できよう。マンションの粗利益率は引続き 17%程度になる
とみられることから、業績は概ね横ばい圏が続くとみる。従来、マンション
分譲 1,000 戸、戸建分譲 100 戸を目指すとしていたが、市況がやや軟化して
いるため当面の経営は安全運転となろう。
マンション販売に関しては、2019 年 10 月から消費税率が 10%に引上げに
なる場合、経過措置の期限は 2019 年 3 月末になるとみられるため、期末に
向けある程度の駆け込み需要が発生する可能性があろう。
13/2
653
746
737
1,394
622
24
19.6
31.7
14/2
786
759
885
621
595
0
17.2
33.6
15/2
765
1,058
967
1,091
888
18.5
18.6
33.0
(単位)戸
16/2
17/2CE 17/2E 18/2E
686
770
770
790
697
790
790
780
829
750
730
760
778
750
750
760
899
919
919
909
11
na
10
15
19.7
na
18.8
17.1
34.1
34.3
34.3
35.8
13/2
73
15.1
32.0
14/2
67
13.3
34.0
15/2
60
11.9
35.7
(単位)戸
16/2
17/2CE 17/2E 18/2E
45
60
57
60
12.3
na
12.6
13.0
38.9
33.3
33.3
33.3
分譲マンション関連指標
08/2
09/2
10/2
11/2
12/2
引渡戸数
783
620
623
614
585
契約戸数
471
429
566
926
673
発売戸数
343
560
374
910
773
381
505
503
546
835
仕入戸数
期末契約残(受注残)戸数
377
186
129
442
530
期末未契約完成在庫
na
34
123
2
25
粗利益率(%)
18.2
15.2
8.0
14.8
21.0
戸当り販売単価(百万円)
28.5
39.6
34.3
32.4
31.8
(出所)決算短信、会社資料。CEは会社予想
(注)仕入戸数は仕入時の想定でその後の企画変更等で実際の出来上がりは異なる
分譲戸建関連指標
08/2
引渡戸数
15
粗利益率
13.4
1棟当り販売単価(百万円)
36.4
(出所)決算短信、会社資料、CEは会社予想
アナリストレポート・プラットフォーム
09/2
18
13.8
37.1
10/2
32
10.5
26.6
11/2
51
12.7
43.6
12/2
37
14.0
37.0
19
業
績
14/2
32,480
26,386
2,277
1,697
2,042
1,452
430
97
62
76
26,442
6,037
4,537
302
209
916
3,165
908
2,872
2,411
169
83
825
72
▲ 689
25
916
614
1,981
0
134
1,846
780
1,066
15/2
30,097
25,240
2,140
593
2,073
1,504
433
93
41
49
23,998
6,098
4,699
255
141
955
3,266
996
2,831
2,447
92
114
836
46
▲ 704
20
797
612
2,055
0
0
2,055
874
1,180
17/2CE
16/2
32,000
28,950
26,400
23,398
1,752
2,000
1,400
1,463
2,200
2,245
na
1,571
na
498
94
na
81
na
0
91
na
22,724
6,225
na
na
4,601
216
na
273
na
na
1,056
3,287
na
1,046
na
2,850
2,938
2,438
na
48
na
171
na
na
927
77
na
na
▲ 725
na
21
904
na
na
734
2,055
2,050
5
na
23
na
2,037
na
na
798
1,238
1,300
(単位)百万円
17/2E 18/2E
32,040 34,480
26,400 28,300
1,900 2,000
1,400 1,800
2,250 2,280
1,580 1,600
500
510
90
90
80
80
90
100
25,420 27,820
6,620 6,660
4,950 4,850
260
240
300
400
1,060 1,070
3,550 3,500
1,120 1,140
3,070 3,160
2,650 2,580
60
80
200
300
940
930
45
50
▲ 815 ▲ 790
20
20
820
810
650
640
2,270 2,370
0
0
0
0
2,270 2,370
830
850
1,440 1,520
損益計算書、要約貸借対照表(非連結)
売上高
分譲マンション販売
戸建住宅販売
その他不動産販売
不動産賃貸収入
レジデンス
店舗・事務所
駐車場
トランクルームほか
その他
売上原価
売上総利益
分譲マンション販売
戸建住宅販売
その他不動産販売
不動産賃貸収入
販管費
うち人件費
営業利益
分譲マンション販売
戸建住宅販売
その他不動産販売
不動産賃貸収入
その他
全社費用
営業外収益
営業外費用
うち支払利息
経常利益
特別利益
特別損失
税引前当期純利益
法人税等
純利益
13/2
12/2
10/2
11/2
08/2
09/2
29,564 32,333 29,890 28,231 22,550 25,396
22,345 24,544 21,359 19,867 18,588 20,708
2,336
1,369
851 2,223
546
667
337
217
5,095 3,668
5,080 4,482
2,222
2,089
2,535 2,417
2,093 2,508
1,446
1,486
1,769 1,662
1,886
na
563
500
582
491
596
na
126
103
135
138
124
na
39
34
45
35
na
25
32
45
49
55
45
132
22,570 26,754 26,561 23,513 17,370 19,923
5,473
3,329 4,717
5,179
6,993 5,579
4,065
3,910
1,705 2,943
4,231 3,724
351
189
89
282
92
73
17
61
1,727
475
372
288
1,032
953
1,161 1,203
1,033 1,287
2,822
2,610
2,755 2,669
2,973 3,001
788
768
841
847
805
862
2,569
2,650
573 2,048
4,020 2,577
2,210
2,226
- 1,221
50
156
311
▲5
43
874
823
- 1,039
41
46
29
570 ▲ 607 ▲ 623
30
28
12
69
40
34
716
732
984 1,232
990 1,098
608
622
749
694
717
742
1,849
1,964
3,063 1,548 ▲ 370
844
3
10
278
41
241
73
526
527
101
99
206 1,113
786
1,564
1,440
2,930
445 ▲ 192
678
327
33
357
892
1,316
671
761
1,613
118 ▲ 226
428
総資産
現預金
棚卸資産
販売用不動産
仕掛販売用不動産
有形固定資産
有利子負債
流動
固定
自己資本
59,788
5,077
31,356
9,077
22,279
21,554
30,912
18,508
12,404
13,746
57,422
3,515
26,282
8,417
17,865
25,079
34,479
20,010
14,469
13,606
53,249
5,091
21,930
11,954
9,976
23,893
30,518
16,543
13,975
13,229
48,233
9,672
13,041
4,174
8,867
23,658
24,395
7,929
16,466
13,612
47,408
6,674
15,833
2,663
13,170
23,285
26,102
8,257
17,845
14,186
54,107
12,001
17,298
658
16,640
23,372
27,011
9,773
17,238
14,802
58,328
12,263
20,684
236
20,448
23,815
29,219
8,615
20,605
15,693
65,651
11,568
28,174
1,753
26,421
24,045
35,919
11,544
24,375
16,624
70,876
7,669
35,337
5,708
29,629
24,720
42,357
16,837
25,520
17,578
na
na
na
na
na
na
na
na
na
na
66,500
10,000
29,500
2,500
27,000
25,000
34,542
18,758
68,000
9,000
32,000
15,000
17,000
25,000
34,792
20,008
2.2
1.9
23.0
11.7
2.5
2.3
23.7
0.9
2.3
1.9
24.8
▲ 1.7
1.8
1.1
28.2
3.1
1.8
1.4
29.9
4.7
1.8
1.0
27.4
5.1
1.9
1.1
26.9
6.8
2.2
1.5
25.3
7.1
2.4
2.0
24.8
7.0
na
na
na
na
1.8
1.3
28.2
7.7
1.7
1.3
29.4
7.6
D/Eレシオ(倍)
ネットD/Eレシオ(倍)
自己資本比率(%)
ROE(%)
(出所)決算短信、会社資料
(注)CEは会社予想
ROEは期末自己資本ベース
アナリストレポート・プラットフォーム
20
(出所)㈱QUICK
上記チャート図の一部又は全部を、方法の如何を問わず、また、有償・無償に関わらず第三者に配布してはいけません。
上記チャート図に過誤等がある場合でも㈱QUICK 社及び東京証券取引所は一切責任を負いません。
上記チャート図の複製、改変、第三者への再配布を一切行ってはいけません。
2014/2
株 価 推 移
2015/2
2017/2 予
(アナリスト)
2016/2
株価(年間高値)
円
996
744
874
-
株価(年間安値)
円
588
587
631
-
月間平均出来高
百株
6,337.92
2,608.00
2,849.83
-
売
上
高
百万円
32,480
30,097
28,950
32,040
営
業
利
益
百万円
2,872
2,831
2,938
3,070
経
常
利
益
百万円
1,981
2,055
2,055
2,270
百万円
1,066
1,180
1,238
1,440
業 績 推 移
当 期 純 利 益
E
P
S
円
106.63
118.10
123.86
144.00
R
O
E
%
7.0
7.3
7.2
7.7
流動資産合計
百万円
33,333
40,319
44,798
-
固定資産合計
百万円
24,995
25,332
26,077
-
資
百万円
58,328
65,651
70,876
-
産
合
計
貸借対照表
流動負債合計
百万円
20,925
23,406
26,282
-
主 要 項 目
固定負債合計
百万円
21,709
25,619
27,015
-
負
百万円
42,635
49,026
53,297
-
株主資本合計
百万円
15,690
16,671
17,689
-
純 資 産 合 計
百万円
15,693
16,624
17,578
-
営業活動による CF
百万円
56
-6,171
-8,386
-
投資活動による CF
百万円
-1,895
-1,321
-1,709
-
財務活動による CF
百万円
2,028
6,500
6,218
-
現金及び現金同等
物の期末残高
百万円
10,306
9,312
5,435
-
キャッシュフ
ロー計算書
主 要 項 目
債
合
計
アナリストレポート・プラットフォーム
21
リ
事
関
ス
ク
分
す
業
る リ
析
に
ス ク
 事業に関するリスク

建築費やマンション用地価格の一段の上昇を受けた販売価格の上昇、円
高進行などによる企業業績の悪化を受けた雇用・所得環境の回復の遅れ、
長期金利(住宅ローン金利)上昇、2019 年 10 月予定の消費税率引上げ
などによる消費者のアフォーダビリティ(住宅取得能力)の低下。

少子高齢化の進展、人口減少により、長期的にマンション需要が減退す
る可能性。

震災の復興需要、2020 年開催予定の東京五輪、景気回復などに伴う建
設投資の回復により建設技能労働者不足が一段と深刻化し、建築費がさ
らに上昇する恐れ(足元は一服している)。

建設技能労働者不足などを遠因とする施工不良の発生。こうした場合、
ディベロッパーの信用が傷つく恐れがある。

用地取得競争の一層の激化。

低価格戸建住宅を供給するパワービルダーとの販売上の競合。ただし、
基本的に棲み分けがなされている。
業
関
す
界
る リ
に
ス ク
 業界に関するリスク

消費税率が 10%に引上げられた後、住宅需要が長期に減退する恐れ。

労務費や資材価格の上昇により建築工事費がさらに上昇した場合、販売
価格への転嫁が進まないと粗利益率の低下要因となる。

杭打ち工事のデータ改ざん問題により施工管理に係る規制が強化され
た場合、建築費の上昇要因になる可能性がある。
アナリストレポート・プラットフォーム

米利上げなどを契機とする長期金利の上昇。

住宅取得に係る政策支援の縮小。
22
デ ィ ス ク レ ー マ ー
1.本レポートは、株式会社東京証券取引所(以下「東証」といいます。
)が実施する「アナリストレポー
ト・プラットフォーム」を利用して作成されたものであり、東証が作成したものではありません。
2.本レポートは、本レポートの対象となる企業が、その作成費用を支払うことを約束することにより作
成されたものであり、その作成費用は、当該企業が東証に支払った金額すべてが、東証から株式会社ア
イフィスジャパン(以下「レポート作成会社」といいます。
)に支払われています。
3.本レポートは、東証によるレビューや承認を受けておりません(ただし、東証が文面上から明らかに
誤りがある場合や適当でない場合にレポート作成会社に対して指摘を行うことを妨げるものではありま
せん)
。
4.レポート作成会社及び担当アナリストには、この資料に記載された企業との間に本レポートに表示さ
れる重大な利益相反以外の重大な利益相反の関係はありません。
5.本レポートは、投資判断の参考となる情報の提供を唯一の目的として作成されたもので、有価証券の
取引及びその他の取引の勧誘又は誘引を目的とするものではありません。有価証券の取引には、相場変
動その他の要因により、損失が生じるおそれがあります。また、本レポートの対象となる企業は、投資
の知識・経験、財産の状況及び投資目的が異なるすべての投資者の方々に、投資対象として、一律に適
合するとは限りません。銘柄の選択、投資判断の最終決定は、投資者ご自身の判断でなされるようにお
願いいたします。
6.本レポート作成にあたり、レポート作成会社は本レポートの対象となる企業との面会等を通じて、当
該企業より情報提供を受けておりますが、本レポートに含まれる仮説や結論は当該企業によるものでは
なく、レポート作成会社の分析及び評価によるものです。また、本レポートの内容はすべて作成時点の
ものであり、今後予告なく変更されることがあります。
7.本レポートは、レポート作成会社が信頼できると判断した情報に基づき記載されていますが、東証及
びレポート作成会社は、本レポートの記載内容が真実かつ正確であり、そのうちに重要な事項の記載が
欠けていないことやこの資料に記載された企業の発行する有価証券の価値を保証又は承認するものでは
ありません。本レポート及び本レポートに含まれる情報は、いかなる目的で使用される場合におきまし
ても、投資者の判断と責任において使用されるべきものであり、本レポート及び本レポートに含まれる
情報の使用による結果について、東証及びレポート作成会社は何ら責任を負うものではありません。
8.本レポートの著作権は、レポート作成会社に帰属しますが、レポート作成会社は、本レポートの著作
権を東証に独占的に利用許諾しております。そのため本レポートの情報について、東証の承諾を得ずに
複製、販売、使用、公表及び配布を行うことは法律で禁じられています。
<指標の説明について>
本レポートに記載の指標に関する説明は、東京証券取引所ウェブサイトに掲載されております。
参照 URL ⇒ http://www.jpx.co.jp/listing/reports/analyst-report/03.html
アナリストレポート・プラットフォーム
23