麻酔科 麻酔科における研修では、指導者の下で手術患者の周術期管理を責任持って行うことにより、患者の 診察・デ-タの評価・インフォ-ムドコンセント・全身管理・様々な手技等について学んでいただく。 <オリエンテーション> 1. 毎日 1~2例の麻酔症例を割り振るので、責任を持って周術期の麻酔管理(術前・術後回診等を含 む)を、行ってください。また、それ以外の症例についても、積極的に麻酔業務に参加してくださ い。予定麻酔法のチェック、術中・術後の合併症のチェックを忘れずに行ってください。 2. 前回診時に得られた患者の異常所見については、すべて麻酔科スタッフに速やかに報告してくださ い。 3. 出来るだけ麻酔や手技について勉強してください。 4. 時間外の緊急症例にも参加してください。 5. 全身麻酔の導入、気管挿管・抜管、硬膜外麻酔および脊椎麻酔の穿刺は、必ず麻酔科スタッフと共 に行うこと。また、患者の退室の決定も、必ず麻酔科スタッフと共に行うこと。 6. 勤務時間帯に手術室外にでる場合は、必ず麻酔科部長に、ことわってください。 7. 麻酔薬、特に麻薬の取扱に充分注意してください。持ち出し時にチェックすることが定められた薬 品は、必ずそれを行ってください。 8. 患者の秘密保持、診療上口に出してはいけないことの分別をしっかりもつこと。わからないこと、 不明なことに関しては、迷うことなく麻酔科スタッフに問い合わせること。あやふやな知識で、対 処し事態を混乱させないようにしてください。 9. 自らへの感染を防ぐためには、自ら注意するしかありません。手袋をする、めがねをかけ血液が目 にはいるのを防ぐなどの防御をしっかりする習慣を身につけてください。また汚染された手袋で周 囲をむやみに触り汚染を拡大しないようにしてください。 <麻酔科の週間予定> 8:15 17:15 (月)~(金) 術前回診・手術麻酔・術後回診 当日の麻酔症例の検討会を朝 8:30 から行います。 症例検討会・勉強会は、空き時間を見つけて行う。 土日夜間の緊急に関しては、呼び出しを受けます。 麻酔科 <一般目標(GIO:general instructional objective)> 社会人および医師としての人格を養い、将来の専門性にかかわらず 医学・医療の社会的ニーズを認 識しつつ、日常診療で頻繁に遭遇する病気や病態に適切に対応できるプライマリケアの基本的な診療能 力を身につける。地域の患者さんに対し、高度急性期から慢性ににわたる広い分野にわたって良質な医 療が提供できる素養を養う。 <行動目標(SBO:specific behavioral objectives)> 【研修内容】 麻酔科研修は、基本的には術前回診・術前麻酔計画・手術麻酔・術後回診を指導者の監督下に行 うことからなる。なるべく多くの症例を直接経験し、研修の成果 をあげることが望ましい。 【目標】 ① 医師や看護師や技師等、すべてのスタッフの役割を認識し、チームの一員として診療にあたる姿 勢を養う。 ② 患者の問診及び診察が確実にできるようになる。それにより、術前回診という短い時間の間に、 患者からより多くの情報を得ることができる。(術前回診には、経験すべき診察法・検査のいくつ かの項目が含まれているので重要である。) ③ 患者に麻酔についての説明が適切に行える。 ④ 術前の患者の状態・合併症について、診療録・レントゲン・問診・診察などにより正確に把握・ 評価することができる。その上で、異常所見を、報告できる。 ⑤ 術前回診から得られた情報を元に、指導者と適切な麻酔法・術中管理法を計画することができる。 ⑥ モニタリングについて理解する。 (機器の操作等も含む。) ⑦ 用手および機械的人工呼吸ができる。 ⑧ 麻酔を行う前の準備が的確にできる。 ⑨ 麻酔中刻々と変化する患者の状態を常に把握し、異常事態を異常事態として確実に 捕らえ指導 者に報告できるようになる。補足:麻酔計画・麻酔方法・麻酔中の患者管理については、指導者 に従う。 ⑩ 術後回診を行ない、手術後の患者に起こる様々な問題点を認識し、それに対する対処法について 理解を深める。 ⑪ 様々な麻酔方法を体験し、理解を深める。 ⑫ 循環作動薬等について、適応やその作用についての正しい知識を持って使用できるようになる。 ⑬ 人工呼吸に関して正しい知識を身につける。 ⑭ 悪性高熱症に関する知識を身につける。 ⑮ 輸血の適応・合併症に関して正しく理解する。 ⑯ 自らへの感染を防ぐ習慣を身につける。 ⑰ 緊急手術麻酔の特殊性について理解を深める。 ⑱ 救命救急の基本的手技ができる。 ⑲ インシデント、アクシデントが生じてしまった場合、その内容を正確に報告できる。 麻酔科 <手技> 補足:患者の問診・診察等に関しては、目標の中で扱うこととする。 手 技 名 目標回数 補 足 マスクによる気道の確保、人 可能な限り多く 工呼吸 気管挿管 40 回以上 末梢ルート確保 可能な限り多く 尿道留置バルン挿入 5 回以上 中心静脈カテーテル挿入 可能な限り 胃管挿入 可能な限り多く 観血的動脈圧ライン挿入 可 能 な 限 り ( 20 回) 気管内挿管は、誰もが絶対に習得しなく てはならない手技で得ると共に、誰でも 必ずできるようになるものである。 気管内挿管と同様に誰もができなくて はならない手技である。 麻酔科では主に内頚静脈穿刺を指導者 と共に行う。 血液ガス分析とその解釈 * 可能な限り多く 挿管補助道具による気管挿管 可能な限り 硬膜外麻酔 オプション 行うかどうかは指導者が判断する。 ※下線は自ら経験すべき基本的手技、下線*は基本的な臨床検査である。 <その他の補足事項> ① 患者にはできるだけ丁寧で平易な言葉を使って話す。患者の氏名(子供なら愛称)を必ず前もっ て確認すること。 ② 回診時には、自己紹介を必ずし、自分が手術前の診察にきたことを説明する。患者の都合を確認 したうえで、可能な限り患者を座らせ、自分も座って同じ目の高さで問診・診察・説明すること を心がける。ゆっくりかつはっきりとしゃべる。 ③ 相手のプライバシーに気をくばる。 ④ 患者の搬送など、手が空いていたら積極的にかかわる。 ⑤ 程度を問わず、トラブルが生じた場合は、すみやかに麻酔科部長に報告する。決してかくしたり、 ごまかしたり、逃げたりしないこと。 <研修指導体制> 原則として麻酔科スタッフ全員が研修全期間を通じて研修の責任を負う。 指導医は定期的に研修医の研修目標達成の進歩具合を点検し、適切に研修が進んでいるかチェッ 麻酔科 クする。 研修医の受け持ち患者は研修期間中指導医が振り分ける。 主治医と組み、担当患者の診察、検査、治療を行う。 < 方 略 > 1.オリエンテーション 2.病棟研修 3.救急研修 4.カンファレンス等、科の行事への参加 5.自主学習すべきことの提示 < 評 価 > ローテート終了時に、指導医・指導者(コメディカル)より、行動目標・経験目標についての評価を 受ける。自己評価については随時おこない、評価後は指導医へ提出し、目標の達成状況を適時報告する。 麻酔科
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