台北日本人学校

世 界 の 学 校 44
日 本 と台 湾 の 深 い つ な が り
台北
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台北日本人学校
台湾
両角 宏和
熊本の大地震を知り,心を痛めていると,その直後に台湾のニュースで政府が 6500 万円の寄付をするという
報道がされました。1999 年に発生した台湾大地震で日本がたくさんの支援をしたことがきっかけで,5 年前
の東日本大震災の時には台湾から 290 億円もの寄付があったのだそうです。世界で最大規模の支援だという
ことを知りました。今年 2 月の台湾南部地震の時も日本からの支援が大々的に報道されていました。改めて
日本と台湾の深いつながりを実感しています。
さて,私の勤務する台北日本人学校は,台湾の台北市の北東,
天母地区に校舎があり,小 1 から中 3 までの約 800 人が通学して
います。
本校の特色として,まず視聴覚機器の充実が挙げられます。
全教室にノートパソコン,プロジェクター,実物投影機が設置
されています。算数の図形の問題を考える時に図を動かして見
せたり,子どもたちが考えてノートに書いた内容を投影して,
全体で意見交流したりしています。本年度はタブレットが導入
され,コミュニケーションツールとして授業や教育活動の中で
有効な活用方法を探る取り組みを始めます。
また,小 1 から中 3 まで英語活動と
中国語の授業を週 1 時間ずつ行って
います。習熟度別に一クラスを三つの
グループに分け,少人数で語学力の向
上・コミュニケーション能力の育成を
図っています。
さらに,現地校との交流も行われて
います。昨年度私が担任した 6 年生は,グループ毎に,現地校の各クラスに入り授業を体験しました。現地校は
1 校時は 40 分間,7 校時までの設定でした。日本と同じく給食の制度がありますが,食後には昼寝の時間も
ありました。机に伏して寝ましょうという指示に戸惑いながらも子どもたちは楽しんでいました。逆に,日本人
学校に現地の子どもたちを招いた時は,折り紙やだるまさんが転んだなど日本の文化を体験してもらいました。
うまく言葉が通じなくても,身ぶり手ぶりのゼスチャーで意思疎通をしていました。
現在私が担任する 3 年生は,5 月に社会科の学習で学校の
まわりを調べに行きました。その中の一つに市場がありま
した。子どもたちにとっては,見慣れないフルーツや豚や
鶏の生肉がそのまま台に乗せられ,買いもの客のニーズに
合わせて量り売りする様子が印象的だったようです。私自身
も,この台湾で日本の文化との共通点や相違点の気づきを大
切にしながら子どもたちとともに全力で取り組んでいこうと
思います。
第1007号 信濃教育会報(5)