(医科)に改善を求めた主な指摘事項(PDF:817KB)

※平成 26 年度版として各県の項目を統合したものです※
平成 26 年度に実施した個別指導において
保険医療機関(医科)に改善を求めた主な
指摘事項
東北厚生局
平 成 28 年 6 月
目 次
Ⅰ 診療に関する事項
1 診療録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P 1~ 3
2 傷病名等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P 3~ 5
3 基本診療料等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P 5~ 7
4 医学管理等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P 8~12
5 在宅医療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P12~14
6 検査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P14~16
7 画像診断・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P16~17
8
9
10
11
12
13
14
15
投薬等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P17~20
注射・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P20~21
リハビリテーション・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P21~21
精神科専門療法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P22~23
処置・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P23~23
手術・特定保険医療材料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P23~24
放射線治療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P24~24
麻酔・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P24~24
Ⅱ 看護・食事に関する事項
14 看護・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P24~26
15 食事・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P26~28
Ⅲ 請求事務等に関する事項
16 診療報酬請求・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P28~28
17 事務的取扱い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P28~31
Ⅰ 診療に関する事項
1 診療録
◎
診療録は患者の症状経過等を記録しておく重要なものであり、診療報酬請求の根拠
となることを十分に認識し、保険診療に関する必要事項を、遅滞なく正確に記載する
とともに内容の充実に努めること。
(1)診療録の記載内容
① 必要事項を記載していない又は乏しい例が認められたので改めること。
(医師法で禁止されている無診察診療とも誤解されかねないので直ちに改めること。
)
例:入院患者の診療録について、診療内容を記載していない。
:外来患者の診療録について、診療内容を記載していない。
:外来患者の診療録について、「do」等の記載、「変わりなし」等の画一的な記載
のみで、投薬等の治療が行われている。
:多日数通院での注射、処置、CT 撮影及び MRI 撮影等について、その必要性の
記載が乏しい。
:処置内容、処方内容の記載が不十分である。
:外来患者の診療録について、
「次回診察」という旨の記載で治療が行われてい
る。
:再診の患者について、診療録の記載内容が乏しい。
② 主病が複数ある例が認められたので、原則主病は一つとすること。
③ 主病及び主訴について不明な例が認められたので改めること。
④
診療録と診療報酬明細書との傷病名に不一致が認められたので、十分確認するこ
と。
⑤
診療録に、患者の臨床所見や検査所見の記載がない又は乏しい例が認められたの
で、医師は、診療の都度、遅滞なく診療の経過、正確な病名、転帰及びその日付を記
載すること。
⑥ 診療録が療養担当規則第 22 条の様式に準じていないので改めること。
⑦
再診を行った場合に「外来診察料」と押判しているのは誤りなので、保険診療に
関する事項は、正確に記載すること。
⑧ 患者の臨床所見について、処置をした鼻孔の左右の別を記載するよう改めること。
⑨ 傷病の終了年月日及び転帰の記載がないものが認められたので改めること。
⑩
医師の家族への自家診療に関する診療録の記載が乏しい例が認められた。緊急の
場合や在宅医療以外は保険医療機関で診療を行うこととされているので、適切な場
所で診療を行うこと。往診又は訪問診療で行う場合は、患者の求めに応じて患家に
赴き診療を行った旨を診療録に記載すること。
⑪
自家診療患者の診療録について、第1号(1)の2様式、第1号(1)の3様式
1
に一部不適切な記載が認められたので、適切に記載すること。
⑫
施設入所者の診療録について、記載内容が不十分な例が認められたので診療内容
の記載の充実を図ること。
⑬
訪問看護ステーションの訪問部分が診察と記載されている例が認められたので、
医師の診察と誤解を受けない記載とすること。
⑭
本院と分院の両方を受診している患者の診療録については、それぞれの保険医療
機関ごとに診療録を作成すること。
⑮
第1号(1)の2様式の処方内容の記載が番号のみで判別しがたいので、わかり
やすく記載を行うこと。
⑯
診療録の様式第1号(1)の3に診療の点数が記載されていないので、記載する
こと。
⑰
第1号(1)の3様式が作成されていないので、早急に整備を行うこと。
⑱ 第1号(1)の3様式について、患者ごとに記載を行うこと。
⑲ 第1号(1)の3様式の点数について、種別ごとに記載を行うこと。
(2)診療録の記載方法
① 診療録の記載方法に不適切な例が認められたので改めること。
例:独自の略称の使用、欄外記載、修正液の使用、判読不能、鉛筆による記載、鉛
筆による抹消、朱線等による抹消、塗りつぶし、空白範囲が広い、1行に複数
病名記載、医師の診療を看護記録へ記載、処方済み医薬品の記録の抹消、患者
氏名の誤記等。
②
複数の医師が同一の患者を担当する場合は、診療日ごとに担当した医師が、署名
又は記名・押印を行い、責任の所在を明確にすること。
③
医師以外の者による記載が一部確認されたが、診療録の記載は医師が行うこと。
やむを得ない場合には、必ず医師自らが記載内容を確認の上、署名又は記名・押印
を行うこと。
④ 保険診療の診療録と保険外診療の診療録とが区別されていないので改めること。
⑤ 診療録は、公文書に準ずるものと認識し、メモ書きは行わないよう改めること。
⑥ 診療内容の記載について、紙による貼付は不適切であるので行わないこと。
⑦ 空欄は「以下余白」等で処理を行うこと。
⑧
処方せん欄の変更について、横線による抹消は、誤記記載とされるので行わない
こと。
⑨
薬剤の処方に係る記載について、診療録の別葉を用いる等わかりやすく処方管理
を行うこと。
⑩
薬剤の処方に係る記載について、医師は診療の都度、遅滞なく必要な事項を診療
録に記載すること。又、やむを得ず口述筆記させた場合には、担当医が確認して押
印又は署名すること。
2
(3)電子カルテ
① 電子的に保存している記録について、不適切な例が認められたので改めること。
例:パスワードの更新期限を設定していない。
:職員個々の ID、パスワードの管理が適切になされていない。
:医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第 4.2 版に準拠していない。
:
「1 日 1 回1日分」との記載が出力される例が多数認められたので、不必要な事
項は出力されないようにすること。
:電磁的記録に記録された事項について、保存すべき期間中における当該事項の
改変又は消去の事実及びその内容を確認できる措置を講じ、かつ当該電磁的記
録の作成に係る責任の所在を明らかにすること。
(真正性の確保)
・記録の更新内容、更新日時を記録するとともに、更新内容の確定責任者の確
認情報を関連づけて保存すること。
②
診療情報提供書等の紙媒体が生じる場合は、スキャナ等により電子化して保存を
行うこと。
③
診療録が紙によるものと医療情報システム(電子カルテ)によるものが混在して
いるのでどちらかに統一すること。
2 傷病名等
◎
不適切な傷病名の記載が認められたので、医学的な根拠に基づき傷病名を記載する
こと。
(1)傷病名等
① 不適切な記載例が認められたので改めること。
例:単なる状態や症状を傷病名として慢性的に使用している。
・膝関節痛、発熱、筋肉痛、腹部膨満
:ICD10 等に記載のない傷病名を使用している。
:部位、左右、慢性、急性、傷病名、傷病名の転帰年月日、診療実日数の記載を
していない。
・
「筋肉痛」
、
「湿疹」
、
「肥厚性瘢痕」、
「皮膚感染症」については、傷病部位を明
らかにして傷病名を記載するよう努めること。
・左右の別がない例として、膝関節炎
・B 型、C 型等の分類記載がない例として、慢性肝炎
・傷病名について、ビタミン欠乏症は不適切なので、原因となった傷病名を記
載すること。
:長期に渡る急性病名(敗血性ショック、脱臼)、重複する病名及び類似病名の併
記。
(傷病名が非常に多数)
・独自の略号を使用している。
3
・確定病名であるものに「疑い」と記載している。
・疑い病名を確定病名としている。
②
複数の傷病を主病としているが、主病は基本的に治療や医学管理の中心となって
いるもの一つとすること。
③
診療録に主訴や診察所見等診断根拠の記載がなく、検査・投薬の査定を防ぐ目的
でつけられた医学的な診断根拠がない傷病名(いわゆるレセプト病名)が認められ
たので改めること。
例:統合失調症、胃炎
:
「B 型肝炎疑い」
「C 型肝炎疑い」の病名をつけて HBs 抗原、HVC 抗体検査を行
った例。
:MRI 検査を実施するため「脳梗塞の疑い」の病名をつけた例。
④
診療報酬の請求にあたり傷病名のみでは不足と思われる場合は、症状詳記を作成
し、診療報酬明細書に添付するか、必要事項を摘要欄に記載すること。
⑤ 疑い病名について、適切に整理すること。
例:長期に渡る疑い病名、未整理の疑い病名、疑った根拠の記載が乏しい。
⑥
長期に継続する肝(機能)障害等については、数ヶ月程度で確定診断名を記載す
ること。
⑦
経口摂取可能な患者に対するビタミン欠乏症及び栄養失調等は現代においてそぐ
わない傷病名であり、改めること。
⑧
医師により、診療の都度、遅滞なく正確な病名、転帰及びその日付を記載し整理
すること。
⑨ 傷病名の転帰は二本線で抹消せず、転帰欄にて軽快、中止等の処理を行うこと。
⑩
慢性疾患患者における傷病の転帰の判断(中止又は治療)は慎重に行うこと。即
ち、診療中止後 1 ヶ月以上経過した場合であっても、慢性疾患等明らかに同一疾病
又は負傷であると推定される場合は初診として取り扱わないこと。
⑪
実際に診療を行っている傷病名について、診療録に記載していない例が認められ
たので、傷病名についてはもれなく記載すること。
例:訪問看護を指示している根拠となる傷病名(くも膜下出血等)
(2)診療録と診療報酬明細書の不一致
◎ 診療録は保険請求の根拠となるものなので、診療報酬明細書と一致すること。
①
傷病名の転帰が診療報酬明細書の転帰欄に記載されていない例が認められたので
改めること。
例:慢性胃炎
②
診療報酬明細書の傷病名について、同一の傷病名が重複して記載されている例が
認められたので改めること。
例:
「高脂血症」と「高コレステロール血症」
4
:慢性心不全と心不全
:狭心症と労作性狭心症
:肝癌と肝細胞癌
:C 型肝硬変と肝硬変
:胆管狭窄症と胆管結石症、総胆管結石
:末期腎不全と腎性貧血
:術創部痛と手術創部膿瘍、右乳癌の術後
③
診療録の第1号(1)の1及び診療報酬明細書に記載している傷病名について、
その傷病を記載した経緯又は根拠を診療録に記載していない例が認められたので改
めること。
例:難治性逆流性食道炎
3 基本診療料等
◎
算定要件を満たしていない又は不適切に算定している例が認められたので改めるこ
と。
【1】 基本診療料
(1)初・再診料
①
電話による再診料の算定において、医師の治療上必要な指示内容を診療録に記
載していない、記載が乏しい例が認められたので改めること。
②
再診料の算定において、再診の際に検査の必要性を認め、後日検査のみで受診
した日に算定している例が認められたので改めること。
③
慢性疾患等明らかに同一の疾病又は負傷の診療は、初診として取り扱わないの
で改めること。
④
再診料について、患者の家族から症状を聞いて投薬した場合は、その旨を診療
録に記載すること。
⑤
初・再診料について、通院可能な患者に対して在宅において診療を行い、再診
料を算定している例が認められた。
⑥
初診料について、再診料で算定すべきものを初診料で算定しているものが認め
られたので改めること。
⑦ CT 撮影のみで再診料を算定している例が認められたので改めること。
⑧
診療録に診療内容(治療上必要な適切な指示)の記載が不十分な事例が認めら
れたので改めること。
⑨ 再診料の算定にあたり不適切な事例が一部認められたので改めること。
例:診療情報提供書のみを受け取りに来院した事例
⑩
同日再診において、再診料算定の要件を満たしていない事例が認められたので
改めること。
5
⑪ 再診料等の休日加算の算定要件に留意すること。
(2)時間外加算等
①
夜間・早朝等加算及び時間外加算等を算定する場合は、診療録に受付時間等を
記載する等、算定根拠を明確にすること。
②
保険医療機関が表示する診療時間以外の時間においても、常態として診療応需
の体制をとっているときは、時間外加算の取扱いはしないものであるので留意す
ること。
(3)外来管理加算
①
患者からの聴取事項や診察所見の要点を診療録に記載していない又は乏しい例
が認められたので改めること。
②
算定要件を満たす診療が行われた場合には算定根拠を明確にし、医師の指示に
より算定すること。なお、事務部門への指示を明確にすること。
③
処置、リハビリテーション等を実施時に算定している例が認められたので改め
ること。
④
患者以外の者(家族)が来院した際に、誤って算定しているものが認められた
ので改めること。
⑤
算定もれが多数認められたので、医師は診療の都度、必要事項を記載し、実態
に応じた算定をすること。
⑥
診療録に処置の記載があるにもかかわらず算定されている例が認められたので
改めること。
(4)地域包括診療加算
① 地域包括診療加算の算定にあたり、医薬品の管理は、他医療機関の処方も含め、
直近の投薬内容のすべてを診療録に記載し管理すること。
②
当該患者の同意がない又は診療録に同意書の添付がない例が認められた。又、
対象疾病(高血圧、糖尿病、脂質異常症、認知症)が2つ以上ない患者について
算定している例が認められたので改めること。
【2】 入院基本料
◎
入院診療計画・院内感染防止対策・医療安全管理体制・褥瘡対策及び栄養管理体
制について、別に厚生労働大臣が定める基準に適合している場合に限り、入院基本
料等の算定を行うものであり、基準に適合していることを示す資料等を整理してお
く必要があること。
(1)入院診療計画書
① 入院診療計画の作成にあたって、参考様式として示された項目のない説明文書
が認められたので改めること。
例:特別な栄養管理の必要性の有無
6
② 総合的な機能評価を行った患者について、診療録に記載した日付を記載してい
ない例が認められたので改めること。
③ 入院患者について、入院診療計画書が作成されていないものが認められたので
改めること。
(2)院内感染防止対策
○ 院内感染防止対策が適正に実施されていないので改めること。
例:院内感染防止対策委員会は設置しているが、月 1 回程度定期的に開催して
いない又は委員会の開催が確認できない。
(3)医療安全管理体制
○ 医療安全管理体制が適正に実施されていないので改めること。
例:職員研修が年 2 回程度実施されていない(研修が実施されたことが明確に
わかるよう改めること。)
。
:手術による合併症等の報告がされていないので、安全管理のための院内報告
制度を充実させること。
(4)褥瘡対策
○ 褥瘡対策が適正に実施されていないので改めること。
例:診療計画の様式について、参考様式で示している項目を網羅していない。
:届出された専任の医師、看護職員以外の者が褥瘡対策に関する診療計画を作
成し、評価を行っている。
:体圧分散式マットレス等を適切に選択し使用する体制を整備すること。
:褥瘡対策に関する診療計画書が作成されていないものが認められたので改め
ること。
(5)栄養管理体制
○ 栄養管理体制が適正に実施されていないので改めること。
例:栄養管理手順書が作成されていない。
(6)その他
①
有床診療所療養病床入院基本料を算定する場合の「医療区分、ADL 区分に係
る評価票」が診療録に貼付されていないので改めること。
②
退院調整加算について、退院支援計画の記載項目をもれなく記載し、該当項
目がない場合でも「無い」旨を記載し空欄としないこと。
例:退院困難な要因、退院後の利用が予想される社会福祉サービスと担当者名
③
有床診療所入院基本料における入院診療計画書について、参考様式で示され
ている項目(主治医以外の担当者名)がないので、
「入院診療計画の基準」に示
されている様式に準じて、入院診療計画書を作成すること。
④
回復期リハビリテーション病棟入院料の算定にあたっては、退院時の日常機
能評価の測定結果を診療録に明確に記載すること。
7
4 医学管理等
◎ 医学管理料の算定において、診療録に必要事項を記載していない又は乏しい例が認めら
れた。算定にあたっては、指導内容・治療計画等の診療録に記載すべき事項が、それぞれの
医学管理料ごとに算定要件として定められていることに留意すること。
◎ 医学管理料について、算定要件を満たしていない例が認められたので改めること。
(1) 特定疾患療養管理料
①
管理内容及び療養上の指導の要点を診療録に記載していない又は乏しい例が認
められたので改めること。
②
管理内容の要点について、ゴム印で一律の内容で押印されている例が認められ
たので改めること。
③ 退院の日から 1 ヶ月を経過していない日に算定している例が認められたので改
めること。
④
特定疾患が主病でないにもかかわらず算定している例が認められたので改める
こと。
⑤
算定する旨の記載がない。算定要件を十分に確認し、算定する旨を診療録に記
載すること。
⑥ 主病に対する管理内容が明確に記載されていない。
⑦ 主病を明確にし、診療録及び診療報酬明細書に記載すること。
⑧
算定もれが多数認められたので、医師は診療の都度、必要事項を記載し、実態
に応じた算定をすること。
⑨
診療録への管理内容の要点記載が画一的かつ不十分な内容となっているので患
者個々に応じた内容を記載すること。
(2)特定薬剤治療管理料
①
薬剤の血中濃度及び治療計画の要点を診療録に記載していない又は乏しい例が
認められたので改めること。
② 治療計画の要点について、診療録に明確に記載すること。
(3)悪性腫瘍特異物質治療管理料
①
腫瘍マーカー検査の結果及び治療計画の要点を診療録に記載していない又は乏
しい例が認められたので改めること。
②
悪性腫瘍であると確定診断がされていない患者に対し算定した例が認められた
ので改めること。
③ 初回月加算について、1 回目の当該管理料を算定すべき月以外の月に算定してい
る例が認められたので改めること。
④
腫瘍マーカー検査の結果及び治療計画の要点を診療録に記載し、当該検査の結
果に基づいて計画的な治療管理を行った日に算定すること。
8
⑤
治療計画の要点記載について、算定日において、診療録に記載がない例が認め
られたので改めること。
⑥ 採血の費用が含まれ別に算定できないことに留意すること。
(4)てんかん指導料
○
診療計画及び診療内容の要点を診療録に記載していない例が認められたので改
めること。
(5)難病外来指導管理料
①
診療計画及び診療内容の要点を診療録に記載していない又は乏しい例が認めら
れたので改めること。
②
難病外来指導管理料の算定において、対象となる疾患が定められているので留
意すること。
(6)皮膚科特定疾患指導管理料
○
診療計画及び指導内容の要点を診療録に記載していない又は乏しい例が認めら
れたので改めること。
(7)外来栄養食事指導料
○
診療録に医師が管理栄養士に対して指示した事項の記載がない又は乏しい例が
認められたので改めること。
例:管理栄養士の指導事項は、当該患者ごとに適切なものとするが、少なくとも
熱量・熱量構成・蛋白質量・脂質量についての具体的な指示を含まなければ
ならないこと。
(8)入院栄養食事指導料
○ 医師の管理栄養士に対する指示が不明確な例が認められたので改めること。
(9)集団栄養食事指導料
①
管理栄養士への指示事項(熱量・熱量構成・蛋白質量・脂質量について具体的
な指示を含まなければならない)について、明確に診療録に記載を行うこと。又、
別紙を使用する場合は、診療録にもれなく添付すること。
②
管理栄養士への指示事項については、診療録に蛋白質量・脂質量を患者個々の
状態に応じ具体的に記載すること。
(10)在宅療養指導料
○
診療録に患者への指示事項が記載されていない又は患者ごとの療養指導記録が
作成されていな例が認められたので改めること。又、当該記録には、指導の要点
及び指導実施時間を記載すること。なお、責任の所在を明らかにするよう保健師、
看護師の実施者氏名の記載を行うこと。
(11)慢性維持透析患者外来医学管理料
①
慢性維持透析患者外来医学管理料に含まれる検査の点数は、別に算定すること
ができないので留意すること。
9
②
検査結果の評価の記載が乏しい例が認められたので、診療録に具体的に記載し
て計画的な治療管理を行うこと。
(12)喘息治療管理料
○ 文書の交付がない等算定要件を満たさない例が認められたので改めること。
(13)慢性疼痛疾患管理料
①
診療録にマッサージ又は器具等による療法を行った旨を記載していない例が認
められたので改めること。
②
月の途中に慢性疼痛疾患管理料算定対象患者が発症し、当該管理料を算定した
場合には、当該管理料算定の初月に限り、その算定以前の消炎鎮痛等処置は、算
定できることとされているので、慢性疼痛疾患管理料及び消炎鎮痛等処置の算定
要件に留意すること。
③
算定日が不明な例が認められたので、算定要件を十分に確認し、算定する旨を
診療録に記載すること。
(14)糖尿病合併症管理料
○
医師の看護師に対する指示事項の診療録への記載が不十分な例が認められたの
で改めること。
(15)耳鼻咽喉科特定疾患指導管理料
○
診療録に診療計画及び指導内容の要点記載がないものが認められたので改める
こと。
(16)がん性疼痛緩和指導管理料
○ 麻薬の処方前の疼痛の程度(疼痛の強さ、部位、症状、頻度等)
、麻薬処方後の
効果判定、副作用の有無、治療計画及び指導内容の要点を診療録に記載していな
い又は乏しい例が認められたので改めること。
(17)乳幼児育児栄養指導料
○ 診療録に記載する指導の要点は、患者個々に応じた内容を記載すること。
(18)生活習慣病管理料
①
療養計画書を患者へ交付していない又は患者の署名を受けていない例が認めら
れたので改めること。なお、交付した療養計画書の写しは診療録に貼付すること。
②
患者の症状の悪化等がないにもかかわらず、出来高で算定している例が認めら
れたので改めること。
(19)ニコチン依存症管理料
①
禁煙治療のための標準手順書に従っていないものが認められたので改めること。
②
患者の同意書がない等算定要件を満たさないものが認められたので改めること。
(20)肺血栓塞栓症予防管理料
○ 用いた予防法が診療録で容易に確認できるように改めること。
(21)リンパ浮腫指導管理料
10
○ 診療録への指導内容の要点記載において、実施内容を具体的に記載すること。
(22)退院時共同指導料1
○
診療録に指導内容の要点記載がない、患者又は家族等に提供した文書の写しの
添付がない例が認められたので改めること。
(23)介護支援連携指導料
○
診療録に添付されている患者への提供文書の写しについて、患者のサインがな
い例が認められた。患者への提供文書の写しは、患者に提供する文書の原本の写
しとすること。
(24)地域連携診療計画退院時指導料(Ⅰ)
① 地域連携診療計画管理料を算定した患者でないものに算定している。
②
地域において当該患者の退院後の治療等を担う保険医療機関への文書の提供に
係る診療情報提供料(Ⅰ)の費用は、それぞれ所定点数に含まれ算定できないの
で改めること。
(25)認知症療養指導料
○ 認知症疾患医療センターで診断されていない例が認められたので改めること。
(26)退院時リハビリテーション指導料
○
診療録への指導又は指示内容の要点記載は、患者個々の状態に応じ具体的に記
載すること。
(27)診療情報提供料(Ⅰ)
①
交付した文書の写しを診療録に添付していない、交付(作成)していない例が
認められたので改めること。
②
紹介先の機関名を特定していない文書で算定している例が認められたので改め
ること。
③
単なる紹介先機関への返事、自院の治療にあたり他院へ意見を求める文書につ
いて算定している例が認められたので改めること。
④
診療情報提供書の様式について、別に定める様式で示している項目がすべて網
羅されていない様式を使用している例が認められたので改めること。
例:住所、電話番号欄がない
⑤ 診療状況を示す文書が交付されていないものが認められたので改めること。
⑥ 提供文書の各項目の記載が不要な箇所は、
「なし」又は斜線で抹消する等、空欄
としないよう改めること。
⑦
算定要件を満たさない照会先(認定補聴器技能者)で算定している例が認めら
れたので改めること。
⑧
特別の関係にある機関に提供した場合に算定している例が認められたので改め
ること。
⑨
退院時診療情報等添付加算について、診療情報提供文書に添付した画像情報等
11
の写しを診療録に貼付していないものが認められたので改めること。
(28)薬剤情報提供料
①
患者に提供する文書に用法、用量、副作用、相互作用に関する情報を記載して
いない例が認められたので改めること。
②
薬剤の処方日数のみの変更の場合等、誤って算定されたものが認められたので
改めること。
③ 診療録に薬剤情報を提供した旨を明確に記載すること。
④
手帳記載加算の算定にあたり、所有している手帳を持参しなかった患者に対し
てシールを交付したのみで算定している例が認められたので改めること。
⑤
交付する薬剤情報提供文書は、効能、効果、副作用及び相互作用に関する情報
について患者が理解しやすい表現のものとするよう改めること。
(29)療養費同意書交付料
①
同意書を交付する場合は、同意する施術の範囲及び往療について、みだりに同
意を行わないようにすること。
② 連月で療養費同意書交付料を算定している例が認められた。3 月を経過してさら
に施術を受ける必要がある場合において、同意書を再度交付する場合に算定する
よう改めること。
③
医師による適当な治療手段がある疾病にもかかわらず、同意書が交付されてい
る例が認められたので改めること。
(30)退院時薬剤情報管理指導料
○
提供した旨の記載、提供した情報及び指導内容の要点記載がない例が多数認め
られたので改めること。
5 在宅医療
◎ 在宅医療について、必要事項を記載していない又は乏しく算定要件を満たしていない例が
認められたので改めること。
(1) 往診料
① 定期的ないし計画的に患家に赴いて診療を行った場合に算定している例が認められ
たので改めること。
② 往診の依頼があった旨又は患家の依頼内容を診療録等に記載すること。
③ 往診料、深夜加算が不適切に算定されている例が認められたので改めること。
(2) 在宅患者訪問診療料
① 訪問診療の計画及び診療内容の要点を診療録に記載していない又は乏しい例が認
められたので改めること。
② 診療録に開始時刻及び終了時刻を記載すること。
③ 算定日数を超えた診療について診療録に診療内容の記載がない例が認められたので、
12
算定日数を超えた診療であっても診療内容を記載すること。
④
往診と訪問診療の記載が混同している例がみられ、往診料との同日併算定が出
来ないにもかかわらず算定している例が認められたので改めること。
⑤
患者の同意書が診療録に添付されていない例が認められたので改めること。
⑥
同一建物居住者の診療時間の診療録記載がない例が認められたので改めること。
(3)看取り加算
○ 死亡診断のために訪問した例で算定しているので改めること。
(4)在宅時医学総合管理料
①
在宅療養計画及び説明の要点等を診療録に記載していない又は記載が乏しい、
画一的な例が認められたので改めること。
②
療養計画の作成日が説明日として記載している例が認められたので、作成日と
説明日を明確にすること。
(5)特定施設入居時等医学総合管理料
○
在宅療養計画と診療録に記載した説明の要点との整合性がとれていない例が認
められたので、在宅療養計画及び説明の要点等を記載すること。
(6)救急搬送診療料
○
救急車等に同乗して診療を行ったことが確認できない例が認められたので改め
ること。
(7)在宅患者訪問看護・指導料
○
医師が行った指示内容の要点を診療録に記載していない又は記載が不十分な例
が認められたので改めること。
(8)在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料
○
医師が理学療法士等に対して行った指示内容の要点の診療録記載について、乏
しい例が認められたので改めること。
(9)訪問看護指示料
①
訪問看護指示書への指示事項の記載について、乏しい例が認められたので改め
ること。
②
訪問看護指示書の写しを診療録に添付していない例が認められたので改めるこ
と。
③
自院の看護師に対する訪問看護指示で算定している例が認められたので改める
こと。
④ 訪問看護の実施記録については、実態に即した時間の記録を行うこと。
(10)在宅自己注射指導管理料
① 指導内容の要点の診療録記載について、乏しい例が認められたので改めること。
② 測定記録を適切に管理すること。
③
算定要件を満たしていない患者に対し、誤って算定している例が認められたの
13
で改めること。
④ 在宅自己注射の導入前に週 2 回以上の教育期間をとっていない例が認められた
ので改めること。
⑤ 指導内容の文書交付をしていない例が認められたので改めること。
(11)血糖自己測定器加算
①
自己測定した回数と異なる回数で算定している例が認められたので改めること。
② 自己測定が月 20 回未満にもかかわらず算定している例が認められたので改める
こと。又、20 回以上の場合は、自己測定回数により所定点数が異なるので、実測
値を十分に確認のうえ算定すること。
③
診療録に測定回数を示す記録の添付がなく、記録結果の評価に基づく指導を実
施していない患者に対して算定している例が認められたので改めること。
④ 自己測定の記録(回数)が確認できない例が認められたので改めること。
⑤ 算定要件を十分に確認のうえ算定すること。
⑥ 在宅での血糖の自己測定の記録に基づき指導を行うこと。
(12)在宅人工呼吸指導管理料
○ 診療録に指導管理の内容の記載が不十分な例が認められたので改めること。
(13)在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料
①
指導内容の要点を診療録に記載していない又は不十分な例が認められたので改
めること。
② 対象となる患者について、開始時の要件を明確に記載すること。
③ 機器の設定事項等の指示事項を具体的に記載すること。
(14)在宅寝たきり患者処置指導管理料
○
指示事項、指導内容の要点を診療録に記載していない例が認められたので改め
ること。
(15)在宅療養指導管理料
○ 不適切な例が認められたので改めること。
例:当該在宅療養を指示した根拠、指示事項(方法、注意点、緊急時の措置)、指
導内容の要点の診療録への記載がない又は不十分な例がある。
:算定する旨の記載がない。
(16)在宅酸素療法指導管理料
○
診療録に指導内容の要点記載がない又は不十分なものが認められたので改める
こと。
6 検査
◎
検査について、不適切に実施された例が認められた。検査は、患者の個々の症状・
所見に応じ、必要な項目を選択のうえ段階を踏んで必要最小限の回数で実施すること。
14
(1)血液化学検査
① 血液化学検査(10 項目以上)について、ほぼ毎月実施しているが、医学的診断
を根拠とせず、投薬の副作用確認が目的であれば、3~4 ヶ月ごとの実施とするよ
う注意すること。
② 検査結果項目と請求項目の内容に不一致が認められたので改めること。
③
血液学的検査において、
「末梢血液像(自動機械法)
」で算定すべき例を「末梢
血液像(鏡検法)
」で算定している例が認められたので改めること。
(2)腫瘍マーカー
○
腫瘍マーカーの測定については、測定の条件等の算定要件を十分に確認するこ
と。
(3)感染症免疫学的検査
○ ヘリコバクターピロリ抗原定性の算定にあたり、内視鏡検査等で確定診断がな
されていない患者に算定している例が認められたので改めること。
(4)自己抗体検査
① 初診時に行った「抗サイログロブリン抗体」は、
「抗サイログロブリン抗体半定
量」を行うよう改めること。
② 抗シトルリン化ペプチド抗体定量について、算定要件を満たさない例が認めら
れたので改めること。
(5)血漿蛋白免疫学的検査
○ 特異的 IgE 半定量・定量において、結果の評価を記載し診療に反映させること。
(6)超音波検査
① 結果評価の診療録記載を十分に行うこと。
②
超音波検査結果に測定者及び評価者の署名のない例が認められたので、署名を
行い責任の所在を明らかにすること。
(7)呼吸心拍監視
①
観察した呼吸曲線、心電曲線、心拍数のそれぞれの観察結果の要点を診療録に
記載していない又は乏しい例が認められたので改めること。
②
該当する患者に対して行った場合に算定できるものであるので、改めること。
(8)経皮的動脈血酸素飽和度測定
○ 対象患者以外の患者に算定している例が認められたので改めること。
(9)平衡機能検査(頭位及び頭位変換眼振検査)
○ 平衡機能検査の検査所見について、診療録に明確に記載すること。
(10)コンタクトレンズ検査料
○
コンタクトレンズの装用を目的に受診した患者に対して眼科学的検査を行った
結果、コンタクトレンズの装用を不可とした場合に、コンタクトレンズ検査料を
算定している例が認められたので改めること。なお、この場合は、実際に行った
15
眼科学的検査の所定点数を算定すること。
(11)血液採取
○
血液採取(静脈)について、特定薬剤治療管理料(採血の費用は含まれる。
)を
算定している患者に誤って算定しているものが認められたので改めること。
(12)関節穿刺
○
検査の所見の記載がない例が認められたので、検査結果を評価して診療に反映
させること。
(13)その他
①
多数の疑い病名のもとに、検査を繰り返して実施している例が一部認められた
が、検査結果が診療に反映されない検査については、健康診断的であるとみなさ
れるので注意すること。
②
検査について、診療録に検査結果の評価記載が乏しいものが認められたので、
明確に記載すること。又、検査結果の評価については、診療録に速やかに記載す
ること。
③
医学的に必要性が乏しい実施例が認められたので改めること。
例:入退院を繰り返している患者に対して、再入院時に再度実施した感染症検査
④ 検査について、いわゆるセット検査が認められたので改めること。
⑤
検査において、設備の提供のみで、診察(問診、視診、触診、聴診)を行わな
い場合の診療報酬請求は、依頼元の医療機関との合議により依頼元への請求とな
るので留意すること。
⑥
必要以上に実施回数の多い例、実際に行った回数とは異なる回数で誤って算定
している例が認められたので改めること。
例:血液ガス分析
:末梢血液一般検査(2 週に 13 回)
:HbA1c(月 2 回連月)
⑦
外来迅速検体検査加算について、当日中に結果が判明しない又は当時中に結果
を説明したうえで文書により情報を提供していないにもかかわらず算定した例が
認められたので改めること。
7 画像診断
◎
画像診断について、不適切に実施された例が認められたので改めること。画像診断
は、個々の患者の状況に応じて必要な項目を選択し、段階を踏んで実施し、必要最小
限の回数で実施すること。
(1)コンピュータ断層撮影(CT 撮影)
○ 所見及び検査結果の評価を記載し診療に反映させること。
(2)画像診断管理加算1
16
○
届出している常勤医師以外の医師が画像診断を行ったものに算定しているもの
が認められたので改めること。
(3)画像診断管理加算2
①
専ら担当する医師が読影していないにもかかわらず算定している例が認められ
たので改めること。
②
専ら担当する常勤の医師からの読影結果の報告文書又はその写しがない例が認
められたので改めること。
(4)その他
①
写真診断(他の医療機関で撮影したもの)について、診療録に診断結果の記載
が乏しいものが認められたので改めること。
②
前月に実施し保険請求を行った単純撮影(デジタル撮影)及び電子画像管理加
算(単純撮影)について、当月に実施したものとして重複して算定している例が
認められたので、保険請求を行う際は診療録の確認を十分に行うこと。
③
MRI、MRI 前検査について、それぞれの検査の必要性について診療録に記載す
ること。実施項目はルーチンとせず、患者個々の状態に応じ必要最小限とするこ
と。又、検査結果の所見の記載に努めること。
8 投薬等
◎ 投薬にあたっては、療養担当規則第 20 条(特に第 2 号)を遵守すること。特に後発
医薬品の使用を考慮するとともに、患者に後発医薬品を選択しやすくなるように努め
ること。薬剤を使用するにあたっては、その必要性を十分に考慮したうえで、薬事法
承認事項(効能・効果、用法・用量)を遵守すること。又、適宜、治療効果判定を行
い、漫然と投与することのないように注意すること。
(1)禁忌投与
① 上部消化管出血の患者に対するプラビックス錠 75mg
②
低カリウム血症の患者に対するダイアート錠 60mg(ただし、スローケー錠
600mg を併用している期間を除く。
)
③ うっ血性心不全の患者に対するタンボコール錠 50mg
④
胃潰瘍の患者に投薬されたロキソプロフェン 60mg「EMEC」
、同じくアンピロ
ームカプセル 27mg
⑤ 重篤な心疾患者に対するブスコパン錠 10mg
⑥
重症感染症の患者に対するエクア錠 50mg、グルファスト錠 10mg、ベイスン
OD 錠 0.2 の投与
(2)適応外投与
①
医学的診断根拠がなく更年期障害と診断された患者に対するツムラ加味逍遥散
エキス顆粒(医療用)
17
②
適応症がないにもかかわらず投与されたセレナール錠 5
③
非結核性抗酸菌症と診断し、その治療に用いたブロスターM 錠 10 とゾピクロン
錠 7.5mg「サワイ」
④ 二次感染のない皮膚炎に対するリンデロン VG 軟膏
⑤ 金属アレルギーに対するタチオン錠 100mg
⑥ 慢性胃炎に対するクラシエ桃核承気湯エキス錠
⑦ 肝障害、原発性胆汁性肝硬変の疑いの患者に対するウルソ錠 100mg
(3)長期漫然投与(適宜効果判定が行われずに漫然と行われている投薬)
① 逆流性食道炎に係るラベプラゾールナトリウム錠、タケプロン OD 錠
下肢神経痛、上肢末梢神経障害等の患者に対して、メコバラミン錠 500「トーワ」
②
を月余にわたって投与しているが、効果がみられないときは中止すること。
③
当該疾患にビタミンの欠乏又は代謝障害が関与すると推定される場合でも、次
の薬品を効果がないのに漫然と処方することのないよう改めること。
例:25mg アリナミン F 糖衣錠
:ムコファジン点眼液
④
末梢神経障害に対して投与されたメチコバール錠は、月余にわたって使用して
も効果がみられないときは中止するよう注意すること。
ガスモチン錠を慢性胃炎に伴う消化器症状に投与する場合は、一定期間(通常 2
⑤
週間)投与後、効果について確認するとともに、投与継続の必要性について検討
し漫然と投与しないこと。
(4)過剰投与
慢性気管支炎・肺気腫に対するエリスロシンドライシロップ W20%を常用上限
①
の 6g/日で、長期にわたっての投与。
②
ロヒプノール錠について、高齢者の患者に過量投与しているものが認められた
ので改めること。
高齢者の患者に対するハルシオン 0.25mg 錠の 1 回 2 錠投与の倍量投与の例が認
③
められたので改めること。
(5)併用投与
①
次の併用注意の投与の例が認められたので注意すること。
例:微小血管狭心症に対するワソラン錠 40mg とジゴキシン KY 錠 0.25 の併用は、
高度の徐脈を来たすことがあるので併用には注意すること。
:カロナールとアセトアミノフェンを含む薬剤との併用投与については、アセ
トアミノフェンの重複投与による重篤な肝障害が発現する恐れがあることか
ら行わないようにすること。
② 睡眠薬の併用にあたっては、多剤投与とならないよう注意すること。
③ 抗アレルギー剤の併用投与については、作用機序に注意すること。
18
(6)重複投与
○ ARB 降圧剤のアジルバ錠 20mg とミカルディス錠 40mg
(7)処方料
①
生活習慣病等の厚生労働大臣が別に定める疾患を主病としない患者に対し、特
定疾患処方管理加算を算定している例が認められたので改めること。又、主病を
明確にすること。
② 同一診療日の院内処方と院外処方は原則として認められない。
(8)処方せん料
①
薬剤の一般的名称を記載した処方せんを交付した場合は、診療録に一般的名称
で処方が行われた旨を記載すること。
②
長期投薬加算について、別に厚生労働大臣が定める疾患を主病としない患者に
対し算定している例が認められたので改めること。
(9)その他
ボグリボース OD 錠の投与にあたって食前に服用と指示しているが、食直前服
①
用と指示すること。
②
投薬を実施するにあたり、診療内容及び診断根拠等を診療録に記載していない
例が認められたので改めること。
③
薬価基準に収載されている医薬品は、薬事法承認事項(効能・効果、用法・用
量、禁忌等)の範囲内で使用した場合に保険適用となるものであり、承認事項は、
医師の裁量で変えられるものではないことに留意すること。
④
ボナフェック坐剤の用法は、肛門でなく「直腸内」挿入であるので注意するこ
と。
⑤ パップ剤の処方にあたっては、部位(左右)も指示すること。
⑥
薬剤名を誤って請求している例が一部認められたので、診療部門と事務部門と
の連携を図り、適正に保険請求を行うよう改めること。
⑦
当該傷病の原因がビタミン欠乏であることの医学的診断根拠に乏しい、又は食
事摂取可能な患者にビタミン製剤を投与しているものについて、必要性を診療録
及び診療報酬明細書に記載していない例が認められたので改めること。ビタミン
剤を投与する場合は、画一的な使用とならないように必要性を明確にすること。
例:ノイロビタン配合錠、ハイシー顆粒 25%、25 ㎎アリナミン F 糖衣錠
⑧
次の投与期間の上限を超えた投与の例が認められたので注意すること。
例:脳梗塞後遺症のめまいの患者に対するセロクラール錠 20mg 又はケタスカプ
セル 10mg を、12 週間を超えて投与しているが、副作用の発現を考慮し、効
果がみられないときは中止すること。
:初診で逆流性食道炎と診断した患者に対し、ネキシウムカプセル 20mg を 8
週間を超えての投与
19
⑨
実際に診察した医師と処方せんの保険医氏名が異なっているものが認められた
ので改めること。
⑩ 患者の服薬状況(残薬等)を確認すること。
⑪
次の薬剤については、添付文書の重要な基本的注意事項に留意して使用するこ
と。
例:気管支喘息患者に対し、ダントリウムカプセル、ブロチゾラム錠
⑫
長期投薬を行う場合は、予見できる範囲で行うこと。
⑬
外用薬(貼付薬)について、診療録に用法指示の記載を行うこと。
9 注射
◎ 注射にあたっては、療養担当規則第 20 条(特に第 4 号)を遵守すること。
(1)適応外注射
① 高齢者に更年期症候群と診断し、その治療に用いたメルスモン(蛋白アミノ
酸製剤)
脚気症候群ほか適応のないビーシー注 500
②
(2)重複投与
○
サブビタン静注とビーフリード輸液とを併施している例が認められたが、ビ
タミン B1 を重複して用いる必要性が明らかでないので改めること。
(3)その他
① 静脈内注射の回数を誤って請求した例が認められたので改めること。
② B 型肝炎ウィルス感染の有無を確認する肝機能検査において、異常があるにも
かかわらず診療録に評価の記載がなく、又、結核に関する胸部レントゲン検査、
ツベルクリン反応検査、間質性肺炎の既往歴がある患者に対する胸部レントゲ
ンの検査等の必要な検査が行われずにエンブレル皮下注 50mg 投与された例が
認められたので改めること。
③
「低カルシウム血症」、「低カルシウム血症の疑い」の傷病名で、カルシウム
測定検査を実施せず、注射が実施された例が認められたので改めること。
例:プラリア皮下注 60mg シリンジ
④
次の薬剤については、添付文書の重要な基本的注意事項に竜して使用するこ
と。
例:プロポフォール注
:ディプリバン注
:アクテムラ、ヒュムラ
⑤
チエナムの投与については、適応及び投与期間に留意すること。
⑥
術後疼痛に対して使用したロピオン静注を手術薬剤として出来高で算定して
いる例が認められたので改めること。
20
⑦ 静脈内注射、皮下注射等の用法について、診療録に記載すること。
⑧
経口投与が可能であるものについて、注射により薬剤を投与している例が認
められたので経口剤を優先して投与を行うよう改めること。
10 リハビリテーション
◎
疾患別リハビリテーションの算定要件を満たしていない例又は記録が不十分な例が
認められた。医師は定期的な機能検査等をもとに、その効果判定を行い、定められた
様式に準じたリハビリテーション実施計画を作成する必要がある。
又、リハビリテーションの開始時及びその後 3 ヶ月に 1 回以上、患者に対して実施
計画の内容を説明し、診療録に説明の要点を記載すること。
(1)疾患別リハビリテーション料
①
各区分におけるリハビリテーションの実施にあたっては、実施時刻(開始時
刻と終了時刻)の記録を診療録等に記載すること。又、計画の記載項目はもれ
なく記載し、該当項目がない場合でも「無い」旨を記載し空欄としないこと。
(本
人希望の欄等)
②
運動器リハビリテーション料(Ⅱ)について、リハビリテーションの実施時
間において、専従の常勤職員 2 名以上従事している必要があるが、現在の体制
において専従の常勤職員がいないことから、施設基準を満たしていないので、
施設基準の辞退を速やかに厚生局へ届け出ること。又、算定要件を満たしてい
ない例も多数認められたので改めること。
(2)リハビリテーション総合計画評価料
①
リハビリテーション総合計画評価料において、リハビリテーション総合計画
書(別紙様式 23)を作成していない例が認められたので改めること。
②
リハビリテーション総合計画評価料において、リハビリテーション総合実施
計画の記載について、画一的な記載となっているので患者個々の状態に応じ具
体的に記載すること。
③
リハビリテーション総合計画評価料の算定にあたり、算定要件を満たしてい
ない例が認められたので改めること。
(3)摂食機能療法
①
摂食機能療法の実施にあたっては、実施計画を作成し、医師は定期的に摂食
機能検査をもとに効果判定を行うこと。
②
摂食機能療法について、診療録に実施時刻(開始時刻と終了時刻)の記載が
ないものが認められたので改めること。又、単なる食事介助では摂食機能療法
として算定できないので留意すること。
③
疾患別リハビリテーションの算定にあたり、患者に対して当該リハビリテー
ション実施計画の内容説明前に実施された例が認められたので改めること。
21
11 精神科専門療法
◎
精神科専門療法料の算定において、必要事項を記載していない又は不十分な例が認
められたので改めること。
(1)通院・在宅精神療法
①
要点等の診療録記載について、乏しい例が認められたので改めること。又、
家族に対して行った場合についても、診療の要点記載がない例が認められたの
で改めること。
②
診療に要した時間を診療録に記載していない又は画一的となっている例が認
められたので改めること。
③
特定薬剤副作用評価加算について、評価結果と決定した治療方針が診療録に
記載していない又は画一的に算定されている例が認められたので改めること。
④
診療録とレセプトの診療時間の記載が異なるものが認められたので改めるこ
と。
(2)精神科デイ・ケア
○ 診療録への要点記載について、乏しい例が認められたので改めること。
(3)精神科訪問看護・指導料
①
医師が保健師等へ行った指示内容の要点を診療録に記載していない例が認め
られたので改めること。
② 保健師等の訪問実施記録を整備すること。
③ 医師の指示がない等算定要件を満たさない例が認められたので改めること。
④
自院の看護師に対する訪問看護指示で算定している例が認められたので改め
ること。
(4)入院精神療法(Ⅰ)
(Ⅱ)
○
診療録に必要事項を記載していない又は不十分な例が認められたので改める
こと。
(5)精神科作業療法
① 精神科作業療法を実施するにあたり、施設基準で定められている作業療法士 1
人あたりの面積(50 ㎡)を満たさずに、療法を実施している例が認められたの
で改めること。
② 精神科作業療法に関する施設基準として、専従者として最低 1 人の作業療法
士が必要であるが、専従者として届出されていた作業療法士が、他の業務(デ
イ・ケア)を実施しており、当該施設基準を満たしていないことから、辞退の
届出を行うこと。
(6)重度認知症患者デイ・ケア料
○
診療録に「認知症高齢者の日常生活判定基準」を明確に記載すること。又、
22
定期的に評価を行う等、要点記載の充実を図ること。
(7)精神科継続外来支援・指導料
○ 診療録に診療の要点の記載が不十分な例が多数認められたので改めること。
(8)持続性抗精神病注射薬剤治療指導管理料
○
診療録に治療計画及び治療内容の要点記載が不十分な例が認められたので改
めること。
12 処置
◎
処置の算定において、必要事項を記載していない又は乏しい例が認められたので改
めること。又、処置を実施した場合の診療録の記載が画一的となっているので、患者
個々の状況に応じて具体的に記載すること。
(1)人工腎臓(障害者等加算)
①
著しく人工腎臓が困難なものに該当しない患者に対して算定している例が認
められたので改めること。
② 障害者加算の算定要件に留意すること。
③ 透析機器安全管理委員会を十分に機能させること。
(2)皮膚科軟膏処置
①
処置した部位及び範囲を明確に記載していない例が認められたので改めるこ
と。
② 皮膚科軟膏処置と創傷処置の区別を明確にすること。
(3)消炎鎮痛等処置
○
医師の指示、実施した療法の診療録記載について不十分な例が認められたの
で、医師の指示を明確にして記載の充実を図ること。
(4)重度褥瘡処置
○ 不適切に算定された例が認められたので改めること。
(5)鼻腔栄養
○
算定要件に十分留意すること。又、準じて算定する場合の要件にも留意する
こと。
13 手術・特定保険医療材料
◎
手術の算定において、必要事項を記載していない又は不十分な例が認められたので
改めること。
①
患者又は家族に手術の内容を文書で説明し交付していない例が認められたので改
めること。なお、交付した文書の写しは診療録に添付すること。
② 実施した手術が一部算定されていない例が認められたので改めること。
③
眼瞼結膜腫瘍の摘出術に際して、患者に対する手術内容等の説明が不十分なもの
が認められたので改めること。
④ 自己血輸血において、患者への説明に使用する説明文書について、輸血の必要性、
23
危険性等に係る記載の乏しい例が認められたので具体的な内容とすること。
⑤
骨折非観血的整復術の算定にあたり、適応外となる転位のない骨折について算定
している例が一部認められたので改めること。
14 放射線治療
◎ 体外照射(高エネルギー放射線治療)と放射線治療管理料について、誤って請求しているも
のがあったので改めること。
15 麻酔
◎ ガス麻酔器を使用する麻酔について、診療録に麻酔の実施時間を明確に記載すること。
◎ 麻酔管理料(Ⅰ)の算定において、麻酔前の診察が、麻酔を実施した日に行われた例が認
められたので改めること。
◎ 神経ブロック料において、「神経ブロック(局所麻酔剤又はボツリヌス毒素使用)」で算定すべ
き例を「神経ブロック(神経破壊剤又は高周波凝固法使用)」で算定している例が認められたの
で改めること。
Ⅱ 看護・食事に関する事項
16 看護
(1) 看護管理・病棟管理・勤務計画等
① 看護管理者について、看護管理業務に専念できるように環境整備を図ること。
② 看護基準及び看護手順を定期的に見直し、看護要員がいつでも活用できるよう整備してお
くこと。
③ 病棟勤務の看護要員の勤務実態の把握が正確に行われていないので、管理体制・チェッ
ク体制の改善を図ること。
④ 非常勤職員は、常勤換算した人数で計算すること。
⑤ 月平均夜勤時間数について、夜勤専従者は除いて計算すること。
⑥ 看護職員 1 人当たりにつき平均夜勤時間数が 72 時間を超えている月が認められたので改
めること。
⑦ 病棟と外来等を兼務する看護要員は、外来等に勤務した時間が病棟勤務時間から除外さ
れるほか、夜勤従事者としての人数も案分して計上されることから、勤務時間を適切に把握し、
看護配置数及び夜勤時間を管理すること。
⑧ 勤務実績表は入院基本料等に係る診療報酬の請求の根拠となる記録であることに留意し、
看護部の一担当者だけではなく、複数の担当者及び複数の部局において確認し、管理者の
決裁を受けるなど適正に管理すること。
(2) 看護記録・看護計画
① 注射・点滴等の指示について、不適切な取扱いが認められたので改めること。
24
例:医師の指示を看護職員が転記している。
:指示を受けた者が誰であるのか管理されていない。
② 看護記録のサインもれが散見されたので、指示受領・実践記録等についてもれのないよう
改めること。
③ 患者個人の経過記録は、情報開示を念頭に、誰が見ても看護実践過程(看護行為の実
施後評価を行うことで、看護内容が継続するような記録方法)が見える記録となるよう監査の
視点、監査項目、実施回数の見直しを図ること。
④ 立案した看護計画の実施結果について評価内容を診療録に記載していないため必ず記
載すること。
⑤ 入院診療計画書の看護計画は画一的な内容ではなく、個別性のあるものとし、かつ入院
時立案する看護計画と連動させること。
⑥ 看護計画の評価期間について、入院後から一律 3~6 ヶ月毎の評価になっている例が散
見されたので評価の充実を図ること。
⑦ 身体抑制マニュアルについて、早急に作成し職員に周知すること。
⑧ 不穏のある患者に対して身体抑制を実施する場合は、身体抑制の開始及び解除の時期
をその理由も含めて医師の指示を受けること。
⑨ 身体抑制を実施した場合には、看護計画を立案し、医療事故防止のために観察が行き
届く体制を構築すること。
(3) 外出・外泊・付き添い
① 外出・外泊許可書について、許可書の様式に医療機関の住所、電話番号等の連絡先を
記載すること。
② 外出・外泊許可書について、理由欄を記載していない例又は具体的な理由を記載してい
ない例が認められたので改めること。
③ 外出・外泊許可及び家族付添許可について、それぞれ「許可申請」と「許可書」とを区別
して作成し、「許可書」を患者・家族に交付すること。
④ 家族等の付添の管理が不適切であるので改めること。
例:付添の家族に看護業務を行わせている。
:届出された者とは別の者が付き添っている。
:付添が終了しているにもかかわらず、付き添っていることとして管理されている。
⑤ 家族付添許可について、許可基準を作成し関係職員に周知すること。
⑥ 家族付添許可について、付添許可期間を記入していない例が散見されたので適切に記
入すること。
(4) その他
① シーツ類を交換した実績を記録として残すこと。
② 救急用品及び薬品は、常時使用できる状態に整備しておくこと。
③ リネン室に清潔なリネン以外の物が保管されているので改めること。
25
④ 療養環境について、医療機器や看護必要物品が清潔・不潔の区別なく保管されている例
が認められたので、清潔物品保管棚等にカーテンや覆布などを利用するなど清潔・不潔の
区別を明確にすること。
⑤ 年度毎の看護教育計画に看護補助者独自の教育計画を盛り込むこと。
⑥ 看護部の理念及び目標を設定し、これを職員に浸透させ活動の評価を行うこと。
⑦ 看護補助者の院内研修について、基礎知識を習得できる内容の項目が不足している例
が認められたので、毎年計画的に実施すること。
17 食事
(1)入院時食事療養(Ⅰ)又は入院時生活療養(Ⅰ)
① 食事も治療の一環であることに留意すること。
②
食事療養の内容については、医師を含む会議(栄養管理委員会)を定期的に実施
し、検討を加えること。
③
食事せんの記載事項について、乏しい例が認められたので、記載内容の充実に努
めること。
④
検査値が要件となる貧血食等の特別食の食事せんには、検査値等根拠を記入する
こと。
⑤
特別食である減塩食は、一日当たりの食塩相当量を6g未満とすること。
⑥
特別食加算の算定について、流動食は治療食に該当しないので改めること。
⑦
特別食加算の対象となる検査数値について、初回算定時及びその後定期的に確認
していない例が認められたので改めること。
⑧
栄養管理委員会の議事録について、管理者(院長)の決裁を受け、適切に保存す
ること。
⑨
検食は毎食、医師、栄養士(管理栄養士)により行い、その所見を検食簿に記載
すること。
⑩
検食簿の医師の所見欄について、記載が乏しいので積極的に記載し食事の質の向
上に努めること。
⑪
予定献立表について、常食のみならず特別食についても管理者(院長)の承認(決
裁)を受けてから実施すること。なお、食事の提供が完了した後は、実施報告書(実
施献立表)として保管すること。
⑫
特別食の食事せんにおいて、病名と食種が合致していない事例が見受けられたの
で、改めること。
⑬
病棟等の見やすい場所に、食事療養及び生活療養の内容及び費用に関する事項を
掲示すること。
⑭
栄養管理委員会において、医師の欠席が見受けられたので、参加に努めること
26
⑮
食事せんについて、医師の署名欄は、医師が記載すること。また、食事せんを医
師以外の者が代筆した場合は、医師が記載内容を確認し署名又は記名押印の上、発
行すること。
⑯
給食従事者の健康診断の受診状況を適切に把握し、健康管理を徹底すること。
(非常勤職員を採用した際にも、健康診断の受診状況を適切に把握すること)
⑰
栄養管理委員会について、委員会の規程を実態に合わせて見直すこと。
⑱
栄養管理委員会の開催が委員会規程で定められた開催回数(年4回)より少ない
ので改めること。
⑲
給食委員会について、医師の出席がないので出席しやすい曜日や時間などを検討
し出席できる体制を整備すること。
⑳
検食簿の記載漏れが見受けられたので改めること。
㉑
食事せんについて、特別食加算の場合はその都度病名を記載すること。
㉒
食事せんについて、指示した医師の氏名が漏れているものが見受けられたので改
めること。
㉓
患者食と職員食の帳簿が明確に区別されていない例が認められたので改めるこ
と。
㉔
栄養部門が診療補助部門に位置づけられていない例が認められたので改めるこ
と。
㉕
夕食が18時前に提供されている例が見受けられたので改めること。
㉖
当該療養にかかる基準を満たしているとはいえないので、速やかに辞退すること。
㉗
食事せんの発行が電子カルテシステム(又はオーダリングシステム)において行
われているが、食事せんは医師が発行するものであるところ、医師以外の者が代行
入力により作成した後、医師による確定操作(承認)が行われていない事例が確認
されたので、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第 4.2 版」に準
拠し適切に運用すること。
㉘
食事せんに病名の記載のないものが散見されたので、記載を徹底すること。
㉙
患者から特別の料金を徴収して提供する特別メニューの食事の提供をしている
が、特別の料金の支払いに同意する旨の同意書の内容が不十分であることから、書
式の見直しを行うこと。
㉚
検食簿に記載する検食時間は、実際に検食を行った時間を記載すること。
㉛
検食について、検食の実施時間が患者への食事提供時間後になっている事例が散
見されたので、患者に提供する前に実施すること。
㉜
検食簿の所見の記載は、実際に検食を行った者が記載すること。
㉝
検食の実施について、検食は病院の医師、管理栄養士又は栄養士により行われる
べきものであるが、特に管理栄養士が勤務しない土曜日、日曜日及び祝日の検食に
27
ついて、検食の記録が確認できなかったので、医師をはじめとした検食の実施体制
を見直し、適切に実施するよう改善すること。
㉞
喫食調査の実施結果は、給食委員会に報告し、給食内容に反映させること。
Ⅲ 請求事務等に関する事項
18 診療報酬請求
①
診療報酬の請求にあたっては、審査支払機関への提出前に必ず主治医自らが診療録
等と照合し、記載事項に誤りや不備がないか確認すること。
②
審査支払機関からの返戻・増減点連絡票は、内容を十分に検討し、以後の診療や保
険請求に反映させるとともに、診療部門と事務部門との連携を図り適正な保険請求に
努めること。
③ 診療録の転帰の内容が診療報酬明細書に反映されていないので改めること。
④
診療報酬請求事務について、算定要件の理解が不十分なため、請求時には診療録と
診療報酬明細書を適切に照合し、記載事項に誤りや不備等がないか十分に確認するこ
と。
例:傷病名欄に主傷病が記載されていない。
:診療録に記載のない傷病名が記載されている。
:診療録に記載のある傷病名が記載されていない。
:同一傷病名の診療開始日が月ごとに異なっている。
:自動算定が行われることのないようシステム上の確認を行うこと。
:診療録の様式第1号(1)の3の記載について、診療日ごとに点数内訳を記載す
ること。
⑤
保険医をはじめとする保険医療機関の職員は、健康保険法(診療報酬の算定方法、
保険医療機関及び保険医療養担当規則)をはじめとする関係法令ならびに諸規則等に
ついて研鑽し、適正な保険診療、診療報酬の請求に努めること。
⑥
診療実日数において、同一日に複数科を受診した場合の初診料・再診料・外来診療
料を算定しない科に係る診療実日数については、初診料・再診料・外来診療料を算定
しない日を含め実際に診療を行った日数を記載すること。
⑦
診療実日数において、初診又は再診の際、検査・画像診断等の必要を認めたが、一
旦帰宅し、後日検査、画像診断等を受けに来た場合は実日数として数えないこと。
19 事務的取扱い
(1)届出事項
○ 届出事項に変更があった場合は、その都度速やかに東北厚生局長へ変更(異動)
28
届を提出すること。
例:診療日、診療時間、診療科目、保険医、管理者、開設者の住所
:施設基準に係る届出内容の変更
:施設基準の辞退届のもれ
:特別の療養環境の提供に係る特別の料金の変更
:酸素の購入価格に関する届出において、消費税を含めない価格で届出されて
いたので、消費税を含む価格で算出し訂正届を提出すること等酸素の購入価
格に関する届出書について、速やかに訂正届出を行うこと。
:診療所の電話番号の変更
(2)掲示事項
① 保険医療機関の掲示事項に関して、不適切な例が認められたので改めること。
例:届出している施設基準に係る事項を掲示していない又は名称が相違している、
明細書の発行に関する掲示がない、掲示の内容が不適切である。
②
保険外負担について、費用徴収に係るサービス等の内容及び料金を院内の見や
すい場所に、患者にとってわかりやすく掲示すること。
例:在宅医療に係る交通費
:日常生活上のサービスに係る費用(病衣貸与代)
:インフルエンザ等の予防接種
③
保険外併用療養費に関する事項(差額ベッドの場所及び料金等)について、院
内の見やすい場所に掲示すること。
④ 医療法施行規則第 9 条の 3 に定められた事項を、
当該病院又は診療所の入り口、
受付、待合所の付近の見やすい場所に掲示すること。
⑤
コンタクトレンズ検査料の施設基準の要件として定められている内容の掲示事
項について、不十分であることから改めること。
⑥
明細書発行体制等加算については、算定した診療報酬の区分・項目の名称及び
その点数又は金額を記載した詳細な明細書を患者に無償交付している旨を院内に
掲示すること。
⑦ 保険医療機関である旨の標示を行うこと。
⑧ 入院基本料に係る届出内容の概要(看護職員数等)を掲示すること。
⑨ 医科点数表第 2 章第 10 部手術の通則の 5 及び 6 に掲げる手術については、前年
の手術件数を院内に掲示すること。
⑩
地域包括診療加算に関する事項(健康相談等を実施している旨等)を院内掲示
すること。
⑪
夜間・早朝等加算において、受付の時間によって夜間・早朝等加算を算定する
患者と算定しない患者が混在する可能性があることから、患者にわかりやすく掲
示を行うこと。
29
(3)一部負担金に係る事項
○ 一部負担金の取扱いにおいて、不適切な例が認められたので改めること。
例:自家診療に係る患者について一部負担金が未収のまま納入督促も行われてい
ない又は受領が明確でない。
:計算方法の誤り、診療録の様式第1号(1)の3の記載誤り、記載もれ。
:管理簿等の作成がなく未収の一部負担金の管理が不十分である。又、未収の
一部負担金に係る督促を行っていない例が認められたので改めること。
:過不足があるにもかかわらず返金及び追加徴収が行われていない。又、処方
の追加等による点数の変更・修正に係る患者について、重複請求が見受けら
れたので改めること。
:診療録の様式第1号(1)の3に記載の負担金徴収額については、患者から
徴収する金額(10 円単位)を記載すること。
:診療録と日計表の間で不一致が認められたので、十分に突合確認のうえ徴収
すること。
(4)領収証・明細書に係る事項
① 領収証の様式について、標準例で定められている内容を満たしていないので、
各項目について改めること。
②
電子請求を行っている保険医療機関は、正当な理由がない限り、項目ごとに
記載した明細書についても無償で交付すること。
③
領収証、明細書を発行していない例が認められたので原則すべての患者に発
行すること。
④ 保険診療に係る一部負担金の金額を記載して、患者に交付すること。
(5)保険外負担に係る事項
①
療養の給付とは直接関係のないサービス又は物に関する費用の徴収に不適切
な例が認められたので改めること。
例:手技料等に包括されている材料等
②
療養の給付とは直接関係のないサービス等は、サービスの内容や料金を明示
した文書に患者の署名を受けることにより同意を確認のうえで徴収を行うこと。
③
患者からの費用徴収が必要となる場合(例:診断書)は、同意を確認のうえ
徴収すること。
(6)その他
①
被保険者証、免除証明書、医療受給者証等のコピーを保有することは個人情
報保護の観点から好ましくないので行わないよう改めること。
②
保険点数を訂正したときは、患者に一部負担金を返金する等適切に管理する
こと。
③
電子カルテの運用にあたり、院内マニュアルを整備し定期的にパスワードを
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見直す等、適切に管理すること。
④ 保険診療として不適切な例が認められたので改めること。
例:健康診断と思われる医療従事者の胸部画像診断
:施設入所用診断書作成依頼のための検査
:自己診療
⑤
差額室料の徴収にあたっては、料金を明示した文書に患者側の署名を受ける
ことにより同意を確認すること。
⑥ 症状詳記の内容が診療内容と異なっている例が認められたので改めること。
⑦
療養の給付を行う際には、被保険者証の提出を求め、療養の給付を受ける資
格を確認すること。
⑧ 保険診療に関する諸規則や算定要件等の理解が十分でないことから、開設者、
管理者、保険医として備えるべき知識の修得に努めること。
⑨
薬剤購入に係る納品書等、療養の給付の担当に係る帳簿及び書類その他の記
録をその完結の日から 3 年間保存すること。
⑩
後発医薬品の使用を考慮するとともに、患者に後発医薬品を選択しやすくす
るように努めること。
(療養担当規則第 20 条 三投薬
⑪
ニ)
医療情報システムについて、診療から医事会計までの業務フローを点検し、
保険診療上、適切な取扱いとなるように改善すること。
例:自動受付機による受付において、不適切な例が認められたことから改める
こと。
⑫ 地域包括診療加算について、当該患者に対し院外処方を行う場合は、24 時間
対応をしている薬局と、連携していることとされているので、体制を整えるこ
と。
⑬ 時間外対応加算 1 において、対応者・緊急時の対応体制・連絡先等について、
院内掲示等の方法により患者に対して周知することが要件となっているので改
めること。
⑭ 時間外対応加算 2 において、標榜時間外の夜間の数時間は、患者からの電話
等による問い合わせに応じる体制を整備するとともに、対応者・緊急時の対応
体制・連絡先等について、院内掲示等の方法により患者に対して周知すること
が要件となっているので留意すること。
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