年度産りんごは終始高値で販売され、 年産から3年続 三年連続 りんご高値を探る 平成 けての高値となる見通しとなった。背景には海外への輸出が大き く増えたことが要因にある。その最大のりんご輸出国である台湾 の販売事情を探る。 販売動向﹁輸出好調﹂ 年産りんごの販売は、早生種の販売価 輸出については早生ふじ・トキ等の中生種が なりました。 様な企画販売を設定した事により順調な販売と 中・小玉及びキズ果等の下位等級品は、多種多 なPR等により売り場が拡大し、値頃感のある さらに、年明け以降は、消費宣伝会の積極的 格は順調に推移しました。 体に国内贈答向けや海外輸出向けへ傾注し、価 サンふじについては、年内は上位等級品を主 級品が高騰しました。 贈答や輸出用の上実が不足したことから上位等 下位等級品の入荷割合が多かったことにより、 また、爆弾低気圧の影響により、キズ果等の ました。 りあがりも早く、りんごへの引き合いが強まり あったことに加え、競合する梨・ぶどう等の切 格 か ら 堅 調 に 推 移 し、 中 生 種 は 食 味 が 良 好 で 平成 販売課 米澤 松太 台湾・香港を中心に拡大し、また米国産が天候 2 25 前 編 27 27 仲卸しが数多く並ぶ台湾・三重果菜市場 不順等による品質低下で、台湾国内が果実全体 で品薄傾向となったことから2016年産4月 末累計輸出量が3万4千トン︵財務省貿易統計︶ となり、統計上、過去最高の実績となりました。 当JAにおいても、きおうから輸出がスター トし、サンふじ・王林を中心に台湾・香港向け に千トンを超え、昨年を上回る輸出量となりま した。 〇木箱・イフコ入庫で選果を大幅に短縮 早生種の販売については、前進出荷傾向で、 堅調に推移しましたが、桃やふどう等の競合果 実が増量したことにより、りんごの売場は縮小 では風害果等の下位等級品の入荷割合が多かっ たことと、贈答や海外向け等の上実が著しく不 足したことから上位等級品が高騰し、二極化現 象となりました。 3 され、価格は日々下げ基調で推移しました。し かし、食味が良好で売場の拡張と共に相場は落 ち着き、概ね保合いで推移しました。 また、昨年までつがるの選果・荷造り作業は 月上旬まで行なわれていましたが、クズ・青 月2日の爆弾低気圧、 10 に移行されました。 しかし、 10 号の影響で落果や樹上損傷が発生し、大 23 きな被害を受けました。その影響で、産地市場 台風 月8日の 造り作業が終わり、中生種りんごへとスムーズ 出荷したことにより、今年は9月中に選果・荷 実・ピンコを木箱とイフココンテナでそのまま 10 〇年内は流通量が抑制され価格は順調 推移しました。 量増加に加え、食味が伴わず厳しい販売が続き いちごについては、クリスマス需要前の流通 き合い は 上 位 等 級 品 を 主 体 に 、 国 内 贈 答 向 け や ましたが、年末には二番果との端境期になり回 月中旬から各県ともサンふじが出揃い、引 海外輸 出 向 け へ 傾 注 し て お り 、 国 内 流 通 量 が 抑 当JAでは例年にも増し、贈答需要が多く飛 復基調となりました。 しか し 、 小 売 価 格 が 高 め に 設 定 さ れ て い る こ 馬ふじ・みつまるくん等を中心とする上位等級 制され 価 格 は 順 調 に 推 移 し ま し た 。 とから 荷 動 き が 鈍 く 、 他 県 産 の 下 位 等 級 品 の 増 品の供給に追われ、年内は休まず選果・荷造り 袋詰めされた「風のいたずらりんご」が店頭に並ぶ 〇キズ果は企画販売で価格の底上げ 作業が続きました。 量に伴 い 厳 し い 販 売 が 続 き ま し た 。 ま た、 競 合 果 実 の み か ん に つ い て は、 産 地・ 流通段 階 で 腐 敗 や 浮 き 皮 等 の 品 質 低 下 が 見 ら れ ました が 、 流 通 量 の 減 少 か ら 価 格 は 概 ね 順 調 に 年明け以降、消費宣伝会の積極的な実施によ り売場は拡大、値頃感のある中・小玉及びキズ 輸出が始まった当初、青森県産は高級果実と して世界一や陸奥、有袋ふじの大玉で贈答用を 中心に輸出が行われてきましたが、近年、地元 のスーパーマーケットを中心に食味が良いサン の小島から構成され、総面積が ふじの需要が増え、また小玉の取引も増えてき ています。 台湾は大小 4 果 等の下 位 等 級 品は順 調 な販 売 となりました。 特にキズ果では企画販売を設け﹁風のいたずら りんご﹂のシールを作成、スーパーで袋詰めで 販売し、価格の底上げを図りました。 等を併せると3万5千トンと年々りんごの輸出 4月以降の王林は、小売段階でヤケや軟質果 等の品質低下が散見されたことや大量に出回っ 年産は初 27 めて千トンを超える量となっています。 す。当JAでも年々輸出量が伸び、 量が伸び、統計上過去最高の実績となっていま 「ROCKIT」4個入れが人気 たことにより相場は下げの展開となりました。 ふじ系についてはGW明けからサンふじから 有袋ふじへと本格的に切り替わり、小売価格が 一段上げの売り込みとなったことから荷動きは 低調となりました。 〇台湾におけるりんご消費・流通実態調査 年産4月末累計輸出量が 2 0 0 2 年、 台 湾 の W T O 加 盟 を 契 機 に 始 まった輸出は、平成 27 2万7千トン︵財務省貿易統計︶ 、香港や中国 86 11 36,000㎢︵九州とほぼ同じ︶、南北の長さ ら熱帯に当たり、高山は比較的冷涼な気候であ また、第一次産業の農業は、気候が亜熱帯か 万9千トンで、内訳はアメ そのため、海外からの輸入が主力となってお り、平成 年産は リカが6万4千トン、チリが3万トン、日本が が386㎞、総人口が約2,343万人、最も るため、バナナやマンゴー等熱帯果実が生産さ 台湾国内での消費量に対応しきれていないのが 台北市には果物の市場が2か所あり、今回は 〇台北市の三重果菜市場 人口の 多 い 都 市 は 台 北 市 で 3 9 7 万 人 と な っ て 近年 、 台 湾 は 工 業 ・ 貿 易 の 推 進 に よ り 、 飛 躍 現状であり、また気象条件によって栽培が困難 2万3千トンと3番目になります。 13 れています。りんごはわずかな生産量しかなく、 26 います 。 的な経 済 発 展 を 遂 げ 、 東 ア ジ ア の 中 で あ っ て 経 な果物となっています。 5 済振興 地 域 と し て 重 要 な 位 置 を 占 め て い ま す 。 上 規模の大きな三重果菜市場 中左 アメリカ産は安価で店頭に 中右 ニュージーランド産DIVA 下 相馬産トキは売れ筋 その中 の 1 つ の 三 重 果 菜 市 場 を 訪 れ ま し た 。 市 場 の 中 に は 仲 卸 会 社 が 数 百 社 あ り、 今 の 時 期、 ニュー ジ ー ラ ン ド や 南 ア フ リ カ 等 南 半 球 か ら の ・ 玉の小玉が値頃感で食べやすいというこ とで注文が増えてきています。 他スーパーは ・ 玉を中心に値頃価格で販売 多くなります。市場だと大きさと等級指定で仕 います。しかし、これからはスーパーの割合が で市場に7割、スーパーに3割の割合で卸して 日豪貿易は、台中にある果実専門の貿易会社 ら輸入され、また小玉の需要があるということ りんご=サンふじという認識であり、世界中か されていると思っていましたが、日本と一緒で 用に世界一や陸奥、有袋ふじの大玉が多く取引 今まで台湾のイメージとして、旧正月の贈答 アイス キロで1,008ケース︶が輸出され、 て毎週 5 0 0 コ ン テ ナ ︵ 日 本 で は 1 コ ン テ ナ = 主にサ ン ふ じ が 取 引 さ れ て い ま す 。 サ ン ふ じ は 入れますが、スーパーはほとんどの大きさと等 し業績を伸ばしています。 パーとは異なるブランド商品として、特色を出 していますが、多少単価高になるものの、他スー 46 キロ︵100玉︶で6,000円、スーパー 〇日豪貿易 40 を初めて知ることができました。 果物が 取 引 さ れ て い ま し た 。 46 級を仕入れするため卸しやすいとのこと。 現在 、 り ん ご は ニ ュ ー ジ ー や チ リ 等 を 合 わ せ 40 してお り 、 人 気 商 品 と な っ て い ま す 。 数 百 社 あ 個を入 れ ﹁ R O C K I T ﹂ と い う 商 品 名 で 販 売 日一個りんごを食べる人が多い台湾は、9月か 最近台湾で人気がある品種です。健康志向で一 じや王林を販売しています。その中で、トキは り、中生種のトキや早生ふじ、晩生種はサンふ 日本産りんごの輸入は、サンつがるから始ま の所得向上を図ってまいります。 ます増える台湾輸出を安定的に継続し、組合員 トキ以外もほしいとの要望もありました。ます 量が増えてくると考えられるとともに、ふじや 今後は、値頃感のある家庭消費者向けの輸出 ロ キ ッ ト しんりゅうすいかこう 湾国内にりんごが流通していない期間となりま りん ている 玉 ク ラ ス の り ん ご を 円 筒 形 の 容 器 に 4 る中で 、 仲 卸 会 社 の ﹁ 新 隆 水 果 行 ﹂ の 林 社 長 に ナを販 売 し て お り 、 主 に サ ン ふ じ の 取 扱 量 が 多 す。その期間に、トキを輸出にすることによっ があるというイメージでしたが、消費宣伝会を て需要が出てきました。また、黄色品種=酸味 また 、 台 湾 の 仲 卸 で は 珍 し く 自 社 の 冷 蔵 庫 を コンテナ分の貯蔵能力を 終わる と ほ ぼ 終 了 し て い ま し た が 、 サ ン ふ じ が 日本 産 の り ん ご は 数 年 前 だ と 台 湾 の 旧 正 月 が 要が減ってきています。 に比べ甘味がなく、軟質果が進みやすいため需 なくなってきます。一方、早生ふじはサンふじ また、日豪貿易は当JAのりんごを取り扱っ り、サンふじの 玉をメインで販売しています。 たいわんふうこうちょうし 延ばし 、 今 年 は 4 月 い っ ぱ い ま で 販 売 を し ま し ているスーパー︵台湾楓康超市︶との取引があ 甘味と 硬 さ が あ る と い う こ と で 年 々 販 売 期 間 を 3倍と輸出量を増やすと単価は安くなり、売れ れ、 人 気 商 品 と な っ て い ま す。 し か し、 2 倍、 続けてきたことにより﹁甘味と硬さ﹂が認知さ 0坪の 大 き さ で 最 大 40 持っており、市場から ㎞離れた場所に2, です。 く、珍 し い 物 で は 星 の 金 貨 も 販 売 し て い る そ う 10 玉以上の大玉の引合 た。ま た 、 贈 答 用 と し て いが強 か っ た が 、 数 年 前 か ら ス ー パ ー を 中 心 に 36 32 次回は市場関係者との座談会を特集します。 ら 月の間、南半球のりんごがほぼ終了で、台 話を伺 っ た と こ ろ 、 日 本 産 は 毎 年 2 5 0 コ ン テ 目を引 い た 商 品 と し て ニ ュ ー ジ ー か ら 輸 入 さ れ では3個で300円で販売されています。また、 10 50 有して い ま す 。 10 70 6 20
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