抗ペンドリン抗体

新しい自己免疫性甲状腺疾患の診断マーカー
抗ペンドリン抗体
大学院研究科 機能再生医科学専攻
遺伝子再生医療学講座 再生医療学分野
特任教授 吉田明雄
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研究背景
免疫は本来、細菌、ウイルスに対する防御機構であり、
外来の病原性をもった生命体、物質に対して、
攻撃、毒性中和などを行う。
免疫は自己を攻撃対象と認識することはないが、
自己免疫疾患はこの免疫機構が破綻し自己の臓器、組
織を認識して、攻撃をする疾患である。
この際、攻撃される各臓器のタンパク質、核酸などに自己
抗体が産生される。
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甲状腺
自己免疫性疾患の最も生じやすい臓器である。
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甲状腺機能異常をきたす甲状腺疾患には、以下のものがある。
自己免疫を基礎とした甲状腺疾患
橋本病、バセドウ病
慢性の機能異常をきたす。
炎症性甲状腺炎
亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎
一過性の機能異常をきたす
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橋本病、バセドウ病
臓器特異的自己免疫疾患の代表であり、
甲状腺の様々な自己抗原に対し自己抗体ができる。
日常診療で最も多くみられる内分泌疾患である。
甲状腺ホルモン異常は内分泌疾患としてだけでなく、
循環器疾患
動脈硬化症
高脂血症
うつ病などの精神疾患
などのバックグランドとして重要である
橋本病、バセドウ病の診断は甲状腺ホルモン値と
自己抗体の測定で行われる。
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抗甲状腺抗体は日常診療で用いられる抗体検査の中で
最も頻回に行われる
最も重要度が高い
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これまでに存在が確認されている自己抗原と自己抗体
甲状腺ペルオキシダーゼ (TPO): 抗TPO抗体
サイログロブリン (TG):
抗TG抗体
TSHレセプター:
抗TSH レセプター抗体
バセドウ病では、抗TSHレセプター抗体が陽性率が高い。
橋本病では、抗TPO,抗TG抗体が陽性率が高い。
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ペンドリンは甲状腺Apical membrane n に存在する
ヨード輸送蛋白である。
ヨード輸送メカニズムは、クロライドとヨードの交換に
より行われる。
甲状腺以外は限られた臓器にしか発現していない。
このため自己免疫性甲状腺疾患で自己抗原となる。
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II-
I-
I-
I-
NIS
NIS
核
TG
I-channel
Apical Membrane
PA
PA
P
P: ペンドリン
NIS
I-
NIS
NIS
NIS
Basement menbrane
TG
P
濾胞腔
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新技術の基となる研究成果・技術
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自己免疫性甲状腺炎、炎症性甲状腺疾患の患者の血清中の
抗ペンドリン抗体の測定
方法
抗ペンドリンを過剰発現させたCOS-7細胞より、膜蛋白を抽
出し、ウェスタンブロット法により患者血清と反応させ
血清中の抗ペンドリン抗体を測定した。
結果
自己免疫性甲状腺疾患における抗ペンドリン抗体陽性率
バセドウ病:
橋本病
:
84%
98%
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炎症性甲状腺疾患における抗ペンドリン抗体陽性率
亜急性甲状腺炎
0
無痛性甲状腺炎
抗TG ,TPO抗体
陰性例、弱陽性例
強陽性例
25%程度の陽性率
では抗ペンドリン抗体ほぼ陰性
では抗ペンドリン抗体ほぼ陽性
回復期に抗TG、TPOは陰性化しないが
抗ペンドリン抗体は陰性化する例がある。
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従来技術とその問題点
• 現在、抗TPO抗体、抗TG抗体が使われている。
• 報告により差はあるものの両抗体とも高くても橋本病において50
−80%前後の陽性率と言われている。
• 亜急性甲状腺炎でも陽性患者があり、無痛性甲状腺炎では、回
復期も陽性が持続する。
• このため確実な診断は限界があった。
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新技術の特徴・従来技術との比較
本方法は橋本病で98%確実に診断でき
バセドウ病でも、84%診断できる。
炎症性甲状腺炎と鑑別診断できることは、
既存の技術を大きく上回る。
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想定される用途
甲状腺疾患の診断 および 経過観察
特に 自己免疫性甲状腺疾患
炎症性甲状腺疾患
他の自己免疫疾患の診断および
その自己免疫性甲状腺疾患の
合併の有無をみる
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想定される業界
検査医学領域を扱う業界
検査センター
病院診療所
健康診断を行う業界
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実用化に向けた課題
現在、ウエスタンブロット法を用いているが、検査を行う
手技が煩雑で時間がかかる。
多数例を簡便に、効率よく、短時間に行うために
EIA
RIA
ELISA
の開発を行わなければいけない
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企業への期待
現在ELISAを開発中でありある程度の目安つく
ところまでは来ている。
甲状腺専門病院との提携による治験症例数の
確保もできている。
資金的な援助と開発後の測定に要する人員の
援助を期待する。
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本技術に関する知的財産権
• 抗ペンドリン抗体による甲状腺疾患の診断
• 出願番号
• 出願人
• 発明者
:特願2009-215272
:鳥取大学
:吉田明雄
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お問い合わせ先
鳥取大学大学院再生医療分野
特任教授 吉田明雄
TEL 0859−38−6445
FAX 0859−38−6440
e-mail [email protected]
鳥取大学 産学・地域連携推進機構
知的財産管理運用部門長・教授 佐々木 茂雄
TEL 0857−31−3000
FAX 0857−31−5474
e-mail [email protected]
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