第2章 生駒市における地震の危険性 第2章 生駒市における地震の危険性 第2章 生駒市における地震の危険性 第2章 生駒市における地震の危険性 1 1 過去に受けた地震被害 過去に近畿地方で被害が大きかった地震は、生駒断層帯や有馬-高槻断層帯、木津川 断層帯など内陸部の活断層を震源とする「内陸型地震」と、東南海・南海沖のプレートの 沈み込みによって起こると考えられる「海溝型地震」に区分できます。 これらのうち、奈良県内・近傍では、生駒断層帯付近でマグニチュード6級の地震が過 去に数回発生した記録が残されており、近代では1936年に死傷者68名(うち県内8名) 、 家屋全半壊148戸の被害を出した河内大和地震が発生しています。 「海溝型地震」では、東南海・南海沖で発生した宝永地震や安政の南海地震等のマグニ チュード8級の巨大地震において、県内で震度5以上の揺れを記録し、建築物や建造物な どに多くの被害が発生しています。 近年発生している東日本大震災の海溝型地震や、阪神・淡路大震災等の内陸型の大 地震は、「いつ」「どこで」発生するかわからない状況にあり、日ごろからの備えが重要 です。 図表 2-1 奈良県周辺の主な地震被害 発生年 震央 被害状況(カッコ内は奈良県の人的被害) 昭和 2 年 京都府北西部 (マグニチュード 7.3) ・北丹後地震 ・丹後半島頚部で被害大。奈良では小被害(震度 4~5) 昭和 11 年 大和・河内 (マグニチュード 6.4) ・河内大和地震 ・奈良、大阪の県境付近で震度強。法隆寺、唐招提寺、薬 師寺で土塀損傷 (死者 1 名、負傷者 7 名) 昭和 19 年 東海道沖 (マグニチュード 7.9) ・東南海地震 ・静岡、愛知、岐阜、三重で被害が多い。 (死者 3 名、負傷者 21 名) 昭和 21 年 南海道沖 (マグニチュード 8) ・南海地震 ・奈良では震度 5 (負傷者 13 名) 昭和 23 年 日高川上流 (マグニチュード 6.7) ・和歌山県、奈良県南部で小被害 (死者 2 名、負傷者 33 名) 昭和 27 年 吉野地震 (マグニチュード 6.7) ・奈良春日大社の石灯篭 650 倒壊 (死者 3 名、負傷者 6 名) 平成 7 年 阪神・淡路大震災 (マグニチュード 7.3) ・奈良では震度 4 (負傷者 12 名) 平成 12 年 三重県中部 (マグニチュード 5.7) ・奈良では震度 4 紀伊半島沖 (マグニチュード 6.9) ・奈良では震度 4 東海道沖 (マグニチュード 7.4) ・奈良では震度 4 (負傷者 6 名) 平成 16 年 ※出典:第 2 次奈良県地震被害想定調査報告書(H16.10) 、奈良県地域防災計画(H26.3) -7- 第2章 2 2 生駒市における地震の危険性 影響が想定される地震 奈良県の地震被害想定では、奈良県周辺における地震被害を発生させる地震として 内陸型の 9 つの地震と海溝型の 6 つの地震を想定しています。 本計画でも、次のとおり想定します。 (1)内陸型地震 内陸型地震では、県地震被害想定調査の対象とされた下図の①~⑧の 8 つの断 層と、本市の地震被害想定見直し調査の対象とされた生駒断層帯(下図の③)、あ やめ池撓曲-松尾山断層(下図の⑤)に加え、そして、生駒市の中心部を通る矢 田断層(下図の⑨)による 3 つの地震の、合計で 9 つの地震を想定します。 この 9 つの断層は、市内にある断層の中で比較的地震の発生確率が高いもの、 もしくは被害が大きくなると想定される断層です。 ※参考: 「生駒市域水理地質図解説書(1 万分の 1)」 (1989 年 3 月,生駒市域水理地質図作成委員会) 「生駒市の総合防災対策に関わる活断層の調査研究(1)~(3)」 (1996 年 3 月,財団法人 防災研究協会) 和 川 山断 層 帯 ①奈良盆地東縁断層帯 曲- 池撓 やめ ⑤あ 大 ⑥ 断 ⑨矢田断層 帯 川断層 ④木津 松尾 生駒市 断 ③生駒 層帯 層 図表 2-2 生駒市周辺の断層位置 ⑧ ②中 央 構 造 線 断 層 帯 ⑦千 -8- 股断 名 層 張 断 層 第2章 生駒市における地震の危険性 (2)海溝型地震 海溝型地震は、中央防災会議「東南海、南海地震等に関する専門調査会」で想 定された東海、東南海、南海地震の 5 つの組み合わせ(東南海地震、南海地震、 東海・東南海地震同時発生、東南海・南海地震同時発生、東海・東南海・南海地 震同時発生)及び南海トラフのケースを想定します。 図表 2-3 海溝型地震断層エリア 生駒市 凡例 南海トラフ 南海トラフ 東海地震・東南海地震・南海地震 ※参考 -9- 中央防災会議資料 第2章 3 3 生駒市における地震の危険性 地震による震度予測 本計画では、先に想定した地震について震度予測を行い、そのうち震度や被害が比 較的大きいと予測される生駒断層帯地震による震度分布図を示しました。 市内の震度は 6 弱から 6 強と予測されており、旧耐震基準(昭和 56 年 5 月以前)の 木造住宅は倒壊のおそれがあるため、耐震診断により耐震性を確認するとともに、耐 震性が不十分な場合は耐震改修や建替え等の対策が必要となります。 なお、平成 19 年度の計画策定時と比較すると、北部で震度 7 の部分が見られるなど 解析手法の違いによる精度の向上、地盤モデルがより詳細になったことなどにより、 被害の状況の相違がみられます。 図表 2-4 生駒断層帯による地震における震度分布 - 10 - (平成 27 年時点) 第2章 4 4 生駒市における地震の危険性 想定される被害の状況 市内で最大の揺れが予測される“生駒断層帯”による地震を想定し、建物の被害率 を算定しました。既往の地震における震度と被害率の関係から推定すると、全壊棟数 は約 5,345 棟と予測されます。この図についても平成 19 年度の時点から全般的に被害 が大きくなっていますが、前頁と同様の理由によるものです。 図表 2-5 生駒断層帯による地震が発生した場合の本市の建物倒壊率の分布(平成 27 年時点) - 11 - 第2章 生駒市における地震の危険性 - 12 -
© Copyright 2024 ExpyDoc