2016年5月政情(内政・外交) 1 内政 (1)米財務省海外資産管理局(OFAC)によるパナマ企業グループの資産凍結 ア 5日,OFAC及びDEAは,違法な資金洗浄に関与しているとして,パナマの企業グル ープであるワケッド・グループ(Grupo Waked)の幹部及び関連企業をリストアップ(「クリン トン・リスト」)し,米国内の資産を凍結する旨発表した。 イ この動きを受け,パナマ検察庁は,ワケッド・グループ関連企業の捜査を開始する旨 発表した。 ウ 銀行監督庁及び証券取引監督庁は,クリントン・リストに掲載されたバルボア銀行の 顧客の利益を保護するために対応する旨発表した。バルボア銀行は当局の捜査に協力 する旨表明した。 エ 非金融資産規制監督庁は,クリントン・リストに記載されたコロン・フリーゾーン内で活 動する企業に対して,特別監査を実施する旨発表した。 オ バレーラ大統領は,本件によって影響を受ける企業の従業員の雇用を守るため,デ・ ラ・グアルディア経済財務大臣,カルレス労働開発大臣及びアロセメナ貿易産業大臣の 3大臣に対し,ワケッド・グループへの出資者及び在パナマ米国大使館と対応策を協議 するよう指示した。 カ 一方,フィーリー駐パナマ米国大使は,13日,公邸で記者会見を実施し,ニダル・ワ ケッド氏及びアブドゥル・ワケッド氏が長年にわたり麻薬取引の資金洗浄に携わっていた 旨,また,米国はワケッド・グループが複数の国で資金洗浄に関与している証拠を有して いる旨述べた。 (2)治安大臣及び同次官の交代 ア 5日,アギレラ治安大臣及びドナディオ同次官は,バレーラ大統領に辞意を伝え,同 大統領はこれを了承した。 イ 16日,バレーラ大統領は,アレクシス・ベタンクール(Alexis Bethancourt Yau)大統領 府金融分析ユニット長を治安次官に任命した。また,同氏は治安大臣が任命されるまで 大臣代行を務める。 2 外交 (1)バレーラ大統領の米国訪問 3日~5日,バレーラ大統領は,米国を訪問し,バイデン米副大統領と会談し,エネルギ ー,治安,移民問題等につき協議した。また,ジョンソン国土安全保障長官と会談した他, 米州評議会(Council of the Americas)及び米・カリブ・中米エネルギーサミットに出席,モ レノ米州開発銀行(IDB)総裁,アルマグロOAS事務局長,リプトンIMF筆頭専務理事及 びムリアニ世銀専務理事と会談した。 (2)キューバ移民問題 ア 7日,OAS「米州における移民と開発」フォーラムに出席したサイン・マロ副大統領兼 外務大臣は,移民輩出国である中米の国々が国境封鎖によりキューバ人の移動を制限 しているのは矛盾しており,それによってパナマが困難な状況に置かれている旨述べる とともに各国に連帯を呼びかけた。また,包括的な解決策が見つからなければ,移民の 流入を抑えるためにパナマも同様の方策を適用せざるを得ない旨述べた。 イ 9日,バレーラ大統領は,不正規移民の流入を抑えるため,コロンビアとの国境を一 時的に封鎖する旨発表し,関係各国に対して協力を呼びかけた。 ウ 9日,パナマ政府は,メキシコ政府の協力によりパナマ国内に滞留する約4千人のキ ューバ人移民のシウダー・フアレス(メキシコ)への移送を開始し,25日,同オペレーショ ンの完了を発表した。 (3)インカピエ外務次官の仏訪問 ア 17日及び18日,インカピエ外務次官を団長とする代表団が訪仏し,租税回避の問 題についてOECD及び仏政府と協議した。 イ OECDでは,自動的情報交換,グローバルフォーラム第2フェーズ,BEPS(ベップス) プロジェクトについて協議するとともに自動的情報交換導入へ向けて必要な技術支援を パナマに行うことが確認された。 ウ ジャン=ピエール・ベル(Jean=Pierre Bel)中南米カリブ担当仏大統領特使と会談し た「イ」外務次官は,租税回避対策に対するパナマの取り組みを説明し,圧力ではなく対 話によって両国の問題を解決することが重要であると述べた。 (4)カスティージョ・デ・バレーラ大統領夫人及びインカピエ外務次官の台湾新総統就任 式出席 20日,「カ」大統領夫人及び「イ」外務次官は,蔡台湾新総統の就任式に出席するた め同国を訪問した。 (5)ナバーロ外務次官のインド,ヨルダン及びトルコ訪問 ア 17日及び18日,インドを訪問したナバーロ次官は,シン外務担当閣外大臣と会談し, 本年後半に第一回政策対話を実施することに合意した。 イ 19日,ナバーロ次官はNayef El Zidanヨルダン外務次官代行と会談し,同国内のシリ ア難民コミュニティーへの支援を表明した。 ウ 23日及び24日,ナバーロ次官はイスタンブールで開催された世界人道サミットに出 席し,人道支援分野におけるパナマのドナー国としての役割を紹介した。また,同次官は パナマに設置が予定されている地域人道支援センターについて言及し,サミットに参加し た各国及び国際機関に同センター建設のための財政支援を求めた。 (6)日パ二国間租税情報交換協定 20日,パナマにおいて,日パナマ両国政府代表団による協議の結果,両国は自動的情 報交換を含む二国間租税情報交換協定に実質合意した。 (7)インカピエ外務次官のタイ訪問 24日,「イ」次官はポラマットウィナイ・タイ外務大臣と会談し,在パナマ・タイ大使館の設 置及びコロン・フリーゾーンへのタイ製品流通センターの設置について協議した。 (8)パナマ・コロンビア外相会合 ア 27日,サイン・マロ副大統領兼外務大臣は,オルギン・コロンビア外相と二国間会合 を行い,汚職防止に関するこれまでの取り組み,二重課税防止条約調印の日程,治安 分野での協力及び移民の人権保護等の両国間およびラ米地域の課題について話し合っ た。 イ また,6月26日に開催される拡張運河開通式典には,サントス・コロンビア大統領が 出席することが確認された。
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