【5】1 新技術説明会2016プレゼン資料(産総研 小川)

コレステロール動態解析の
ための化学プローブ技術
国立研究開発法人
産業技術総合研究所
バイオメディカル研究部門
健康維持機能物質開発研究グループ
主任研究員 小川昌克
健康工学研究部門 界面・材料研究グループ
研究グループ長 田中睦生
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想定される用途
従来と異なる細胞内の遊離コレステロールを
ターゲットとする化学プローブを考案しました。
• ライブセルイメージング(生きた細胞の蛍光顕
微鏡観察)用のコレステロール蛍光プローブ
• エクソソームやコレステロール輸送タンパク質
など研究のための研究試薬の開発
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私どもの技術開発の背景
•動物細胞はコレステロールなくして生きられない。
•動物細胞の健康維持にコレステロールは深くかかわり、
その役割は多岐にわたる。
•コレステロール研究の歴史は古く膨大な研究報告があ
るが、コレステロールの役割について詳細な分子機構
は今でも不明なことが多い。
•今後、コレステロール研究において、化学プローブの
研究開発が重要と考えます。
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従来技術とその問題点
既に実用化されているコレステロール化学プ
ローブは、コレステロールの疎水性部分を化学
修飾して作られています。
しかし、コレステロールが細胞内で近傍分子と
の相互作用する際、その水酸基と疎水性部分
の両方が重要です。疎水性部分を化学修飾す
ると膜中で分子運動の異常が危惧されます。
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従来技術とその問題点
コレステロールの構造式
アルキル鎖
環状部分
水酸基
疎水性部分
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新技術の特徴・従来技術との比較
コレステロールの化学プローブを作る際に、コ
レステロール分子認識に重要な部分が化学修
飾によって構造変化することが従来技術の問題
点でした。
本技術では、コレステロールの水酸基を化学
修飾して蛍光基等をコレステロールに導入しま
した。その際、水酸基部分に「水素結合する基」
を残すことで分子認識に重要な構造を保存しま
した。
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新技術の特徴・従来技術との比較
本技術による
コレステロール化学プローブの構造式
R:蛍光基など
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実験結果の例
培養細胞を本技術に基づくコレステロール蛍光プローブ
で染色した顕微鏡画像(ライブセルイメージ)
上段:微分干渉像
下段:蛍光像
スケールバー
50mm
左列:染色直後
右列:染色後3時間
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想定される用途
• 細胞内の遊離コレステロールを可視化するた
めの本技術の特徴を生かした蛍光プローブ
参考文献:
Ogawa Y., Tanaka M. (2016)Anal. Biochem., 492, 49-55.
• 上記以外に、エクソソームを精製する試薬の
開発に利用されることが期待される。
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実用化に向けた課題
• 現在、培養細胞内の遊離コレステロール局在
を観察するための蛍光プローブまで開発済み
です。
• 今後、本蛍光プローブによるコレステロール
細胞内動態の観察データを取得し、さらに有
用性を検証します。
• 蛍光プローブ以外では、実用化に向けて脂質
やタンパク質等との相互作用を検出できるよ
う技術を確立する必要があります。
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企業への期待
• 本技術による蛍光プローブがライブセルイ
メージング用コレステロールプローブとして製
品化されることを希望します。
• 研究用試薬の開発技術を持つ企業との連携
(ライセンス、共同研究等)を希望します。
• また、エクソソーム研究等のための研究用試
薬を開発中の企業には、本技術の導入が有
効と思われます。
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本技術に関する知的財産権
• 発明の名称 :膜マイクロドメイン又は
コレステロール認識タンパク質検出用
高感度分子プローブ
• 登録番号 :特許第5004234号
• 出願人
:産業技術総合研究所
• 発明者
:小川昌克、田中睦生
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お問い合わせ先
国立研究開発法人 産業技術総合研究所
生命工学領域研究戦略部
イノベーションコーディネータ 新間 陽一
TEL 029-862 - 6032
FAX 029-862 - 6048
e-mail [email protected]
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