国内拠点も海外拠点もPCを 一元把握する管理サービスの導入メリット

「海外拠点のことなので」は言い訳にできない時代だから
国内拠点も海外拠点もPCを
一元把握する管理サービスの導入メリット
グローバル展開を進める企業にとって、各国の PC のセキュリティをいかに確保するかは悩ましい課題の 1 つだ。
海外だろうと規模が小さかろうと対応が不十分であれば、経営に深刻な影響を与えてしまう。
経済活動のグローバル化を背景に、今や大企業のみならず、中堅・
収集と配布、
セキュリティポリシーに合致しないハードウェアやソフト
中小企業でも、国境を越えた生産や販売活動が当たり前になった。海
ウェアの排除、法令順守に向けた現場での不適切なソフトウェアの利
外に進出した企業においても、業務における作業効率の向上は必須
用監視などが必要になる。国内拠点だけでも、これらの実施に頭を
となる。そのための模索が、世界の至るところで進んでいる。
悩ませる IT 部門は多い。海外進出先の PC 管理となれば、一層負
このような状況において、企業で経営課題の 1 つになっているの
荷が高く困難なことは想像に難くない。
が、グローバル展開におけるセキュリティガバナンスの確立だ。物理
とはいえ、クライアント PC の管理徹底は IT システム側の対策と
的に離れた拠点同士が連携して業務を進めるに当たり、各種システ
共に重要だ。ファイアウォールや IPS/IDS などのセキュリティがいく
ムをはじめとする IT が欠かせない。中でも事業基盤であるシステム
ら強固でも、クライアント PC への対策が十分でないと、そこから重
には、多様な機密情報を格納しており、これが社外に流出すれば、経
要情報が外部に漏えいするのを食い止めるのは難しい。ウイルスやマ
営面で深刻なダメージを被る。例えば、顧客情報の流出であれば、企
ルウェアなどの外部攻撃が巧妙になる状況において、クライアント
業イメージと信頼性の失墜は避けられず、被害者への金銭的な補償
PC を踏み台にした、悪意のある第三者がデータを破壊したり盗難
も求められる。技術情報であれば、長年かけて築き上げた自社製品
したりするリスクも増している。
の強みが急速に陳腐化する可能性もある。
では、海外拠点まで含めた PC 管理の徹底をいかに実現すればよ
これらのリスクに対応するために、企業ではこれまで、海外拠点
いのか。そこで一考したいのが、PC 管理に精通した事業者への業
を含めたシステムのセキュリティ強化に力を入れてきた。企業の中に
務委託だ。業務のアウトソースによって一連の作業を外部に切り出す
は情報セキュリティ責任者を置くところも多い。
ことで、IT 部門スタッフを過度に負荷の高い作業から解放し、IT 活
だが、こうした取り組みの一方で、対策が後回しになりがちなもの
用による競争力強化という本来業務に打ち込めるようになる。また、
もある。それが、現場で使用しているクライアント PC のセキュリティ
事業者の豊富な知識やノウハウを生かしたクライアント PC のセキュ
管理だ。その理由と、脱却に向けた具体的な施策を探る。
リティレベルの向上も期待できる。これらのメリットを評価し、PC
PC台数と対策すべきことの多さが
管理のアウトソースに乗り出す企業も増えている。
この動向を背景に、既に多くの事業者が多様な PC 管理サービス
管理のネックに
の提供に乗り出している。その中にあって、独自のアプローチを取っ
クライアント PC のセキュリティ管理の徹底はなぜ難しいのか。そ
ているのが NTT コミュニケーションズの「Global Management
の一番の理由は、その台数の多さと対策項目が広範で、限られた IT
One PC マネジメント」(以下、GMOne PC マネジメント)」だ。
部署スタッフでは十分に手が回らないことにある。パッチの継続的な
Global Management One PC マネジメントでは、海外拠点に設置したクライアント PC 情報を一元的に把握する。オプションではパッチファイルの
一括配信から適用までもカバーする
NTT コミュニケーションズ マネジメント
サービス部 サービス企画部門 部門長の
平松太一氏
が多い国々の 7 種類の言語をカバーしている。導入企業によってそ
れらを組み合わせて選択することも可能だ。対応時間も 9 時から 18
時までの受け付けや 24 時間の対応も選択できる。
IT システムに精通したユーザーだけではないので、現地語でのエ
ンドユーザーサポートは重要だ。
「このアプリケーションはどのように
使えばいいのか」
「うまく動いてくれなくなった場合、
どうすれば解決
できるのか」といった各種の疑問は国を問わず発生する。ただし、母
国語以外の言語で技術的な細かい質問をすることは、一般に心理的
な抵抗が大きい。その結果、社員が専門家に相談せず勝手に判断を
ヘルプデスクまで一貫提供する
PC管理サービス
下せば、セキュリティリスクは当然高まる。
「既にサービスを利用する企業の現地社員からは、母国語で対応し
てもらえてよかったとの声が少なからず寄せられている。特にアジア
GMOne PC マネジメントでは、各拠点に配備されたクライアント
圏では、英語を苦手とする人が多く、各国言語によるサポートの意
PC を一元管理する。具体的には、ソフトウェアやハードウェアの種
義は決して小さくない」(平松氏)
類、バージョン、設定など、PC 管理に必要なあらゆるデータをグ
ヘルプデスクにおけるサービス品質の維持と向上も NTT コミュニ
ローバル規模で収集し、的確な PC 管理につなげる。管理対象のク
ケーションズでは重視している。同社のコールセンター業務ノウハウ
ライアント PC については、海外拠点を含めた端末の構成情報を月
を標準化することによって導入作業開始からヘルプデスクの利用ま
次レポートとして出力する機能を用意し、容易に把握できるようにし
での期間も短縮するとともに、オペレーターが入れ替わっても同じ品
た。外部から攻撃を受けたときには攻撃対象となったクライアント
質でのサービスを提供できるようにしている。また、多言語オペレー
PC の早期特定や、社内で定めたセキュリティポリシーで利用を禁止
ションの QA(Quality Assurance)も日本で実施しており、アウト
したアプリケーションの起動制御、最新パッチを適用していないクラ
ソースしても日系企業が期待する品質を実現している。
イアント PC の検出も実行できる。また、パッチファイルの配布と適
GMOne PC マネジメントが対象とするのは現状ではクライアン
用の委託も可能だ。
ト PC のみだが、普及が進むタブレットなどのモバイルデバイスにつ
GMOne PC マネジメントが 独自のアプローチ なのは、単にこ
いても、近い将来に別メニューで対応することを視野に入れていると
れらの PC 管理サービスを提供するだけにとどまらないことだ。実は
いう。このとき、MDM(モバイルデバイス管理)に要する企業の手
GMOne PC マネジメントは、各国のシステム管理者やエンドユー
間も確実に軽減できるはずだ。「日系企業の海外進出は今後、さら
ザーからの IT に関する問い合わせに対して、日本語に英語、そして
に加速し、
クライアント PC をはじめとする端末管理の在り方は複雑
アジア諸国の言語を中心とした「多言語」による一元窓口を提供す
さを増していく。NTT コミュニケーションズは、海外に進出している
る「Global Management One ヘルプデスク」
(GMOne ヘルプデ
企業のフロント業務も幅広く支援する」(平松氏)
スク)のオプションサービスという位置付けだ。導入した企業は、
多言語対応を切り口に、GMOne PC マネジメントの利用が今後
GMOne ヘルプデスクによって、グローバルでの PC 管理のヘルプ
さらに加速することに間違いはなさそうだ。
デスク環境まで一括整備できる点を高く評価している。
NTT コミュニケーションズのマネジメントサービス部 サービス企
画部門で部門長を務める平松太一氏は、次のように説明する。「PC
管理のためには、社員からの問い合わせ対応窓口の設置も併せて必
要だ。ただし、そこで多くの企業が苦労しているのが、海外進出の
加速を背景に、多様な言語への対応に迫られていること。拠点ごと
に対応を任せる判断もあるが、その場合にはサービスレベルに差が
生じやすく、
グローバルでの PC 管理は極めて困難になる。GMOne
PC マネジメントは、この問題解決を支援するために考えた独自のア
プローチといえる」
多言語への問い合わせに一元対応する
現実解
GMOne PC マネジメントで注目したいのが、ヘルプデスクで対応
する言語の種類が多岐にわたることだ。日本語と英語、中国語に加
えて、タイ語、ベトナム語、マレー語、韓国語と、日本企業の進出
Global Management One ヘルプデスクおよび Global Management One PC マネ
ジメントを担当する NTT コミュニケーションズ マネジメントサービス部の山本哲也氏
(左)と平松氏。これら NTT コミュニケーションズが提供するサービスは、共に海外展
開を検討している、もしくは、展開した企業にとって、企業活動における生産効率維持
のために重要な支援策となるだろう
※この冊子は、TechTarget ジャパン(http://techtarget.itmedia.co.jp/)に 2016 年 2 月に掲載されたコンテンツを再構成したものです。 http://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/1602/01/news06.html