事前資料(179KB)

シーズタイトル
炭素熱還元‐高温酸化法を用いたガリウム分離・回収技術の開発
氏名(所属、役職)
研究責任者:明石 孝也(法政大学 生命科学部 教授)
コーディネータ:中江 博之(法政大学 研究開発センター 産学連携コーディネーター)
H23 年度採択課題名、 炭素熱還元-高温水蒸気酸化技術を用いた国内産鉱石からのガリウム
(課題番号)
の濃集 (AS231Z04293C)
技術キーワード
レアメタル、濃縮、国内鉱山,都市鉱山
本装置を用いて,国内鉱山から採掘される鉱
【新技術の概要】
国内鉱山から採掘される鉱石(50 ppm のガリ
石(50 ppm のガリウム含有)を原料として,ガ
ウム含有)を、ガリウム原料として用いられて
リウムの分離・回収を行った。Al2O3 基板上に捕
いるアルミン酸ソーダ溶液(バイヤー液)中の
集された物質の XPS 分析を行い,分析結果に対
ガリウム含有量(約 200 ppm)よりも高い濃度ま
して Al2O3 基板からの影響を減じて補正すると、
で濃縮することを目的として開発した技術であ
各成分の濃度は、O: 65.3 wt%, C: 13.4 wt%, Si:
る。
13.2 wt%, Ga: 4.6 wt%, Ca: 0.4 wt%となり,ガリウ
本技術を用いるための装置図の例を図1に示
ムの濃度は 4.6 %(46000 ppm)と 920 倍に濃縮
す。本装置は3ゾーン式の縦型管状炉であり,
された。
中部(蒸発部)にはガリウム微量含有と活性炭
【従来技術・競合技術との比較】
を,下部(捕集部)にはガリウムを捕集するた
先行するガリウムの精錬技術としては溶液を
めの Al2O3 焼結体基板を設置してある。また,中
用いる湿式法が一般的であるが,溶液を用いな
部(蒸発部)の温度が 1150 ℃,下部(捕集部)
い(結果として廃液を生じない)乾式精錬を行
の温度が 1000 ℃のときの温度分布も示す。電気
う点において優位性がある。また,この技術は
炉上部から窒素ガスを流し,上部入口から 24 ~
いわゆる都市鉱山からのガリウムやインジウム
27 cm の位置(中部(蒸発部)
)で
の分離・回収にも応用可能である。
Ga2O3(s) + 2C(s) → Ga2O(g) + 2CO(g)
(1)
の炭素熱還元により Ga2O(g)が蒸発し、33 cm の
位置(下部(捕集部)
)に設置した Al2O3 焼結体
基板上で
Ga2O(g) + O2(g) → Ga2O3(s)
(2)
の酸化反応により Ga2O3(s)が捕集される設計と
なっている。
【本技術に関する知的財産権】
1.特願 2012-191071 号
「ガリウム化合物の濃縮方法及びインジウ
ム化合物の濃縮方法」
,出願人:法政大学
【想定される技術移転】
国内でガリウムを微量含有する鉱石やいわゆ
る都市鉱山を保有する国内企業と連携して回収
量や歩留まりを評価し、事業としての採算性を
見極めて本技術の実用化を目指したい。
なお,ガリウムは CIGS 太陽電池や LED 電球,
インジウムは太陽電池や携帯端末の透明電極の
製造に不可欠なレアメタルである。
【お問い合わせ先】
法政大学 生命科学部 環境応用化学科
教授 明石 孝也
〒184-8584
図1 装置図および炉内温度分布
東京都小金井市梶野町 3-7-2
電話: 042-387-6242
電子メール: [email protected]